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『キャシアン・アンドー』第2話はどうなった?
ドラマ『キャシアン・アンドー』シーズン1が、2022年9月21日(水)よりDisney+で配信を開始した。本作は映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016) の前日譚として制作されているが、既にシーズン2への更新が決定している。反乱軍の情報将校であるキャシアン・アンドーの“汚れ仕事”に手を染めてきたという過去が描かれる。
配信開始の初週は第1話・第2話・第3話が同時配信。今回は、第2話のトピックと注目ポイントをネタバレありで解説していこう。
以下の内容は、ドラマ『キャシアン・アンドー』第2話の内容に関するネタバレを含みます。
『キャシアン・アンドー』第2話ネタバレ解説
隠されていた出自
第1話ラストで妹を残して集落を離れた幼少期のキャシアンは、惑星ケナーリにある巨大な採掘施設を目にする。資源採掘といえば帝国というイメージもあるが、この時代は帝国成立以前のものと考えられる。運営者が明示されることはなかったが、キャシアンの集落に大人がいなかったことは、この巨大な採掘場と関係があるのかもしれない。
現在に戻り、ビックスはプリ=モー当局がケナーリの男(=キャシアン)を手配しているという情報を目にする。ビックスが去った後、ティムはその情報を見てキャシアンのことだと勘づき、プリ=モー保安局に通報してしまうのだった。嫉妬に駆られていたティムは密告をしてしまったのだ。
そして第2話で初登場を果たしたのはマーヴァ・アンドー。キャシアンとビーと共に暮らすマーヴァを演じているのは「ハリー・ポッター」シリーズでハリーの伯母ペチュニア・ダーズリーを演じたフィオナ・ショウだ。ペチュニア・ダーズリーはアイルランド出身の俳優で、メキシコ出身のディエゴ・ルナが演じるキャシアンとマーヴァは血がつながっていないことが示唆されている。やはりキャシアンはキャサという名前が本名で、アンドーという苗字もマーヴァからもらったものなのだろう。
マーヴァはケナーリ出身の人間が手配されていることについて、誰がキャシアンをケナーリ出身だと知っているのかと問い詰める。マーヴァはキャシアンの出自を隠すためにずっと「フェスト出身」だと記録を残してきたと主張するのだ。キャシアン・アンドーがフェスト出身という設定は、『Star Wars: Rogue One: The Ultimate Visual Guide』(2016) という資料集に記載されているもので、ファンもキャシアンはアウター・リム(外縁部)の惑星フェスト出身だと考えていた。
それが『キャシアン・アンドー』第1話で突然ミッド・リム(中縁部)の惑星ケナーリ出身ということになっていたのだから、製作陣はこの矛盾を訂正する必要があった。そのため、第2話ではマーヴァを通してフェスト出身という情報は本当の出自を隠すための偽情報であったことが明かされたのだ。6年もの間、ファンまで騙してしまうとは……(単なる設定変更だろうけど)。
キャシアンは自身がケナーリ出身であることを自分で話したことを認めるが、その理由が妹を捜すためだったとは話さなかった。その理由を聞きたがるマーヴァを制して、キャシアンはビックスに会いにいくのだった。
企業の戦略部隊
キャシアンはビックスから第1話で依頼された買い手が明朝に到着すると聞き、NS-9のスターパス・ユニットを売ってからフェリックスを離れることを決める。ティムはプリ=モー当局に通報するが、公衆電話のメールバージョンのような機械を使っている。プリ=モーの職員によると、キャシアンの前科には暴動、帝国施設の損壊、帝国兵の襲撃が含まれているという。
そして、キャシアンの顔のホログラムが現れたところにシリル・カーンが到着。第1話冒頭でキャシアンがケナーリ出身であることを間接的に伝えてしまったバーの人間も到着し、ついにシリル・カーンがキャシアンの存在に到達する。
シリルは呼び出したライナス・モスク分隊長と共にアンドーの捕獲に乗り出すことに。ライナス・モスクは経験のある任務に忠実な人間で、正義を重んじるシリルと価値観がぴったり一致する人物だ。ライナス・モスクも組織的な隠蔽を経験し、それに怒っているようだが、一方で配下の星々を従わせようとする帝国的な価値観も持っている。生真面目なだけのようにも見えるシリルを帝国側へと惹きつける人物のようでもある。
また、ライナス・モスクの「企業の戦略部隊は帝国防衛の最前線」という言葉にも注目したい。まずキャシアンは帝国と戦う前に、「最前線」である企業(コーポレート)と対峙することになるのだ。それにしても、シリルは事件の隠蔽を指示した部長には内緒で作戦を進めているが、大丈夫なのだろうか……。
