2期2話/14話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ニカとの訣別と果たされなかった‟決闘” | VG+ (バゴプラ)

2期2話/14話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ニカとの訣別と果たされなかった‟決闘”

© 創通・サンライズ・MBS

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期放送中!

2023年4月9日(日)より、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期が放送中だ。ガンダムテレビアニメシリーズ初の女性主人公作品ということでも話題を呼んだ本作。2022年10月より放送された第1期で積み残された数々の謎の真相も次第に明かされつつある。ネタバレありで早速2期2話/14話「彼女たちのネガイ」の解説をしていきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期2話/14話の内容に関するネタバレを含みます。

遂に明かされたプロスペラの目的

プロスペラから「クワイエット・ゼロ」をデリングより引き継ぐように打診されたミオリネは一旦拒絶するものの、創案者が「ノートレット・レンブラン」であることを告げられ逡巡する。それはミオリネの母の名だった。

プロスペラの解説によれば、クワイエット・ゼロとはデータストームの「既存のネットワークとは異なる超密度情報体系を発現」する性質を利用して「パーメットリンクを介したあらゆるシステムを制御する」新機軸のネットワーク構想とのことだ。

この冒頭パートでこれまで最大の‟謎”だったプロスペラの目的が明かされ、クワイエット・ゼロやエアリアルの役割についての劇中の解説も分かり易かった。改めて解説すると、プロスペラの目的はクワイエット・ゼロによって「争いのない世界」を実現することで、その為にはGUNDフォーマットのデータストームを利用する必要がある。クワイエット・ゼロのトリガーであるエアリアルを最適化するためにプロスペラはスレッタとエアリアルをアスティカシア高等専門学園に編入させ、決闘に参加させた。

感想としては、クワイエット・ゼロがデリングおよびノートレットの発案であり、それにプロスペラが乗る形で進んだ計画だと明かされたことでこれからの物語がどこへ向かうのかという指針が得られた印象だ。これまでプロスペラの目的が明かされぬままにその‟不穏さ”のみが描かれてきたため、視聴者は困惑のままに行く末を見守るしかなかった。

しかしプロスペラの目的が「争いのない世界」の実現だということが明かされたので、ひとまずはそこに向けてどのように動いていくのかという視点から観ることができるようになった。いわば一つ‟足場”を得られた感覚だ。だが、目的は必ずしも手段を正当化しない。いくら目的が崇高なものだとしても、そのために採られる手段が誰かに犠牲を強いるものである時、犠牲とされる者の立場からはそれは認められない。

クワイエット・ゼロというのは、平たく言えば情報の流通の大元を握ることで権力を一元化するシステムということだろう。つまり、誰もがプロスペラに管理されることによって結果的にこの世から争いの余地がなくなるということではないか。しかし、それは要するに争うことさえ含み込む‟自由”を人々に手放させることと同義ではないのか? ということは、やはり『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ではこれまでも幾度も問われてきた「(争う)自由」か「(管理された)平和」かというテーマが描かれていくということだろうか。今はまだ自分の‟不自由”にさえ気付いていないスレッタは、これからどちらを選んで歩いていくのだろうか。

ニカとの訣別と果たされなかった‟決闘”

ソフィやノレアとの関係を問うスレッタにニカは自分も孤児であることを打ち明け、学校に憧れを持っていたスレッタに「自分を重ねていただけ」だと言って去る。その後、ニカは学園に乱入してきたガンダム・ルブリス・ウル、ガンダム・ルブリス・ソーンの事情についてフロント管理者に打ち明けようとするが、シャディク配下のエナオ・ジャズによって拘束された挙句テロ等準備罪の容疑で指名手配されてしまう。これが二人の最後の会話とならないことを祈るばかりだ。

アスティカシア高等専門学園ではオープンキャンパス特別イベントとして‟ランブル・リング”が開催される。制限時間30分のバトルロイヤル方式で、最後まで残っていたパイロットが勝者となる参加自由のエキシビジョンだ。

しかし、その乱戦の最中、ソフィ駆るガンダム・ルブリス・ウルとノレア駆るガンダム・ルブリス・ソーンが乱入してくる。ノレアはガンダム・ルブリス・ソーンのビームを実戦仕様にして学園の生徒ごとMSを破壊する。学園の生徒は初めて‟戦死者”を目撃した。

2期1話/13話ではスレッタはファラクトに乗るノレアに決闘を挑んだ。なので、2期2話/14話ではまずはファラクトに乗るノレアとエアリアルを駆るスレッタとの決闘が描かれ、その上で自らの本来の乗機であるガンダム・ルブリス・ソーンに乗るノレア、ガンダム・ルブリス・ウルに乗るソフィらとの戦いが描かれるのかと思っていた。

しかし、実際にはランブル・リングの場にソフィとノレアはいきなり実戦仕様のガンダムで乱入してきた。シャディクの養父であるサリウスもシャディク自身の手により拘束されてしまい、いよいよ舞台は学園生活を離れ‟戦争”へと突入してしまうようだ

ところで、戦争を描くにあたりやはり気になるのはそれが‟誰と誰の”戦いなのかということだ。これまで『機動戦士ガンダム 水星の魔女』世界では国家の存在が描かれてこなかった。軍用MSは存在するらしいが、肝心のその軍がどこに属しているのかも明確ではない。

仮に企業がそれぞれに軍を持ち国家の機能を代替しているのだとしたら、ベネリットグループはグループに属していない別の企業体と戦争しているということなのだろうか? しかし、それは必ずしも「地球の企業連合」と「宇宙の企業連合」という対立でもないようだ。現に、ベネリットグループ管理下のアスティカシア高等専門学園にも地球寮が存在し、出身の別を問わず企業には所属できるようだ。

モビルスーツに乗ったら人は死ぬ、学校で習わなかったの?

