ネタバレ解説『マーベルズ』は『シークレット・インベージョン』からどう繋がった? スクラル人のその後は | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『マーベルズ』は『シークレット・インベージョン』からどう繋がった? スクラル人のその後は

© 2023 Marvel

映画『マーベルズ』公開

MCU映画第33作目となる『マーベルズ』が2023年11月10日(金) より全国の劇場で公開された。映画『キャプテン・マーベル』(2019) の続編となる本作では、キャプテン・マーベルことキャロル・ダンヴァースとミズ・マーベルことカマラ・カーン、そしてモニカ・ランボーによるスーパーヒーローチームの活躍が描かれる。

一方で、MCUファンは、2023年6月から8月にかけて配信されたドラマ『シークレット・インベージョン』で描かれたニック・フューリーのその後も気になっていたはずだ。『シークレット・インベージョン』ではスクラル人の一派による地球侵略に対抗するニック・フューリーの姿が描かれ、『マーベルズ』に繋がる重要な作品と位置付けられていた。

今回は、実際には映画『マーベルズ』とドラマ『シークレット・インベージョン』はどのように繋がっていたのかという点を解説していこう。なお、以下の内容は『マーベルズ』と『シークレット・インベージョン』両作の内容に関する重大なネタバレを含むため、必ず劇場とDiney+で両作を鑑賞してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『マーベルズ』およびドラマ『シークレット・インベージョン』の内容に関するネタバレを含みます。

『シークレット・インベージョン』は『マーベルズ』にどう繋がったのか

『シークレット・インベージョン』のラストは?

ドラマ『シークレット・インベージョン』では、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 以降は宇宙に滞在していたニック・フューリーが地球に帰還。タロスに代わって新たに将軍になったグラヴィクが先導するスクラル人の蜂起を阻止しようと立ち上がる。

老いたニック・フューリーは、スーパーパワーをコピーしてスーパースクラルとなったグラヴィクの前に苦戦し、盟友のマリア・ヒルとタロスを失った。それでもタロスの娘のガイアと協力し、ガイアがフューリーに成り代わってグラヴィクを誘き出してスーパースクラルの力を手に入れるという作戦でグラヴィクを倒してスクラル人による地球侵略を阻止した。

それでも、この事件の発端はニック・フューリーが『キャプテン・マーベル』後にスクラル人に定住先を用意すると約束しながら、それを果たせなかったことにある。タロスもそれを信じたことで若きスクラル人の信頼を失っており、キャプテン・マーベルも約束を破った存在になってしまっている。

『シークレット・インベージョン』のラストでは、スクラル人が地球で憎悪されるようになる一方で、クリーとスクラルの和平交渉が行われるということが明かされた。フューリーはその情報を受けて、パートナーでスクラル人のヴァーラに協力をお願いし、共に宇宙へ去って行った。このラストは『マーベルズ』にどう繋がったのだろうか。

和平交渉の結果

まず、『マーベルズ』ではスクラル人のドロージ皇帝が登場。ドロージ皇帝は『シークレット・インベージョン』第2話でタロスが言及していた人物だ。ニック・フューリーがスクラロス星の滅亡について知らないことを言うようにタロスに要求した時、タロスはクリー人に攻め込まれて生き残ったスクラル人100万人は星を捨てた、ドロージ皇帝の居留地にいた者以外はタロスの呼びかけに応じて全て地球に来たと話した。逆に言えば、ドロージ皇帝の居留地にはまだスクラル人が残っていたということである。

『マーベルズ』では、ヴィランのダー・ベンがドロージ皇帝とその民が住んでいるターナックスへ和平交渉へ向かう。ダー・ベンはかつてキャロルが所属していたスターフォースの元メンバーであり、キャロルによってクリー人の首都惑星ハラを支配するAIのスプリーム・インテリジェンスが破壊された後、「スプリーム」を名乗って内戦で荒廃したハラを率いる指導者になっていた(その間、30年ほど経過している)。

