『ジェン・ブイ』第6話ネタバレ解説 忘れたい記憶と忘れてはいけないもの あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

『ジェン・ブイ』第6話ネタバレ解説 忘れたい記憶と忘れてはいけないもの あらすじ&考察

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第6話で深堀されるキャラクターたちの過去

Amazon Prime ビデオを代表する作品となった『ザ・ボーイズ』(2019-)のスピンオフ作品『ジェン・ブイ』(2023-)。『ザ・ボーイズ』をショーランナーとして引っ張ってきたエリック・クリプキが製作総指揮を務め、ミシェル・ファゼガスがショーランナーとして過激な展開が繰り広げられ、『ジェン・ブイ』はスピンオフとは思えない盛り上がりを見せ続けている。

本記事は2023年10月20日に配信された『ジェン・ブイ』第6話「ジュマンジ」の各シーンの解説と考察をしていく。第6話は視聴対象が16歳以上になっており、露骨な残虐描写及び性描写が含まれる。また、第6話については自傷の描写を含むため、視聴には注意していただきたい。また、以下の内容はネタバレを含むので必ずAmazonプライムビデオで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ジェン・ブイ』の内容に関するネタバレを含みます。

第6話「ジュマンジ」ネタバレ解説

よみがえる記憶とケイトの贖罪

マディー・フィリップス演じるケイト・ダンラップが実は大学側についた裏切り者であり、ケイト・ダンラップによってこれまで記憶操作が行われたことを知った一同は、ケイト・ダンラップの手によって消された記憶を取り戻す。ケイト・ダンラップにとってそれは贖罪だったかもしれないが、チャンス・ペルモド演じるアンドレ・アンダーソンからは「怪物」、リゼ・ブロードウェイ演じるエマ・マイヤーからは「最低」と吐き捨てられるのだった。

ケイト・ダンラップの記憶操作の背後にシェリー・コン演じるインディア・シェティ学部長の存在を疑うジャズ・シンクレア演じるマリー・モローと、自身を操ったことに憤慨するデレク・ルー演じるジョーダン・リー。みんなのためと言うケイト・ダンラップだったが、その後、相手の心の声に似た幻聴のようなものに苦しめられ、その場を立ち去る。

このテレパシーなど精神操作系のスーパーパワーの持ち主が、周囲の心の声を無意識に聞き取ってしまい。精神的に疲弊していく点は『ザ・ボーイズ』シーズン3に登場した元ペイバックのライアン・ブレイクリー演じるマインドストームを想起させる。マインドストームも周囲の心の声に耐え切れず森の奥深くに隠居しており、この症状は精神操作系のスーパーパワーの持ち主に共通するものなのかもしれない。

失意のアンドレとマリーの大学への怒り

記憶を取り戻し、自分の親友であるパトリック・シュワルツェネッガー演じるゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンの最期の言葉さえ忘れさせられていたことを知り、失意のどん底にいるアンドレ・アンダーソン。アンドレ・アンダーソンの怒りはケイト・ダンラップに向けられており、ケイト・ダンラップは自分に恋させて相手をボロボロに傷つける存在だと言い切る。

マリー・モローはそれを否定し、ケイト・ダンラップもまた大学側の犠牲者だと言うが、皮肉なことにケイト・ダンラップを演じたマディー・フィリップスはエリック・クリプキの出世作『SUPERNATURAL』でハーパーというアンドレ・アンダーソンが言う通りのキャラクターを演じていた。ハーパーはエリック・クリプキ降板後のキャラクターだが、このような展開もクリプキ組ならではの演出と言えよう。

マリー・モローは孤児院から脱出し、ヒーローになるためにゴドルキン大学に入学したのにも関わらず、ゴドルキン大学も孤児院と変わらないコンパウンドVの実験によって生まれたヒーロー候補生の能力者たちを管理する施設だったことに失望していた。

