2期6話/18話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』遂に明かされたスレッタの正体 | VG+ (バゴプラ)

2期6話/18話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』遂に明かされたスレッタの正体

© 創通・サンライズ・MBS

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期放送中!

2023年4月9日(日)より、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期が放送中だ。ガンダムテレビアニメシリーズ初の女性主人公作品ということでも話題を呼んだ本作。2022年10月より放送された1期で積み残された数々の謎の真相も次第に明かされつつある。ネタバレありで早速2期6話/18話「空っぽな私たち」の感想、および解説をしていきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期6話/18話の内容に関するネタバレを含みます。

セセリア大人気

グエルとの決闘に敗れ、ミオリネとエアリアルを奪われたスレッタはしかし普段以上に明るく振舞うが、そのことによってチュチュをはじめとする地球寮の面々に心配させてしまう。変わらず菜園のトマトの世話をするスレッタにチュチュはこのままでいいのかと問い質すが、そこにラウダ一行が現れる。

例によってチュチュはラウダへと食ってかかるが、意外にもラウダはランブル・リングの襲撃においてチュチュに命を救われたことに礼を述べてその場を立ち去った。兄、グエルへの執着のみが取り上げられがちなラウダだが、筋を通すべきところでは筋を通す冷静さもやはり持ち合わせているようだ。

そんなラウダの意外な反応に困惑しつつも、チュチュはミオリネと話し合えとスレッタを連れ出す。怪我を理由に一人地球寮に取り残されたマルタンは、ニカを密告した自責の念に耐えられずに懺悔室に赴くが、告白の後に扉の奥から出てきたのはセセリアだった。

ここはセセリアの人気の上昇に伴いファンサービスとして追加されたシーンだろう。最初は決闘委員会の場にふんぞり返って嫌味を言うだけのキャラクターで、特にドラマに絡む役割は与えられていなかった。だが、その容貌と言動から‟メスガキ”キャラとしてネットで人気が急上昇していき、ランブル・リングの決闘では不在の御三家メンバーに代わり立会人を務めるなど、着実に出番を増やしていった。

まさか懺悔室のシスター(?)までやっているとは思わなかったが、ここで見知らぬキャラクターを出されても視聴者は困る。マルタンの後ろめたさを示しつつも過度にシリアスにはさせない『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では貴重なギャグシーンだ。

シュバルゼッテ登場

一方、社の建て直しのために融資を受けたいグエルだが実績のなさにより難航する。プロスペラはそんなグエルに秘密裡に開発しているMSを切り札にしろと助言する。そのMSこそ、次世代コンセプトモデル「シュバルゼッテ」だ。

かねてよりガンプラ発売がアナウンスされていた「ガンダム・シュバルゼッテ」の原型機ということだろう。初登場時は装甲もまだ全身に取り付けられてはおらず、マスクもガンダムタイプのものではなかった。だが、はっきりしたのはガンダム・シュバルゼッテは大方の予想通りジェターク社製のMSということだ。

しかし、気になるのはそのパイロットだ。OP映像には、射撃系の新装備を施されたダリルバルデや左腕にランス状の武装を備えたミカエリスが描かれている。2期5話/17話の決闘でグエルは再びダリルバルデに乗りスレッタとの決闘に勝利したが、この時にはまだ新装備状態ではなかった。

ということは、やはりこれからまだダリルバルデの出番はあるということだ。それには当然グエルが乗るとするならば、ガンダム・シュバルゼッテには一体誰が乗ることになるのだろうか。見るからにライバル機然とした見た目だが、これまでもガンダムシリーズでは度々主人公が別の機体に乗ったり、別のキャラクターが主人公機に乗る展開が描かれてきた。

古くは初代『機動戦士ガンダム』(1979~1980)の時点で、アムロに代わって独断でガンダムに乗り出撃したセイラが窮地に陥り、逆にアムロの乗ったガンキャノンに助け出される展開が描かれた。接近戦用の武器を持っていないガンキャノンだが、アムロが乗ることでザクをタコ殴りにして行動不能に陥らせる活躍を見せた。まさにシャアがかつてアムロ乗るガンダムに向けて言い放った、ガンダム史に残る名台詞「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということを・・・教えてやる!」をアムロ自身が証明した恰好だ。

シュバルゼッテの意味はドイツ語でシュバルツ=黒、エッテ=代用品とのことだ。黒い代用品。そもそもガンダムとして造られた訳ではない‟紛い物”が「ガンダムになる」ということであれば、むしろそれは主人公に相応しい機体のようにも思える。近代以降の‟成長物語”において自己実現とは血統の正当性によって支えられるものではなく、個人の努力で成し遂げられるものだからだ。その意味で出自が紛い物であるシュバルゼッテが「ガンダム・シュバルゼッテ」となるのはむしろ王道の展開だ。気がかりなのは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』において「ガンダムになる」ことは祝福というよりもむしろ呪いを背負うことに繋がりそうな点だが…

スレッタの正体

そしてそれはやはりスレッタ自身の出自にも重ね合わされる。今回遂に明らかとなったスレッタの正体。それは、スレッタがエリクトの遺伝子から造られた‟リプリチャイルド”だということだ。耳慣れない用語だが、意味するところは端的に言えばクローンということだろうか。

やはりエリクトこそが‟オリジナル”で、スレッタ自身はそのオリジナルを維持するためのパーツに過ぎなかった。つまり紛い物であった訳だ。だが、スレッタの手によりパーメットスコア8に至ったエアリアルは最早パイロットを必要とせず、エリクトがエアリアルを自身の‟身体”として動かすことが可能らしい。そこで用済みとなったスレッタはプロスペラから学園に戻るよう促される。

