『X-MEN‘97』最終話 10話 ネタバレ解説 来たれ、我がX-MEN 感想&考察 | VG+ (バゴプラ)

『X-MEN‘97』最終話 10話 ネタバレ解説 来たれ、我がX-MEN 感想&考察

©2024 Marvel

全10話にかけて描かれた分断と団結の結末は?

マイノリティの視点から世界を描き、ヒーローとヴィランの対立として表現することで多くの人々に社会問題を伝えたアニメ版『X-MEN』(1992-1997)。その正統続編である『X-MEN‘97』の最終話が2024年5月15日(水)に配信開始された。これまで現実のアメリカを反映させた分断と団結を描いてきた『X-MEN’97』の出す結論とは何なのか。

本記事では『X-MEN‘97』の最終話「寛容は絶滅 第3部」について解説と考察、感想をのべていこう。なお、本記事は『X-MEN‘97』の最終話「寛容は絶滅 第3部」のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『X-MEN’97』の内容に関するネタバレを含みます。

『X-MEN‘97』が最終話で出した答え

チャールズとマグナス

戦時下、袂を別つ前のチャールズ・エグゼビアとエリック・“マグナス”・レーンシャーはミュータントの未来について語り合っていた。チャールズはミュータントの持つ比類なき能力を使って世界をより良くする夢を語るが、マグナスは否定的だ。マグナスは、人類は既に自分たちが進化の完成形であると考えていることを解説する。そして、ミュータントの収容所がいずれ作られると続けた。これはマグナスがナチスによって収容所に送られた経験を持っているからだと考察できる。

そのとき、チャールズはテレパスを使い、マグナスに自分がミュータントだとカミングアウトする。マグナスは周囲の人間を気にしながら、自分も磁場を操作するミュータントだとカミングアウトした。ミュータントは憎まれるから隠れると考えているマグナスに対し、チャールズは正しい道を示せば世界はミュータントを受け入れると返した。

誰かがエリックとマグナスを呼ぶ。その声の主はローグであった。これはすべてプロフェッサーXがマグニートーに仕掛けたテレパスであり、現実ではないとマグナスが気づくと姿はマグニートーへと戻っていった。そして、汚したくない思い出まで利用するプロフェッサーXに失望しつつ、チャールズとマグナスはプロフェッサーXとマグニートーとして対立するのだった。

動き出す『X-MEN‘97』世界のヒーロー

世界に電力を取り戻すため、プロフェッサーXは自身の心も砕け散る覚悟でマグニートーの精神を支配する。そうして、小惑星アステロイドMから巨大な電磁場が解き放たれたのだった。それに世界中のヒーローやヴィランが反応する。

東京では電力復興をシルバーサムライが見届け、ホワイトハウスではアベンジャーズのリーダーであるキャプテン・アメリカアイアンマンがロバート・ケリー大統領と状況を分析していた。ヘルズキッチンではデアデビルが暴徒を捕え、電力設備が停止している中、ドクター・ストレンジが急患の手術を行なっていた。アニメ『X-MEN‘97』のシーズン1のファイナルエピソードというだけあって、これまでアニメ版『X-MEN』シリーズにカメオ出演したスーパーヒーローたちが集結していると考察できる。

しかし、反応したのはヒーローたちだけではない。ヴァレリー・クーパー博士を捕えているバスチオンも、巨大な電磁波を感知していた。電力が復旧したことにより、眠っていた分断の象徴であるプライム・センチネルも目覚め始める。

ケーブルはミスター・シニスターに操られ、遺伝学上の母親であるマーベル・ガールを滝つぼに沈めてしまう。力を使い果たしたのか、それとも失意からか、膝から崩れ落ちているケーブルの前にX-MENのブルー・チームを捕えたバスチオンが現われた。ストームがバスチオンの人間性に訴えかけるが、もう遅い。ミュータントでありながらミュータントを憎むように育てられたバスチオンの心は破綻してしまったのだ。そして、プライム・センチネルはミュータントに協力する人間にも牙をむく。

ホワイトハウスではキャプテン・アメリカとアイアンマンが、ワカンダではブラックパンサーが、国を守るために戦っていた。市民を守るべくヘルズキッチンではデアデビル、そしてクローク&ダガーたちが戦う。さらにロシアではダークスタークリムゾンダイナモ、犯罪者であるはずのオメガレッドがロシア版アベンジャーズであるウィンターガードまで出動している。カナダ版アベンジャーズであるアルファフライトも戦っており、サイロックパック、サスカッチ、双子のオーロラとノーススターミュータントが武器を構えていた。

フェニックス・フォース

その間もバスチオンのX-MENへの攻撃が休まることはなく、ミスター・シニスターを使ってケーブルに精神的な拷問を続けていた。ケーブルは200回もタイムスリップを繰り返したが、バスチオンの攻撃と実母であるマデリン・プライヤーの死を食止めることができなかったと話させられていた。ケーブルはバスチオンの母親の話で抵抗するが、見せしめに殺害されそうになる。