アンドレ・アンダーソンは一度、父親で尊敬していた先代ポラリティの裏切りで失望を味わうも、ケイト・ダンラップの裏切りにより、心の支えを完全にへし折られてしまっている。その一方でアンドレ・アンダーソンはケイト・ダンラップと話し合えば、きっとケイト・ダンラップを許してしまう自分の甘さに、自分自身への失望の色が隠せない。

ヒーロー大学の不完全さとマリーの更なるスーパーパワーの開花

ジョーダン・リーの叫びにより、ケイト・ダンラップが発作を起こしていることを知ったマリー・モローとアンドレ・アンダーソン。既にケイトの目には血が浮いており、心拍数もどんどん下がっている。アンドレ・アンダーソン曰く、ケイト・ダンラップのスーパーパワーには使えば使うほど脳に深刻なダメージが蓄積される副作用があるとのことだ。

第4話「真実の全貌」でデレク・ウィルソン演じるテックナイトから学内有数のスーパーパワーの持ち主にも関わらず、ゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンを支えるためにランプライター犯罪学部からマネジメント学科へ専攻を変えたことが指摘されているケイト・ダンラップ。もしかすると、専攻を変えた理由にはスーパーパワーの深刻な副作用があるのかもしれない。

マリー・モローはジョーダン・リーにCPRを頼むが、ジョーダン・リーは方法がわからないと言う。そしてマリー・モローはヒーロー大学なのにCPRも教えていないことに驚くのだった。CPRとは心肺蘇生法のことであり、人命救助を行うヒーローならば真っ先に習得していてもおかしくないものである。

第1話「ゴドルキン大学」で起きたパーティーでの流血騒ぎのことを考えると、ゴドルキン大学がヒーロー養成所でありながら、もっとも簡単な心肺蘇生法すら学ばせておらず、ヒーロー養成所の大学とは名ばかりで、ショービジネスと人体実験の場であったことがうかがいしれる。ケイト・ダンラップに関してはマリー・モローが血液操作によって心臓を直接マッサージするという荒業を行なうことで一命をとりとめた。

第5話「モンスタークラブへようこそ」では自分の血だけではなく服についた血が他人の血か一瞬で見分けられ、相手の生理周期すらも読み取れるなど、攻撃だけではなく人命救助と幅広い応用性を持つことが明らかになるマリー・モローのスーパーパワー。インディア・シェティ学部長やマルコ・ピゴッシ演じるエジソン・カルドーサ博士がマリー・モローを実験に利用しようと画策していたのにはこの高い応用力があるのかもしれない。

「森」での実験

マリー・モローたちが大学への不信感を募らせていく一方、大学地下の秘密研究施設、通称「森」ではエジソン・カルドーサ博士の手で新たなウィルスの開発が続けられていた。ブリアナ=リン・ブリエイロ演じる能力者ベッツィを被験者としてウィルス開発が新たな段階に入ったことをエジソン・カルドーサ博士はインディア・シェティ学部長に報告する。

ヒーロー候補生、そしてスーパーヒーローたちをヴォート社が安全にコントロールするために開発されたそのウィルスは非能力者には感染せず、能力者が持つ血中のコンパウンドVにのみ結びつき感染するという代物だ。この血中のコンパウンドVに結びついて感染するという点が、エジソン・カルドーサ博士とインディア・シェティ学部長がマリー・モローに執着していた理由かもしれない。

この実験に至るまでに利用されてきた被験者こそゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンが探し求め、クランシー・ブラウン演じるリッチ・ブリンカーホフ博士を殺害した原因でもあるゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンの弟のアサ・ジャーマン演じるサム・リオーダンであった。能力者のスーパーパワーを抑制するウィルスをヴォート社に報告しようとするエジソン・カルドーサ博士。それに対してインディア・シェティ学部長はまだ報告できないと切り捨てる。