乗組員の腕には…
キャシアン・アンドーは深夜の間に、古いシップからNS-9のスターパス・ユニットを回収。そして、ルーセン・レイエルが登場し、惑星フェリックスに降り立つ。ビックスが呼んだ友人というのは、このルーセンのことだったようだ。ルーセン・レイエルを演じるのは「マイティ・ソー」シリーズのエリック・セルヴィグ教授役などで知られるステラン・スカルスガルド。
キャシアンがドロイドのビーに通信機を預ける一方で、マーヴァはキャシアンの部屋にあった長い棒状の吹き矢を手に取る。なお、この時机にはバンサのおもちゃが見える。バンサはアナキンやルークの出身地であるタトゥイーンで移動手段として親しまれている動物のことで、ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022) では、ボバ・フェットがタスケン・レイダーにスピーダーの乗り方を教えるときに放った「バンサみたいに (Like a Bantha)」という台詞が海外でネットミームになっている。
マーヴァが手に取った吹き矢の謎は過去編で明らかになる。ケナーリの子ども達は墜落した船を発見するが、生き延びた乗組員と戦闘になってしまう。そこで使われたのがこの吹き矢だった。子ども達のリーダー格の人物は撃たれてしまうのだが、船の乗組員の右腕にあるのは共和国のシンボルのようにも、独立星系連合のシンボルのようにも見える。
現在に戻り、ケナーリのことを調べているザンワンから「帝国の鉱山事故の後、放棄された」「全員死亡」「帝国が有害と見なし、立ち入りを禁止」という情報が読み上げられる。採掘場が帝国の手に渡った後、惑星全体が封鎖されたというのだ。キャシアンの妹を含む子ども達がもうケナーリにはいないことを示唆しているが、情報操作が当たり前の帝国の時代にあっては真に受けることは難しい。
フェリックスの言葉
キャシアンはタッサーという惑星に向かおうとしている一方で、プリ=モーの保安本部からは、14名のキャシアン捕獲部隊がフェリックスへ向かっていた。ライナス・モスク分隊長による作戦の説明の後、主任のシリル・カーンが演説をするが、どこかたどたどしい。軍隊的な士気向上のスピーチとはいかず、シリル・カーンの生真面目さが強調されるだけの場面となった。
やはりシリル・カーンは伝統的な「スター・ウォーズ」ヴィランというより、どこか揺らぎのある魅力的なキャラクターになっている。キャシアンと対立することは間違いないが、ともすれば反乱軍の側に寝返りそうな雰囲気すら持っている。
ルーセン・レイエルはシャトルでキャシアンのいる街に到着。シャトルに乗り合わせた人物は、ルーセンに「価値ある探し物はここで求めよ」というフェリックスに伝わる言葉を紹介し、『キャシアン・アンドー』第2話は幕を閉じる。わずかに笑みを浮かべたルーセンは、ここに「価値ある探し物」を求めにきたようだ。
『キャシアン・アンドー』第2話感想
『キャシアン・アンドー』第2話ではキャシアンの過去が更に明かされると共に、逃避行の準備が進んでいく。キャシアンの出身に関する設定の修正が行われた他、共和国の時代と帝国の時代をまたぐキャシアンの複雑な状況も示された。過去編は共和国の時代だが、現在編は帝国の時代であり、キャシアンが一貫して同じ敵の脅威に晒されていたわけではないというのが、ドラマ『キャシアン・アンドー』という作品のポイントになるかもしれない。
また、現在編でもキャシアンは直接帝国軍と対峙するのではなく、その“下請け”とも言える企業の戦略部隊だ。「スター・ウォーズ」のドラマシリーズは、ジェダイと帝国、反乱軍と帝国といった二項対立を崩す役割を果たしており、『キャシアン・アンドー』も「スター・ウォーズ」の複雑な世界を改めて提示している。
そんな中で気になるのはシリル・カーンの存在だ。舞台俳優としても活躍するカイル・ソーラーが、それこそ単純ではない複雑さを抱えるキャラクターを見事に演じている。シリル・カーンはここから魅力的なヴィランへと成長していくのか、それともキャシアンや反乱軍の側につくような人物になるのだろうか。
引き続き、『キャシアン・アンドー』第3話以降もチェックしていこう。
ドラマ『キャシアン・アンドー』は2022年9月21日(水)よりDisney+で独占配信を開始。初日に3話が同時配信され、翌週からは水曜日に各話が配信される。
『ローグ・ワン』はBlu-rayセットが発売中。
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