【御礼】Kaguya Planet 2周年! 2023年の展望は? | VG+ (バゴプラ)

【御礼】Kaguya Planet 2周年! 2023年の展望は?

Kaguya Planet 2周年

オンラインSF誌Kaguya Planetは、2020年12月に活動を開始し、この12月で2周年になります。この2年間で、39編の書き下ろしSF短編小説、11編のマイクロノベル、8編の翻訳SF短編小説、英語詩・短歌連作・俳句連作といったSF詩を4作品、1本の論考、4本のインタビュー、2本のレポートとアンケートを掲載しました。

これまで様々な形でKaguya Planetを支えてくださった皆様、本当にありがとうございます。来年もどうぞよろしくお願いいたします。今回の記事では、2022年のKAGUYAを振り返り、2023年の展望を紹介したいと思います。

2022年のKAGUYAを振り返る

2022年は、Kaguya Planetで培った経験をもとに、SFレーベルKaguya Booksを立ち上げ、井上彼方編『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』を刊行しました。2023年は、これまで開催してきたかぐやSFコンテストとともに、Kaguya Planet、Kaguya Booksと3つのKAGUYAを、双方向的に盛り上げながら、VGプラスの小説関連事業として発展させていこうと思います。

企画盛りだくさんのKaguya Planet

2022年のKaguya Planetは、ジェンダーSF特集、SF同人誌『SFG』とのシェアード・ワールド企画、笑いとSF特集、『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』とのタイアップ企画「果樹園の出てくるSF短編小説」の公募、SF小説×SF短歌など、楽しい企画が盛りだくさんでした。

特に、「おばあちゃん」「ケア」「魔女」のテーマを掲げたジェンダーSF特集では、4編の書き下ろしSF短編小説、1編の翻訳SF短編小説、1本の論考を掲載。作品を通じて社会への問いかけを行い、たくさんの感想をいただきました。

Kaguya Books始動

SFレーベルKaguya Booksでは、2022年3月に立ち上げに際してのクラウドファンディングを行い、333人の方から目標額の110%となる2,753,500円のご支援をいただき、計350部の書籍の先行予約を承りました。

そして2022年8月に、過去2回のかぐやSFコンテストの受賞者と最終候補者を中心とした書き下ろしSFアンソロジー、井上彼方編『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(Kaguya Books) を刊行しました。『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』はSNSでも多数話題にしていただいて、発売前に重版を決定することができました。

¥2,970 (2024/10/15 17:11:02時点 Amazon調べ-詳細)

KAGUYAのロゴ作成

また、Kaguya Booksの立ち上げと前後して、かぐやSFコンテスト、オンラインSF誌Kaguya Planet、SFレーベルKaguya Booksという3つのKAGUYAを、VGプラスのSF小説の事業として展開していくことを決めました。そしてたくさんの「架け橋」になることを目指して、“橋”をモチーフにしたロゴを作成しました。

2021年にかぐやSFコンテストで審査員特別賞を受賞した一階堂洋さん、読者賞を受賞した枯木枕さんには、Kaguya Planetに作品を寄稿していただいております。Kaguya PlanetとKaguya Booksは、かぐやSFコンテストで活躍した書き手の方々の活躍の場所としても大切に運営していきます。

また、『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(kaguya Books)の刊行と連動して、Kaguya Planetでは果樹園の出てくるSF短編小説の公募を開催。坂崎かおるさんと阿部屠龍さんの果樹園SFを掲載しました。

来年は、春にKaguya Booksから刊行される蜂本みささんの単著がぬいぐるみによる一人称小説であるため、それと連動して溝渕久美子さんによるぬいぐるみSFをKaguya Planetに掲載します。これからも、紙とウェブの小説の双方向的な発展を模索していきます。

VGプラスのワークショップ始動

また、VGプラスの新しい試みとして「VGプラスのワークショップ」を2回開催しました。VGプラスのワークショップは、ライターや作家など、執筆に関わる方々に対する様々な差別やハラスメントを看過しないというメッセージを社会に向けて発信し、自分の身を守るために必要な知識を身につけ、また、自分たちの記事や小説によって誰かの足を踏んでしまうことがないように、一緒に勉強していきませんか、ということを趣旨としたワークショップです。それらの趣旨に関係する様々なワークショップや講演会を継続的に開催していていくことを目指しています。

2022年11月には京都市男女共同参画センター〈ウィングス京都〉から講師をお招きして「執筆に携わる人がセクシュアルハラスメントについて学ぶ会」を開催し、翌月12月にはVGプラスのメンバーが講師となって「小説や記事における表現の選び方を考える 〜誰かの足を踏まないために〜」を開催しました。前者は参加費無料で開催し、後者はKaguya Planetの会員の方は無料で参加できるように設定しました。

KAGUYA、2023年の展望は?

