中国SF『三体』の映像化はいつ? 映画化とドラマ化はどうなった?

ライター

中国SFの最高傑作『三体』実写化はどうなった?

『さまよえる地球』が大ヒット

中国初のSFブロックバスター映画『さまよえる地球 (原題: 流浪地球、英題: The Wandering Earth)』の大ヒットが、世間を賑わしている。中国国内の初週の興行成績としては新記録となる3億4,900万ドルを記録し、中国だけで10億ドルも視野に入るというから驚きだ。

『三体』にもスポットライト

そもそも、映画『さまよえる地球』は、中国のSF作家リュウ・ジキン (劉慈欣)が手がけた短編小説「さまよえる地球」を原作にした映画だ。短編小説らしからぬ壮大なスケールのストーリーを、中国史上最大のSF大作映画として生まれ変わらせたのだ。

そこで、改めてスポットライトを浴びているのが、リュウ・ジキンが手がけた名作小説『三体』の映像化だ。『三体』は、リュウ・ジキンの名を世界に知らしめた彼の代表作。2014年にアメリカのSF作家ケン・リュウが翻訳し、アジアからは初となるSF最高賞ヒューゴー賞の長編小説部門を受賞した。

2015年と2018年に映像化の話が

そんな名作中国SF『三体』にも、2015年と2018年に映像化の話が出ている。共に具体的な話が進行しているようだったが、最終的には“リュウ・ジキン初の実写化作品”の栄誉は『さまよえる地球』に渡っている。『三体』映像化の話は、それぞれどのような経緯を辿ったのだろうか。

実は撮影も完了していた

2015年には『三体』の実写映画化が進められ、撮影が完了したという報道もされていた。ポスターやトレイラーも公開され、中国のSFファンは映画版『三体』の公開を今か今かと心待ちにしていた。当時は『さまよえる地球』ではなく、『三体』の公開が中国のSF映画を取り巻く状況を一変させると大きな期待を受けていた。

技術的な問題? 公開は棚上げに

だが、『三体』の公開は度々延期され、今でも棚上げにされたままだ。South Morning China Postは、『三体』の公開が延期され続けたことで、コメンテーターの中に「中国の映画制作技術では、『三体』の壮大なスケールを描きだすことは不可能」という意見が広がったと指摘している。ニューヨーク・タイムズは、技術的な問題と制作費用を理由に『三体』の映画化は停滞していると説明。いずれも『さまよえる地球』のヒットに関する記事の中で触れられており、『三体』映画化計画の停滞は、皮肉にも『さまよえる地球』の完成度の高さを際立たせる結果となったのだ。

Amazonが10億ドルを投じる!?

だが、『三体』の映像化の話には、続きがある。2018年3月には、Amazonが10億ドルを投じてドラマ化を目指しているとの報道がなされた。Amazonスタジオは、『高い城の男』(2015-) など、これまでもSFドラマの製作を手がけて来た。本来は三部作である「三体」を、3シーズンのドラマシリーズとして制作するというのがAmazonの構想だと報じられていた。中国で実現していない同作の映像化を、ハリウッド規模での作品制作を進める米ドラマ界が実現するか——と話題を呼んだ。

『さまよえる地球』が流れを変えるか

その後、『三体』のドラマ化についての続報は届いていない。そもそもこの報道が出たのは、映画『三体』の公開が遅れ、映画『さまよえる地球』が注目を集める以前の話だ。『さまよえる地球』の成功は、中国が自前でSF大作を作り出せることを証明した。だが、原作の「さまよえる地球」はあくまで短編小説。Amazonが3シーズンのドラマ化を目論んでいるとの報道が出た通り、三部作の『三体』を映像化するには相当なスケールが必要だ。
『さまよえる地球』のヒットは、“中国SF映画元年”を切り開いた。SF史に残る名作『三体』の映像化に、どのような影響を与えることになるのだろうか。

『三体』は、2019年7月4日(木)に早川書房から待望の日本語訳が発売される予定。

– Thumbnail –
via: IMDb
– Source –
The New York Times / INDEPENDENT

VG+編集部

VG+編集部

映画から漫画、ゲームに至るまで、最新SF情報と特集をお届け。
お問い合わせ

関連記事

  1. 今最も注目のSF作家、ケン・リュウの映像化作品は? 実は実写化されていたアノ作品

  2. 1912年に書かれたエスペラントSFの謎

  3. オバマも絶賛! リュウ・ジキンの登場がSFを変える

人気記事

新着記事

PAGE TOP