『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』第7話 感想&考察 繋がるモンスター・ヴァース ネタバレ解説 | VG+ (バゴプラ)

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』第7話 感想&考察 繋がるモンスター・ヴァース ネタバレ解説

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「ゴジラ」シリーズ70周年に向けたモンスター・ヴァースの拡大

『ゴジラ』(1954)から70年が経ち、1月12日には『ゴジラ-1.0/C』が、4月26日には『ゴジラxコング』が公開されるなどゴジライヤーとなる2024年。その特別な年に向けて、モンスター・ヴァース最新作である『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』が新たな展開を見せてきた。

2023年12月22日よりApple TV+から配信された『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』第7話「本物のメイはどうぞご起立を」。各々のキャラクターの背景が明らかになっていく中、モンスター・ヴァース作品同士の繋がりが広がり、モンスター・ヴァースを更なるユニバース展開させていくものとなった。

本記事では『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』第7話「本物のメイはどうぞご起立を」の感想と考察をしていこう。なお、本記事では『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』第7話「本物のメイはどうぞご起立を」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の内容に関するネタバレを含みます。

広がるモンスター・ヴァース

ゴジラが蹂躙した世界

2015年、アルジェリアの砂漠ではゴジラ出現によって引き起こされたヘリ墜落と土砂崩れによって、渡部蓮演じるケンタロウアンナ・サワイ演じるケイトカーシー・クレモンズ演じるメイからの情報で追跡していた特別研究機関MONARCHのメンバーは砂の下にいた。ジョー・ティペット演じるティムがいち早く起き上がり、現状を確認する。

その頃、ケイトとケンタロウはアルジェリアのティンドゥフの空港にいた。ティンドゥフはサハラ・アラブ民主共和国(SADR)の首都機能を事実上有しているオアシス都市で、サハラ砂漠の中でもモロッコや西サハラ、モーリタニアとの国境沿いに位置するという点から交易の要所だけではなく、アルジェリアの軍事的な要所でもある都市だ。ティンドゥフの空港にもゴジラなど怪獣(タイタン)出現時の避難ルートの案内が各所にある。

ケイトとケンタロウの会話の内容は平岳大演じる父親のヒロシのことだった。特別研究機関MONARCHを辞め、自身の死を偽装してまで雲隠れしたヒロシ。それにもかかわらず、ヒロシは改良されたガンマ線放射線シミュレーターらしきものをつかってまでゴジラ追跡を続けている。

疑問の尽きないケイトに対し、ケンタロウは自分たちを見捨てたヒロシに対して怒りすら覚えていた。ケイトに拒絶され、自身の過去と向き合うことになったメイ。その状況で空港のトイレに引きこもっていたメイは黒服の男たちに誘拐されてしまう。女子トイレに捨て置かれたパスポートと携帯からメイが誘拐されたとケイトは確信する。

過去と向き合うとき

3年前、2012年のシアトル。メイはレストランでIT企業AETからスカウトを受けていた。しかし、AETのスカウトだと思われた女性はメイを別の世界に誘う。そのようなことを飛行機の中でメイが回想している間、2015年のティンドゥフの空港ではメイを探すケイトとケンタロウがティムと遭遇していた。

そこでティムの口から特別研究機関MONARCHはカート・ラッセル演じるリー・ショウを追跡していたこと、エリサ・ラソウスキー演じるミッシェル・デュバルには秘密があること、特別研究機関MONARCHは一枚岩ではないことを知らされる。このデュバルの裏切りは第6話「恐ろしい奇跡」で明かされたデュバルの姉が『GODZILLA ゴジラ』(2014)の際に、雀路羅市原子力発電所でMUTO(Massive Unidentified Terrestrial Organism、未確認巨大陸生生命体の意)が目覚め、それにより死亡したことだと考察できる。

この姉とは『GODZILLA ゴジラ』はフランス系の原子力発電所技師という設定から『GODZILLA ゴジラ』で登場したジュリエット・ビノシュ演じるサンドラ・ブロディの可能性がある。ここでも、前エピソード「恐ろしい奇跡」から引き続き、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』とモンスター・ヴァース映画作品とのつながりが見えてくる。

ティムはケイトとケンタロウに2人の祖父母である山本真理演じるミウラ・ケイコアンダース・ホルム演じるビリーは、特別研究機関MONARCHにとって重要な研究を行なっていた可能性があると解説する。ケイコとビリーの研究内容では世界は人間の想像を遥かに超えるほど壮大で、人間はちっぽけな存在だという。これと似たことを『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)の冒頭で渡辺謙演じる芹沢猪四郎博士が述べている。

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芹沢猪四郎博士は2019年にワシントンD.C.で行なわれた特別研究機関MONARCHの公聴会で、議長が特別研究機関MONARCHの任務は怪獣の発見と抹殺であり、いち早く軍の指揮系統下に入れと述べた際に反論している。怪獣は動物の王であり、無理矢理人間が目覚めさせたのに抹殺するというのはおかしいと返したのだ。そして「ゴジラを人間のペットにするおつもり?」と言われた際、このように反論している。

