「現実が作品に追いついた」『高い城の男』シーズン4 プロデューサーが語る危惧

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『高い城の男』シーズン4 プロデューサーらが語る危惧

Amazonプライムビデオの人気SFドラマシリーズ『高い城の男』(2015-) のシーズン4がいよいよ11月15日(金)に配信を開始する。同作はシーズン4でフィナーレを迎えることになっており、大きな期待と注目が集まっている。配信開始に先がけ、同作の製作総指揮を務めるイサ・ディック・ハケットらが米TVLineのインタビューに答え、現実世界がドラマ『高い城の男』の世界に近づいている状況について、危機感を吐露している。

現実の事件との類似点

このインタビューでは、インタビュアーから「現在進行形で世界で起きていることをどれほどドラマの世界に反映させるのか。一定の距離を保つべきという議論もあったのか」という質問が投げかけられた。

ドラマ『高い城の男』シーズン3の最終話では、暴徒化した市民から、ナチスのスローガンである「血と土 (blood and soil)」のコールが起きるシーンが挿入された。「血と土」とは、「民族と祖国」を意味する人種差別主義・国粋主義の標語である。現実世界では、2017年8月に米バージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義グループの集会で、この「血と土」がコールされていた。カウンター側との衝突で死者も出たこの事件は、当時大きなニュースとなっていた。

「現実が作品に近づいた」

その後公開された『高い城の男』で、同事件を想起させる上記のシーンが挿入されていたため、「現実世界の事件をどれだけ取り入れるのか」という質問がなされたのだ。これに対して、製作総指揮のイサ・ディック・ハケットは、意外な回答を示している。

私たちが “血と土” のシーンを撮影したのは、シャーロッツビルでの事件のだったんです。現実世界が私たちの作品に近づいてきているのであって、私たちが作品に事件を取り入れているわけではないんです。

——イサ・ディック・ハケット

イサ・ディック・ハケットの父親は、原作小説『高い城の男』の著者であるフィリップ・K・ディックだ。2018年には、The Wrapのインタビューに「私の父は常にファシズムのことを考え、また恐れていました」と話している。父が遺した作品の実写化を手がけるイサ・ディック・ハケットにとって、“ナショナリズムが台頭するアメリカ”は、現実の方から近づいてきているのだ。

ルーファス・シーウェルもコメント

ナチスの親衛隊大将ジョン・スミスを演じるルーファス・シーウェルもこう話している。

懸念すべきは、作家の皆さんが作った物語がある日突然、現実に起きている事とよく似た状況になってしまって、その要素を作品から取り除かなければいけなくなることです。とても恐ろしいことですよ、偶然にも (現実世界の事件と) 似たものを作ってしまって、それを検閲して取り除かなければいけないというのは。

——ルーファス・シーウェル

SF作品として描いたものが、予期せず現実の状況に配慮しなければならなくなる可能性を憂慮した。

ドラマの世界が現実に

プロデューサーの一人、デヴィッド・スカルパは、現在は『高い城の男』というSF作品にとって、特異な状況にあると説明する。

通常、物語というのは、現実の世界からテーマを取り上げるものですが、『高い城の男』の場合、現実が作品に追いついてきているのです。この作品の配信が始まった時には純粋なSF作品であったはずが、日に日に現実との関連性が強くなっていきました。これは普通のことではありませんよ。

——デヴィッド・スカルパ

ドラマ配信が始まった2015年は、アメリカではまだオバマ政権下だったのだから、まさに現実がドラマに追いついてきている状況だと言える。

シリーズフィナーレとなるシーズン4

『高い城の男』は、フィリップ・K・ディックの同名小説を原作にしたSFドラマシリーズ。シーズン3では、よりドラマオリジナルの要素が強くなり、いよいよシリーズのフィナーレとなるシーズン4を迎える。シーズン4の物語の詳細はまだ明らかにされていないが、サンディエゴ・コミコンに合わせて発表されたシーズン4のコンセプトポスターでは、石膏像や銅像の中から生身の顔を覗かせる各キャラクターの姿が映し出されていた。

ディヴィッド・スカルパは「『高い城の男』シーズン4では、この作品がどこに辿り着くのか、登場人物達の運命はどうなるのか、といった疑問に答えを出します」と力強く話している。

現実とフィクションが交差するSFドラマ『高い城の男』シーズン4は、米時間の2019年11月15日 (金) に配信開始を予定している。
シーズン1〜3はAmazonプライムビデオで配信中。




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via: ©️Amazon Studios
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TVLine YouTube / TheWrap

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