Netflix『ノット・オーケー』を救え——打ち切り撤回求める署名活動はじまる。撮影再開の障壁はどこに? | VG+ (バゴプラ)

Netflix『ノット・オーケー』を救え——打ち切り撤回求める署名活動はじまる。撮影再開の障壁はどこに?

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『ノット・オーケー』打ち切りに大きな反響

2020年2月に配信を開始し、人気シリーズになるかに思われていたNetflixオリジナルのSFドラマ『ノット・オーケー』。内部ではシーズン2への更新が決定していたが、8月21日にシーズン2の製作をキャンセルするとの発表が行われた。理由は「新型コロナウイルスによって生まれた状況によって (打ち切りを) 余儀なくされた」というものだ。

これに大きな反応を見せたのが、日本を含む世界中の『ノット・オーケー』ファンたちだ。ドラマとしてのクオリティの高さはもちろん、シーズン1はシーズン2への更新を前提としたエンディングが用意されており、シーズン2の配信を待ち望むファンは多く存在していた。

Twitter上では、海外のファンから「Netflixは何を考えているのか」「『ノット・オーケー』をゴミのように扱った」と批判の言葉が並ぶ。10代のセクシャルマイノリティをレペゼンした作品として高い評価を受けていただけに、打ち切りへの批判の大きさも一入だ。

署名活動もスタート

『ノット・オーケー』がテレビ放映のドラマと異なる点は、Netflixが世界190以上の国と地域で作品を配信していることだ。世界中にファンが存在しており、言語を問わず様々な国のユーザーがハッシュタグ「#saveianowt」「#saveIAmNotOkayWithThis」を活用して『ノット・オーケー』の製作継続を訴えている。

そして、『ノット・オーケー』の製作継続を求める署名活動もファンの手によって始まっている。だがその難点は、母体となる団体が存在せず、キャンペーンが各国の言語によって分散しているということだ。確認できるだけで6つ以上のキャンペーンがchange.org上で展開されており、最大のものでも署名数は7,000名程度にとどまる。世界中のファンの声をまとめられるかどうかが署名活動の成否の鍵となりそうだ。

中には、『ノット・オーケー』のジョナサン・エントウィッスル監督自身のTwitterアカウントに、「別の配信プラットフォームに移るべきだ」と呼びかけるユーザーも。では、そもそも『ノット・オーケー』シーズン2の製作に立ちはだかっている障壁とはどのようなものなのだろうか。

青春ドラマ特有の問題

今回のNetflixの発表に限れば、打ち切りが発表されたのは『ノット・オーケー』と『ザ・ソサエティ』という、10代の出演者がメインに据えられたドラマだった。特に『ノット・オーケー』では、映画「IT/イット」シリーズのソフィア・リリスやワイアット・オレフが出演し、話題になっていた。

「新型コロナウイルスによって生まれた状況」と「コストの増加」を原因としつつ、シーズン2の製作を“延期”とできない理由はここにあるのではないだろうか。つまり、新型コロナがおさまり出演者らの安全が確保できる状況になる頃には、出演者たちは大人になってしまっており、シーズン1との接続に無理が生じるという問題だ。

例えば、「バットマン」シリーズのスピンオフドラマ『GOTHAM/ゴッサム』(2014-2019)は、人気シリーズだったが5シーズンで幕を下ろした。このドラマでは、後にバットマンになるブルース・ウェインの少年期から青年期への成長が描かれ、同役を演じた俳優のダヴィード・マズーズ自身が10代前半から10代後半に成長していく過程で撮影が行われた。

物語の進行と出演者の成長——この二つの要素の歩調を合わせたドラマ製作は、コロナ禍の時代にあっては相当に困難な仕事になる。また、『ノット・オーケー』はペンシルベニア州ピッツバーグを舞台にしており、撮影のロケ地を感染者数が増加し続けるアメリカから海外に移し難いという難点もある。

『ノット・オーケー』や『ザ・ソサエティ』については、コロナ禍が落ち着いた時期に出演者を入れ替えてのシーズン2製作も考えられるだろう。Amazonアニメ『アンダン〜時を超える者〜』のように実写に近いロトスコープ・アニメーションなどに移行すれば、それほど期間を空けずにシーズン2の製作に取り掛かれるかもしれない。だが、既存のファンがそれで納得するかどうかは別の話だ……。

2020年2月に全7話156分というドラマとしては異例の短さで登場し、視聴者のハートを鷲掴みにしたSFドラマ『ノット・オーケー』は、このまま伝説の作品となってしまうのだろうか。

ドラマ『ノット・オーケー』シーズン1はNetflixで独占配信中。

『ノット・オーケー』(Netflix)

齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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