VGプラスのワークショップ「執筆に携わる人がセクシュアルハラスメントについて学ぶ会」を開催します | VG+ (バゴプラ)

VGプラスのワークショップ「執筆に携わる人がセクシュアルハラスメントについて学ぶ会」を開催します

VGプラスのワークショップを開催します

SF企業VGプラスで、「VGプラスのワークショップ」と題した連続企画を開催します。

VGプラスのワークショップは、ライターや作家など、執筆に関わる方々に対する様々な差別やハラスメントを看過しないというメッセージを社会に向けて発信し、自分の身を守るために必要な知識を身につけ、また、自分たちの記事や小説によって誰かの足を踏んでしまうことがないように、一緒に勉強していきませんか、という趣旨で企画をしています。それらの趣旨に関係しそうな様々なワークショップや講演会を開催していく予定です。

なお、VGプラスはSFの企業ですが、VGプラスのワークショップは、SFに限らず、広く執筆活動をしている人やライター、編集者や翻訳者などを対象としています。普段SFに馴染みのない方でもお気軽にご参加ください。

VGプラスはSFメディアのバゴプラとSF小説レーベルのKaguyaを運営する企業です。バゴプラでは日々SF関連のニュースや解説・考察記事を配信しています。Kaguyaでは、4,000字以下で参加できるウェブ上のかぐやSFコンテストの開催やオンラインSF誌 Kaguya Planetの配信、紙の書籍を刊行するKaguya Booksを展開し、2022年8月に第一弾となる書籍『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』を刊行しました。その他にも、VGプラスではSF関係のエージェント業務やコンサルティング、編プロとしての活動も行っています。

初回は「執筆に携わる人がセクシュアルハラスメントについて学ぶ会」

VGプラスのワークショップ、初回は「執筆に携わる人がセクシュアルハラスメントについて学ぶ会」です。

フリーのライターや新人の作家・翻訳家など、組織的な後ろ盾がなく、社会的な地位が確立していない書き手の方々は様々なハラスメントや不当な扱いを受けやすい傾向にあります。

今回はセクシュアルハラスメント編ということで、被害に遭ったときに被害に気がつき必要な対応を取れるように、そして自分が加害者になってしまうことがないように、セクシュアルハラスメントについて学びます。

  • 日時:11月28日(月) 19時から20時半
  • 参加費:無料
  • 開催方法:Zoom(当日までに参加用のURLをPeatix経由でお送りします)
    マイクはオフで、カメラのオン/オフは任意でご参加いただきます。
    また任意で参加していただく、Zoomのチャット機能を用いたワークショップのパートがあります。
    ※アーカイブはありません。
  • 対象
    フリーのライター
    作家、作家志望の方
    編集者など、書き手の方と関わる仕事をしている方
    その他、執筆に携わっている方
  • 内容
    ハラスメントってなに?
    セクシュアルハラスメントに遭った時の対処方法は? 相談先は?
    セクシュアルラスメントが起きる背景
  • 講師
    京都市男女共同参画センター〈ウィングス京都〉から講師の方をお招きします。
  • 主催:VGプラス合同会社
  • 問い合わせ:info@virtualgorillaplus.com

当日聞きたいことや質問がある方は、参加申し込みの際にフォームからお送りください。
質問は、回答を準備するため、【24日(木)まで】にお送りいただけますと幸いです。

申し込みは以下のフォームからお願いいたします。またこちらのイベントページからも申し込むことができます。

次回のテーマは「小説や記事における表現の選び方を考える 〜誰かの足を踏まないために〜」

VGプラスのワークショップの2回目は、「小説や記事における表現の選び方を考える 〜誰かの足を踏まないために〜」をテーマに、ライターが記事を書く時に気をつけることや、作家が小説を書く時に気をつけることについて学ぶ会を開催します。12月11日(日)14時〜オンラインで開催します。詳細はこちら

「なにか」が起きる前に

VGプラスのワークショップは、ハラスメントや差別的な言動を予防していくための取り組みを日常的に行っていきたいと考えて企画しました。「予防的な日常の取り組み」をしたいと思っている理由はたくさんあります。

1つ目は、当たり前のことですが、防げる被害は未然に防ぎたいということです。何がハラスメントなのか、何が差別なのかを知ることで、悪意なく誰かを傷つけてしまうことを防ぎたいです。また、ハラスメントは許さないという風潮を作ることも予防につながると思います。

