2期4話/16話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』スレッタとミオリネの再会 | VG+ (バゴプラ)

2期4話/16話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』スレッタとミオリネの再会

© 創通・サンライズ・MBS

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期放送中!

2023年4月9日(日)より、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期が放送中だ。ガンダムテレビアニメシリーズ初の女性主人公作品ということでも話題を呼んだ本作。2022年10月より放送された1期で積み残された数々の謎の真相も次第に明かされつつある。ネタバレありで早速2期4話/16話「罪過の輪」の感想、および解説をしていきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期4話/16話「罪過の輪」の内容に関するネタバレを含みます。

エリクト+ルブリス=エアリアル

「PROLOGUE」に登場したエリクト・サマヤの居場所を問うベルメリアに、プロスペラはエリクトがガンダム・エアリアルに宿っているという真実を告げる。エリクトの幸せのために協力してくれと言うプロスペラをベルは拒絶するが、エランをはじめとする‟強化人士”の発明に携わった自分も同罪だと看破されてしまう。

1期からの最大の謎であった‟エリクトの居場所”は14話で明かされていたが、ここではより踏み込んだ解説が行われた。プロスペラによれば、エリクトの生体コードはデータストームと完全に同調できていたとのことだ。しかし、過酷な宇宙環境にはエリクトの幼い身体は耐えることができなかった。そこでプロスペラはエリクトをルブリスに移植し、‟エアリアル”として生き延びさせることに決めたのだ。

「PROLOGUE」の内容、そしてガンダムシリーズ恒例の‟復讐者”の記号としての仮面からプロスペラは登場当初よりその目的はデリングへの復讐にあると思われていた。しかし劇中でデリングと手を組む描写が見られ、その真の目的は謎に包まれていた。クワイエット・ゼロの成就のためにデリングと手を組むにせよ、そうまでして何故クワイエット・ゼロを成就させたいのかというプロスペラ自身の望みは何なのか?

この目的が定かでない以上、プロスペラの行為を是とも非とも判断できない不安の中で物語が展開されてきた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』だが、2期4話/16話においてようやくその足掛かりが得られた形だ。つまり、デリングへの復讐が視聴者に対するミスリード、偽の目的であるのと同様に、スレッタもプロスペラにとっては偽物だとすれば、エリクトさえプロスペラの‟真の目的”のために手段として用いられているに過ぎない可能性があった。

しかし、2期4話/16話の内容からは、ひとまずプロスペラにとってエリクトの存在は‟真実”と見なして良いだろう。すべてはエリクトを幸せにするためであって、そのためであればデリングとも手を組めばスレッタを道具として用いもするというわけだ。

ミオリネとグエルの帰還

「罪禍の輪」というサブタイトル表記の後に、破壊された‟輪”としてアスティカシア高等専門学園のフロントが修理される様子が描かれた。これは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期4話/16話の内容を象徴する秀逸な演出だ。

アスティカシア高等専門学園へのテロ事件の容疑が晴れたミオリネは地球寮=株式会社ガンダムへと帰還する。時を同じくしてグエルも地球からアスティカシア高等専門学園へと帰還、シャディクはベネリットグループの総裁選への出馬を決める。

ミオリネはかつて地球への脱出を依頼した宇宙議会連合のエージェントであるフェンにニカの行方を探るよう依頼するが、見返りとして株式会社ガンダムへの自由な立ち入りを許す。宇宙議会連合は、どうやらベネリットグループとは対立とは言わないまでも独立した価値観やシステムを持つ組織のようだ。口実を見付けてはベネリットグループへの介入を目論んでいるが、それが表立った紛争へと発展しないためにもフェンらは株式会社ガンダムのベネリットグループ内での位置付けを探りたいということらしい。

確かに、物語を外部から見ている視聴者の視点ではなく、劇中人物の視点からは何故グループ末端に過ぎない株式会社ガンダム所有のガンダム・エアリアルの改修にあれだけの費用と資材が投入されたのかという疑問は尤もだろう。果たして宇宙議会連合はクワイエット・ゼロの真実に辿り着くのだろうか。あるいはミオリネが宇宙議会連合と手を組みクワイエット・ゼロ阻止に向けて動き出すという展開も考えられる。

ニカの行方を掴めてはいないものの、探してくれたことについてチュチュはミオリネに「ありがとう」と礼を言う。何かと暴力の印象の強い‟チュチュ先輩”だが、やはりその態度には一本筋が通っている。意外な言葉を掛けられたミオリネも、今まで見せたことのない柔和な表情で「どういたしまして」と素直に応じていた。社長と社員、スペーシアンとアーシアンという非対称な関係にある二人が互いを認め合う感動的なシーンだ。

