『X-MEN‘97』第9話 ネタバレ解説 最終章で描かれる分断の行方 考察&感想 | VG+ (バゴプラ)

『X-MEN‘97』第9話 ネタバレ解説 最終章で描かれる分断の行方 考察&感想

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バスチオンがもたらした分断の行方は?

プライム・センチネルによって表面化したミュータントへの差別意識と憎悪による破壊が描かれたアニメ『X-MEN‘97』。最終章の第2部にあたる第9話「寛容は絶滅 第2部」では、人類とミュータントの分断だけではなく、それによってX-MENたちの関係性にも亀裂が入る様子が描かれる。

本記事ではアニメ『X-MEN‘97』第9話「寛容は絶滅 第2部」の解説と考察、感想を述べていこう。なお、本記事はアニメ『X-MEN‘97』第9話「寛容は絶滅 第2部」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『X-MEN’97』の内容に関するネタバレを含みます。

『X-MEN‘97』で描かれるもう1つの分断

それぞれの朝

恵まれし子らの学園のベッドで目を覚ましたプロフェッサーX。その脚はシーアー帝国の技術であるパワードスーツを失い、再び車椅子の生活へと戻っていた。その頃、マグニートーはブラザーフッド・オブ・ミュータンツの頃を想い起させるヘルメットを見つめ、それから水平線に浮かぶタンカーを見つめていた。

バスチオンはプライム・センチネルだらけになった街で、自分が改造した母親の死体に涙する。人類は電気が失われたことで暴徒と化し、ジュビリーとロベルトは群衆に追い詰められる。プロフェッサーXが危惧し、マグニートーが備えていた人類とミュータントの人種間戦争がはじまってしまったのだ。

渾沌とした世界で、ミュータントたちは動き出す。ヘルメットを被り、人類へと牙をむくマグニートー。ジュビリーとロベルトを救いに現われたストームとフォージ。そして、自分がいない間に世界が崩壊してしまったことを憂いているプロフェッサーX。それぞれの戦いが今、はじまる。

崩壊した恵まれし子らの学園

サイクロップスとジーン・グレイはプロフェッサーXが死を偽装し、マグニートーにX-MENを託したことを責めていた。プロフェッサーXは自分の死後、私生活を犠牲にしてでもX-MENを続けるだろうサイクロップスとジーン・グレイを責務から解放したかったと語る。

そこには10代の頃からサイクロップスとジーン・グレイを最初のX-MENとして、理想の世界を築くための礎にしてしまった後悔があると考察できる。事実、プロフェッサーXの危惧していた通り、サイクロップスはミュータントの理想郷ジェノーシャが出来てもX-MENの活動を辞めなかった。しかし、サイクロップスはプロフェッサーXの言葉を信じることは出来ない。

その頃、ローグが昏睡状態から目覚める。ローグはこれまでの記憶を断片的にしか覚えておらず、宿敵のボリバル・トラスクの安否も覚えていなかった。ローグの看病をしていたナイトクローラーはトラスクがプライム・センチネルとして生きていることを伝えるが、ガンビットの安否を聞かれて黙ってしまう。

時を同じくして、恵まれし子らの学園にストームとフォージ、ジュビリー、ロベルトが帰ってくる。だが、恵まれし子らの学園は既にX-MENの基地として機能しておらず、X-MENはミューア島の古い基地に本部を移し、シーアー帝国の技術で世界の再建を試みるとジーン・グレイが解説した。

マグニートーによる宣戦布告

サイクロップスによる現状の考察は以下の通りだ。マグニートーによる人類への攻撃で電力設備は機能不全となり、先進国は廃墟と化して死者は数千人以上出ていた。マグニートーは世界への宣戦布告として地球の磁場を破壊したのだ。このままでは、人類はおろか、地球そのものの環境が崩壊する。