最後に、2023年の活動予定を紹介します。2023年もKaguya Planet、Kaguya Books、かぐやSFコンテストをよろしくお願いいたします。KAGUYAの最新情報を見逃したくないという方はぜひ、KAGUYAのニュースレターへの登録をお願いします。毎月一回程度、Kaguya PlanetとKaguya Booksの新着情報をお届けしています。

※登録に必要なのはメールアドレスのみです。

KAGUYAのニュースレターに登録

2023年1月の執筆者は溝渕久美子さん

Kaguya Planet、2023年の最初の作品は作家で映画研究者の溝渕久美子さんによる新作SF短編小説です。2021年、2040年の台湾を舞台にしたSF短編小説「神の豚」で第12回創元SF短編賞の優秀賞を受賞。「神の豚」が『Genesis 時間飼ってみた』(東京創元社) に収録され、作家としてデビューしました。

溝渕久美子さんの新作SF短編小説はぬいぐるみSFです。一緒に暮らしているグラウンドホグのほぐさんと溝渕さんの出会いを描いた小説です。Kaguya Booksから2023年春に刊行される蜂本みささんの新作SF小説が、カモノハシのぬいぐるみによる一人称の物語であるため、こちらと連動する形で溝渕さんにもぬいぐるみSFを執筆していただきました。

Kaguya Planetではその他、コラボ企画や特別企画を開催予定です。お楽しみに!

2023年春、蜂本みささんの単著を刊行

2023年春には蜂本みささんの単著をKaguya Booksから刊行予定です。蜂本さんの小説は「本当であって本当ではない」ごっこ遊びがテーマになっています。ごっこ遊びの好きな女の子ミミと一緒に暮らしているカモノハシのモシカが大活躍するお話です。

現在、Kaguya BooksのInstagramで毎週蜂本さんの単著の進捗を投稿しています。

2023年夏、『大阪/京都SFアンソロジー』刊行予定

また、Kaguya Booksでは、2023年夏に正井編『大阪SFアンソロジー (仮)』、井上彼方編『京都SFアンソロジー(仮)』を刊行する予定です。現在、それぞれのアンソロジーの編者が作ったコンセプトをもとに、執筆者と打ち合わせをしたり、執筆者の皆様に原稿を進めていただいている状況です。

『大阪/京都SFアンソロジー』では、それぞれのコンセプトにあったSF短編小説を公募する予定です。コンセプトとともに公募の詳細を発表いたしますので、続報を楽しみにお待ちください。

そして、大阪と京都から始まるご当地アンソロジーですが、その後にはさらなる展開も予定しています。こちらも続報をお待ちください。

第3回かぐやSFコンテスト開催!

2023年には第3回かぐやSFコンテストを開催します。かぐやSFコンテストは、日本のSFを世界につなげる架け橋になることや、日本にSF短編小説の発表の場を増やすということを目標に、2020年に始まりました。かぐやSFコンテストをきっかけに頭角を現す執筆者の方が複数いたり、第2回かぐやSFコンテストの大賞受賞作品、吉美駿一郎「アザラシの子どもは生まれてから三日間へその緒をつけたまま泳ぐ」が中国のSF誌「科幻世界」2022年3月号に掲載されたりするなど、日本SFの盛り上がりに寄与しています。

一方で、かぐやSFコンテストで出会った新しい書き手の方々の作品発表の場を作っていくことの大切さも実感し、2022年はかぐやSFコンテストをお休みし、過去2回のかぐやSFコンテストの受賞者や最終候補者を中心とした『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』を刊行しました。新しい書き手と出会うことと、その書き手の方々とのつながりを大事にすることを大切にして、今後もコンテストを運営していきます。

第3回かぐやSFコンテストでは、これまでのコンテスト同様「未来の〇〇」というテーマを設定します。また今回は、テーマと絡めた特集を組み、インタビュー記事などを配信する予定です。

VGプラスのワークショップを継続します

2022年に開催した2回のVGプラスのワークショップは、それぞれ75名、63名の方にお申し込みいただき、類似の企画やもっと内容を掘り下げた企画を継続して開催してほしいという声をたくさんいただきました。私たち自身、日々VGプラスの事業を運営しながら、このような企画の大切さを実感しています。

2023年も執筆を取り巻く環境や、執筆の内容について一緒に勉強していけるようなVGプラスのワークショップを開催します。また、Kaguya Planetの会員の方向けにワークショップに無料で参加できる割引コードを発行するなど、継続してKAGUYAを応援してくださっている方への還元も大切にしていきます。

VG+編集部

映画から漫画、ゲームに至るまで、最新SF情報と特集をお届け。 お問い合わせ

関連記事

  1. 4月7日まで、日本SF作家クラブ編『SF作家はこう考える』先行予約受付中! 限定特典付き

  2. Kaguya Planet、9月の執筆者発表!

  3. 東京創元社がSFアンソロジー《Genesis》創刊へ 国内SFの新たな源流に

  4. N・K・ジェミシン 新三部作は「反人種主義のX-MEN」——米で3月刊行の『The City We Became』