『キャシアン・アンドー』第3話はどうなった?
「スター・ウォーズ」ドラマの最新作『キャシアン・アンドー』が2022年9月21日(水) より配信を開始した。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) のキャシアン・アンドーを主人公に据えた本作は、「スター・ウォーズ」フランチャイズでは『オビ=ワン・ケノービ』(2022) に続くドラマ4作目となる。
『キャシアン・アンドー』の配信初週は第1話から第3話までが一斉配信された。いきなり全12話のシーズン1の4分の1にあたる3話を一挙に配信することで、視聴者をシリアスな雰囲気の本作に引き込むことに成功している。今回は初回配信のラストを飾る第3話の注目シーンをネタバレありで解説していこう。
以下の内容は、ドラマ『キャシアン・アンドー』第3話の内容に関するネタバレを含みます。
『キャシアン・アンドー』第3話ネタバレ解説
マーヴァとキャシアンの関係
第3話の冒頭は幼少期のキャシアンが墜落した船に乗り込む場面からスタートする。船の中の乗組員は全滅していたが、共和国艦が迫る中、キャシアンはそこに現れたマーヴァ・アンドーに惑星ケナーリから連れ出されることになる。クレム・アンドーとピカピカの時代のビーと共に現れたマーヴァは、この頃はトレジャーハンターだったのだろうか。船から燃料タンクを盗み出そうとしている。
キャシアンは仲間が撃たれた恨みを船内の設備にぶつけているが、マーヴァとクレムは共和国艦が来る前にキャシアンを連れ出すことを決める。マーヴァはキャシアンを見殺しにできないと主張するが、「共和国の人間を殺したから報復される」とその理由を話している。船に乗っていたのは共和国の人間だったようだ。
マーヴァはキャシアンを眠らせて連れ去ったが、同時に命の恩人でもある。一方で、キャシアンはこれを機に妹と離ればなれになっている。第2話でキャシアンがマーヴァに妹を探すために出身の星の名を漏らしたことを黙っていた理由は、キャシアンを惑星ケナーリから連れ出したマーヴァに罪悪感を与えないためだったのかもしれない。また、キャシアン・アンドーという名前は、かつてキャスという名前だった少年がマーヴァ&クレム・アンドーからもらった名前だったのだ。
そして現在のマーヴァの元には、プリ=モーの部隊が到着。キャシアンはタイミング悪くビーに通信を入れてしまい、その場所を探知されてしまう。キャシアンはNS-9 スターパスユニットを売るためにルーセン・レイエルと落ち合うが、ルーセンが欲しかったのはスターパスユニットではなかった。
ルーセンの目的
ルーセンはキャシアンにこのレアもののスターパスユニットを手に入れられるのは、帝国のスパイであるか、有力者の代理人であるか、有能な人材であるかのいずれかだと言う。キャシアンは、傲慢になっている帝国軍に軍人のふりをして潜入し、盗み出したという。ルーセンはキャシアン・アンドーという有能な人材を求めてここにやってきていたのだった。
しかも、ルーセンは、キャシアンの義父でマーヴァの夫であるクレムが帝国によって絞首刑に処されたことを知っていた。既にキャシアンのことを知っていたルーセンに詰め寄るキャシアンだったが、ルーセンは銃口を眉間に突きつけられながらも自ら進み出て「このくそ共と本気で戦いたいだろ」と口説き文句を言い放つのだった。
そして、迫り来る保安部隊に、フェリックスの街の人々は家に取り付けられた金物を鳴らしてコミュニティ内に危険を知らせる。ライナス・モスク分隊長はこれを「単なる威嚇、ハッタリ」と軽視するが、これはライナスが「配下の星々」の住民を見下していることから生まれた油断だろう。
キャシアン vs シリル
ルーセンは、ここでキャシアンに初めての“教え”を授ける。ルール1は「扱えない物は持つな」、ルール2は「常に出口を確保しろ」。二人は部隊と銃撃戦になりながらも箱を捨てて廃工場から抜け出す。その間にビックスは捕らえられ、この直前に密告したことをビックスに詰められていたティムは部隊に射殺されてしまう。『キャシアン・アンドー』では割と早いペースで人が死んでいく。
