ネタバレ考察&解説 ドラマ『エコー』驚きのラストは今後のMCUをどう変えるのか ヴィラン勢力図に変化も | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察&解説 ドラマ『エコー』驚きのラストは今後のMCUをどう変えるのか ヴィラン勢力図に変化も

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ドラマ『エコー』配信中

MCUドラマ『エコー』の配信が2024年1月10日(水) よりスタート。ディズニープラスで全5話が一斉配信された。原作コミックでも活躍を見せ、ドラマ『ホークアイ』(2021) で初めて実写化されたエコーことマヤ・ロペスを主人公に据えた本作は、キャラクターの物語を掘り下げるMCUの新シリーズ「マーベル・スポットライト」の第1弾に当たる。

ドラマ『エコー』ではマヤ・ロペスの物語を深掘りしながらも、ドラマ『デアデビル』(2015-2018) や『ホークアイ』に登場したキングピンことウィルソン・フィスクも重要な役回りを務める。ドラマ『シー・ハルク ザ・アトーニー』(2022) に続き、デアデビルことマット・マードックも登場するなど、シリーズを跨いだMCUらしいクロスオーバーも盛り込まれている。

そして、ドラマ『エコー』には驚きのラストが待っていた。今回は、そのラストの展開が今後のMCUにどんな影響を与えるのか、今後の展開を考察していこう。なお、以下の内容は本編の結末に関する重大なネタバレを含むので、必ずディズニープラスで本編を視聴してから読んでいただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『エコー』の結末および、これまでに公開されたすべてのMCU作品の内容に関するネタバレを含みます。

ドラマ『エコー』ラストを考察

『エコー』最終話のラストはどうなった?

ドラマ『エコー』では、マヤ・ロペスの故郷にまで支配の手を伸ばそうとするキングピンことウィルソン・フィスクに対し、マヤが“エコー”の力を目覚めさせた。マヤは母のタロアから引き継いだヒーリング能力をフィスクに使用し、フィスクが抱える父のトラウマを治癒したと思われる。何をされたか分からないフィスクはニューヨークへと逃げ帰るが、ポストクレジットシーンで更なる展開が待っていた。

ポストクレジットシーンでは、フィスクはテレビから流れるニュースでニューヨーク市長選の有力候補が不在ということ、戦える市長候補が求められているということを知る。丁寧にも「体制と戦えるアウトサイダーが有利」とまで解説され、フィスクが神妙な面持ちで前のめりになってこのシーンは幕を閉じる。

『エコー』最終話第5話のネタバレ解説記事でも書いた通り、このエンディングはキングピンがニューヨーク市長選に出馬し、政治家に転向する原作の流れを汲んだものだ。タイムラインとしては2025年5月が舞台と考えられ、選挙戦は終盤と伝えられていることから遅くとも2025年の夏にはキングピン新市長が誕生する可能性が高い。

キングピンは改心した?

原作コミックではもちろんキングピンは市長でありながらヴィランのままで、公的にニューヨークのヒーロー狩りを進めることになる。だが、MCU版のキングピンは『エコー』でマヤ・ロペスに“ヒーリング”を受けており、父に対するトラウマを乗り越えたとも考えられる。ウィルソン・フィスクは改心したのだろうか。

Hollywood Reporterでは、キングピン役のヴィンセント・ドノフリオがインタビューに登場し、『エコー』のラストについて語っている。マヤが能力でキングピンに施したことが市長選への出馬につながっているのかという質問に対し、「そうは思いません。本当のことを言いたいのですが、あまり多くは明かせません」とした上で、こう話している。

彼が変わったとは思いません。彼は啓発を受けたんです。まだ『エコー』のエピソードをあまり観れていないので、私の中での話ですが、マヤとのことが全て済んだ後、彼は飛行機に乗ります。そして、「ニューヨークは新しい市長を求めている」という声を聞く。彼はそのニュースを見て閃き、飛行機が目的地に着く頃には決心するんです。「全ての力を手に入れたいのなら、これが私のやるべきことだ」と。今、私に言えるのはそれだけです。