インディア・シェティ学部長の目指すウィルスはより強力で、より重症化するというものであり、現時点でのウィルスは未完成と言い切る。どこまで重症化させられるかと問うインディア・シェティ学部長だが、これ以上重症化すればコントロールはおろか死亡リスクが高まり、エジソン・カルドーサ博士ら「森」の研究者の考える能力者のコントロールとインディア・シェティ学部長の考える能力者のコントロールの姿に違いがあることがわかる。

封印された記憶とよみがえったあの男

発作を起こしたケイト・ダンラップをソファーに寝かせるアンドレ・アンダーソン、ジョーダン・リー、マリー・モローら3人。マリー・モローとジョーダン・リーはケイト・ダンラップがいつ目覚めるのかアンドレ・アンダーソンに訪ねるが、アンドレ・アンダーソンはそれを知らないと言い、これは仲間の記憶をもてあそんだ罰とまで言い切る。

その瞬間、ケイト・ダンラップは目覚め、マリー・モローの手に触れたかと思えば瞬間移動のように姿を消す。そして周囲の壁が崩れ始め、その先には森林が広がっているのだった。これはケイト・ダンラップが以前語っていた弟を失踪させてしまったときの記憶であり、マリー・モロー、アンドレ・アンダーソン、ジョーダン・リー、そして偶然居合わせた薬物依存症で体が成長しないというスーパーパワーを持つアンディ・ウォーケン演じるダスティはその記憶を追体験することになる。

その森の中ではケイト・ダンラップの弟、ケイレブ・ダンラップを探す母親の声と雷鳴が響いている。そこでケイト・ダンラップが弟の失踪により母親から拒絶されるようになり、周囲の人間からも腫物扱いされるようになったことが明らかになる。

隠れてその様子をうかがっていた4人の前に現れたのは何とジェンセン・アクレス演じるソルジャーボーイだった。このとき、MCUのキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースのようなBGMが流れるのが『ザ・ボーイズ』世界で大衆が抱くソルジャーボーイのイメージを反映させている。また、ここでの会話で『ザ・ボーイズ』シーズン3のヴォート社タワーでの戦い以降、世間にはソルジャーボーイがロシア側に寝返ったという報道がなされていたことがわかる。

このソルジャーボーイは本物のソルジャーボーイではなく、幼少期のケイト・ダンラップが生み出したイマジナリーフレンド(空想上の友達)であり、ケイト・ダンラップにマスターベーションの方法を教えたとのことだ。皮肉にもそのことを自慢げに話す姿が大衆の知らない本当のソルジャーボーイの姿にそっくりなのが滑稽だ。また、ソルジャーボーイの枕に関する話がピロートークともかかっているジョークにもなっている。

空想上のソルジャーボーイ曰く、この稲妻は脳の血管に出来た動脈瘤であり、これが続けばケイト・ダンラップは目覚めず、その頭の中にいる4人も囚われ続けることになる。最後に大事なことを言おうとした瞬間、稲妻でソルジャーボーイは灰と化してしまった。自分たちも同じ目に遭えば現実世界でも死ぬと悟り、出口を探す一行。そこでケイト・ダンラップのセフレ扱いされたアンドレ・アンダーソンはソルジャーボーイの愚痴をこぼし、マリー・モローに呆れられている。

スターダスト・ドライブインシアターにて

一度、記憶を失ったエマ・マイヤーに拒絶され、記憶を取り戻す方法を探すといって出ていったサム・リオーダン。サム・リオーダンは未だ思い出の場所であるスターダスト・ドライブインシアターに隠れていた。そこにヒーローは戻ってくるといって帰ってきたエマ・マイヤー。記憶が戻ったことに喜ぶサム・リオーダンはエマ・マイヤーと熱い抱擁を交わす。

ここで二人は肉体関係を結ぶのだが、その後ろにあるクレーゲームにはアンドレ・アンダーソンの父親の先代ポラリティの写真があり、サブリミナル的に『ジェン・ブイ』や『ザ・ボーイズ』の世界でいかにヒーローが商業化されていることを見せつけてくる。また、長きに渡り精神病院に隔離されていたサム・リオーダンはジョークを交えつつ自分が童貞であることを話す。

