第4話ネタバレ解説『キャシアン・アンドー』3人の女性とノンポリの戦士 あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

第4話ネタバレ解説『キャシアン・アンドー』3人の女性とノンポリの戦士 あらすじ&考察

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『キャシアン・アンドー』第4話はどうなった?

「スター・ウォーズ」シリーズのドラマ『キャシアン・アンドー』は、映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) と映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) の5年前を舞台にした作品。2022年9月21日(水)に第1話〜第3話の配信を開始し、そのシリアスな作風は概ね好感を持って受け入れられている。

『キャシアン・アンドー』第4話からは第3話までの監督を務めたトビー・ヘインズに代わり、スパイ映画『われらが背きし者』(2016) などを手がけたスザンナ・ホワイトが3話続けて第6話まで監督を務める。緊迫した状況が続く本作はどのような展開を見せるのだろうか。今回は第4話のトピックと注目ポイントをネタバレありで解説していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『キャシアン・アンドー』第4話の内容に関するネタバレを含みます。

『キャシアン・アンドー』第4話ネタバレ解説

ノンポリのキャシアン

第3話でルーセンと共に惑星フェリックスからの脱出に成功したキャシアン・アンドーは、惑星アルダーニへ向かっていることを知る。キャシアンはこのままの生活を続けるか、帝国と戦うルーセンを手伝うかの二択を迫られることに。この時ルーセンは「プラズマコイルだろうが2,000万クレジットだろうが同じロープで首を吊られる」と言っており、第3話でキャシアンの義父が帝国に絞首刑にされたことを想起させるセリフになっている。

キャシアンはルーセンが反乱軍の人間だということに気づくが、そうした活動に「無意味」と言い放ち、「生きたいだけ」と見事なノンポリ(政治的無関心)ぶりを発揮している。キャシアンは自身が16歳の時にミンバンで戦ったと主張しているが、アニメ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』(2008-2020) で登場した惑星である。

クローン戦争の終結後、ハイパーバライド鉱石の採掘を目的に帝国がミンバンを支配。映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018) では帝国飛行学校を退学になったハン・ソロが惑星ミンバンで戦争に参加している。ソロがチューバッカと出会ったのもこのミンバンである。

キャシアン・アンドーは享年26歳であり、ドラマ『キャシアン・アンドー』の時点で21歳。ミンバンにいたのは16歳なので5年前、つまり16 BBY(ヤヴィンの戦いの16年前)ということになる。帝国支配下の時期である。ハン・ソロがミンバンでチューバッカと出会うのは、その6年後の10 BBYだ。

一方、ルーセンはキャシアンがミンバンにいたのは2年ではなく半年であること、それも料理人として参加したこと、逃げることによって生還したことを次々と指摘していく。かなりの調査力である。この「逃げて生き延びる」という行動は、キャシアンが向き合うテーマになっていくだろう。なぜなら『ローグ・ワン』ではキャシアンは逃げずに戦い、希望を未来に繋いだからだ。

ルーセンはキャシアンに「君は最終的に奴らと戦って死ぬ」とその未来を予告し、無意味に命を削って塵と消えるより、「大義に身を捧げないか」と問いかける。この言葉は『ローグ・ワン』でのキャシアンの決断に影響を与える言葉になったのかもしれない。

ルーセンがオファーしたのは帝国1宙域の給与資金を四半期分を盗むという5日間の仕事で、報酬は20万クレジット。1クレジットは1米ドルと考えられているので、仕事を果たせば約2,000万円もの大金を掴むことになる。

デドラ・ミーロ登場

そして舞台は首都惑星コルサントにある帝国保安局 (ISB) に。第4話からの新キャラクターであるデドラ・ミーロを軸に置いた展開が幕を開ける。第3話まではプリ=モー保安局のシリル・カーンの奮闘が描かれたが、第4話からはデドラがそのポジションを担うようだ。敵側も将校レベルの人間ではなく、これまでのシリーズでは“小物”とされてきていたであろう人々に焦点を当てているのが『キャシアン・アンドー』の面白い点だ。

デドラは惑星ライロスでの拘置件数の増加について報告しているが、惑星ライロスはアニメ『スター・ウォーズ:バッド・バッチ』(2021-) でも登場した。『バッド・バッチ』ではライロスの政治家が帝国の支配を受け入れ表面的な平和を享受していた。最後には謀反が鎮圧され完全に帝国の支配下になっているが、抵抗の芽が植え付けられた状態で幕を閉じている。それから14年、拘置件数が増えているということは、抵抗勢力が頑張っているということだろう。

会議ではアーヴァラ6の名前が出ているが、ドラマ『マンダロリアン』(2019-) では第1話と第2話の舞台がアーヴァラ7になっている。マンドーとグローグーが出会った場所である。なお、この会議のシーンがスカリフへの建材輸送が増えているという報告で幕を閉じるのは、スカリフが『ローグ・ワン』の決戦の地であり、デス・スターの建造地だったからだ。