サイクロップスの指揮のもとでマグニートーを捜索するブルー・チームと、ストームの指揮のもとでバスチオンの本居地であるガラパゴス諸島に向かうチームに分けて作戦を行なうことが決まる。プロフェッサーXはビーストにプライム・センチネルを人間に戻せるかどうか尋ねるが、ロベルトはそれに懐疑的だ。それもそのはず、プライム・センチネルは人間の持つミュータントへの差別意識の発露でしかなく、人間に戻したところで対立構造は変わらないと考察できるからだ。

家族としてプライム・センチネルに立ち向かおうと鼓舞するストームだったが、ビーストは肝心のプライム・センチネルに命令を送るサーバーが見つかっていないと解説する。その居場所を知っていたのはプロフェッサーXだった。プロフェッサーXは恵まれし子らの学園を創立させる際、セレブロによって機械と話せるミュータントの少年だった後のバスチオンと出会っていたのだ。

プロフェッサーXは幼いバスチオンを恵まれし子らの学園に入学するように母親を説得したが、母親はプロフェッサーXを追い返して入学を禁じた。その後、幼いバスチオンは能力がコントロールできないことに苦しみ、ミュータントへの憎悪を募らせていくことになる。ストームはX-MENのオリジナル・メンバーにバスチオンがいたかもしれないと語った。ミュータントに理解のある親かどうかで、世界の命運が変わってしまったと考察できる。

フォージとビーストはジーン・グレイがダーク・フェニックスとなったときに用いた記憶攪乱装置によって、機械と通信できるテレパスであるバスチオンとプライム・センチネルの繋がりを断とうと模索する。ビーストはミュータント能力を奪うXキューショナーと同じ兵器を使用すべきではないかと考察するが、それでは元も子もないと言わんばかりにストームが諫める。

X-MENの分断

ローグの心の傷に、プロフェッサーXは寄り添おうとする。だが、ローグはプロフェッサーXに対して、プロフェッサーXはX-MENを人ではなく、自分の言う通りに動く生徒としてしか見ていなかったと責めた。プロフェッサーXの心は既に自責の念でいっぱいだったが、ローグの怒りは収まらない。

マグニートーが小惑星を伴って現れる。プロフェッサーXはマグニートーに地球の磁場を破壊すれば人類とミュータントの両方が滅ぶと説得するが、X-MENを捨ててシーアー帝国の女王と結婚したプロフェッサーXの言葉にマグニートーが耳を貸すことはない。それどころか、ジェノーシャの悲劇で死んでいったミュータントの子供たちのことを思えば、すべて滅ぼすべきだったとマグニートーは返すのだった。

マグニートーは作り笑いで寛容を求めるのではなく、破壊によって小惑星に新たなジェノーシャを築くと宣言する。そして、プロフェッサーXの夢の犠牲になるか、自分と共にミュータントの理想郷を創るかという2択をX-MENたちに強いるのだった。ローグはジェノーシャの悲劇を直接見たことからマグニートーに従う。そして、実の母親にプライム・センチネルに引き渡されたロベルトもマグニートーに従った。

ゴールド・チーム

サイクロップスはジーン・グレイとマデリン・プライヤーという2人の妻、そして息子の2人の母親について考える。それから、ケーブルを息子として送り出すのだった。ケーブルにサイクロップスがX-MENの青いスーツを渡したとき、「黒いレザーがよかったか?」と冗談交じりに聞いているが、これは実写版「X-MEN」シリーズの黒いスーツのことを意味していると考察できる。

プロフェッサーXはロバート・ケリー大統領がマグニートーへ攻撃をしないように、テレパスで説得を試みていた。ロバート・ケリー大統領はマグニートーを異常者と呼ぶが、プロフェッサーXはマグニートーを最悪の恐怖が連続する世界で生き延びようとする男と称する。残されたX-MENたちはミュータントの希望の星であった創設当初のスーツに身を包み、未来を守るための最後の戦いに赴くのだった。

