Netflixが求めるコンテンツは?
NetflixはまだSFを求めているが、“複雑すぎない作品”という条件が付いたようだ。米Insiderは、Netlixがどのようなコンテンツを求めているかという情報をハリウッド中の関係者から集めたレポートを公開。Netflixがハリウッドのエージェンシーに求めるコンテンツのウィッシュリストの概要が明らかになっている。
レポートによると、2022年5月現在、Netflixが今最も求めている作品はドラマ『エミリー、パリへ行く』のような作品であり、女性版『ジャック・ライアン』や海底を舞台にしたスリラーシリーズ、現代版『モンテ・クリスト伯』といった作品も求められているという。『エミリー、パリへ行く』は2020年から配信を開始した作品で、マーケティングの職を得てシカゴからパリに移住した主人公エミリーの生活を描くコメディドラマ。シーズン2まで配信されており、既にシーズン3と4の配信も決定している人気作品だ。また、サッド・コム(悲しいコメディ)は求められていないという。
一方で、同時に求められている作品として、“予算内で製作できる作家主導の作品”と“複雑すぎないSF”が挙げられている。パンデミック前にはNetlixのSF作品は増加傾向にあったが、2020年以降は『Away -遠く離れて-』(2020) や『ノット・オーケー』(2020)、『ジュピターズ・レガシー』(2021)、『カウボーイビバップ』(2021) といった話題のSFドラマが次々とシーズン1で打ち切りになっていた。
Netflixは番組の製作費に対してどれだけ視聴されたかという数値を続編製作の基準としており、厳格な運用が行われている。多くの作品はシーズン2につながるラストを用意していたが、事実上の打ち切りとなるケースが続出。シーズン2ではアンソニー・マッキーが主演を務めたドラマ『オルタード・カーボン』(2018-2020) も打ち切りが決まっている。
Netflixの方針はVFXやコスチュームで製作コストが高くつくSF作品には不利とも思われていたが、今回のレポートでは引き続きSFコンテンツが求められていることが明らかになっている。
ただし、これらのレポートはハリウッドのタレントエージェンシーから集められた情報であることに留意したい。韓国の『イカゲーム』(2021-) はシーズン2とシーズン3の製作が報じられており、中国発のSFドラマ『三体』も製作が進んでいる。日本原作の実写版ドラマ『ONE PIECE』も次々キャストが発表されている。
また、米国のSFシリーズでもドラマ『ロシアン・ドール』(2019-) はパンデミック前にシーズン2製作が決定しており、先日新シリーズが配信されたばかり。安定の人気を誇るSFドラマ『アンブレラ・アカデミー』(2019-) とSFアニメシリーズ『ラブ、デス&ロボット』は間もなくシーズン3が、『ストレンジャー・シングス』(2016-) は5月27日(金) からシーズン4が配信される。
なお、このレポートでは、2021年にはNetflixで約500タイトルがリリースされ、Netflixの2022年の製作費は最大180億ドル(約2兆3,220億円、1ドル=129円換算)としている。フィクション以外では、TikTok世代が楽しめる『アメリカン・アイドル』(2002-2016) のようなコンペ番組や社会実験番組、現代的な問題を取り上げるドキュメンタリー、世界を旅するリアリティ番組などが求められているという。一方で、関係者はNetflixが望むものは「毎日変わる」とも述べている。
Source
Insider