そしてこのシーンで、保安担当企業がヘマをしてフェリックスで損害を出したことが報告される。この件の管轄を巡って、デドラ・ミーロとブレヴィンは小競り合いを繰り広げることになる。会議のシーンを見る限り、デドラ以外の士官は全員男性のようだ。デドラを演じたデニース・ゴフは「彼女の周囲には特権を手にしてうまくやっている男性が多くいてそれを見ていますが、彼女はそういうタイプではありません」とコメントしている。

キャシアン・アンドーは惑星アルダーニでの任務の間、亡き父クレムの名を名乗ることにする。ルーセンはキャシアンに前払金として「古代の石」であるブルー・カイバーを授ける。ルーセンは「ラカタ帝国への蜂起の象徴」と語っているが、ラカタとは3万BBYに存在していた初の銀河系政府であり、“無限政府”とも呼ばれる古代の帝国のことだ。ルーセンにとっては5万クレジット以上の価値があるというが、どのような思い入れがあるのだろうか。

そして紹介されたのはキャシアンが加わるグループのリーダーであるヴェル。ルーセンは有無を言わさずキャシアンを合流させる強引さを見せている。ともすれば帝国的な態度であり、キャシアンに問題があれば切り捨てろと言い放つ。この辺りの善悪の揺らぎ、各キャラクターの不完全さが本作の特徴である。

揺らぎのある人物といえばシリル・カーン。帝国保安局のブレヴィンは今回の企業保安局の失態によって、モーラーナ星系が永久に帝国の配下になったことを告げる。「今回の件は愚挙と無能と事なかれ主義が見事に茶番を信じがたい災難に結実させた」とは、ど正論である。シリルは居住区を追い出され、母が住む家に帰されることになる。シリル・カーンを演じたカイル・ソーラーは、この時のシリルの状態について「世界が足元から崩れ落ちてしまい、何も残らなかった」と説明している

モン・モスマ登場

キャシアンとヴェルがタイ・ファイターの巡視を逃れている間、帝国保安局ではデドラがスターパス・ユニットを探している。自分の管轄内で盗まれたものだからフェリックスの件も自分の管轄になると主張するが、デドラはブレヴィンへの要請を部下に任せる。「注目を避けたい」というデドラには、保安局内で唯一の女性士官として生きてきたバックグラウンドが透けて見える。

首都惑星コルサントに帰ったルーセンは優雅な古物商としてのもう一つの姿に変身。ここで元老院議員のモン・モスマ議員とコンタクトを取りながら反乱の芽を育てていたのだ。モン・モスマは銀河共和国時代から元老院議員を務めており、『クローン・ウォーズ』でも善意の議員として活躍を見せた。

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022) では幼少期のレイアの姿が描かれたが、レイアは後にモン・モスマから教育を受けて政治家になっている。『ローグ・ワン』では反乱同盟軍の議長としてジン・アーソに任務を与えている。帝国の崩壊後、モスマは新共和国の初代議長に選出され、帝国軍の残党との間に銀河協定を結んで平和をもたらした。コルサントに固定されていた首都を輪番制にしたり、非常時大権を廃止したり、軍備を縮小して自衛を支援したり、次々と改革を推し進めた優れたリーダーである。

惑星アルダーニではヴェルがキャシアンにこの惑星が「あらゆる所の中間地点」であり、銀河を征服するためには重要な位置にあると話している。流通のハブに最適で、帝国が先住民を追いやって拠点を作ったという話は沖縄が長年置かれている状況に酷似している。キャンプに合流したキャシアンは、ヴェルの仲間からはあまり受け入れられていない様子だ。

実家に帰ったシリル・カーンは母イーディ・カーンからビンタと抱擁を受けて第4話の出番は終了。シリルを演じたカイル・ソーラーはそのバックグラウンドについて、「彼は家庭環境に欠落と苦痛を抱えていて、ファシストや企業、官僚組織の中で秩序を見出し、心の空白を埋めようとしています」話している。シリルが家庭にどのような問題を抱えているのかは、第5話以降で語られることに期待しよう。

モン・モスマは帰宅後、夫のペリンが勝手に帝国側の客を食事に招いていることに怒っている。客の一人として名前が挙がっているスライ・ムーアは『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002) から登場しているパルパティーンの上級補佐官だ。モスマは「ゴーマンの民も招いて感想を聞けば?」 と言い放つが、ゴーマンは帝国が虐殺事件を起こした惑星で、アニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち』(2014-2018) でモン・モスマが帝国の行いを非難している。