スレッタの正体については大方の予想を裏切るものではなかっただろう。だが、それが明かされることに作劇上意味を持つドラマが用意されているとは言い難かった点は正直不満という感想だ。

記憶に新しい2期2話/14話におけるソフィの戦死や2期3話/15話のグエルが見た地球の凄惨な現実、もっと言えば1期最終回/12話におけるスレッタの「やめなさい!」などこれまでも『機動戦士ガンダム 水星の魔女』には度々センセーショナルなシーンが描かれてきた。しかし、それらのシーンは単体でいくらインパクトがあろうとも、物語という全体の流れの中でどのような意味を持つのかというところで評価が分かれてくるだろう。

これまで、筆者はスレッタの正体および精神状態、プロスペラやエアリアルとの関係が謎に包まれていたが故にスレッタが「やめなさい!」と言いながらエアリアルでテロリストを叩き潰したシーンについても判断を保留してきた。もしもあの時のスレッタがプロスペラの言葉によって強いマインドコントロール状態にあったならば、その責任をスレッタに問うことはできないからだ。

そして、これまでの作劇におけるスレッタの‟主体性のなさ”も、2期5話/17話のネタバレ感想記事で書いたように何らかの仕掛けによって精神的な発達が阻害されていることを暗示するものである可能性を考えていた。しかし、今回明らかになったのはスレッタが肉体的に‟紛い物”であるという事実だけであり、プロスペラの態度を見ても恐らくその精神には人為的な操作を受けていないようだ。だとすれば、これまでのスレッタの不可解なまでに受動的な描かれ方をどう理解したらよいのだろうか。

プロスペラによってそれほど強力に精神に干渉されていないのであれば、そもそも何故スレッタはああも「お母さんの言葉は絶対」という価値観と態度を身に付けたのだろうか。何か自分の敵わないものの手によって圧倒的な暴力に晒されでもしない限り、ああも主体的な欲望を見せることなく人は生きていくことが可能なのか。可能だとして、そのような人物を‟主人公”に据えて物語作品を作る意味とは何か。

筆者が最も気になったのは、前話でグエルとの決闘に敗れミオリネもエアリアルも奪われたスレッタが、最終的にエアリアル=エリクト自身から拒絶されるとは言え何の苦もなく再びエアリアルに搭乗できてしまったことだ。そこには本来‟壁”が描かれるべきではなかっただろうか

決闘に敗れながらも家族であるエアリアルと離れたくはない。その一心で遂にスレッタはプロスペラに逆らってまでエアリアルに乗り込もうとする。そこで初めて主体的な欲望を見せる。プロスペラやミオリネやグエルを出し抜いてようやく乗り込んだエアリアルに、しかし決定的に拒絶される。そして自らが紛い物である真実を知る。そこからようやくスレッタ自身の‟物語”は始まるのではないか。

その挫折とともに、しかし再び進もうとするスレッタの新たな刃となるのが、同じく紛い物であるガンダム・シュバルゼッテだとしたら、それほどアツい展開はないだろう。その場合、エリクト=エアリアルとの決闘が最後に控えているということだろうか? しかしそれを可能にするためのスレッタ自身の譲れない欲望とそれを引き立てる挫折が、ここまで十全に描かれてきたとは言い難い。このままでは、たとえスレッタがガンダム・シュバルゼッテに乗り込むのだとしても、それが物語展開上のご都合主義に見えてしまいかねないことを正直恐れている。こんな感想は所詮筆者の浅知恵であると、杞憂を証明してくれるようなどんでん返しに期待しつつ次回を楽しみに待ちたい。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットで放送中。バンダイチャンネル、ガンダムファンクラブ、dアニメストア、アニメタイムズ他各種配信サイトでも配信中。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』公式サイト

2期6話/18話はAmazonプライムビデオ他で配信中。

1期はAmazonプライムビデオ他で配信中。

第12話 機動戦士ガンダム 水星の魔女

Blu-rayはvol.1〜4が発売中。

BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)
¥2,600 (2024/04/22 07:07:47時点 Amazon調べ-詳細)

BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)
¥2,350 (2024/04/22 07:22:59時点 Amazon調べ-詳細)

BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)
¥2,127 (2024/04/22 07:56:15時点 Amazon調べ-詳細)

BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)
¥2,049 (2024/04/22 07:56:01時点 Amazon調べ-詳細)

BANDAI SPIRITS(バンダイ スピリッツ)
¥2,300 (2024/04/21 15:59:49時点 Amazon調べ-詳細)

2期1話/13話のネタバレ感想&解説はこちらから。

2期2話/14話のネタバレ感想&解説はこちらから。

2期3話/15話のネタバレ感想&解説はこちらから。

2期4話/16話のネタバレ感想&解説はこちらから。

2期5話/17話のネタバレ感想&解説はこちらから。

1期最終回12話のネタバレ感想&解説はこちらから。

1期1話のネタバレ感想はこちらから。

腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
お問い合わせ

関連記事

  1. Netflixアニメ『パシフィック・リム:暗黒の大陸』予告映像公開 配信日は3月4日! あらすじは?

  2. 大魔獣ジャイガーの新たなる姿『Making of “GAMERA -Rebirth-”』第3弾公開

  3. 『ラブ、デス&ロボット』「ロボット・トリオ」の“オレンジのやつ”——K-VRCが人気に

  4. 初代トランスフォーマーなど関連作が無料配信開始 40周年記念展開も