なんと、マヤがタロアから引き継いだ能力をもってしても、キングピンの中身は変わっていないのだという。それでも、有り余る権力欲は健在で、キングピンはまだ「全ての力を手に入れ」ようとするようだ。

MCUの今後を考察

権力に浸透するヴィランたち

では、キングピンことウィルソン・フィスクと今後のMCUはどのように展開していくのか、考察してみよう。こちらも解説記事で触れたことだが、キングピンのニューヨーク市長就任は2025年春配信予定のドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』で描かれることになるだろう。デアデビルら自警団のヒーローたちを合法的に一掃しようとする展開が考えられる。

その直前の2025年2月には、「キャプテン・アメリカ4」に当たる映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(原題)』が米国で公開される。こちらではサディアス・E・“サンダーボルト”・ロスがMCU世界の新大統領として登場する。

サンダーボルト・ロスは『インクレディブル・ハルク』(2008) で陸軍将軍として、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) や『ブラック・ウィドウ』(2021) では国務長官としてヒーローの前に立ちはだかった。さらに2025年11月にはサンダーボルト・ロスが結成すると思われるヴィランチームのサンダーボルツを主役に据えた映画『サンダーボルツ(原題)』が公開される。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) では、かつてS.H.I.E.L.D.とCIAに所属していたシャロン・カーターの職務復帰が決定。シャロンは亡命中に裏社会を牛耳るパワー・ブローカーになっており、同作のラストシーンでは「政府の機密や開発兵器の情報が手に入る」と誰かに電話をかけていた。裏社会の大物が米政府の内部に入り込むことになる。

パワー・ブローカーが政府内部に入り込み、サンダーボルト・ロスが大統領に、そしてキングピンがニューヨーク市長になるという展開は、公権力がヴィランに染まっていくというMCUの流れを示している。すでにMCUではストリートレベルのヒーローの脅威としてダメージ・コントロール局が存在感を発揮しており、フェーズ5以降のヒーローたちの主要な敵は公権力ということになりそうだ。

ダメージ・コントロール局とキングピン

S.H.I.E.L.D.もアベンジャーズもなくなったMCU世界では、クレイアリー連邦捜査官を中心としたダメージ・コントロール局が善悪関係なくスーパーヒューマンたちを検挙しようとしている。ダメージ・コントロール局は映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)、ドラマ『ミズ・マーベル』(2022)、ドラマ『シー・ハルク』でヒーローたちを追求する姿を見せている。

ダメージ・コントロール局が台頭した背景には、スーパーヒーローを国連の管理下に置くソコヴィア協定が廃止されたことがあると思われる。廃止の理由は不明だが、廃止されたこと自体は、ドラマ『シー・ハルク』で他でもないマット・マードックの口から語られた。ソコヴィア協定が廃止されたことで、合法的なヒーローが存在しないことになり、ダメージ・コントロール局が幅をきかせる事態になったと想像できる。

ダメージ・コントロール局は連邦組織だが、スターク・インダストリーズが政府とともに発足させた組織であり、ニューヨークに拠点を置いていると見られる。米Phase ZeroのYouTubeでは、マーベル・スタジオのブラッド・ウィンダーバウムは、アベンジャーズ・タワーを買収した人物はいつか明かされると発言した。フィスクがタワーを買収し、トニー・スタークが作った組織を指揮することになるとすれば非常に皮肉な展開だ。

そうでなくても、キングピンが市長に就任すれば連邦組織のダメージ・コントロール局に協力を依頼して邪魔者であるヒーロー狩りを進めるか、ニューヨーク市版のダメージ・コントロール局を発足させるだろう。ソコヴィア協定廃止の事実がマット・マードックから語られたことは、デアデビルがその余波を受ける展開へのヒントだったのかもしれない。

ニューヨークのヒーローたち

ニューヨークにはかつてアベンジャーズタワーがあり、アイアンマン、スパイダーマン、ドクター・ストレンジらが拠点を置いていた。もちろんデアデビルらストリートヒーローも暗躍しており、キングピンのような犯罪組織に対処していた。

