『ジェン・ブイ』第2話ネタバレ解説 次のスターは誰? ぶつかる想いとバックグラウンド あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

『ジェン・ブイ』第2話ネタバレ解説 次のスターは誰? ぶつかる想いとバックグラウンド あらすじ&考察

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ドラマ『ジェン・ブイ』第2話はどうなった?

Amazonプライムビデオのオリジナルドラマ『ジェン・ブイ』は2023年9月29日(金) より配信をスタート。本作は人気ドラマ『ザ・ボーイズ』(2019-) のスピンオフであり、2022年に配信された同作のシーズン3の後が舞台になっている。

『ジェン・ブイ』で描かれるのはスーパーパワーを持ち、ヒーローになることを志すゴドルキン大学の学生たち。能力者たちの青春と大学に隠された陰謀が描かれていく。『ジェン・ブイ』第2話ではどんな展開が描かれたのか、今回は第2話をネタバレありで解説&考察していく。

なお、以下の内容はネタバレを含むので必ずAmazonプライムビデオで本編を視聴してから読んでいただきたい。また、第2話は視聴対象が16歳以上になっており、露骨な残虐描写及び性描写が含まれる。また、第2話については自傷の描写を含むため、視聴には注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ジェン・ブイ』第2話の内容に関するネタバレを含みます。

『ジェン・ブイ』第2話「初日」ネタバレ解説

次のスター候補

第1話の凄惨なラストを経てルークの肉片が掃除される中、マリー、アンドレ、ケイトは哀しみに暮れていた。だが、マリーについてはその悲しみは長く続かなかった。スター候補だったゴールデン・ボーイの死を受けて、ヴォートは次のスター候補にマリーとアンドレを選んだのだ。

ヴォートCEOのアシュリーも今では立派にリーダーシップを発揮している。ホームランダーが表立って出てこれない状況で生き生きしていると捉えることもできるが。ゴールデン・ボーイことルークは薬物で錯乱してブリンク教授を殺したことにされている。

アンドレの父のポラリティはブリンクの追悼ガラで儲けることも考えている。ガラとは興行/パーティのこと。ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022) でも主人公のジェニファーが最優秀弁護士にノミネートされてガラに参加している。

アシュリーはバイジェンダーであるジョーダン・リーのことは「クソ代名詞の両性アジア人」と差別し、その貢献を認めようとしない。女性を指す「she」でも男性を指す「he」でもない「they」を代名詞として用いることを忌み嫌っていることが分かる。誰も困るわけでないのに感情的になるのは、ヘイト=憎悪感情があることの表れだ。

アシュリーは更に学部長のインディラ・シェティに“森”が関係あるかを聞き、それが暴露されれば致命的だと責め立てる。アシュリーもかつては下っ端だったのに今では高圧的で、やはり上からやられたことを下にやってしまうようになっているのだろう。

マリーは目立たずに勉学に取り組むという誓いを破り、大ごとに巻き込まれたことを後悔していた。だが、翌日にはマリーはキャンパスの人気者に。新入生にもかかわらずランキングのトップ10、第8位に入っていたのだ。マリーはそのランキングを見る様子を、英語圏の人気動画コンテンツである“リアクション動画”として配信されている。

一方のアンドレはルークに代わってランキング第1位に。第3位だったジョーダンがなぜか第5位に転落してしまい、重用してくれていたブリンクを追悼しようとするも、他の学生はSNSに投稿するためのネタとしてしか扱っておらず、散々な気持ちになってしまう。

ルークの恋人だったケイトもジョーダンと微妙な感じになってしまい、陰口を言っていたルーファスに能力を使って木製バットで自分を殴るように操る。その際に「ジュマンジ」と叫ぶよう指示しているが、もちろん映画「ジュマンジ」シリーズで「ジュマンジ」と唱えるまでゲームが終わらないという設定からとっている。

