第1話ネタバレ解説『キャシアン・アンドー』明かされるオリジン、クセになるシリアス展開 あらすじ&感想 | VG+ (バゴプラ)

第1話ネタバレ解説『キャシアン・アンドー』明かされるオリジン、クセになるシリアス展開 あらすじ&感想

TM & © Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved

『キャシアン・アンドー』第1話はどうなった?

「スター・ウォーズ」ドラマ最新作の『キャシアン・アンドー』が2022年9月21日(水) より配信開始。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977) と『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) の5年前を舞台に、反乱軍の情報将校キャシアン・アンドーの過去を描く本作は、「スター・ウォーズ」のドラマシリーズとしては4作目にあたる。

ドラマ『キャシアン・アンドー』では、『ローグ・ワン』でキャシアン・アンドーを演じたディエゴ・ルナが主演と製作総指揮を務め、『ローグ・ワン』の再撮影と脚本を手がけて完成に導いたトニー・ギルロイがショーランナーを務める。初週に配信される3話はトニー・ギルロイが脚本を、ドラマ『ブラック・ミラー』(2015-) シーズン4の「宇宙船カリスター号」でエミー賞作品賞や脚本賞を受賞したトビー・ヘインズが監督を務める。

「スター・ウォーズ」実写シリーズでは初めて“スパイもの”として制作された『キャシアン・アンドー』では、キャシアン・アンドーのどんな過去が描かれたのだろうか。今回は、第1話のトピック/注目ポイントをネタバレありで解説していく。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『キャシアン・アンドー』第1話の内容に関するネタバレを含みます。

『キャシアン・アンドー』第1話ネタバレ解説

キャシアン・アンドーが探しているのは…

ドラマ『キャシアン・アンドー』第1話の冒頭では、惑星モーラーナ1の企業区域に降り立ったキャシアン・アンドーの姿が映し出される。モーラーナ1は帝国支配下の時代にあって、企業によって統治されている惑星のようだ。

時代は「ヤヴィンの戦いの5年前」と表記されているが、「ヤヴィンの戦い」とは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』で反乱軍がデス・スターを破壊した重要な戦いである。「スター・ウォーズ」の世界ではヤヴィンの戦い以降を「ABY (After Battle of Yavin)」、それ以前を「BBY (Before Battle of Yavin)」と呼び、年号の表記として使用されている。このシーンでも英語では「BBY 5」と表記されている。

キャシアン・アンドーはミッド・リム(銀河系の中縁部)にある惑星ケナーリから来ているという自分の妹を探してバーを訪ねている。そこで出会った番兵に付け狙われたキャシアンは、ストリートでその番兵二人を殺してしまう。一人は正当防衛にあたる事故だったが、もう一人は自首しようと懇願しているところをキャシアンが頭を撃ち抜いたのだった。

主人公が殺人に手を染めたところから物語が始まるという、これまでにないダークな始まり方で幕を開けた『キャシアン・アンドー』。『ローグ・ワン』で罪滅ぼしのように決死隊に志願することになるキャシアンの暗い過去が明かされていく。

惑星フェリックスと惑星ケナーリ

キャシアンが帰還したのは惑星フェリックス。新たなドロイドキャラのB2EMOがコミカルな動きを見せている。キャシアンはB2EMOを「ビー」と呼び、世話をしてやっている。『ローグ・ワン』でも帝国軍のドロイドだったK-2SOを再プログラミングして相棒にしていた。キャシアンはアナキン・スカイウォーカーと同じくドロイドとの相性が良いようだ。

このシーンでビーはキャシアンのことを「キャサ」と呼んでいる。発音は「カッサ」に近く、英語表記は「Kassa」であり、キャシアン(Cassian)は別名であることが示唆されている。過去のフラッシュバックの中でも、幼いキャシアンは「カッサ」と呼ばれているのだ。

自然豊かな小さな集落で暮らしていた幼い頃のキャシアンは、宇宙船が不時着するのを目撃する。ここはキャシアンの故郷の惑星ケナーリだろうか。集落に大人の姿がないのが特徴的だ。また、オリジンがフラッシュバックする展開はドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022) を想起させる。

ビーはキャシアンに、ジェジフェミという人物が食事と薬を配りに来て、ブラッソがキャシアンを捜しに来て、マーヴァがブラッソに「悪い仲間と出かけた」と伝えたと話す。留守番メッセージのような役割を果たしている。キャシアンはビーに自分を見たことと居所を人に言わないように告げる。これでキャシアンにアリバイがないことをビーが握ったことになる。

キャシアンが街で声をかけたのは前日にキャシアンを探しに来たというブラッソ。キャシアンはブラッソをかなり信頼しているようで、アリバイづくりに加担させる。キャシアンが人殺しに手を染めた前日の夜、キャシアンはブラッソと共にいたという話をでっち上げることにしたのだ。

追うシリル・カーン、逃げるキャシアン・アンドー

モーラーナ1の企業保安本部では、昨夜の事件についてシリル・カーンが上司に報告を行っていた。だが、その上司は帝国にトラブルがバレないようにこの事件をもみ消すよう指示をするのだった。シリル・カーンのユニークなところは、正義や真実を重んじている一方で、部下にはブラックな労働を押し付けている点だ。

