2期9話/21話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』プロスペラの復讐 | VG+ (バゴプラ)

2期9話/21話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』プロスペラの復讐

© 創通・サンライズ・MBS

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期放送中!

2023年4月9日(日)より、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期が放送中だ。ガンダムテレビアニメシリーズ初の女性主人公作品ということでも話題を呼んだ本作。2022年10月より放送された1期で積み残された数々の謎の真相も次第に明かされつつある。ネタバレありで早速2期9話/21話「今、できることを」の感想、および解説をしていきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期9話/21話の内容に関するネタバレを含みます。

シャディクとミオリネの再会

荒廃したアスティカシア高等専門学園に取り残された生徒たちにトマトを配るスレッタたち。ミオリネの菜園で収穫した後、冷凍保存されていたものだ。自ら積極的に「自分にできること」を探して行動するスレッタには、かつての受動的な態度は見られない

一方、ミオリネは拘束されたシャディクと面会する。既に打つ手のなくなったシャディクはミオリネに洗いざらい自白する。宇宙議会連合とは大分前から接触をしていたとのことだ。しかし踏ん切りがついたのは、と言葉を切ったシャディクの様子からすれば、やはりエアリアルとの決闘に負けたことがきっかけだったようだ。

公私どちらの領域においてもミオリネを抱き込むことが叶わなくなったシャディクは、自らの手を汚し覇道を進む決意を固めたということだろう。しかし、気になるのはやはり宇宙議会連合の組織形態や規模だ。ここでいう議会とは果たして何なのだろうか。議会というからにはそれはやはり国家の立法機関を指しているという理解で良いのだろうか。

つまり、各フロント単位で‟国家”が成立しており、その議会が連合して宇宙規模の組織を形成しているということだろうか。ベネリットグループの企業活動はフロントを股にかけ宇宙規模で展開されているが、各フロント内での営利活動は各フロント議会の制定した法律に拘束されていると理解すればいいだろうか。

いかんせん、宇宙議会連合という名前だけが独り歩きしていて細部の描写がないためにここは想像するしかない。しかし、もしそうだとすれば宇宙議会連合はベネリットグループさえも拘束する法律を司っているということになる。そして、法律が何故効力を持つのかといえば、それは身も蓋もなくその後ろ盾となる軍事力によって支えられているからだ。

即ち、シャディクの目論見通り仮に宇宙議会連合がベネリットグループへ‟介入”することが可能だとすれば、それは宇宙議会連合の持つ軍事力がベネリットグループの持つ軍事力を上回っているということだ。そして、シャディクが壊そうとした戦争シェアリングについても未だその実態は不明だ。

戦争シェアリングはベネリットグループがグループ内の企業の営利のために文字通り戦争を‟シェア”して互いのMSを売り付けることで儲けていたのか、それとも宇宙議会連合という上位組織から‟委託”される形で地球の支配のために構築された制度だったのか。いずれにせよ、それが宇宙と地球の格差を固定化し、軋轢を生む原因であるならばそれには何かしらの物語的な解決が図られてほしいものだ。シャディクは挫折したが、果たして。

筆者の感想としては、シャディクは宇宙議会連合の介入によってベネリットグループを解体しようと目論んでいた以上、やはり戦争シェアリングは一義的にはベネリットグループに責任があるのだと思う。しかし、宇宙議会連合は宇宙議会連合で当然スペーシアンの利益のために動く組織ではあるだろう。シャディクは宇宙議会連合のベネリットグループへの武力介入を誘発させることで、ともに地球に対して強大な権力を持つ組織の共倒れを狙っていたとも考えられる。

起動したクワイエット・ゼロ

だが、シャディクの目論見はペイル社の‟裏切り”によって成就する。ミオリネがベネリットグループの新総裁の座に就いたタイミングで、ペイル社CEOの4人はベネリットグループから離反。フロント平和を脅かすものとしてベネリットグループのこれまでの罪業を告発し、宇宙議会連合のベネリットグループへの武力介入を招いた。

さすがのシャディクもここまでが筋書き通りという訳でもなかっただろう。アーシアンの立場からスペーシアンの権力を奪うつもりであったとは言え、それでもミオリネを矢面に立たせることは本意ではなかった筈だ。だが、既に囚われのシャディクには事態をどうすることもできない。このまま推移を見届けるのが、彼に残された最後の役割なのだろうか。