なお、大学のビデオにも出ていたルーファスを演じているのはアレクサンダー・カルヴァート。ドラマ『ARROW/アロー』(2012-2020) のロニー・メイチン役、エリック・クリプキが手がけたドラマ『スーパーナチュラル』(2005-2020) ではジャック/ネフィリム役で出演している。

2世ヒーロー

大学のソーシャルメディア担当のジェフは初対面のマリーに「my soul sister」と呼びかけた上で「君のコミュニティをバカにしてるわけじゃない」と言い訳している。「ソウルシスター」という呼び方は、黒人の女性が他の黒人女性を親しみを込めて呼ぶときに使っていた言葉だからだ。性別も人種も違うジェフが使えば礼を失していると言えるが、「これはセクハラじゃないんだけど」みたいなノリで言い訳しているところが、いかにもなキャラクターだ。

ジェフはマリーがTwitterでバズっていると言い、字幕に反映できないくらいの早口で「#BlackGirlMagic」と言っている。これは実際に存在するハッシュタグで、黒人女性の活躍を讃え、自己肯定感を上げる目的で活用されたものだ。

一躍スターになったアンドレ。父はポラリティというヒーローで大学関係者でもある。アンドレは2世ヒーローなのだ。ポラリティは自分の初めての全国放送は「マッチボックス・トゥエンティを助けた時」と話す。マッチボックス・トゥエンティとは1990年代後半から2000年代前半にかけて活躍したアメリカのロックバンドのことだ。

だが、アンドレはルークがポラリティに何かを残していないかと気にしている。ルークは死ぬ前にアンドレに言葉を残していたのだ。だがそんな心配は、父からの「鋼の男」「誇りに思う」「私を超えられる」という言葉にかき消されてしまう。英才教育を受けてきた2世の辛いところだ。

マリーはヘイリー・ミラーという大物司会者からインタビューを受けることを知らされる。マリーとアンドレは「ゴドルキンの守護者たち」というキャッチコピーで売り出されるらしい。英語で言うと「ガーディアンズ・オブ・ゴドルキン」で、マーベルのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーを意識した名前になっている。「音節が多い」と突っ込まれているが、それは確かにそうだ。

マリーもこの状況に慣れていく。アンドレと写真を撮る場面ではRemi Wolfの「Photo ID」(2020) の曲に合わせて徐々にポーズが様になっていく。マリーは調子が出てきたが、アンドレはルークの死と父の関係、ルークの凶行の理由が気に掛かっていた。謎を追おうとするアンドレだったが、マリーは非協力的だ。

だが、マリーの主張は正しいように思える。マリーは新入生で一晩出かけただけで、エリートたちの代わりに退学になりかけたし、アンドレのように家族のバックアップもない。自分がこれから歩んでいく人生の方が大事というのは当然のことだ。

ジョーダンの思い

大学ではP・J・バーン演じるアダム・バークが演技の講義をしている。アダム・バークは『ザ・ボーイズ』の方で映画『セブンの夜明け』の監督を務めていた人物だ。ミンカ・ケリーへのセクハラで干されたそうだが、ミンカ・ケリーとはドラマ『新チャーリーズ・エンジェル』(2011) での主演やゲーム『デトロイト ビカム ヒューマン』(2018) のノース役などで知られる俳優だ。

演技クラスでペアを作らなければならなくなったエマは、前回関係を持ったリアムをパートナーに誘うがあっさり断られてしまう。そこに手を差し伸べたのは、前回ヴォートプラスのドラマに出演が決まったと話していたジャスティンだ。

一方、ランプライター犯罪対策学部ではジョーダン、アンドレ、ケイトがインディラ学部長の講義を受けている。マリーも3年生向けのこの講義に入ることに。ルークと唯一戦ったジョーダンはこの状況に不服で、バイジェンダーだからスポットライトが当てられないと抗議。だが、黒人女性であるマリーは「私も差別されてきた」と衝突する。