だが、トニー・スタークは死に、アベンジャーズは事実上の解散状態となり、スパイダーマンはおそらくミステリオ殺しの汚名を着せられたまま。ドクター・ストレンジは映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) のラストで次元の狭間に消えていき、その後の消息は明らかになっていない。

ニューヨークの平和は、スパイダーマンとケイト・ビショップ、そしてデアデビルあたりのヒーローに託されることになるのだろう。原作コミックでは、スパイダーマンはキングピンの宿敵でもあるし、新たにホークアイを襲名したケイト・ビショップはドラマ『ホークアイ』で対戦済み(しかもケイトが勝利している)。デアデビルは言わずもがなで、いずれのヒーローもキングピンにとっては因縁のある相手だ。キングピンが彼女ら/彼ら若いヒーローを排除しようとするのは自然な流れだと言える。

大物ヴィランの不在

そして物語の外にまで目を向けると、征服者カーンを演じてきたジョナサン・メジャースが2023年12月でマーベル・スタジオから契約解除となった件の余波も考えなければいけない。カーンはフェーズ4以降の括りを意味する“マルチバース・サーガ”の大ヴィランとされており、メジャースの降板に伴い、「アベンジャーズ5」は発表されていた「カーン・ダイナスティ」という副題を変更することが明らかになっている。

もちろん征服者カーンの俳優が新たに立てられる可能性も否定できないが、ドラマ『ロキ』(2021-2023) シーズン2では、今後カーンが登場してもしなくても違和感がないようなラストが用意されていた。マルチバース・サーガがカーン不在で進められるとすれば、当面はサンダーボルト・ロスやウィルソン・フィスクのような等身大のヒーローにとって脅威になるヴィランが活躍を見せることになりそうだ。

映画『マーベルズ』(2023) では、ミズ・マーベルとケイト・ビショップを中心としたヤング・アベンジャーズの結成が示唆された。一方で、USエージェント、ウィンター・ソルジャー、ブラック・ウィドウ(エレーナ)ら、過去にニューヨークでひと暴れした面々を擁するサンダーボルツも、ロスやフィスクの配下につくとすれば厄介だ。

MCUとしては、いずれ宇宙レベルの大ヴィランの再登場は必須。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) で先代アベンジャーズがそうだったように、大物ヴィランが襲来したときには既にチームはボロボロ、ということになっていなければいいのだが……。

ドラマ『エコー』は全5話がディズニープラスで配信中。

ドラマ『エコー』(Disney+)

なお、『エコー』の好調を受けてマーベル・スタジオは今後ストリートレベルのヒーローに注力する方針との報道が出ている。詳しくはこちらの記事で。

Source
Hollywood Reporter / Phase Zero

ドラマ『エコー』最終話第5話のネタバレ解説&考察はこちらから。

第1話のネタバレ解説&考察はこちらから。

ドラマ『ホークアイ』最終話のネタバレ解説はこちらの記事で。

 

ドラマ『ロキ』シーズン2最終話のネタバレ解説はこちらから。

映画『マーベルズ』のラストからポストクレジットシーンまでの解説&考察はこちらの記事で。

 

ドラマ『シー・ハルク』で語られたソコヴィア協定廃止についての考察はこちらから。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』ラストで示唆されたシャロン・カーターの今後についての考察はこちらから。

映画『マーベルズ』で結成が示唆されたヤング・アベンジャーズメンバーの考察はこちらの記事で。

映画『サンダーボルツ』に登場するサンダーボルツメンバーのまとめはこちらから。

ドラマ『ホークアイ』最終話で残された13の謎はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。 訳書に『デッドプール 30th Anniversary Book』『ホークアイ オフィシャルガイド』『スパイダーマン:スパイダーバース オフィシャルガイド』『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース オフィシャルガイド』(KADOKAWA)。正井編『大阪SFアンソロジー:OSAKA2045』の編集担当、編書に『野球SF傑作選 ベストナイン2024』(Kaguya Books)。
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