その混乱の最中、遂にクワイエット・ゼロは起動する。これまで名前しか語られてこなかったクワイエット・ゼロだが、その正体は巨大な宇宙要塞だった。GUND技術によりデータストームを世界中に展開することがその機能、および目的なのだろうか? データストームとは、GUND技術においてパーメットが人体に流入した際に掛かる負荷のことと説明されるが、プロスペラによればエリクトは‟その先”に生きているとのことだ。

さて、PROLOGUEを観た者ならば誰しも同じ感想を持つだろう。プロスペラの復讐は遂に‟果たされた”と。クワイエット・ゼロ起動後の惨状は完全にPROLOGUEにおけるプロスペラ=エルノラの立場を反転させたものだ。宇宙議会連合の武力介入に対して、プロスペラはエアリアル=エリクトとともにクワイエット・ゼロを起動させ迎撃する。

制御を奪われ、為す術なく沈められていく宇宙議会連合のMS、艦船。その圧倒的な破壊力を目の当たりにし息を飲むグエルとミオリネ。ここはまさに、ヴァナディース機関に所属する一研究者であっ若きエルノラが、デリングの命令によって出撃したドミニコス隊によって夫や恩師を含む仲間を虐殺された‟ヴァナディース事変”の意趣返しとも呼べる描写だ。

ヴァナディース事変においては圧倒的な軍事力によって蹂躙される側であったエルノラが、今度はプロスペラとして同じく軍事介入してきた宇宙議会連合の艦隊をそれを上回る暴力によって鎮圧したのだ。果たしてプロスペラは、手にしたその圧倒的な力によって、何を実現するつもりなのだろうか。プロスペラの言う‟データストームの先”とは何か。エリクト1人を生かすために、人類はどれ程の犠牲を払わされるのだろうか。

後期主役機となるか、ガンダム・キャリバーン

そして、遂にスレッタの最終搭乗機であろうガンダム・キャリバーンの存在が明かされた。これまで一切アナウンスがなく、エアリアルの代わりにスレッタが乗るのはガンダム・シュバルゼッテではないかと思われていたが、その予想は見事に覆された。あの悪役面のガンダムに女性主人公が乗るというのも見てみたくはあったが、どうやらガンダム・シュバルゼッテには復讐心に燃えるラウダが乗ることになりそうだ。

キャリバーンとは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の元ネタの1つであるシェイクスピア作『テンペスト』に登場する怪物の名前‟キャリバン”と、アーサー王が持つ剣である‟エクスカリバー”を掛け合わせたものであるようだ。プロスペラとの因縁を絶ち、呪いを祝福へと変える刃となるか。1期最終回/12話の時点では、早過ぎる主役機の改修について2期における‟最終形態”が用意されているのではないかと予想したが、どうやら別機体への乗り換えとなる模様。

だが、話数も残り3話となり劇的な主役機の乗り換えイベントを用意することは困難ではないかとの感想を抱いた。これまでも1期最終回/12話における「やめなさい!」シーンに代表されるように、スレッタには主人公らしく‟それが何らかの変化に繋がるような劇的なイベント”は用意されてきた。しかし、2期2話/14話におけるソフィの死、あるいは2期6話/18話において自らの出自を告げられたことも含め、スレッタにはあまりにも動揺が見られない。何故か、せっかくのイベントがスルーされてきてしまったのだ。

物語を外から眺める視聴者には、スレッタの視点からは捉えられないあらゆる情報が与えられている。だからスレッタの正体がエリクトのリプリチャイルド(クローン)ではないかという予想を交えながら作品を楽しむことができた。だが、まさに物語の中を生きているスレッタにとって、それはそもそも予想できないことだった筈だ。その予想外の状況に見舞われたり、予想外の事実が明かされたりした時にはやはり驚いてほしいというのが正直な感想だ。