2つ目は、被害に遭った時にそれを「被害である」と認識し、必要な措置を取るには事前に知識を得ていた方がよいということです。

3つ目は、事前の勉強は、問題を指摘された際に適切に対処する助けになるということです。被害に遭った人から相談を受けた際や自分の加害を指摘された際に適切に対処するためには、「何が問題となっているか」をきちんと認識する必要があります。そのために、日頃からハラスメントや差別について勉強しておくことが大切です。

また、何が差別に当たるのか、何がハラスメントになりうるのかということが共有されているコミュニティにおいては、実際に加害が起きてしまった際に周囲が適切に対応できる可能性が高いと思います。認識が共有されることで、被害者本人が必要としている措置にアクセスしやすくするとともに、周囲からの二次加害を減らすことができるように思います。

4つ目は、自分の中にある「当たり前」な価値観を見直すためには、安心して内省できる場所が増えるといいなと思っているからです。

ジェンダー規範など社会で支配的な価値観は、社会のあちこちに浸透していて、私たちはそれを気がつかないうちに内面化してしまいます。社会問題やハラスメントについて勉強することは、自分の中で「当たり前」になっている感覚を疑うことでもあり、そこには当然不安や苦痛が伴います。場合によっては自分の人格そのものを否定されているような気持ちになるかもしれません。だからこそ、問題が起きて/起こしてしまった後の緊急時ではなく、時間的にも心理的にも少しでも余裕のある日常において勉強することに意味があると思います。

※「落ち着いて内省できる環境があると良い」という主張は、「加害者の学び直しと更生のために、加害者の自己防衛的な感情を過度に刺激しないよう、被害者は丁寧で分かりやすい冷静な説明をするべき」という意味ではありません。被害者には、加害者の更生とケアを担う責任は一切なく、それは第三者がすべきことだからです。

5つ目は、被害に遭った時に備える努力も、社会問題や差別について学び直すための努力も、個人に委ねられすぎず、アクセスしやすい様々な窓口や手段を社会全体で保障するべきであり、そのために自分たちができることをしたいと思っているからです。

多くの人は、マイノリティとしての側面とマジョリティとしての側面の両方を持っていますし、被害者にも加害者にもなり得ます。たとえ悪意がなくても。また、子どもの頃から繰り返し教えられて当たり前になっている価値観が、誰かの足を踏みつけるものということもあります。「機会さえあれば学び直せたかもしれない人」を出さないためにも、被害者の負担を軽減するためにも、社会全体で一つでも多くの学びの機会を提供できたらいいなと思っています。VGプラスも社会の構成員として、果たすべき責任を果たしたいと思います。

今後の展開

VGプラスのワークショップは、今後も継続して様々なテーマで企画をしていきます。こんなことをやってほしいとか、こんな企画の主催をさせてくださいなど、ご意見やご提案があればお寄せください。

私自身、そしてVGプラスも、至らないことも知らないことも認識が甘いこともいっぱいあります。上記の文章も、わかりやすく一般化するために捨象されていることがたくさんあると思います。より良い表現方法、言葉遣いがあるかもしれません。だからこそ、ワークショップを通して、私たち自身もご参加くださる皆様とともに学んでいきたいと思います。

 

井上 彼方

1994年生まれ。VG+合同会社クリエイティブ・ディレクター。2020年、第1回かぐやSFコンテストで審査員を務める。同年よりSF短編小説をオンラインで定期掲載するKaguya Planetでコーディネーターを務める。編著書に『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本』(2020, 社会評論社)、『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(2022, 社会評論社)。
¥2,970 (2024/11/07 17:13:31時点 Amazon調べ-詳細)

関連記事

  1. The Game Awards 2019ノミネート作品発表 『デス・ストランディング』が最多8部門

  2. 第58回日本SF大会 彩こん が開幕——開会式にシルヴァン・ヌーヴェルがサプライズ登場

  3. 第55回ネビュラ賞 最終候補作品発表 テッド・チャン『息吹』収録作品もノミネート。小説部門とゲーム部門の候補作品は? (作品リスト掲載)

  4. ジェームズ・ガン監督解任、スカヨハ降板…デップー2、ハン・ソロに垣間見える「ポリコレ疲れ」と、ファンが取るべき選択肢