ジョーダンも最初はマリーに冷たい態度を見せていたし、やはりジョーダンの身代わりになって退学になりかけたことからマリーは誰にも止められない。それでも、ジョーダンはブリンクが自分の姿でなく能力を見てくれたと吐露し、マリーに自分が戦ったことを生放送で言うように求めるのだった。

ジョーダンが言った「生放送は言ったもん勝ち」というブリンクの言葉をマリーがあっさり受け入れられたのは、マリーもレッド・リバーの頃から熱心にブリンクの著書を読んできたからだろう。マジョリティであり故人であるブリンクとの奇妙な繋がりによって、ジョーダンとマリーの関係は首の皮一枚で繋がることになる。

ニュースではルークの両親がバッシングを受けていた。「殺人者がどう育ったのか」と、大学の責任を飛ばして家庭の問題に集約しようとしているのだ。それでもルークには両親が揃っていることも示されている。家庭環境が学歴やその後のキャリアに関係する現実が反映されていると言える。

ジャスティンと組んだエマは演じる作品として、『ポケット・ロマンス』『リトル・ヒーロー』『小さなハート』と、自分と同じ縮小能力を持つターマイト主演の作品ばかりを挙げている。ジャスティンはターマイトが「X-MEN」シリーズで知られるブライアン・シンガー監督のパーティーでラリっていたことを明かしている。

エマは小さくなることを求められていると思っていたが、ジャスティンはエマ自身から学びたいと寄り添う姿勢を見せる。それによって、エマは吐かなければ小さくなれないという事実を話してしまう。これがエマにとっては命取りになる。

裏切られたエマ

マリーを呼び出したインディラ学部長は、マリーの両親のことを知っていた。マリーは、ヒーローになることにこだわる理由が、離れ離れになった妹にあることを明かす。成り上がり、妹を見つけ出し、家族に戻りたい。そんなマリーの欲求を捉えるようにしてインディラは母のようなポジションをとってマリーに取り入ろうとしているように見える。

だがその裏では、インディラは森の壁紙の部屋で捕えられたサムの元へ向かっていた。ドクターがサムにハンマーを振り下ろすなど、どう見ても人体実験か何かが行われている様子だ。一方のアンドレとケイトはルークの部屋が空っぽに掃除されているのを見つけ、陰謀の匂いを嗅ぎ取っていた。

エマは先ほどジャスティンに話した内容がジャスティンのYouTubeで暴露されていることを知る。フォロワー稼ぎのために仲良くなったふりをして情報を得て暴露する。もちろんそれはスターになるため。あまりにも悲しい現実だ。別の友人に卑猥な演技をさせるジャスティンは「ナンシー・レーガンみたい」と言っているが、ナンシー・レーガンとはロナルド・レーガンの妻で元々俳優だった。

ポラリティの像

アンドレは監視カメラが溶けているのを見つけると、近くにある父であるポラリティの像に駆け寄る。その股間の部分にはスマホが隠されていた。ルークがアンドレに残した「君の父が持っている」という言葉は、ポラリティの銅像に映像を隠したということだったのだ。

その映像では、森と呼ばれる病院のような場所でルークとルークの弟は人体実験を受けていることが明かされている。ブリンクもグルであり、エリックは弟のサムを助けるために行動を起こしたと言うのだ。サムは第1話で逃走しようとしていた学生のことだが、ケイト曰く統合失調症で自殺したと聞かされていたらしい。アンドレも「なんとかグローブって施設で死んだはず」と話しているが、これは『ザ・ボーイズ』にも出てきたセージ・グローブ・センターのことだろう。

アンドレはこの件の解明を求めるが、ケイトの後押しでインタビューの生放送に向かうことに。『ヘイリー・ミラー ワン・オン・ワン』の番組だ。マリーは「セリフは決まっていて台本を覚えれば良いだけ」と言われていたが、アドリブでジョーダン・リーのことを言う気でいた。