ケーブルの処刑を止めたのは他でもないマーベル・ガールこと、フェニックスだった。マーベル・ガールは死んでおらず、フェニックス・フォースの力で生きていたのだ。バスチオンはその手に捕らえられ、世界中のプライム・センチネルが機能を停止する。

ミスター・シニスターは抵抗するが、フェニックス・フォースの力で若さを保つために奪ってきた他のミュータントの遺伝子を奪われ老いていった。すべては息子を守ろうとするマーベル・ガールの母親としての想いから来ていた。

バスチオンとの決戦

しかし、フェニックス・フォースの力をもってしても、バスチオンを完全に機能停止へと追い込むことはできなかった。バスチオンはケーブルの機械化している腕をもぎ取り、そこに含まれているテクノ・オーガニック・ウィルスを吸収すると、それによって悪魔的な姿へと変貌した。そして、人類に速やかな滅亡をもたらすと言って、衝撃波と共に飛び去るのだった。

アステロイドMにいるX-MENのゴールド・チームはプロフェッサーXとマグニートーを連れて地球へ帰還しようとしていたが、肝心なプロフェッサーXとマグニートーは目覚めず、アダマンチウムの骨格を抜き取られたウルヴァリンも昏睡状態のままだった。精神世界では、マグニートーは記憶を失ってエリック・“マグナス”・レーンシャーに戻ってしまい、プロフェッサーXが教師として現実世界へと導こうとしていた。

プロフェッサーXは破壊されたマグナスの精神を自分の精神を犠牲にしてでも救おうとするが、そこにバスチオンが迫っていた。バスチオンの目的はマグニートーが新ジェノーシャとして持ち上げた小惑星アステロイドMを地球に落とすことだったのだ。アステロイドMにいるゴールド・チームを含めたミュータントたちは、敵対関係を忘れて地球を救うためにX-MENとして戦うことになる。

ガンビットの仇でもあるバスチオンを倒すため、ローグが月面へと殴り飛ばす。最初こそローグが優勢だったが、ローグの攻撃パターンを読んだバスチオンによって形成は逆転する。しかし、そこにロベルトがX-MENのサンスポットとして太陽エネルギーをぶつけて救援に向かった。

マグニートー・プロトコル

地球ではアステロイドMをどうするべきか会議が続けられている。反ミュータント主義者はマグニートーを攻撃する専用の手段であるマグニートー・プロトコルをはじめるべきだとロバート・ケリー大統領に進言していた。

そこにブラックパンサーことティ・チャカ王とキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースがマグニートー・プロトコルを止めるように進言する。このとき、2人のヒーローがマスクを外していることから、ヒーローとしてではなく、1人の人間としてミュータントへの攻撃を止めるべきだと語っていたことが考察できる。しかし、ロバート・ケリー大統領はマグニートー・プロトコルに対して首を縦に振るのだった。スティーブ・ロジャースは悔しいとも、悲しいとも取れる表情を浮かべる。

マグナスの精神世界では心の痛みが海となって流れ出し、マグナスを溺れさせようとしていた。そこに1隻の船が浮かんでいる。そこに乗っていたのはローグで、彼女のような存在が苦痛の海を越えるときに救いとなるとプロフェッサーXは解説する。この船には他にスカーレットウィッチ、クイックシルバー、ポラリスといったマグナスの子供たちも乗船しており、船が家族を意味していることが考察できる。

マグナスはローグやプロフェッサーXを含むすべての人々が自分を捨てると返す。そして、自分たちは兄弟だと語るプロフェッサーXを拒絶するが、その家族である両親の顔も思い出せないことに怯えはじめた。この時点でマグナスは乗船している実子たちの顔も思い出せておらず、精神が相当破壊され始めていることが考察できる。

未来の化身

月面ではローグとサンスポットがバスチオンの足止めを続けていた。だがそれも限界にきており、2人は倒されてしまう。勝利を確信して飛び立つバスチオンの上にナイトローグが現われ、そのままアステロイドMへとテレポートした。その目的は酸素のある空間で戦えるX-MENたちでバスチオンを倒すことであり、サイクロップスのオプティックブラストとジュビリーの花火がバスチオンを襲う。そしてサイクロップスは2度とX-MEN、つまり家族に手を出すなと叫ぶのだった。

ナイトローグとジュビリー、サイクロップスの連携攻撃は徐々にバスチオンを追い詰めるが、その分、反撃も大きい。バスチオンが最後の反撃にセンチネルを呼び出すが、そのセンチネルはバスチオンを踏み潰す。そのセンチネルに乗っていたのはブルー・チームの面々であり、実はこのセンチネルはマーベル・ガールとサイクロップスの通信中に、裏でフォージがアステロイドMに向えるように修理していたセンチネルだったのだ。

センチネルの足元から這い出そうとするバスチオンにX-MENたちは身構えるが、サイクロップスは一時停戦を申し出る。それは、未来の化身とまで呼ばれたバスチオンという人類の未来に対して、戦うのではなく受け入れようという判断から来るものだった。

