2期5話/17話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ミオリネの真意は…? | VG+ (バゴプラ)

2期5話/17話ネタバレ感想&解説『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ミオリネの真意は…?

© 創通・サンライズ・MBS

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第2期放送中!

2023年4月9日(日)より、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期が放送中だ。ガンダムテレビアニメシリーズ初の女性主人公作品ということでも話題を呼んだ本作。2022年10月より放送された1期で積み残された数々の謎の真相も次第に明かされつつある。ネタバレありで早速2期5話/17話「大切なもの」の感想、および解説をしていきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』2期5話/17話「大切なもの」の内容に関するネタバレを含みます。

エアリアルは私の家族ですから

スレッタをこれ以上巻き込まないことを条件にクワイエット・ゼロを引き継ぐとプロスペラの取引に応じたミオリネ。ご満悦のプロスペラはしかし不穏な言葉を口にする。もう一度スレッタに決闘させろ、更にはスレッタが大人しくエアリアルを降りるかどうかは分からないというのだ。

自分がエアリアルを降りろと言ったらどうするかと問うミオリネの言葉に、スレッタは「降りません、エアリアルは私の家族ですから」と答える。この言葉を聞いたミオリネの背中からは表情が窺えないが、一方では安堵しつつ同時に落胆するような複雑な気持ちだった筈だ。

スレッタが他人に言われるがままに常に自分を捨ててしまう訳ではないということに、視聴者もミオリネと同じ安堵を感じたことだろう。一方で、プロスペラに言われれば自分の夢である「水星に学校を作ること」さえ諦めると言うスレッタが、自分に言われたくらいではエアリアルを降りることはないのだと言うことに、スレッタの中での自分とプロスペラの優先順位の違いを感じたミオリネは内心穏やかではないだろう。

さて、ここで一つの疑問が浮かぶ。では、プロスペラに言われればスレッタはエアリアルを降りるのだろうか? この疑問に対してプロスペラの言葉が答えを匂わせているようだ。つまり、プロスペラが言ってさえスレッタはエアリアルを降りることはないだろう、と。では何故そこまでスレッタはエアリアルにこだわりを見せるのか。

それはむしろプロスペラの言葉が絶対であるが故なのではないだろうか。これまでの流れを整理すると、「PROLOGUE」においてガンダム・ルブリスに乗って娘のエリクトと二人で逃げ延びたエルノラ・サマヤは、エリクトを生き延びさせるためにガンダム・ルブリスをガンダム・エアリアルへと改造し、エアリアルの中にGUND技術によってエリクトの‟魂”を移植した。つまり現在、エアリアルの中にはエリクトが宿っている。分からないのはむしろ、スレッタがいつ、どこからやって来たのかということだ。

もしもスレッタとエアリアルがともにエリクトの生存のためにプロスペラによって造られた存在なのだとしたら、エアリアルがその魂を、スレッタがその肉体を担っているという可能性もあるのではないだろうか。こう考えると、これまでの劇中におけるスレッタの主人公らしからぬ‟空っぽ”な様子も腑に落ちる。そしてスレッタのエアリアルに対する‟愛着”も、それ自体が最初からプロスペラによって仕組まれたものであるという可能性もある。

つまり、スレッタはエリクトの生体情報を元に人為的に造られたクローンのような存在であり、何らかの技術で自らの意志や欲望の発達に制限が掛けられている。そのことによりむしろデータストームの過剰な情報に精神が蝕まれず、エアリアルと同調することができる。そして来るべき時に、エアリアルの中から取り出したエリクトの魂をスレッタに再度移し替えることで人間としてエリクトは復活する。

その時スレッタは最早どこにも居ないが、それは最初からそうだったとも言える。その時、果たしてミオリネはどう動くのだろうか。仮にそれがプロスペラの目論見だったとしても、ここにはミオリネもグエルも居る。彼らにとって大事なのはエリクトではなくスレッタなのだ。ミオリネやグエルたちとの新たに獲得した関係によってスレッタが‟親離れ”できるラストに期待したい。

 

グエルとスレッタの再会

ガンダムの利権と引き換えに自分と手を組むようシャディクはペイル社に持ち掛ける。飄々としたポーカーフェイスも崩れ、生き延びるためになりふり構っていられなくなったエラン(5号)はエアリアルを譲れとスレッタを脅すが、そこにグエルが現れスレッタの窮地を救う。

ここは1話でむしろグエルが侵略者としてミオリネを脅かしていた菜園だ。肉体的な非対称性をものともせず自らに立ち向かってきたスレッタに、グエルはこの時初めて興味を引かれたのだろう。その頃の傲岸不遜な面影は今のグエルにはない。波乱万丈な経験によって人格的に成長したグエルがスレッタやミオリネと再会するのに相応しい舞台と言える。