働く女性への抑圧

キャシアンは、帝国が全宙域の補給基地に仕立てたアルダーニ要塞からロノという船で逃げるという無謀にも思える作戦を聞いて異議を唱える。だがこの作戦には根拠があり、3年に一度アルダーニで見られる「マック=アーニ・ブレイ・ダーニ」という50の流星が降り注ぐ天文現象に紛れてこの作戦を決行しようとしていた。そう説明するゴーン中尉は既にこの惑星で7年を過ごしているという。作戦への本気度が分かるし、三日前に新顔が参戦することへの不安と不満もよく理解できる。

デドラはブレヴィンからの「足元を固めろ」という“助言”を拒否してパータガス少佐に管轄について直訴していた。警察機関の出身であるデドラは、感覚や勘を頼りに反乱分子の動きを警戒していたが、パータガス少佐は裏付けのある確証が必要と釘を刺す。デドラ・ミーロもシリル・カーンと同じく上司からのブレーキに躓かされている。

結局、デドラはパータガス少佐から「君の評価基準は高い。不公平かもしれんが乗り越えてこそ輝かしいキャリアの礎となる」「もっと賢く振る舞える」と、“わきまえる”ことを要求される。「だから我々は君を迎え入れた」という言葉の裏には、「男しかいないこの場所に」というメッセージが見え隠れする。「それを周囲に示せ」と、“証明”を求められるあたりも“働く女性”に押し付けられる抑圧の一形態だ。

デドラを演じたデニース・ゴフは、「彼女は他の人の二倍努力しなければならず、それは彼女が女性だからかもしれません」と語っている

キャシアンのいるヴェルチームは3日後に控えた作戦に備えている。キャシアンはロノの仕様や要塞の地図、アルダーニの慣用表現を朝までに覚えるよう言い渡される。本気の反乱軍との経験は、ノンポリで逃げ続けてきたキャシアンをどのように変えるのだろうか。

『キャシアン・アンドー』第4話感想

三人の女性の描かれ方

『キャシアン・アンドー』第1話から第3話では、キャシアンがフェリックスを離れるまでの物語が展開された。第4話では、デドラ・ミーロヴェル、そしてモン・モスマという三人の女性キャラクターが参戦。帝国保安部、反乱軍、元老院議員というそれぞれの立場で自分の仕事を遂行している様子が描かれた。

一方で、3名ともにリーダーの立場にありながら、男性からの抑圧的な態度に晒されてもいる。デドラは少佐から態度をわきまえるように叱責され、ヴェルはルーセンから有無を言わさずキャシアンの参加を認めさせられ、モン・モスマは理解のない夫から望まぬ会食をセッティングされていた。

その中でもデドラは、男性たちの価値観を内面化しているようにも見える。野心は持っているが、目立ちすぎてはいけないというアラートを念頭に置き、上官から誉められる仕事を取り敢えずはこなしている。実家に帰されたシリル・カーンと共に、デドラにどのような変化が起きるのかは注目したいポイントの一つだ。

キャシアンの変化

キャシアン・アンドーの方はというと、モーラーナ1から逃げ、フェリックスから逃げ、過去にはミンバンから逃げてきたことも明らかになった。第4話の途中でも、結局ドロイドに話しかけられて頓挫したが、ルーセンがヴェルと話しているときに船のコクピット内を見回して逃げることを逡巡するような場面もあった。

これまでノンポリを貫き、逃げ癖がついてしまっているようにも見えるキャシアンだが、帝国との戦いに身を投じていく中で変化していくことになるのだろう。反乱分子の戦いに死はつきものだが、キャシアンがその境地に辿り着くまでにどれだけの命が奪われるのだろうか。フェリックスでは既にティムが射殺されている。

主人公がヒーローとなり、人々を助ける英雄譚は見慣れたものだが、キャシアンの場合はこれから汚れ仕事に手を染めていくことになる。なるべく犠牲は少なくあってほしいが、果たして……。

ドラマ『キャシアン・アンドー』は2022年9月21日(水)よりDisney+で独占配信中。

『キャシアン・アンドー』(Disney+)

『ローグ・ワン』はBlu-rayセットが発売中。

『キャシアン・アンドー』第5話のネタバレ解説はこちらから。

 

第3話のネタバレ解説はこちらから。

シリル・カーンのバックグラウンドについて俳優が語った内容はこちらから。

デドラ・ミーロのバックグラウンドについて俳優が語った内容はこちらから。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

第1話のネタバレ解説はこちらから。

 

2023年配信開始のドラマ『マンダロリアン』シーズン3の予告編はこちらから。

10月26日からはプリクエルを舞台にした『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』の配信が始まる。予告編の紹介はこちらから。

アニメ『バッド・バッチ』シーズン2も配信が決定している。詳しくはこちらの記事で。

アニメ『スター・ウォーズ:ビジョンズ』シーズン2は2023年春配信予定。詳しくはこちらから。

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終話のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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