一方、放浪から学園へと帰還したグエルの動きにも注目だ。実際の戦場で人の死をその目に焼き付けたグエルは、大きな理想のために具体的な個人を駒のように動かそうとするシャディクやプロスペラとは異なる立ち位置にいる。そんなグエルがラウダに代わりジェターク社のCEOの立場に立つとしたら、その権力をどのように使うのだろうか。

これまでひたすら状況に翻弄され続けてきたグエルは、その状況によって否応なく変化させられてきたが、一貫した自らの目的というものは描かれてこなかった。これはひたすら母親の、プロスペラの言うがままに行動し自らの主体的な欲望を見せていないスレッタと実は鏡映しの関係にあると言えるだろう。ジェターク社のトップになったグエルがその権力と技術を用いて、人を救うための医療技術としてガンダムを用いるとするミオリネ率いる株式会社ガンダムと提携していく展開も有り得るのではないだろうか。

スレッタとミオリネの再会

株式会社ガンダムにようやくミオリネが帰還したものの、スレッタは自ら声を掛けることができない。ティルの助けによってミオリネと二人で菜園に向かったスレッタだが、やはりミオリネの態度はぎこちない。以前と異なり、互いの距離を確かめるような慎重な言葉遣いながらも「人殺し」の言葉を詫びるミオリネに、しかしスレッタは以前と同じ無邪気さで応じる。

母親に言われれば人も殺すのかと言われてなお頷くスレッタの様子は、これまでで最もスレッタの異様さが際立ったシーンだ。一体何故スレッタはこうまでプロスペラを盲信しているのだろうか。スレッタは自らの夢としてミオリネに語った、学園に来た目的である筈の「水星に学校を作ること」さえもプロスペラに言われれば諦めるのだと言う。

主人公にはやはりドラマを動かして欲しいというのが正直な感想だが、これまでのところスレッタは『機動戦士ガンダム 水星の魔女』という作品において目的を持って行動することによって物語を動かすエンジンというよりは、むしろ物語において最終的に解かれる謎、‟目的”そのもののように見受けられる。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』という作品は、主人公であるスレッタが目的のために行動することでどこかに辿り着くというより、ミオリネやグエルといった周囲の人物が最終的に‟スレッタに辿り着く”までを描く物語なのだろうか。

これまでのところ、やはりスレッタよりはミオリネやグエル、シャディクの方が自らの目的のために主体的に行動しており、そのことによって物語を動かしてきた。1話の解説記事では『少女革命ウテナ』(1997)のオマージュについて触れたが、改めてここまでの展開を振り返ってみると丁度『少女革命ウテナ』の主人公であるウテナ、ヒロインであるアンシーの立場を入れ替えたものがスレッタとミオリネのようにも見える。

ウテナは勝気な性格で自ら信じる正義のために能動的に動いていく。対するアンシーはひたすら消極的で状況に順応する様子が描かれた。このアンシーを中身はそのままに主人公のポジションに配置したものがスレッタだろう。ヒロインとして扱われながらも、むしろミオリネの方がウテナを想起させる。そしてこの対比は勿論意図的なものだろう。主体に消極的なキャラクターを、客体に能動的なキャラクターを配置することによって物語がどう動くのかという実験的な試みも感じられる。

ミオリネに「人殺し」と呼ばれて距離が出来てしまい、それからようやくの再会を経てもそれ以前と何も変わらない屈託のなさを見せるスレッタはやはり‟異様”としか形容できない。少なくとも今のところ視聴者の共感を呼ぶ人物造形にはなっていない。そんなスレッタは、では果たして何があれば‟変わる”ことができるのだろうか。

今はまだその取っ掛かりすら見当たらない状態だが、代わりにミオリネがプロスペラに肉薄しつつある。父であるデリングの罪を知り、自らもまた無辜ではないと知らされたミオリネは、しかし復讐は大人同士でケリを着けろとプロスペラに反撃する強かさも持っていた。果たしてミオリネとプロスペラが手を組むことはあるのか。そしてミオリネに‟見付けられる”のを待つばかりでなく、スレッタがミオリネを‟見付ける”ことはあるのか。今後の物語の展開にも目が離せない。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットで放送中。バンダイチャンネル、ガンダムファンクラブ、dアニメストア、アニメタイムズ他各種配信サイトでも配信中。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』公式サイト

2期4話/16話はAmazonプライムビデオ他で配信中。

1期はAmazonプライムビデオ他で配信中。

第12話 機動戦士ガンダム 水星の魔女

Blu-rayはvol.1〜4が発売中。

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2期1話/13話のネタバレ感想&解説はこちらから。

2期2話/14話のネタバレ感想&解説はこちらから。

2期3話/15話のネタバレ感想&解説はこちらから。

1期最終回12話のネタバレ感想&解説はこちらから。

1期1話のネタバレ感想はこちらから。

 

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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