Netflixが『三体』ドラマ化
遂に中国SFの金字塔がハリウッドで実写化される。世界最大の動画配信プラットフォーム、Netflixは中国のSF小説『三体』の実写ドラマ化を発表した。USA TODAYやTechCrunchなど複数のメディアが報じている。
『三体』の実写化を手がけるのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』でジョージ・R・R・マーティンのファンタジー小説「氷と炎の歌」シリーズの実写ドラマ化に成功したデビッド・ベニオフとD・B・ワイス。二人はNetflix版『三体』で制作総指揮と脚本を務める。『ザ・テラー』シーズン2でショーランナーを務めたアレクサンダー・ウーも脚本に名を連ねている。
そして、『三体』の原作者で、アジア初のヒューゴー賞受賞者である劉慈欣 (リュウ・ジキン/リウ・ツーシン) と、『三体』のヒューゴー賞受賞の翻訳者で、中国SFを世界に広めているケン・リュウも、コンサルティング・プロデューサーとしてドラマ版『三体』の製作に関わることが発表されている。
原作者の劉慈欣は『三体』のNetflixドラマ化にあたって、以下のようにコメントを発表している。
三体をドラマする製作陣に最大の敬意と信頼を抱いています。私が目指したのは、時代や国、文化と人種と言った枠を超えて、人類全体の運命を考えさせられる物語を生み出すことです。このユニークなSFのコンセプトが世界中に広がり、ファンを獲得していることは、原作者として大きな光栄です。世界中の新しいファンと原作ファンの皆さんに、Netflixでこの物語をご覧いただくことを楽しみにしています。
制作総指揮と脚本を担当するデビッド・ベニオフとD・B・ワイスは、共同の声明で以下のように語っている。
リュウ・ジキンの「三体」三部作は、私たちが読んだSFシリーズでの中で最も野心的な作品であり、読者を1960年代から世界の終わりまで、この青く小さな星から宇宙の遥か彼方まで、長い旅に連れ出してくれます。私たちは、世界中のファンのために、今後の人生の数年間をかけてこの作品に命を吹き込むことをとても楽しみにしています。
中国SFの金字塔『三体』
『三体』は、アメリカのバラク・オバマ元大統領や、Facebookの共同創業者マーク・ザッカーバーグらが愛読書としていた作品として知られる。日本でも2019年に三部作の第一弾『三体』(立原透耶 監修、大森望 光吉さくら ワン・チャイ 翻訳)が発売され、海外翻訳SF小説としては異例の大ヒットを記録。2020年6月には、第二弾の『三体II 黒暗森林』(大森望、立原透耶、上原かおり、泊功 訳) が上下巻で発売されていた。
劉慈欣の作品では、短編小説「流浪地球」を映画化した『流転の地球』が2019年に中国映画史に残る大ヒットを記録。劉慈欣の原作小説を映画化する『超新星紀元』の製作が発表され、劉慈欣自身も『末日拯救』で初の映画脚本の執筆に挑戦するなど、活躍を続けていた。
『三体』もアニメ化が決定したのち、実写化の報道が絶えず出ていたが、その中にはAmazonが10億ドルをかけてドラマ化するという噂もあった。最終的にはNetflixがこの争奪戦を制したのだろうか。Netflixは近年次々とオリジナルSFドラマシリーズを発表している。
巨大長編ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を成功に導いたデビッド・ベニオフとD・B・ワイスの手腕に期待しよう。
Netflixドラマ『三体』の配信開始日は未定。
原作『三体』の日本語版は早川書房より発売中。
Source
USA TODAY / TechCrunch