SF小説『三体』の映像化は? 映画・ドラマ・アニメ情報まとめ

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中国SFの最高傑作『三体』実写化はどうなった?

日本語訳も発売され大ヒットを記録している中国SFの金字塔『三体』。度々映像化が話題になっているが、壮大すぎる作品ゆえに、報道がありながらも公開に至っていないものも存在する。日本で『三体』が上陸したこのタイミングを機に、映像化の状況を振り返っておこう。

『流転の地球』が大ヒット

2019年上半期は、中国初のSFブロックバスター映画『さまよえる地球 (原題: 流浪地球、英題: The Wandering Earth)』の大ヒットが世間を賑わした。中国国内の初週の興行成績としては新記録となる3億4,900万ドルを記録し、全体で7億ドルに迫る興行収入を記録した。

『三体』にもスポットライト

そもそも、映画『流転の地球』は、中国のSF作家リュウ・ジキン (劉慈欣) が手がけた短編小説「さまよえる地球」を原作にした映画だ。短編小説らしからぬ壮大なスケールのストーリーを、中国史上最大のSF大作映画として生まれ変わらせたのだ。

そこで、改めてスポットライトを浴びているのが、リュウ・ジキン (劉慈欣) が手がけた名作小説『三体』の映像化だ。『三体』は、リュウ・ジキン (劉慈欣) の名を世界に知らしめた彼の代表作。2014年にアメリカのSF作家ケン・リュウが翻訳し、アジアからは初となるSF最高賞ヒューゴー賞の長編小説部門を受賞した。日本でも2019年7月4日に発売されるや瞬く間に10刷が決定するなど、大ヒットを記録している。

中国でのドラマ化とアニメ化が決定

日本での『三体』大ヒットと時を同じくして、中国では『三体』のドラマ化とアニメ化が決定した。『流転の地球』の記録的ヒットを受けての判断だろう。アニメ化は中国の動画配信プラットフォーム・ビリビリ動画が手がける。小説『三体』が発表された2006年から13年の時を経て、遂に映像化作品に触れることができるようだ。

2015年と2018年にも映像化の報道

実は『三体』には、2015年と2018年にも映像化の話が出ている。共に具体的な話が進行しているようだったが、最終的には“リュウ・ジキン (劉慈欣) 初の実写化作品”の栄誉は『流転の地球』に渡っている。『三体』映像化の話は、それぞれどのような経緯を辿ったのだろうか。

実は撮影も完了していた

2015年には『三体』の実写映画化が進められ、撮影が完了したという報道もされていた。ポスターやトレイラーも公開され、中国のSFファンは映画版『三体』の公開を今か今かと心待ちにしていた。当時は『流転の地球』ではなく、『三体』の公開が中国のSF映画を取り巻く状況を一変させると大きな期待を受けていた。

技術的な問題? 公開は棚上げに

だが、『三体』の公開は度々延期され、今でも棚上げにされたままだ。South Morning China Postは、『三体』の公開が延期され続けたことで、コメンテーターの中に「中国の映画制作技術では、『三体』の壮大なスケールを描きだすことは不可能」という意見が広がったと指摘している。ニューヨーク・タイムズは、技術的な問題と制作費用を理由に『三体』の映画化は停滞していると説明。いずれも映画『流転の地球』のヒットに関する記事の中で触れられており、『三体』映画化計画の停滞は、皮肉にも『流転の地球』の完成度の高さを際立たせる結果となったのだ。

Amazonが10億ドルを投じる!?

2018年3月には、Amazonが10億ドルを投じてドラマ化を目指しているとの報道がなされた。Amazonスタジオは、『高い城の男』(2015-) など、これまでもSFドラマの製作を手がけて来た。本来は三部作である「三体」を、3シーズンのドラマシリーズとして制作するというのがAmazonの構想だと報じられていた。中国で実現していない同作の映像化をハリウッド規模での作品制作を進める米ドラマ界が実現するか——と話題を呼んだ。

『流転の地球』が流れを変えた

『三体』のAmazonドラマ化についての報道が出たのは、映画『流転の地球』が注目を集める以前の話だ。映画『流転の地球』の成功は、中国が自前でSF大作映像作品を作り出せることを証明した。『流転の地球』のヒットは、“中国SF映画元年”を切り開いたのだ。これが中国SFの金字塔『三体』の映像化にも、一定の影響を与えたのだろう。

アニメはプロモーションビデオも公開

『三体』のアニメ化が発表されたのは2019年6月27日。ビリビリ動画が『三体』アニメ化の独占権を取得したことを発表した。6月にはイメージ動画も公開され、中国では大きな話題となっている。公開日などは明らかになっていないが、アニメ『三体』の公式ウェブサイトも登場しており、期待値は高い。なお公式サイトでは謎のカウントダウンが始まっており、11月15日頃に新たな動画が公開されるようだ。

アニメ『三体』公式ページ (bilibili)

中国でのドラマ化も決定

また、2019年5月には、中国メディアを管轄する広電総局より『三体』のテレビドラマ制作に関する情報が公示された。公示によると、ドラマ版『三体』は全24話で構成され、2019年9月より撮影を開始する。この公示は中国でも報道され、日本でもSNS上で話題になった他、英語圏のメディアも報道している。

『三体』の映像化を“自前”で実現することを決めた中国。『流転の地球』での成功を経て、今度こそ同作の壮大なスケールを実写化することができるのだろうか。

小説『三体』の日本語版は、2019年7月4日(木)に早川書房から発売されている。

Source
The New York Times / INDEPENDENT

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