マーヴァは街の人々の金物を叩く音が止んだ時に「本当の苦しみが始まる」と予言。これは単なる威嚇ではなく危険を知らせる警報で、街全体でこの危機に立ち向かう準備が進められていたのだ。保安部隊のポッドは街の人々によって鎖で繋ぎ止められて墜落し、部隊は地上戦のみで戦うことを余儀なくさせられる。
しかもシリル・カーンは背後を取られ、キャシアン・アンドーと初の対面でいきなりの敗北。囮のスピーダーを爆弾に使うキャシアンの作戦も見事にハマり、ルーセンとキャシアンはフェリックスからの脱出に成功するのだった。
一方で、キャシアンを育ててきたマーヴァは一人涙を流す。かつて夫を失い、そして我が子も旅立とうとしている。完全に作戦に失敗したシリル・カーンは呆然としており、指示も出せない状態になっている。部長の指示を無視して異星に乗り込み、より多くの死傷者を出してしまったのだから無理もない。
そして、旅立つ宇宙へキャシアンの視点は、かつてマーヴァに連れ出された時のものとクロスオーバーする。キャシアンはあの時のマーヴァの笑顔を思い出しながら、空に輝く光に向かって飛び立っていくのだった。ドラマ『キャシアン・アンドー』最初の3話は、キャシアンが宇宙へと旅立つところまでを収めて幕を閉じる。
『キャシアン・アンドー』第3話感想
贅沢なサイズ感
ドラマ『キャシアン・アンドー』は第3話までを使ってキャシアンが今住むところを飛び出す過程が描かれた。全6話構成だったドラマ『オビ=ワン・ケノービ』では第1話だけで終えた展開を、3話かけて丁寧に描いている点が特徴的だ。
全12話でシーズン2も決定済みというサイズ感がそれを可能にしているのだろうし、過去作との辻褄合わせに時間を使わなくてよいのが本作にとって有利な点でもある。そのパッケージが、みなまで語らずキャラクターの心情を表情と風景、音楽で表現する演出にマッチしているのだろう。
魅力的なキャラクターに焦点
また、「スター・ウォーズ」シリーズといえば“父と子の物語”になることが多かった。アナキンとルークの物語も、ジン・アーソとゲイレン・アーソの物語も、マンドーとグローグーの物語もそうである。しかし、『キャシアン・アンドー』の第3話まででは、キャシアンと幼い彼を助けたマーヴァとの“母と子の物語”の方に焦点が当てられていた。マーヴァの再登場には期待したい。
そのマーヴァからキャシアンを引き取ったルーセン・レイエルは、キャシアンを反乱軍の戦士として育てていくことになるのだろう。キャシアンは反乱軍で汚れ仕事に手を染めることになるはずで、ルーセンがどのような思いでキャシアンに向かい合っているのかということも注目すべきポイントだ。
単に優秀な人材としてしか考えていないのであれば、キャシアンにとっては苦しい道のりになる。それに、キャシアンの目的は妹を見つけることのはずだ。今回はルーセンに助けられて脱出に成功する形になったが、ルーセンが求めることとキャシアンの目的は合致するのだろうか。
そして、3話かけて作戦を派手に失敗したシリル・カーンの今後も気になるところ。通常なら指示を無視しての失態は懲戒ものだろうが、この一件が帝国に知れ渡れば事情は変わってくる。部長はそもそもの事件を帝国側に隠蔽するために揉み消しを図っていた。帝国が解決に取り組むことを指示すれば、シリル・カーンには再度チャンスが訪れるだろう。
シリル・カーンを演じたカイル・ソーラーが語ったシリルのキャラクターについてはこちらの記事で。
最初の3話を観てしまえば次週が待ち遠しくなる出来に仕上がっていた『キャシアン・アンドー』。第4話以降の配信も楽しみに待とう。
ドラマ『キャシアン・アンドー』は2022年9月21日(水)よりDisney+で独占配信を開始。初日に3話が同時配信され、翌週からは水曜日に各話が配信される。
『ローグ・ワン』はBlu-rayセットが発売中。
第4話から登場のデドラ・ミーロについてキャストが語った背景はこちらの記事で。
『キャシアン・アンドー』第4話のネタバレ解説はこちらから。
第2話のネタバレ解説はこちらから。
第1話のネタバレ解説はこちらから。
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