バスチオンの指示のもと、X-MENのゴールド・チームにセンチネルが襲い掛かる。ストームはフォージと共に囮になると提案する。ジーン・グレイはストームを引き留めるが、ストームはチームを去ったことで、X-MENは家族だと再認識できたと語る。そして苦境から立ち上がったジーン・グレイをフェニックスだと称した。その言葉を胸に、ジーン・グレイはマーベル・ガールとしてバスチオンのもとに向かう。

マーベル・ガールの前に立ちはだかるのはセンチネルだけではない。最悪の宿敵であり、彼女の遺伝子を狙い続けていたミスター・シニスターだ。ミスター・シニスターはジーン・グレイとマデリン・プライヤーにいつ入れ替わったのかを教えてやるとマーベル・ガールに揺さぶりをかけるが、マーベル・ガールとはジーン・グレイとマデリン・プライヤーの2人が築き上げたヒーローだった。そのテレキネシスにミスター・シニスターは屈する。

ブルー・チーム

同時刻、衛星軌道上に浮かぶ新ジェノーシャにブルー・チームが奇襲を仕掛ける。それはマグニートーだけではなく、ローグやロベルトも敵にすることを意味していた。それでもブルー・チームに参加していたプロフェッサーXはマグニートーの説得を試みる。説得を無視するマグニートーに対して、プロフェッサーXはマグニートーを支配して地球の磁場を修復する作戦をサイクロップスに提案する。

地球ではゴールド・チームがバスチオンに肉薄し、記憶攪乱装置を装着させようとしていた。しかし、じわじわと劣勢に追いやられていく。ミスター・シニスターは最終兵器としてケーブルを操り、ケーブルがテクノ・オーガニック・ウィルスを抑えるために使っているテレキネシスをマーベル・ガールにぶつけ、2人を共倒れさせようとしていたのだ。それをテレパスで悟るサイクロップス。

そして、ブルー・チームのいる新ジェノーシャでは、地球の磁場を完全に破壊しようとしたマグニートーを背後からウルヴァリンが刺した。死の淵に立たされたマグニートーはウルヴァリンの骨格からアダマンチウムを引きはがすのだった。

第9話の感想と第10話で描かれるX-MEN分断の結末

バスチオンが撒いた種により、ミュータント同士、それもX-MENが内側から脆くも崩れ去る様子が描かれたアニメ『X-MEN‘97』第9話「寛容は絶滅 第2部」。X-MENたちが最初のスーツを身に纏うなど熱い展開もあったが、史上最強と呼ばれたミュータントたちが内部分裂に如何に弱いかが描かれたエピソードでもあった。

X-MENは同じ夢を追うチームであることが再認識させられる展開も多く、プロフェッサーXの夢のために何人が死ぬのかなど、平和を目指すために犠牲者が出る現実世界を反映した展開もあった。このまま、最終章三部作の最後へと向かうアニメ『X-MEN‘97』だが、マーベル・ガールとケーブル、ウルヴァリンなど、X-MENのメンバーたちが死の危機に瀕する展開にどのような結末を用意しているのか。それだけではなく、電力の停止により史上最悪の敵の1人であるオメガレッドなどが自由になっている。そのすべてが明らかになる最終話が楽しみだ。

アニメ『X-MEN‘97』第9話「寛容は絶滅 第2部」は2024年5月8日(水)よりDisney+にて配信開始。

『X-MEN’97』配信ページ

『X-MEN’97』の情報解禁はこちらから。

『X-MEN’97』で登場するX-MENのメンバーはこちらから。

『X-MEN’97』第1話「来たれ、我がX-MEN」のネタバレ感想と考察はこちらから。

『X-MEN’97』第10話「寛容は絶滅 第3部」のネタバレ感想と考察はこちらから。

『ファンタスティック・フォー』に関する発表はこちらの記事で。

『デッドプール&ウルヴァリン』と旧「X-MEN」シリーズの繋がりについての考察はこちらから。

MCU最新タイムラインの解説&考察はこちらの記事で。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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