サイクロップスは語る。かつてプロフェッサーXはバスチオンになる前のセバスチャン少年を恵まれし子らの学園の生徒として迎えに行ったこと。母親に入学を拒絶されたこと。母親が普通になるように押し付けた結果、バスチオンのミュータントでありながらミュータントを憎む性格が生まれたこと。そして、母親も人間であり、間違いを犯すということ。

ローグはガンビットを殺したバスチオンに対し、「人類を材料にしたプライム・センチネルを作り続けることは人類の絶滅を招く」と語り、マーベル・ガールは「人類は滅びず、ミュータントも人類も生まれ続ける」と語る。しかし、バスチオンは「人類はミュータントを生むよりも死を選ぶ」と言ってそれを拒否する。そこにその考えを体現するようにマグニートー・プロトコルのミサイルが飛来するのだった。

ミュータントたちの夢

アステロイドMのコアが破壊された瞬間、バスチオンは爆発に飛び込み死を選ぶ。X-MENたちは地球上にアステロイドMが衝突することを防ぐため、全員で協力する道を選ぶ、それは命がけの行為であり、サイクロップスとマーベル・ガールは愛の言葉を息子であるケーブルに残すのだった。アステロイドMが地球に落下する様子をピーター・パーカーMJがテレビで見ていることが確認できる。

マグナスの心の治療は続いており、プロフェッサーXは夢がX-MENをつくり、夢がX-MENを家族にしたと語る。マグナスが両親の顔を覚えていないのは幼い頃に引き離されたことが原因だとも語り、X-MENという家族になるとき、エリック・“マグナス”・レーンシャーは別の名前を選んだと続けた。そして、その名前の通りの行動を取るべきだと語るとマグナスはすべてを思い出し、マグニートーとして復活を遂げた。

マグニートーの磁場によってアステロイドMは衛星軌道上に戻され、すべては無事に解決したかと思われた。その瞬間、アステロイドMはX-MENを巻き込んで消失してしまい、ブルー・チームも、ゴールド・チームも、すべてのX-MENは行方不明になってしまった。

アポカリプス、復活

アステロイドMの落下事件はEデイとして語り継がれ、マグニートー・プロトコルを発動させたことで小惑星の衝突を招きかけたロバート・ケリー大統領には批判の声が集まっていた。一方でミュータントの世界ではマグニートー再臨説がささやかれている。

地上に残されたフォージは閉鎖された恵まれし子らの学園で消えたX-MENを探しながら、X-MENを再建すべくコロッサスとマジック、エマ・フロスト、アイスマン、ハボック、シャドウキャットなど協力者になりそうなミュータントも探していた。そこに未来からビショップが現われる。ビショップに対して警戒するフォージだが、未来で自分を過去に送った張本人であるフォージに対してビショップは親しげだ。ビショップは何者かがX-MENたちを別の時間軸に誘拐したと語る。そして、フォージに技術協力を依頼し、2人でX-MENのいる時間と次元を探し出そうと提案するのだった。

紀元前3000年の古代エジプトにはローグとナイトローグ、ビースト、プロフェッサーX、そしてマグニートーが飛ばされていた。それに対して西暦3960年の未来にサイクロップスとマーベル・ガールはいた。

紀元前3000年のエジプトでX-MENは若き日のアポカリプスことエン・サバ・ヌールに遭遇する。そして、マーベル・ガールとサイクロップスは未来でクラン・アスカニに育てられていた幼き日の息子のネイサン・サマーズと再会することになった。現在のジェノーシャではアポカリプスが仲間の死を嘆いていた。

最終話の感想とシーズン2への期待

袂を別ったはずのヒーローたちがX-MENという家族に戻り、そして分断されていた世界を救うという現実世界への希望的なメッセージとも取れるエピソードとなったアニメ『X-MEN‘97』最終話「寛容は絶滅 第3部」。そのラストは若き日のアポカリプスとネイサン・サマーズの登場というタイムスリップを主軸とした新展開となった。

噂では2024年に公開される『デッドプール&ウルヴァリン』に繋がる展開も予想されていたが、その予想を覆し、最古のミュータントであるアポカリプスの復活という原点回帰に繋がった。それだけではなく、『X-MEN‘97』におけるヒーローたちの立ち位置も明らかになり、数多くのマーベル・ヒーローが出演する豪華な最終話という感想を抱かせてくれた。アポカリプスの登場によってX-MEN、そしてマーベルのヒーローたちはどう立ち向かうのか。シーズン2にも期待したい。

アニメ『X-MEN‘97』最終話「寛容は絶滅 第3部」は2024年5月15日(水)よりDisney+にて配信開始。

『X-MEN’97』配信ページ

『X-MEN’97』の情報解禁はこちらから。

『X-MEN’97』で登場するX-MENのメンバーはこちらから。

『X-MEN’97』第1話「来たれ、我がX-MEN」のネタバレ感想と考察はこちらから。

『ファンタスティック・フォー』に関する発表はこちらの記事で。

『デッドプール&ウルヴァリン』と旧「X-MEN」シリーズの繋がりについての考察はこちらから。

MCU最新タイムラインの解説&考察はこちらの記事で。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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