「進めば2つ」の言葉に励まされ自分も進むことができるようになったと、グエルは改めて今度は逃げずにスレッタに想いを告げる。それを受けてスレッタも自分にも大切な人が居るのだと逃げずに答える。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では久々の晴れがましいシーンだが、二人のやり取りを物陰から聞いていたミオリネはスレッタにグエルとの決闘を命じる。

余談だが、グエルに正面から想いを告げられたスレッタの瞳にはハイライトが入っていた。これは1期3話「グエルのプライド」のラストでスレッタに強さを認められたグエルの瞳にハイライトが入る演出の反復であり、かつ1期12話「逃げ出すよりも進むことを」でプロスペラに唆されてエアリアル改修型に乗る決意を固めたスレッタの瞳からハイライトが失われた演出と対になっている。

勝利を私にちょうだい

スレッタに誕生日に欲しいものを訊かれていたミオリネは、その回答として「勝利を私にちょうだい」とグエルとの決闘を求める。寝耳に水のスレッタとグエルだが、総裁選に立候補するための後ろ盾が欲しいミオリネはジェターク社を立て直したいグエルと利害が一致していると説く。

「スレッタから花嫁を取り戻して」とのミオリネの言葉には覚悟が滲む。しかしそれは表向きのもの、グエルに対して自らの本気を見せるという‟口説き文句”でもあるだろう。実際には、ミオリネはグエルがスレッタに勝てるとも勝って欲しいとも思っていないのではないだろうか。本音としてはむしろ、グエルとの決闘によってスレッタの本気を見極めたいという気持ちが強いだろう。

デリングやグエルの抑圧から地球に‟逃げる”ことしか考えられなかったかつての自分に‟進む”道を示してくれたスレッタに、ミオリネはグエル同様本心からの好意を抱いている筈だ。とは言え、自らを守るためとは言え実際にテロリストの命を奪いまでした上で屈託のない笑みを見せ、母親に言われれば呆気なく夢も諦めると言うスレッタの本心がどこにあるのかは測り兼ねている

そんなスレッタがもしも自分のために本気で決闘に臨んでくれるなら、そして見事その勝利を自分に贈ってくれるなら、もう少しスレッタのために頑張れるかも知れないとミオリネは思うだろう。そこでもしもスレッタがグエルに負けるようなことがあれば、それはそこまでの話だ。ミオリネとしてはグエルと手を組みプロスペラとの取引を完遂し、それによって間接的にスレッタを救えればいい。たとえそのことにスレッタ自身が気付かずとも。

つまりこの決闘は、「進めば2つ」とスレッタとグエルの両方を手に入れることはできないが、ミオリネにとってはそのどちらかは手に入れられるものだった。そしてそのどちらが本当に欲しいものなのかはミオリネ自身にとっても断言できる自信がなかったからこそ、自分自身を確かめるという意味でもミオリネはスレッタとグエルに決闘してもらわなくてはならなかったのだろう。

そうしたストーリー展開上の必然性に、そうは言ってもガンダム作品なのだからやはりMS戦は観たいという視聴者の欲望を叶える「MS同士による決闘」を絡める作劇はやはり見事だ。正直、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が始まった当初の感想としては決闘というのはやはり学園ものをやる上での使い捨てのギミックなのだろうと思っていた。それが使い捨てられることなく、学園の外のハードな戦争描写と両立されながら進んでいく物語は今までのガンダム作品では見たことのない展開で、物語の結末が益々気になっていく。

スレッタの敗北

修復されたダリルバルデに乗ったグエルと、ガンダム・ルブリス・ウルとの戦いから応急処置を施されただけで半壊状態のガンダム・エアリアル改修型に乗ったスレッタとの間で決闘の火蓋が落とされる。エアリアルに父の乗るディランザ・ソルの姿が重なりトラウマを呼び起こされるグエルだが、奮起して反撃へと転じる。グエルの強さを認めつつも負けられないスレッタも応戦するが、最後の一撃を決めようとした時、エアリアルは突如動きを停めてしまう。その一瞬の隙を突き、ダリルバルデがエアリアルのアンテナを折る。スレッタ初の敗北だ。

コクピットで失意に沈むスレッタに姿を見せたミオリネは、すべては自分の細工だと言い放つ。最初から自分を利用していただけだと言うミオリネにスレッタは初めて感情を露わに慟哭する。もしかしたらこの時、ミオリネは初めて本当のスレッタを目にしたのかも知れない。

初見の感想としては上述のようにミオリネがスレッタや自分を確かめるためにグエルとの決闘をセッティングしたのかと思っていたが、どうやらミオリネはシャディクやプロスペラに負けず劣らず‟大人”のようだ。株式会社ガンダムを率いる社長として、スレッタをプロスペラの下から引き離して守るための現実的な策を採ったということだ。