何が起きても驚かない主人公を見せられると、最初から定められた筋書きに沿って物語が展開させられているだけで、その物語を‟主人公自身が生きている”実感に乏しいという感想になってしまう。つまり、物語への没入感を妨げられてしまうのだ。ミオリネとデリングに銃を向けるテロリストを「やめなさい!」と言ってエアリアルで潰したスレッタは、その後血に塗れながら何故あのような屈託のない笑顔をミオリネに見せることができたのだろうか。それが未だに引っ掛かる。

このシーンを観た当初、筆者はスレッタは母プロスペラによって何らかの‟洗脳”状態に置かれており、謂わば責任能力を問えない状態にあるのだろうという感想を抱いた。だが、実際に作中で明かされた事実によればスレッタは単にエリクトの遺伝子から造られたリプリチャイルド、一種のクローン人間であり、肉体は人為的に造られたものであれその精神に何らかの仕掛けを施されて支配されているということではどうやらないらしい。

であれば、テロリストを潰したのはスレッタ自身の意思によるものだったということになる。それはいい。生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの瀬戸際で他者の命を奪うことを選ぶことには合理性がある。だが、軍人として訓練された訳でもなく、事実、その直前のシーンではプロスペラの銃撃によって死んだテロリストを見て怯えていたスレッタが、あの短時間で人の命を何とも思わないかのように叩き潰し、あまつさえ笑顔を浮かべるということにはどうしても違和感が残る。

そこに‟スレッタ自身の葛藤”が描かれぬ限り、それはやはりどうしても人目を引くためのギミック、製作者の都合によって作られたシーンであり、物語的な必然性からは離れたご都合主義だという感想を抱かざるを得ない。だからこそ、繰り返すが見たかったのはスレッタ自身が己の行為を、生きる世界をどう捉えるかという価値判断とそれによって引き起こされる葛藤なのだ。それこそがドラマということではないかと思う。

このように、あまりにもスレッタ自身の内面が描かれることなくストーリーが進行してきてしまったため、クライマックス直前になっての主役機交代という、本来この上なく劇的なイベントもその醍醐味が充分味わえるのだろうかと正直不安な感想を抱いてしまう。何故なら、そもそもスレッタには物語初期からエアリアルに乗ることに対する主体的な動機が描かれてこなかったためだ。エアリアルに乗ること、ガンダムに、MSに乗ることのスレッタにとっての意味とは何か。

この点がこれまでの物語において充分描かれてきたならば、その上で新型機であるガンダム・キャリバーンに乗り換えることには物語的なピークがもたらされ、視聴者はこの上なく熱くなることができるだろう。しかし、これまでスレッタが何故MSに乗るのかという主体的な動機が描かれてこなかったために、ガンダム・キャリバーンも単に‟プロスペラとの最終決戦に主人公を向かわせるため”という物語の外の都合で乗らされてしまうというだけに見えてしまわないかという危惧がある。

こんな筆者の感想など吹き飛ばし、杞憂を証明してくれるクライマックスに期待したい。最終決戦を前に、エラン(5号)も加わり遂に主人公勢力としてまとまった感のある地球寮=株式会社ガンダムチーム。だが、主要戦力としてガンダム・キャリバーン、デミバーディングだけではやはり心許ない。個人的には、温存されている筈のガンダム・ファラクトに、鹵獲したガンダム・ルブリス・ウルのパーツや技術を融合させガンヴォルヴァを操作可能となったガンダム・ファラクトの最終形態が加わることを期待したい

スレッタはやはり‟オリジナル”の座を巡りエリクトと戦う運命なのだろうか。その戦いの末にプロスペラを止めることはできるのか。このままエアリアルがラスボスとなれば、ガンダム作品初の前期主役機がラスボスとなる展開だ。エアリアルが序盤から見せた圧倒的な強さもこのための布石だったと思えば頷ける。最後にスレッタが、ミオリネが、グエルが、チュチュたち地球寮のメンバーが目にする景色が‟祝福”されたものであることを祈って、残り3話の物語を見届けたいと思う。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットで放送中。バンダイチャンネル、ガンダムファンクラブ、dアニメストア、アニメタイムズ他各種配信サイトでも配信中。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』公式サイト

2期9話/21話はAmazonプライムビデオ他で配信中。

1期はAmazonプライムビデオ他で配信中。

第12話 機動戦士ガンダム 水星の魔女

Blu-rayはvol.1〜4が発売中。

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腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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