以下の内容は、ドラマ『エコー』までのMCU作品に関するネタバレを含みます。
MCUの最新タイムラインが公開
2024年2月7日(水) より、ディズニープラスで映画『マーベルズ』の配信を開始したマーベル・スタジオは、MCUの最新タイムラインを公開。高い評価を受けたドラマ『ロキ』(2021-) シーズン2や『エコー』(2024) の作中の舞台が明らかになった。
米時間2024年2月8日(木) に米マーベル公式サイトは、ドラマシリーズのシーズンまで分割した最新のタイムラインを掲載している。ただし、ディズニープラスで配信されていない『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021) は掲載されていない。『ノー・ウェイ・ホーム』を加えた最新のタイムラインは以下のようになる。
(太字は筆者による追記)
『マーベル・ワンショット:エージェント・カーター』
『キャプテン・マーベル』
『アイアンマン』
『アイアンマン2』
『インクレディブル・ハルク』
『マーベル・ワンショット:ハンマー墜落現場へ向かう途中での出来事』
『マイティ・ソー』
『マーベル・ワンショット:相談役』
『アベンジャーズ』
『マーベル・ワンショット:アイテム47』
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』
『アイアンマン3』
『マーベル・ワンショット:王は俺だ』
『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
『アイ・アム・グルート』シーズン1
『アイ・アム・グルート』シーズン2
『デアデビル』シーズン1
『ジェシカ・ジョーンズ』シーズン1
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』
『アントマン』
『デアデビル』シーズン2
『ルーク・ケイジ』シーズン1
『アイアン・フィスト』シーズン1
『ディフェンダーズ』
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
『ブラック・ウィドウ』
『ブラックパンサー』
『スパイダーマン:ホームカミング』
『パニッシャー』シーズン1
『ドクター・ストレンジ』
『ジェシカ・ジョーンズ』シーズン2
『ルーク・ケイジ』シーズン2
『アイアン・フィスト』シーズン2
『デアデビル』シーズン3
『マイティ・ソー バトルロイヤル』
『パニッシャー』シーズン2
『ジェシカ・ジョーンズ』シーズン3
『アントマン&ワスプ』
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
『ロキ』シーズン1
『ホワット・イフ…?』シーズン1
『ワンダ・ヴィジョン』
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
『エターナルズ』
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(ラストシーン)
『ホークアイ』
『ムーンナイト』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
『エコー』
『シー・ハルク:ザ・アトーニー』
『ミズ・マーベル』
『ソー:ラブ&サンダー』
『ウェア・ウルフ・バイナイト』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』
『アントマン&ワスプ:クアントマニア』
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
『シークレット・インベージョン』
『マーベルズ』
『ロキ』シーズン2
『ホワット・イフ…?』シーズン2
映画『マーベルズ』とドラマ『ロキ』シーズン2は、「もしも」を描くアニメ『ホワット・イフ…』シーズン2を除いて最新のタイムラインに位置していることが明かされている。『ロキ』シーズン2では最後にロキがマルチバースを司る神になったが、『ホワット・イフ…?』シーズン2でもロキが守っているユグドラシルのと思われる緑の樹が登場している。
2024年に公開されるMCU映画は、『デッドプール3(原題)』のみとされている。『マーベルズ』と『ロキ』シーズン2が最新の位置付けになったところで、タイムトラベルの導入も噂されている『デッドプール3』の公開前に一区切りを迎えたと言っていいだろう。
『マーベルズ』ではヤング・アベンジャーズの結成が示唆され、『ロキ』シーズン2では征服者カーンをめぐるゴタゴタも一旦の幕引きとできるようなラストが準備されていた。今回は、今後のMCU作品の展開に備えて、上記のタイムラインをもとにMCU世界の状況について三つのポイントを解説&考察していこう。
MCU世界で起きていること
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 後のMCU世界では、以前にも増して様々な事件が起きており、地球ではスーパーパワーを持つ人々への不信感や恐怖が増大しているものと考えられる。今回、アップデートされたタイムラインをもとにすると、『エンドゲーム』後の事件は以下のような時系列で整理することができる。
2024年4月 キャプテン・アメリカ/ジョン・ウォーカーがラトビアの公衆の面前でニコを殺害、罷免される(『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』)
2024年7月 スパイダーマンの正体暴露、ピーター・パーカーが殺人容疑で逮捕、スターク・インダストリーズに強制捜査(『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』)