『シークレット・インベージョン』ラストのクリーとスクラルの和平交渉というのは、長く続いた内戦で疲弊したハラからダー・ベンが持ちかけた話だったのだろう。しかし、ダー・ベンの目的は別にあった。ダー・ベンはハラを荒廃させる原因となったキャロル・ダンヴァースが関わったことがある惑星から資源を奪い、バングルを使って作ったジャンプポイントを通して資源をハラに流し込もうとしていたのだ。

キャロルがターナックスに乗り込んだことを口実にダー・ベンは交渉決裂を表明し、ターナックスへの攻撃を開始した。キャロルはこれがダー・ベンの罠だったと主張するが、ドロージ皇帝はキャプテン・マーベルが介入したことを批判するのだった。結果、この攻撃を生き延びた数少ないスクラル人とドロージ皇帝はヴァルキリーが国王を務める地球のニュー・アスガルドが受け入れることに。これで全てのスクラル人が地球に移住したことになる。

余談だが、アニメ『ホワット・イフ…?』(2021-) シーズン1第2話にもターナックスの名前が登場する。同エピソードの舞台はサノスが悪玉にならなかった世界線で、ドラックスの故郷はサノスが親玉だったクリー人のロナンに襲撃されていない。この世界線のラベジャーズはスクラル人が住むターナックスで銀行強盗をしたと話しており、銀行が成り立っているくらいには平和な生活が送れているようである。

ガイアに注目

結局、『シークレット・インベージョン』のラストで示唆されたクリーとスクラルの和平交渉は出来レースだったということで、ニック・フューリーによるスクラル人への贖罪はうまくいかなったように思われる(スクラル難民の受け入れもヴァルキリーがやってくれたし)。

そうなると『シークレット・インベージョン』の意義は? と問いたくもなるものだが、今後に繋がりそうな要素が一つある。それは、同作のラストでスーパースクラルになったガイアの存在だ。

グラヴィクはニック・フューリーが密かにスクラル人に収集させていたアベンジャーズのDNAを利用し、スーパーパワーをコピーできる“スーパースクラル人”になる装置を手に入れた。これにガイアも対抗してスーパースクラル人になり、グラヴィクを倒した。その後、ガイアはイギリスの諜報機関のソーニャと手を組むことになっている。

『マーベルズ』にはガイアは登場しなかったが、ガイアには『マーベルズ』の主人公三人の内の二人に繋がる要素がある。映画『キャプテン・マーベル』では、幼いガイアはキャプテン・マーベルのおかげで父タロスと再会を果たすことができ、最後には幼いモニカ・ランボーと交流を深めていた。モニカは階段でガイアと遊びながら、「うちに住めば?」と提案する優しさを見せているのだ。

ガイアに人間へのポジティブな感情があるとすれば、それはキャロルとモニカに対するものだろう。ガイアはアベンジャーズの力を手に入れ、物理的な戦いにおいてはほぼ最強となった。ガイアがヴィランになる道に進みそうになった時にはキャロルとモニカの存在がカギになるかもしれない。

一方で、『マーベルズ』のラストではモニカは別の世界へ行ってしまった。モニカとガイアが再会するのはまだ先のことになりそうだが、『シークレット・インベージョン』が用意した要素は、この二人を通して活きてくるのかもしれない。

映画『マーベルズ』は2023年11月10日(金)より全国の劇場で公開。

『マーベルズ』公式サイト

ドラマ『シークレット・インベージョン』は全6話がディズニープラスで独占配信中。

『シークレット・インベージョン』(Disney+)

『マーベルズ』オリジナル・サウンドトラックは配信中。

『マーベルズ』ラストとポストクレジットの解説&考察はこちらの記事で。

『マーベルズ』のラストと『ミズ・マーベル』シーズン2についてカマラ役のイマン・ヴェラーニが語った内容はこちらから。

 

パク・ソジュンが演じたヤン王子の原作での設定はこちらから。

ドラマ『シークレット・インベージョン』最終話のネタバレ解説はこちらの記事で。

 

ドラマ『ロキ』シーズン2最終話第6話のネタバレ解説はこちらから。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のネタバレ解説はこちらから。

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ラストの解説はこちらから。

映画『ソー:ラブ&サンダー』ラストとポストクレジットの解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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