「やめてください、人が死んじゃう」と止めようとするスレッタに、ソフィは「モビルスーツに乗ったら人は死ぬ、学校で習わなかったの?」と返す。ソフィはガンダム・ルブリス・ウルで学園の壁を破壊し、2機のMSは宇宙空間へと戦いの場を移す。

この台詞は『機動戦士ガンダム 水星の魔女』という作品を象徴する非常に秀逸な台詞だとの感想を持った。これまでの決闘も実際にMSに乗って行われ、ビームも撃ち合われていたので当たり所が悪ければ普通に人が死んでしまうのではないかと思っていた。少なくとも安全に配慮されているとは感じられない。配慮するのであれば模擬戦よろしくペイント弾などを使うべきだが、それではエンタメ作品としての迫力に欠けるということだろう。

劇中の設定としてはビームの出力調整や、そもそも決闘仕様のMSはコクピットに攻撃が当たらないように補正されているということらしい。しかし、実戦仕様のガンダムで強襲してきたソフィとノレアの二人によって決闘中に戦死者が出てしまった。そのことにスレッタを含む学園の生徒たちは衝撃を受ける。

そこでソフィが言うこの台詞は、何重もの意味を帯びて響く。一つは劇中で学園の生徒に向けてのものだ。人の死なない安全な決闘と言っていてもMSという人殺しの兵器に乗って戦っているのだから、そんな‟安全”などそもそも幻想でしかなかったと彼らの浸る欺瞞を剥がす言葉だ。そして、その言葉の通りに学園という安全圏の外へと物語の舞台は広がっていく。

そして、この言葉はまさに『機動戦士ガンダム 水星の魔女』をスクリーン越しの安全圏から観ている筆者を含めた視聴者に向けられたものでもある。学園ものだ、百合ものだと言って騒いでいたって、これは‟ガンダムもの”であり、つまりは人の生き死にがかかったドラマが展開される作品なのだという製作陣のメッセージとも受け取れる。

更に言えば、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』1期最終回12話でプラント・クエタを襲撃したソフィに対して、ガンダム・エアリアル改修型に乗り込んだスレッタが言った「お母さんから教わらなかったんですか、そんなことしちゃダメです!」という台詞に対するアンサーともなっている。

スレッタの言葉が母=プロスペラを無条件に信じていて、初出撃の決め台詞としては場面と裏腹に主体性に欠ける印象であるのに対し、ソフィの言葉はそうしたスレッタの受け身な態度を手玉に取るような迫力がある。MSが危険なんてことは学校で教わるまでもない常識であり、しかしそのことを学園の生徒=視聴者は見て見ぬフリをして過ごしてきた。見て見ぬフリをするなら学校で教われ、いや自分が今教えてやるという訳である。MSが激しく戦いながらも死人が出ない、安全圏で決闘を楽しむ学園の生徒と視聴者が共有する欺瞞を鋭く突く挑発的な台詞だ。

エリクトの所在

そして、大方の予想通りやはり「PROLOGUE」に登場したエリクト・サマヤはエアリアルの内部に‟居る”ようだ。詳しい仕組みは明かされていないが、どうやらGUNDフォーマットを利用することで人間の人格をMSに移植することも可能らしい。

ということは、公式ページに掲載されている前日譚「ゆりかごの星」で描かれるエアリアルの一人称「僕」とはエリクトの視点なのだろうか? あるいはこれまでスレッタがガンビットを操作する際に「みんな」と呼んでいたことから、エアリアルの中にはエリクト以外にも様々な‟人格”が内包されているということなのか。

2期2話/14話全体の感想として、やはりソフィの退場が残念だった。タイミングとしてもまだ‟新キャラ”の印象が抜けないくらい早過ぎたし、退場の仕方も死力を尽くして戦った果てにというよりはMSの性能に負けて自滅してしまったというところが消化不良な印象だ。

勿論、スレッタ自身に手を下させる訳にはいかないだろうが、狂暴性を見せ付けつつも‟普通の幸せ”を求める子供らしさも持ち合わせるソフィであれば、大人になろうと背伸びをして、そのことによって確かに大人になってしまったかも知れないシャディクと戦うような場面を見てみたかったとも思う。少なくとも、スレッタとは生きていればもっと関係を深められた筈だ。

いよいよ育ての親であるサリウスにさえ牙を剥いたシャディクは、どうやら『機動戦士ガンダム 水星の魔女』世界のヒールとして引き返せない場所まで来てしまったようだ。プロスペラの目的が明らかとなった今、気になるのはシャディクの真意だ。今後の物語はこの二人の利害の対立を軸に進んでいくのだろうか? 今のところ接点のないプロスペラとシャディクだが、どうやら手を組みそうな雰囲気はない…

そして、2期2話/14話にして未だ姿を見せないボブことグエルがどうしているのかも気になる。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』屈指の人気キャラクターだけに、早く活躍を見たいところだ。いや、活躍とまでは言わないからせめて無事な姿を見せて欲しい。グエルがいつ登場するのかも含めて、今後の展開から目が離せない。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットで放送中。バンダイチャンネル、ガンダムファンクラブ、dアニメストア、アニメタイムズ他各種配信サイトでも配信中。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』公式サイト

2期2話/14話はAmazonプライムビデオ他で配信中。

1期はAmazonプライムビデオ他で配信中。

第12話 機動戦士ガンダム 水星の魔女

Blu-rayはvol.1〜4が発売中。

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2期1話/13話のネタバレ感想&解説はこちらから。

1期最終回12話のネタバレ感想&解説はこちらから。

1期1話のネタバレ感想はこちらから。

 

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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