坂崎かおる「リモート」がDSF掲載へ
坂崎かおるのSF短編小説「リモート」の英訳が「Remote」のタイトルでDaily Science Fictionに掲載される。「リモート」はバゴプラが主催した第一回かぐやSFコンテストの応募作品の一つで、416編の中から11編の最終候補に選ばれ、厳正な審査の結果、審査員特別賞を受賞した小説。英語圏の著名なSFマガジンの一つであるDaily Science Fictionでもその魅力を認められることになった。英語への翻訳を手掛けたのは、日本のSF作品を世界に発信し続けているToshiya Kameiだ。
Daily Science Fiction (以下、DSF) は2010年に開設されたSFファンタジーのウェブマガジンで、毎平日に短編小説を公開している。著名なSF作家を多数輩出しており、日本で短編集の表題作になったケン・リュウ「母の記憶に (原題: Memories of My Mother)」もDSFが初出媒体である。
多くの名作が掲載されてきたDSFは注目度も高い。「リモート」英語版の掲載によって、日本のSF短編が新たに世界的な評価を受ける可能性も生まれる。
なお、DSFは継続的な短編小説掲載の取り組みを支援するためのメンバーシップを募集している。SF短編小説を無料公開することで、より多くの人々にSF作品に触れてもらうことができるが、その一方で、その取り組みを応援する読者の支援がなければ継続していくことは難しい。DSFでは一回限りの支援も受け付けているので、DSFが必要な場だと考える方は、以下のリンク先から是非支援して頂きたい。
本人コメント「次はスピルバーグ監督の目に」
バゴプラでは、「リモート」での英語デビュー決定に際して、坂崎かおるよりコメントを頂戴した。かぐやSFコンテストで最終候補に残った際には、同作を「十数年ぶりに書いた物語」と紹介していたが、その作品が海を渡ることに。意外な展開に、率直な心境を語ってくれている。
「リモート」は、私が本当に久しぶりに書いた物語で、それがこのような形で少しずつ評価されていること、驚きと共に、大変嬉しく思っております。
私自身は、翻訳は別の形での創作と考えており、今回、Kamei氏の素敵な訳によって、「リモート」には、新しい命が吹きこまれたように感じます。
掲載された後には、ぜひ日本語版と読み比べ、改めて楽しんでいただければ、作者としてこれ以上喜ばしいことはありません。
このような機会をくださったかぐやSFコンテストの関係者の皆様、翻訳を申し出てくださったKamei様、そして何より、作品を読んでくださった皆様に、御礼申し上げます。
次の目標は、スピルバーグ監督の目に留まることです。
坂崎かおる
第一回かぐやSFコンテストでは、審査員・井上彼方が特に推薦する作品として、坂崎かおるの「リモート」に審査員特別賞が贈られた。同賞の副賞として、坂崎かおるはバゴプラおよびSF同人誌『SFG Vol.03』での書き下ろし短編の掲載が決定している。それぞれの媒体に掲載される作品は相互に関連する内容の小説となっており、紙のSFGとウェブのバゴプラという二種類の媒体で新たな物語が紡がれる。こちらの新作二編も是非楽しみにして頂きたい。
① 書き下ろし二作品に対しては、バゴプラより原稿料が支払われます。
② 二つの作品は『SFG Vol.03』と同じ「アジア」をテーマにした作品で、
③ 相互に関連した内容になります。ウェブ媒体で横書きのバゴプラと、紙媒体で縦書きのSFGでどのような物語が展開されるのか……ご期待ください!
— VG+ (バゴプラ) (@vagopla) October 10, 2020
かぐやSFコンテストで公開された「リモート」の日本語版は、以下のリンク先で読むことができる。
世界に羽ばたく日本のSF
また、「リモート」のユニバーサルな魅力を見抜いた井上彼方は、バゴプラによるSF短編掲載プロジェクト “Kaguya Planet” のコーディネーターを務める。こちらも海外でも読まれることを意識した短編が揃う予定で、12月の掲載開始を予定している。
🎉🎉🎉
バゴプラのSF短編掲載プロジェクトの名称は、アンケートで最多票を得た【 Kaguya Planet 】
に決定しました🪐🌏
投票ありがとうございました!これまで捨象されてきたり、見えにくかったりした、豊かな才能が世界とつながる、そんな場所にしていきたいです。
ハッシュタグ募集します🤲 https://t.co/zQoKH5Efv9
— VG+ (バゴプラ) (@vagopla) November 8, 2020
第一回SFコンテストの作品では、大賞を受賞した勝山海百合「あれは真珠というものかしら」、審査員長・橋本輝幸が推薦した大竹竜平「祖父に乗り込む」の二編が副賞として英語と中国語に翻訳され、公開されている。
また、筆者匿名で実施された読者投票で「いつかあの夏へ」が最多票を獲得した佐伯真洋も、第4回星新一賞最終候補作品「母になる」がToshiya Kameiによって英訳され、Welkin Magazineでの英語デビューが決定した。
第一回かぐやSFコンテストで選外佳作に選ばれた梶舟景司の「本が読める特別な彼女」はクラークスワールド誌に掲載されている。
なお、「リモート」を含む第一回SFコンテストの入賞作品は、老舗SF誌のLocusマガジンでも紹介された。
Kaguya Sci-Fi Contest Winners https://t.co/BjKZRkFLOv
— Locus Magazine (@locusmag) October 26, 2020
2020年は、多くの日本のSF作家たちが短編小説で海外へと進出していく年になった。今、世界の目が日本のSFを捉えている。