ただし、上司からもみ消しの指示を受けたり、自分でも徹夜で報告書を作成していたり、シリル・カーンだけの問題というよりも、企業(コーポレート)の企業体質の問題でもあるのだろう。いずれにせよ、意外にも帝国軍の人間ではなく、企業保安部のシリル・カーンがキャシアン・アンドーの最初の強敵になることが第1話から示唆される。まぁ、ここまではシリル・カーンの行動が正しいのだが……。

ガレージを訪れたキャシアンは、NS-9のスターパス・ユニットを売るためにビックス・キャリーンに友人に連絡をとってほしいと頼む。それを売ったお金で星を出て潜伏するというのだ。断るビックスと食い下がるキャシアンの攻防がリアルで、キャシアンが置かれた状況を巡る緊迫した状況が続く。

キャシアンの幼少期編では、墜落した船の残骸から流れ着いたと思われるものを子ども達が分け合っている。更に何かを手に入れようと捜索隊が送られることになり、キャシアンもそれに加わるのだった。幼い頃から好奇心の強い性格だったことが窺える。

キャシアンは友人に借金もしているようで、ナーチという人物からの取り立てにあう。ちなみにナーチはキャシアンのことを「キャス」と呼んでいるが、表記は「Cass」で、やはり「キャサ=Kassa」の方は本名だと考えられる。ナーチが脅しに使ったヴェッチはユロデルという『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』(2015) から登場した種族。惑星フェリックスではエピソード7以降に初めて登場した種族が複数見られ、エピソード3と4の間の時期にもこれらの種族が存在していたことを示している。

ラストの意味は?

一方、ビックスは「ベンディンのメッシュ=テック・フィルターを探している」という暗号を用いて店の裏に入り、秘密の通信を行っていた。『キャシアン・アンドー』の時点で帝国成立から14年が経過しており、秘密裏に通信する手段は確立されているようだ。なお、「ベンディン」は宇宙船のメーカーの名前である。

モーラーナ1の企業保安本部では、シリル・カーンが徹夜で作ったレポートにあった「フェリックスにいるケナーリ出身の男」という犯人像をもとに捜査を指示していた。出身はバーの従業員に聞いたのだろう。シリル・カーンの調査力もさることながら、身を隠すことを決めているキャシアンの危機管理能力もなかなかのものだ。

キャシアンは船のIDチップログを入れ替えており、ペグラという人物はキャシアンのことを見逃しながらも、面倒に巻き込まれたくないと話す。ペグラはキャシアンが昨夜出かけたことを知っており、キャシアンにアリバイがないことを知るもう一人の人物となった。

ラストは惑星ケナーリでキャシアンが墜落した船の元へ向かう場面。一緒に行きたがる妹を嗜めて集落を離れたキャシアンと、それを見送る妹の姿を印象的に映して『キャシアン・アンドー』第1話は幕を閉じる。

『キャシアン・アンドー』第1話感想

これまでの「スター・ウォーズ」ドラマのエンタメ性とは一線を画しながら、スパイドラマとしてハイクオリティな作品に仕上がっているドラマ『キャシアン・アンドー』。『ローグ・ワン』を観た視聴者はその運命を知っているが、キャシアンはどんな道を辿ってそこにたどり着くのか、ハラハラする展開が続く。

また、新たなキャラクターが次々登場する雰囲気は『マンダロリアン』(2019-) に近いものがあり、「スター・ウォーズ」世界を拡張していくことに一役買っている。シーズン1だけで全12話、シーズン2の製作も既に進められているという『キャシアン・アンドー』はどんな展開を見せるのか、引き続きチェックしていこう。

ドラマ『キャシアン・アンドー』は2022年9月21日(水)よりDisney+で独占配信を開始。初日に3話が同時配信され、翌週からは水曜日に各話が配信される。

『キャシアン・アンドー』(Disney+)

『ローグ・ワン』はBlu-rayセットが発売中。

第2話のネタバレ解説はこちらから。

2023年配信開始のドラマ『マンダロリアン』シーズン3の予告編はこちらから。

10月26日からはプリクエルを舞台にした『スター・ウォーズ:テイルズ・オブ・ジェダイ』の配信が始まる。予告編の紹介はこちらから。

アニメ『バッド・バッチ』シーズン2も配信が決定している。詳しくはこちらの記事で。

アニメ『スター・ウォーズ:ビジョンズ』シーズン2は2023年春配信予定。詳しくはこちらから。

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終話のネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『マンダロリアン』はシーズン4への更新が決まっている様子。詳細はこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
お問い合わせ

関連記事

  1. 『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』第2話 感想&考察 交錯する2つの時代 ネタバレ解説

  2. MCUドラマ『ムーンナイト』初公開の映像を解説 オスカー・アイザック主演のダークヒーロー

  3. ドラマ『ジェン・ブイ』でソルジャー・ボーイがカメオ出演!ジェンセン・アクレスの姿が初披露!

  4. シーズン2第1話ネタバレ解説『ロキ』最高のスタート! SF・ミステリ・コメディ全部乗せ、MCUに新理論も