一方のアンドレはセブン入りがほぼ確実となっている中で、やはりルークの件についての真相究明を求めてブリンクの部屋へ向かう。磁気を操る能力でパソコンのロックを解除したアンドレは、常時監視中のサムの映像を見つけ、ルークの言葉が事実だったことを知る。しかしそこに警備部隊が訪れ、ファイルとパソコンを持ち去るのだった。

ヘイリー・ミラーのインタビュー

放送開始が迫る中、番組担当者は「ガーディアンズ」を「ガーディアン」と単数形に変えてマリーだけで放送に入ろうとする。MCのヘイリー・ミラーは、『ザ・ボーイズ』の方でもホームランダー、スターライト、ニューマン議員を迎えたインタビューのMCをしていたことがある。

ヘイリー・ミラーは、マリーに妹から「関わりたくない」と返信を受けたと明かす。「黒人版スターライト誕生」が期待される中、ショックを受けているマリーは生放送でジョーダン・リーに言及することをやめ、ゴールデン・ボーイ事件の収束を自分一人の手柄であると話すのだった。

ジョーダンも、この場に現れなかったアンドレも踏み台にして、マリーはセブンへの道を駆け上がっていく。こうしてブッチャーが嫌いな“スープス”は生まれていくのだろう。だが、マリーは昔の家族写真を見て涙を流すと、第1話の終盤に続き自傷に及ぶ。マリーはルーミーのエマのことを求めていたが、エマもまたジャスティンに裏切られたことで孤独に嘔吐を繰り返していた。不幸なすれ違いだ。

マリーは、番組が勝手に妹に連絡をとっていたことについて、妹のことを話したインディラ学部長を疑うが、インディラはハグで全てをうやむやにする。家族のつながりを求めているマリーはこれに抵抗できない。

一方、警備員とエンカウントしてしまったアンドレは、触れた相手に言うことを聞かせられるケイトの能力に助けられる。しかし、力を使いすぎたケイトは気を失ってしまう。このシーンからエンドロールにかけて流れているのは、バナナラマの「Venus」(1986)。「私があなたの欲望を掻き立てる炎」「闇夜のように黒い姿は、他の誰にもない魅力」と歌われており、スター街道を歩み出したマリーの状況が歌われていると捉えることができる。

『ジェン・ブイ』第2話ネタバレ感想&考察

『ジェン・ブイ』は第1話でトップランカーを退場させ、それによって第2話でパワーバランスが大きく動く展開に。ランキング制度を導入していることで誰がどの位置にいるのかが分かりやすく、また、「セブンに入る」という席数が限られたゴールの設定によって、レースの緊張感が増している。一方で、その外で起きている陰謀を追うミステリ展開がこのゲーム自体の意味を問い直す役割を果たしており、非常なクレバーな作りになっている。

また、人種や性別、家庭環境に能力という差異が複雑に絡み合い、そこに現代社会の大きな指標の一つである影響力(フォロワー数)が加わることで、誰もが強くも弱くもなるダイナミックな舞台設定になっていると言える。実はその仕組み自体は『ザ・ボーイズ』の時から変わっていないのだが、キャンパスという限られたスペースと最小限の登場人物で物語が進められる『ジェン・ブイ』では、それがより強く機能しているのだろう。

特に第2話は不安定な状況にある中で、それぞれの学生が自分の生き方を主張し合うようなヒリヒリする展開だった。全8話の中で、この衝突はどのように着地するのか、そしてゴドルキン大学に隠された闇の正体とは——。引き続き『ジェン・ブイ』の物語を追っていこう。

ドラマ『ジェン・ブイ』はAmazonプライムビデオで独占配信中。

『ザ・ボーイズ』原作コミックの日本語版は、G-NOVELSから発売中。

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『ジェン・ブイ』第3話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

『ザ・ボーイズ』シーズン3最終話のネタバレ解説はこちらから。

シーズン3までの経緯とYouTube配信のスピンオフ番組の内容、アニメ版の注目エピソードはこちらの記事で。

『ザ・ボーイズ』シーズン4についての情報はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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