いいえ、我らこそがペットに。

第6話「恐ろしい奇跡」で1955年に特別研究機関MONARCHは完全に独立性を失い、アメリカ軍の指揮下に入ったように描かれていたが、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で描かれた2019年の特別研究機関MONARCHでは巨大な全翼機アルゴやメーサータレットなどアメリカ軍並みの装備を持ち、アメリカ軍とは一線を画した組織として独立性を保っているように描かれている。そこが『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』でどのように描かれるのか注目していきたい。

取引と信頼

ティムはヒロシがアルジェリアの砂漠にいたことを知り、驚愕する。そしてヒロシが改良されたガンマ線放射線シミュレーターらしきものを使っていたことを知ると、ゴジラを目覚めさせることが目的だったのではと疑うケイトに対し、ティムが突き止めたヒロシの研究テーマはゴジラの襲撃による惨劇を防ぐことだったと解説するのだった。

そこでケイトは証明を求め、特別研究機関MONARCHのネットワークでメイを探し、そこからヒロシの居場所を突き止めるように言うのだった。その代わりにリーの捜索に協力するというケイト。だが、ケンタロウは完全に父親ヒロシへの信頼を失い、この提案に反対していた。

ミレリー・テイラー演じるナタリア・ベルドゥーゴ副長官はティムに連絡を取る。ティム以外連絡が取れない理由を尋ねるナタリア副長官だったが、ティムはあっさりと全員死んだと返す。この点からティムの変人を超えた奇人っぷりが考察できる。ナタリア副長官のいるアメリカ合衆国バージニア州の特別研究機関MONARCHの本部は、ティムからのゴジラ出現の報告に騒然となっていた。

ティムはナタリア副長官がケイト、ケンタロウ、メイ、リーを犯罪者のように扱ったためにケイトとケンタロウとの取引やリーとデュバルの脱走を招いたとナタリア副長官を責める。ナタリア副長官の知る限りではメイを誘拐したのは特別研究機関MONARCHではないようだが、ナタリア副長官はティムにメイの秘密を漏らさぬように念押しするのだった。

前哨基地88

アメリカ合衆国アラスカ州のフェアバンクスにある特別研究機関MONARCHの前哨基地88。特別研究機関MONARCHの前哨基地は怪獣を監視するために存在しているが、その番号はその怪獣の登場した映画の公開された年代の番号になっているというメタ的な設定がある。1988年に公開された「ゴジラ」シリーズの映画は無いが、1989年には『ゴジラVSビオランテ』が公開されている。そのため、この前哨基地が何かしらの植物怪獣を監視するために建設された可能性はあり得る。

前哨基地88ではアメリカ合衆国ユタ州でゴジラ出現時並みのガンマ線を検出したジェス・サルゲイロ演じるバーンズ博士が応援に駆り出されていた。そこに武装した兵士と彼らを率いるデュバルとリーが現れる。

リーは前哨基地88を支配下に置き、研究員たちに「このまま何もせず人類が絶滅危惧種になるのを待つか」、それとも「歴史の正しい側に立つか」を強いるのだった。バーンズ博士は隠れ、ナタリア副長官に報告する。そしてリーは前哨基地88から爆発物をすべて持ち出すのだった。

その頃、ケイトとの取引に応じたティム。ティムはケイトとケンタロウにヒロシと初めて会った日のことを語る。それを聞き、思いにふけるケイトとケンタロウ。ケイトはメイから何かがあれば妹に連絡するように頼まれていたと言い、ティムにそれを頼むが、ティムは2人にメイは偽名であることを明かすのだった。

コーラ

30か月前のAET本部。そこでメイことコーラは自身の職務内容に不満を抱いていた。ここでコーラは北朝鮮のハッカーのドゥリキャンディークラッシュのトビーの2人の人名を挙げている。北朝鮮と言えば2023年では世界規模のハッキング大会で上位を独占して優勝するなど、ハッキング大国として有名だ。

また、キャンディークラッシュはゲームの名前でその開発者であるスウェーデン出身のトビー・ローランドはコンピューターの世界における天才エンジニアと言える。この台詞はコーラのオタクっぷりを示すものだと考察できる。AETでコーラは自身が書いた契約書によって、コーラの書いた如何なるコードもAETの所有物になると縛られていた。

2015年、アメリカ合衆国ワシントン州タコマ。ケイト、ケンタロウ、ティムの3人はメイことコーラの本当の家を訪ねていた。コーラがメイという偽名を使ってまで何かを隠していたのだから、その嘘に乗じる3人。3人はコーラの家族に漫画愛好家同士の知り合いだと嘘をついて接触した。

ここでコーラの妹のモーガン・ダドリー演じるライラにコーラの好きな漫画を尋ねられた際、咄嗟にティムが「ポーの一族」シリーズの萩尾望都「セーラームーン」シリーズの武内直子などの少女漫画や「ドラゴンボール」シリーズの鳥山明が好きだったと返すあたり、ティムがコーラとは別ジャンルのオタクであることが考察できる。