そしてエマ・マイヤーは無理しなくても良いと言ったうえで性行為に及ぶが、その描き方は性的な捕食者であったアレクサンダー・カルバートが演じる「歩くレイプドラッグ」ことルーファスなどとは対照的に、双方が性的行為に同意した上で行なっていることが強調されているように思える。

ここで流れている音楽はウルフ・アリスの「Don’t delete the kisses」という楽曲で、その歌詞は運命の出会いとそこから始まる恋について歌ったもので、偶然にもアンドレ・アンダーソンの頼みを受けてサム・リオーダンと接触し、似た境遇から意気投合したエマ・マイヤーにぴったりの選曲と言えよう。

一方で第5話「モンスタークラブへようこそ」の時と同じく、サム・リオーダンは現実と妄想が混ざることが多く、その際に現実の人物がパペットに見えてしまうことが描かれている。第5話「モンスタークラブへようこそ」ではパペットの姿のまま虐殺を行なったサム・リオーダンだが、エマ・マイヤーと行為に至る中でもエマ・マイヤーがパペットに見えてしまっていることに困惑している。

封印したい記憶

その頃、森林の中を彷徨っていたマリー・モロー、ジョーダン・リー、アンドレ・アンダーソン、ダスティは宙に浮かぶ窓とその中で勉強をしている若き日のケイト・ダンラップを目撃する。ケイト・ダンラップはスーパーパワーの危険性もあってか、家庭学習を選ばされており、自室の扉は銀行の金庫のドアのような頑強なものとなっている。このことからケイト・ダンラップが弟のケイレブ・ダンラップ失踪から9年間どのような扱いを受けてきたのか想像できる。

インディア・シェティ学部長の態度は一見すると優しく、ケイト・ダンラップの唯一の理解者とも言える。だが、その実態はケイト・ダンラップの記憶や精神を操作するスーパーパワーを利用して「森」での研究に悪用していた。頭の中の声を静める方法として薬物を勧めるなど、一種のグルーミング(大人が子どもに近づき親しくなって性的虐待を行おうとすること)に近いものだと考えられる。

場所と時間は一気に飛び、次はランプライター犯罪学部の講義室へと移る。そこではケイト・ダンラップとゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンの初めての出会いの記憶が残されていた。喪った親友に戸惑い、その場を去ろうとするアンドレ・アンダーソン。しかし、この記憶は純粋なケイト・ダンラップの記憶だけではなく、アンドレ・アンダーソンの封印していた記憶も混じっていた。

講義室のディスプレイに映し出されていたのはアンドレ・アンダーソンとケイト・ダンラップの浮気の記憶。視聴者はあたかもゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンの死後、アンドレ・アンダーソンとケイト・ダンラップの肉体関係がはじまったかのように錯覚していたが、実際は生前からその関係は続いていたのだ。

キリスト教圏の欧米では、浮気や不倫といった不貞行為はかなり重く受け止められることが多い。そこに親友の恋人を寝取ったという事実も加わると、マリー・モローとジョーダン・リーの義憤に近い怒りにも共感できる。そしてゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンは炎を放ち記憶の中とはいえ、ダスティを爆殺。対抗しようとする他のメンバーは記憶の中ではスーパーパワーが使えないことを知り、逃げるほかなかった。

ナンバー2の理由

逃げた先はリッチ・ブリンカーホフ博士のオフィスの前。アンドレ・アンダーソンとケイト・ダンラップの不貞行為がきっかけで口喧嘩する一方、オフィスの中からもゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンとリッチ・ブリンカーホフ博士の口論が聴こえてくる。ここにはケイト・ダンラップはおらず、その場にいたのはロンドン・ソア演じる女性的な姿のジョーダン・リーだった。

ここで、ケイト・ダンラップを介して皆の記憶が混じり合っていることを知る面々。そして、その記憶はどれも各々が封印したい記憶だった。実はゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンがリッチ・ブリンカーホフ博士に詰め寄ったのは殺害したときが初めてではなく、過去に何度もあったのだ。