多くの視聴者は筆者と同じく「まさかスレッタが負けるとは思っていなかった」という感想を持つだろう。だが、確かに「主人公が負けない」ことが当たり前の物語というのはそれだけで退屈だし、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では更に主人公である筈のスレッタの内面的な欲望や葛藤が描かれてこなかったためにスレッタ視点では単に‟自動的に勝ちが重ねられるだけ”となってしまい物語的な起伏に乏しかった。そのスレッタに遂に起伏がもたらされたのだ。

スレッタが自分と向き合うきっかけ

このスレッタの‟内面のなさ”は勿論意図的な作劇であり、そしてその意図としてはエリクトの身代わりの生体パーツという設定が隠されているのではないかと上述した。それでも主人公であるからにはどこかでスレッタにそのことに気付いてもらわなくてはならない。そのきっかけは今までにも何度もあったが、ミオリネを守るためとは言え初めて‟人殺し”までした時には屈託のない笑みを見せるなどむしろスレッタの異様さが際立たせられた

そして、2期に入ってミオリネと再会した際にそのことをミオリネ自身から問われてなお母親の言う通りに動くだけだとスレッタは自らの口から語ってしまい、自分自身の中身を語ることはついぞなかった。人を殺すという最も衝撃的な経験も、ミオリネという最も大事な人からの言葉もスレッタの内心を刺す‟刃”としては届かなかったということだ。

そんなスレッタは、では何によって追い詰められることができるのか。答えは2つしかないだろう。即ち、プロスペラかエアリアルかだ。プロスペラとエアリアルはスレッタにとっての‟家族”であり、スレッタはその存在を絶対視している。仮にプロスペラが殺されれば、スレッタはその復讐に人生を捧げるかも知れない。ならば、もしもエアリアルと引き離されることになれば、その時スレッタはどうするのだろうか。

そして、分からないのはやはりプロスペラの思惑だ。ミオリネを取り込んでクワイエット・ゼロの成就を目指しているのは間違いないが、スレッタについてはどう思っているのだろうか。間違いなくエリクトほどの愛を注いではいないだろうが、エリクトの身代わりの生体パーツとして用いるにせよスレッタとエアリアルは‟同期”させておいた方が良いだろうし、ミオリネの思惑に乗ってスレッタをエアリアルから降ろすことはプロスペラにとって如何なる得があるのだろうか

あるいはプロスペラにとってスレッタはエアリアルを動かすための‟鍵”に過ぎず、エアリアルが既に目的達成に充分な起動状態に持ち込めたからにはスレッタは文字通り用済みということだろうか。ミオリネはプロスペラとエアリアルから引き離せばスレッタは自らの道を歩んでいけると信じて行動したのだろうが、プロスペラとエアリアル以外に世界を知らないスレッタにとって果たしてそれが‟幸せ”かは分からない。いずれにせよ、スレッタがこれでエアリアルという逃げ道を塞がれ、自分自身と対峙しなくてはならなくなったことは事実だ。

エアリアル改修型が動きを停めた時、エアリアルの中のエリクトはスレッタに対して「ごめんね」と謝っていた。エリクト自身がスレッタやプロスペラをどう思っているのか、またクワイエット・ゼロをどの程度理解しそこに向けてどのような決断を下すのかも気になるところだ。

ダリルバルデに乗る前、「プライドだけじゃスレッタ・マーキュリーには勝てない」と言っていたグエルは果たしてエアリアルに施された細工について知っていたのだろうか。決闘の宣誓においてエアリアルを賭けとして持ち出したことから、事前にミオリネとの間で打ち合わせはあったのだろうと思われる。しかし、そのような細工を施してなお確実な勝利は見込まれないと思うほどスレッタの強さを認めていたということだろう。

そして次回2期6話/18話のサブタイトルは「空っぽな私たち」だ。エアリアルを降ろされたスレッタが遂に自分と向き合い、自らの‟空っぽさ”に気付き、そしてその原因を探ろうと進み出すのかも知れない。いずれにせよ、ここから更に物語は大きく動いていくこととなるだろう。父親に逆らわず生きてきたグエルが、その父亡き後ジェターク社を立て直すという目的を得たようにスレッタもまた何らかの目的を持ちそこへと進んでいくのだろうか。次回を刮目して待ちたい。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットで放送中。バンダイチャンネル、ガンダムファンクラブ、dアニメストア、アニメタイムズ他各種配信サイトでも配信中。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』公式サイト

2期5話/17話はAmazonプライムビデオ他で配信中。

1期はAmazonプライムビデオ他で配信中。

第12話 機動戦士ガンダム 水星の魔女

Blu-rayはvol.1〜4が発売中。

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2期1話/13話のネタバレ感想&解説はこちらから。

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腐ってもみかん

普段は自転車で料理を運んで生計を立てる文字通りの自転車操業生活。けれど真の顔は……という冒頭から始まる変身ヒーローになりたい。文学賞獲ったらなれるかな? ラップしたり小説書いたりしてます。文章書くのは得意じゃないけどそれしかできません。明日はどっちだ!
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