ドラマ『カウボーイビバップ』打ち切りに
2021年11月19日(金) よりNetflixでの配信が始まった実写ドラマ版『カウボーイビバップ』はシーズン2を製作せず、シーズン1で打ち切りになることが分かった。米Deadlineなど、複数のメディアが報じている。配信開始からわずか3週間での決定となった。
ドラマ『カウボーイビバップ』は、1998年に放送された日本の人気アニメをNetflixオリジナルで実写化した作品。映画『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011) や、実写映画「ミュータント・ニンジャ・タートルズ」シリーズで脚本を手掛けたアンドレ・ネメックがショーランナーを務めた。
アニメ版監督の渡辺信一郎がクリエイティブ・コンサルタントを担当し、音楽を原作アニメと同じく菅野よう子が手掛けるなど日本でも注目を集めたが、シーズン2への更新はならなかった。
打ち切りの理由は?
実写版『カウボーイビバップ』打ち切りの理由については、Deadlineはかかった予算が大きすぎたため、シーズン更新に必要とされる視聴数のハードルが高くなったとしている。通常、Netflixはシーズン更新の可否を決定するために28日間は視聴数のデータを集めるというが、必要とされるノルマの数字と視聴数の差が大きかったのだろう。配信開始からわずか約20日間でのスピード決定となった。
Netflixでは、作品製作にかかったコストに30%を上乗せした額を製作スタジオに支払うことになっており、予算に対して設定された視聴数のノルマを満たせなかった場合にシリーズは打ち切りになる。
ヨエル・キナマン、アンソニー・マッキーを主演に据えたSFドラマ『オルタード・カーボン』(2018-2019) も話題になったが、Netflix史上最大級の予算が壁になりシーズン2で打ち切りとなった。同じくSFドラマ『Away -遠く離れて-』は配信の視聴数ランキングで数週間にわたってトップ10入りし、配信初週には第2位にもなったが、“製作コストに対する視聴者数の割合”が基準に達せずシーズン1で打ち切りになっている。
ドラマ『カウボーイビバップ』の評価は、米映画評価サイトのRotten Tomatoesでは批評家からの支持率46%、一般視聴者の支持率55%という数字だった。だが、Neflixオリジナル作品のシリーズが更新されるかどうかは、評価とは関係がない。2020年に配信されたドラマ『スペース・フォース』シーズン1は、Rotten Tomatoesで批評家からの支持率39%、一般視聴者の支持率75%という数字だったが、予算に対する視聴数が基準を満たした為、シーズン2への更新が決定している。
SFドラマに暗雲
このNetflixの仕組みは、製作費がかかる作品ほど視聴数のノルマが高くなるということであり、SF作品に不利になるのではという懸念もある。実際、ドラマ『カウボーイビバップ』では、CG制作にコストがかかる宇宙のシーンは少なめになっていた。今後、大規模なバジェットを投じるNetflixのSFドラマでは、劉慈欣原作の『三体』ドラマ版が控えている。また、日本からの実写化作品では、『幽☆遊☆白書』ドラマ版や『ONE PIECE』ドラマ版も控える。
ドラマ『カウボーイビバップ』のシーズン1では、明らかにシーズン2へ続く終わり方をしており、ショーランナーも「ビッグプランがある」とシーズン2の構想は既にあると話していた。また、2021年12月からは北米でコミック版の連続刊行が始まり、11月23日には小説版が発売されたばかりだった。シビアなNetflixの仕組みの中で、SFドラマ、実写化ドラマは生き残っていけるのだろうか。
ドラマ『カウボーイビバップ』はNetflixで独占配信中。
Source
Deadline
実写版『カウボーイビバップ』配信を機に公開されたシートベルツ演奏による「Tank!」フルライブ映像はこちらから。
実写版アインの撮影秘話はこちらから。