そのうちの1回でジョーダン・リーはゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンをガスで眠らせることに成功し、それがリッチ・ブリンカーホフ博士に助手として選ばれた理由だった。ジョーダン・リーは何が理由でゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンが激昂しているかははっきりと知らなかったとは言え、ケイト・ダンラップと同じように大学側の不正に加担していた人物だった。それこそジョーダン・リーの封印したい記憶であった。

リッチ・ブリンカーホフ博士のジョーダン・リーへの対応はインディア・シェティ学部長と同じくグルーミングに近いもので、1年生のときに「もう女にはならない」と怯えていたジョーダン・リーを慰めたとリッチ・ブリンカーホフ博士は語る。ゴドルキン大学の大人たちはヒーロー候補生とはいえ、未熟な子供たちをコントロールするような人物ばかりだったことが透けて見えてくる。

スーパーパワーのためとは言われたが深く考えようとせず、それによって助手に選ばれる道を取ったジョーダン・リー。マリー・モローとアンドレ・アンダーソンからゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンを救うチャンスがあったと責められるジョーダン・リーを、誰よりも責めたのは記憶の中のジョーダン・リー本人だった。人を救うチャンスを棒に振ってまで助手の座を取ったことがジョーダン・リーにとっての最大の後悔だったと言える。

ここでジョーダン・リーが涙を流しながらリッチ・ブリンカーホフ博士が好きで、良い人だったと訴える姿が、グルーミングの被害者が加害者を擁護するようで生々しい。ジョーダン・リーは自分に親切だったから他に被害者が生まれる可能性を敢えて見過ごしたことを過去の自分から責め立てられ、反論できないところにマリー・モローからもかつて言われた「あんたは臆病者。この先も変わらない」という言葉を記憶の中の自分から投げかけられる。

愛し合う二人

スターダスト・ドライブインシアターで肉体関係を結んだエマ・マイヤーとサム・リオーダンだが、互いに相手を思いやるその姿はグルーミングのような方法で未熟なヒーロー候補生を支配してきたゴドルキン大学の大人たちと対比になっていると考えられる。

サム・リオーダンは「自分は壊れているから、壊れていない人物と付き合った方がいい」と言うが、エマ・マイヤーは自分も壊れている上、口もくさいから一緒と返す。サム・リオーダンの壊れているところというのは現実と妄想が混じり、相手がパペットに見えることだが、エマ・マイヤーの壊れているところというのは摂食障害と口の臭いということから嘔吐癖だと考えられる。

この二人の関係性は、誰もがどこか壊れている、普通の人間など存在しないという『ジェン・ブイ』の中のテーマの一つを象徴したものだ。そしてこれまで一緒に逃げようと言っていたエマ・マイヤーがサム・リオーダンに逃げずに立ち向かうという道を示すのだった。

記憶の中の真実

記憶の中の「森」でマリー・モロー、ジョーダン・リー、アンドレ・アンダーソンの3人はインディア・シェティ学部長、リッチ・ブリンカーホフ博士、エジソン・カルドーサ博士の3人がゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンを強化するためにサム・リオーダンから輸血させていたことを知る。

そして、ゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンが目覚めるたびにケイト・ダンラップは「サム・リオーダンは自殺を図り死んだ」という虚偽の記憶を上書きし続け、それによってゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンは精神に不調をきたし、最後はリッチ・ブリンカーホフ博士を殺害して自爆したことが明るみになった。それと同時にジョーダン・リーやアンドレ・アンダーソンも何度も記憶を改変され続けてきたのだった。

燃焼温度が上がり、ゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンのスーパーパワーが強化されるほど、記憶のダムは決壊し、サム・リオーダンの幻聴が聴こえ、悪夢を見るようになっていることを訴えるケイト・ダンラップ。しかし、ケイト・ダンラップはインディア・シェティ学部長の言う通り、ゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンの記憶を消し続ける道を選ぶのだった。

