『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』始動!
世界の各地から作品を集めた翻訳クィアSFアンソロジー『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』が活動を開始した。発起人は、編集や翻訳活動も行なっている作家の紅坂紫と、オンラインSF誌Kaguya Planetのコーディネーター井上彼方だ。SF企業VGプラスが協賛している。
『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』は2023年のプライド月間(6月)に5編の翻訳クィアSF短編小説をオンラインSF誌Kaguya Planetに無料で公開する。作品探しと翻訳を担っているのは、岸谷薄荷、村上さつき、橋本輝幸、吉田育未、善本知香、そして発起人の紅坂紫だ。アジア、北米、カリブ海、アフリカなど、世界各地の作家の作品が翻訳される。また作品選びでは、登場人物のジェンダーアイデンティティやセクシュアリティについても偏りが生じすぎないようにということを考慮したという。
作品を無料で公開するため、資金集めのクラウドファンディングを実施するそうだ。支援者は6月の公開に先行して『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』を入手することができる。最新情報は、『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』編集部のInstagramでチェックしよう。
発起人は紅坂紫と井上彼方
紅坂紫は、創作・翻訳・企画編集など幅広く文芸活動を行っている作家だ。ジョイス・チング「まめやかな娘」(Kaguya Planet) 、同じくジョイス・チング「失敗」(anon press) など、多数の掌編小説の翻訳を手掛けている。
アジアを読む文芸誌『オフショア』創刊号に「シルクロード・サンドストーム」を、百合総合文芸誌『零合』創刊号に「セイレーン」を寄稿しており、New World Writingをはじめとした多数の海外文芸誌にも英語作品を寄稿している。パンロマンティック、パンセクシャル。
井上彼方はオンラインSF誌 Kaguya Planetのコーディネーター。Kaguya Planetでは、「魔女」「おばあちゃん」「ケア」をテーマにしたジェンダーSF特集を企画した。ジェンダーSF特集では、今回翻訳者として『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』に参加している岸谷薄荷が翻訳した、男性性とケアをテーマにしたジェーン・エスペンソンによるSF短編小説「ペイン・ガン ある男のノーベル賞受賞式に向けたメモ」を掲載している。SFレーベルKaguya Booksの編集者。編書『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』(社会評論社)、『社会・からだ・私についてフェミニズムと考える本』(社会評論社)。
これまでもSF内外で実績を積み重ねてきた2人の今回の企画、今後も注目されたし。