各国の配給・制作会社との資本業務提携で邦画が世界へ?
日米韓による海外進出の第一歩
2023年12月11日、東宝株式会社が米制作・配給会社FIFTH SEASONと韓総合メディア企業CJ ENMとの資本業務提携を発表した。東宝株式会社は米制作・配給会社FIFTH SEASONの株式25%を取得するために2億2,500万ドルを投じたと米Deadlineが報じている。また、韓総合メディア企業CJ ENMは2022年から引き続き、FIFTH SEASONの株式80%を取得しており、FIFTH SEASONの大株主である。
FIFTH SEASONはMaxの『TOKYO VICE』(2021-)やApple TV+の『セヴェランス』(2022-)などの数多くの大ヒット作を制作している。更にEndeavor 傘下の独立したコンテンツスタジオという強みを活かして企画、資金調達、制作、販売の一連の流れをFIFTH SEASON自身が行い、動画配信プラットフォームとの関係性も持っている。MaxやApple TV+独占配信作品を手がけているのがその関係性の強さの証拠だろう。
FIFTH SEASON の大株主であるCJ ENMは韓国 CJ グループ傘下の総合エンタテインメント企業である。『パラサイト 半地下の家族』(2019)の配給や、『愛の不時着』(2019-2020)の配給を行っている「tvN」などといった動画配信プラットフォームやケーブルテレビを運営している。制作面でもCJ ENMは携わっており、そのようなCJ ENM とFIFTH SEASONとの資本業務提携によって東宝作品が世界に広がるだけではなく、他国との共同制作などの可能性も見えてきた。
東宝ユニバースが世界規模で復活か
東宝株式会社はこの資本業務提携によってプロデューサーやクリエイター、俳優の海外進出を期待しているとコメントを発表した。また東宝株式会社単独ではできなかった大型企画やIPなどのコンテンツの海外展開をしていきたいともコメントを出している。このことから、特撮ファンとしては「ゴジラ」シリーズだけではなく、モスラやラドンといった東宝怪獣の再映画化に期待してしまう。
モスラは『モスラ』(1996)から『モスラ3 キングギドラ来襲』(1998)までの三部作が制作されたが、ラドンは最初の『空の大怪獣 ラドン』(1956)以降、単独作は制作されていない。レジェンダリーと東宝が提携して制作した『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)でモスラとラドンが登場したため、一人のファンとしては怪獣ブームの再来という空想にも近い期待をしてしまう。
また、そういった怪獣や特撮以外の東宝作品が世界へ羽ばたいていくきっかけになっていくかもしれない。アニメ作品など、日本が代表する数々の作品がこれをきっかけに世界へ広がっていくことに期待していこう。今後は映画シリーズだけではなく、東宝株式会社自体にも注目していきたい。
山崎貴監督が手がけた『ゴジラ-1.0』の小説版は、11月8日(水)発売で予約受付中。
『ゴジラ-1.0』オリジナル・サウンドトラックのLP盤は12月15日(金)発売で予約受付中。
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