そこから逃げようとする3人の前に現れたのはマリー・モローの封印したい記憶である両親を殺害してしまったスーパーパワーが開花した日の記憶だった。そこでマリア・ナッシュ演じる妹のアナベス・モローからヒーローになろうとも親殺しの罪は消えないと責められるマリー・モロー。マリー・モローはかつてケイト・ダンラップに言われたように自分も同じ境遇だと語りかけた。

アンドレ・アンダーソンは記憶を改変され続けたことに激昂し、自分も同じ境遇だと理解した上で、目覚めて贖罪の道を選ぶか、このまま眠り続けて忘れる道を選ぶかとケイト・ダンラップに問う。その問いの末にケイト・ダンラップは目覚め、3人も目覚めるのだった。

彼らの選んだ道

目覚めた4人のもとにエマ・マイヤーがサム・リオーダンを連れて戻るが、サム・リオーダンはこれまで自分や兄であるゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンの記憶を改変し続けてきたケイト・ダンラップを見て怒りを抑えられず暴れ始める。何とか止めようとするマリー・モロー、ジョーダン・リー、アンドレ・アンダーソンだったが、3人の力を合わせてもサム・リオーダンには敵わない。

そこでエマ・マイヤーが優しく語りかけ、暴力以外での解決方法を提案し、サム・リオーダンはそれを受け入れる。サム・リオーダンはケイト・ダンラップを放し、マリー・モローは「自分はもう信用されない」と泣くケイト・ダンラップに信用回復のために全力を尽くせと語るのだった。

そしてマリー・モロー、アンドレ・アンダーソン、エマ・マイヤー、ジョーダン・リー、サム・リオーダン、ケイト・ダンラップの6人は後戻りのできない茨の道を選び、そこへと突き進むことになる。

その頃、「森」ではウィルスが5mm追加しただけで強力な影響を及ぼし、死に至らしめたことをエジソン・カルドーサ博士がインディア・シェティ学部長へ報告する。能力者ベッツィを殺してしまったことに困惑するエジソン・カルドーサ博士に対し、インディア・シェティ学部長はこのウィルスを広めることを指示するのだった。

最後に流れる音楽はバングルスの「Hazy Shade of Winter」という楽曲で、もとはサイモンとガーファンクルの「冬の散歩道(原題:A Hazy Shade of Winter)」という楽曲のカバーである。その内容は冬の炊き出しなどになぞらえて夢を追う若者が年を取り落ちぶれていく様子を歌ったものだ。ある意味ではマリー・モローたちの今後を歌っているともとれるが、一方でインディア・シェティ学部長たちの現状を歌っているともとれる。巧みな選曲だ。

どうなる第7話

ヒーロー候補生たちやスーパーヒーローにのみ効く致死性の高いウィルスの開発成功と、その散布が決められた第6話のラストシーン。このウィルスが散布されたとすれば、『ザ・ボーイズ』本編にも大きな影響がでることだろう。

事実、ホームランダーに匹敵すると言われたゴールデン・ボーイ/ルーク・リオーダンの強化剤の役割を果たしていたサム・リオーダンも実験の被験者の1人であり、このウィルスがセブンのメンバーすらも苦しめるかもしれない。第7話の原題が「Sick」というのも気になるところだ。『ジェン・ブイ』の今後の展開に期待していきたい。

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第7話「モンスタークラブへようこそ」のネタバレ解説&考察の記事はこちらから。

第1話「ゴルドキン大学」のネタバレ解説&考察の記事はこちらから。

第2話「初日」のネタバレ解説&考察の記事はこちらから。

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『ジェン・ブイ』シーズン2についてはこちらから。

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『ザ・ボーイズ』シーズン3最終話のネタバレ解説はこちらから。

シーズン3までの経緯とYouTube配信のスピンオフ番組の内容、アニメ版の注目エピソードはこちらの記事で。

『ザ・ボーイズ』シーズン4についての情報はこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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