ケイト、ケンタロウ、ティムの3人は自分たちと接触した途端にどこかに向かうライラを追跡する。そこで3人はライラの口からコーラがIT企業であるAETに勤めていたことを知る。そして、コーラは意図的にサーバーをクラッシュさせ、逃亡したのだった。

IT企業AETの正体

プログラマーとしてAETに勤めていたコーラ。そこでコーラはAETが「サイバネティック・ニューロ・インターフェース」という計画で何を行なおうとしていたのかを知る。それは動物の脳に直接プラグを繋ぎ、コントロールしようとしていた計画だった。

地下室を訪れた際、一瞬画面に特別研究機関MONARCHのロゴが映し出されることから、「サイバネティック・ニューロ・インターフェース」は怪獣(タイタン)の利用を目論む特別研究機関MONARCHの計画の一端だったと考察できる。

AETに侵入するためにティムは怪獣出現のアラームを鳴らし、街全体をパニック陥らせる。そして、その隙にAETに侵入するのだった。AETの目的は怪獣(タイタン)の神経組織で歩行障害などを治療するプログラムを生み出すこと。ここでAET時代にコーラの上司であったドミニク・ティッパー演じるブレンダ・ホランド「本当の怪獣出現ならば事前に連絡が来る」と言っていることから、AETと特別研究機関MONARCHは蜜月の関係にあったことが考察できる。

ブレンダは実際に訴訟を起こされるかどうかを引き合いにだし、メイことコーラに特別研究機関MONARCHのスパイの次はAETのスパイになるように取引を持ち掛ける。そして、コーラはコーラ・マテオとして本音をすべて打ち明け、偽りの人生に終わりを告げるのだった。コーラは自分がこれ以上ケイトたちと一緒に居ればスパイであり続けることになり、それを拒絶するのだった。

ケイト、ケンタロウ、ティムを捕えるナタリア副長官。ナタリア副長官はケイトとケンタロウを追い返そうとしたが、ケイトは自分たちだけがリーの計画を知る鍵になると取引を持ち掛ける。それによってケイトはAETの魔の手からコーラを救い出した。

怪獣警報と“あの組織の登場”

リーを捜索するために再び団結するケイト、ケンタロウ、メイことコーラの3人。一方でティムとナタリア副長官は特別研究機関MONARCHを表向きの組織に改革すべく、ナタリア副長官が広報を担うことを決断する。このことからナタリア副長官たちの特別研究機関MONARCHの方針が隠蔽体質ではないとも考察できる。だとすればリーの考える特別研究機関MONARCHの失敗とゴジラを救うとは何なのだろうか。

そして明らかになるAETの真の目的。「サイバネティック・ニューロ・インターフェース」の技術が流れていたのは『ゴジラvsコング』(2021)で登場した「エイペックス・サイバネティクス」であり、度々名前が登場していたウォルターとはメカゴジラを創り上げたデミアン・ビチル演じるウォルター・シモンズだったのだ。

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つまり「サイバネティック・ニューロ・インターフェース」の目的は『ゴジラvsコング』で登場した小栗旬演じる芹沢蓮の行なった「キングギドラの頭蓋骨を用いてメカゴジラと人間をリンクさせる」ことだったと考察できる。また、ここでナタリア副長官とも裏取引を交わしていることから、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』での宇宙怪獣ギドラ復活の前からギドラの情報は特別研究機関MONARCHからエイペックス・サイバネティクスに横流しされていたとも考察できる。

その頃、アラスカ断層ではリーたちが爆発物を設置していた。そこにあるのは大量のガンマ線を放出する巨大な穴。これは『ゴジラxコング』の予告映像でコングが出現する前にも目撃されたものと同じだと考察できる。リーはその穴を爆破。それにより小規模のブラックホールのようなものが発生し、穴は封じ込められた。

新体制となった特別研究機関MONARCHは第8話でどうなるのか

第7話「本物のメイはどうぞご起立を」はゴジラといった怪獣(タイタン)たちの脅威や、ゴジラが出現した年代である1950年代の社会情勢を反映した第6話「恐ろしい奇跡」とは異なり、取引など策略が蠢くものとなった。他にもメカゴジラの製造に特別研究機関MONARCHの上層部がかかわっていた可能性など、特別研究機関MONARCHが一枚岩ではないことが考察できる第7話「本物のメイはどうぞご起立を」。

物語もモンスター・ヴァースの映画作品へとリンクしていくものとなり、『ゴジラxコング』を見る上で見逃せない作品となってきた『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』。2023年12月29日に第8話「生得権」が配信されるということもあり、2023年の年末は「ゴジラ」シリーズ70周年となる2024年に向けてゴジラ尽くしとなりそうだ。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』第7話「本物のメイはどうぞご起立を」は2023年12月22日からApple TV+より配信開始。

『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』公式サイト

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鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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