2024年7月 フラッグ・スマッシャーズがGRC(世界再定住評議会)を襲撃(『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』)
2024年10月 ティアマットの一部が《出現》、アリシェムがロンドン上空に登場(『エターナルズ』)
2024年11月 メイ・パーカーの死がスパイダーマンと結び付けられる形で報じられる。スパイダーマンの戦闘により改装中の自由の女神から盾が落下、NY上空でマルチバースの扉が開きかける(『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』)
2024年11月 スカーレット・ウィッチによってワンダゴア山が崩落(『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』)
2024年12月 ニューヨークにローニン出現、ホークアイがスケートリンクでジャージ・マフィアと戦う(『ホークアイ』)
2025年3月 法廷でシー・ハルクvsタイタニア(『シー・ハルク:ザ・アトーニー』)
2025年4月 ロンドンの博物館にジャッカル出現(『ムーンナイト』)
2025年5月 マサチューセッツ州でリリ・ウィリアムズとシュリらがFBIを撃退、ワカンダとタロカンが和解(『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』)
2025年5月 カイロでアメミットが人々の魂を吸収して巨大化(『ムーンナイト』)
2025年8月 カリフォルニアにデアデビル出現、ガラの会場でシー・ハルク逮捕(『シー・ハルク:ザ・アトーニー』)
2025年9-10月 アベンジャーズ・コンを皮切りに各地でミズ・マーベル出現、クランデスティン逮捕&脱獄(『ミズ・マーベル』)
2025年11月 ケヴィン・ベーコン誘拐(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』)
2026年11月 ロシアにて、ニック・フューリーがいる場所でテロが起きる。リットソン米大統領が地球人以外の種族を敵とみなす法案を提出し、スクラル人に宣戦布告(『シークレット・インベージョン』)
以上が、『エンドゲーム』後に地球で起きたスーパーヒューマン関連の主な出来事だ。今回は、世間一般的に知られている可能性のある事件のみピックアップしている。振り返れば、ピーター・パーカーの逮捕やティアマトの出現、シー・ハルクの登場などは劇中でもニュースにもなっていた。アメリカだけでなくイギリスやエジプトでも怪物が出現する一方でアベンジャーズは不在という不安定な世相が続いている。
アメリカ国内では連邦組織であるダメージ・コントロール局がこうした事件の対応にあたっている。『キャプテン・アメリカ:ブレイヴ・ニュー・ワールド(原題)』(2025) ではサンダーボルト・ロスが大統領に就任する予定で、その後に公開される『サンダーボルツ(原題)』(2025) で結成されるヴィランチームも政府の機関になる可能性がある。ヤング・アベンジャーズは世間からの向かい風もありつつ、米政府を相手にするという苦しい状況に立たされることになりそうだ。
デアデビルの動き
今回のタイムラインでは、ABC制作のドラマシリーズもシーズンごとに時系列順に振り分けられている。『ジェシカ・ジョーンズ』シーズン3は『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017) と『アントマン&ワスプ』(2018) の間に入っており、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) の直前が舞台になっていたことが分かる。
気になるのは、MCUフェーズ4以降で複数の作品に登場していたデアデビルことマット・マードックの動きだ。時系列順では、ドラマ『エコー』の回想シーンで指パッチン中の時期(2018-2023)に登場。キングピンの組織を監視している姿を見せた。
お次は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。マット・マードックは2024年7月のピーター・パーカー逮捕にあたって弁護士として登場した。2025年8月には拠点としているニューヨークではなく、カリフォルニアに登場してシー・ハルクことジェニファー・ウォルターズと法廷で対決した。
この時、マットはファッションデザイナーのルーク・ジェイコブソンから黄色と赤の新しいコスチュームを手に入れた。ということは、『エコー』の回想シーンから『シー・ハルク』までの数年間で、マットが以前のコスチュームを失った可能性もある。
この流れを見ると、『シー・ハルク』のデアデビルが最新バージョンということが分かる。2025年5月ごろが舞台と考えられる『エコー』のラストではキングピンが興味を示したニューヨーク市長選が最終局面を迎えている。マットがカリフォルニアにいたのは2025年8月のことなので、キングピンことウィルソン・フィスクはこの時点で既に市長に就任している可能性もある。
マットはニューヨークでは色々とやりづらくなって、カリフォルニアまで足を伸ばしていたのだろうか。力を得たキングピンとの戦いの中で以前のコスチュームを失い、カリフォルニアで新たなコスチュームを手に入れたのだろうか。これらの答え合わせは、現在制作中で2025年春の配信を予定しているドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン(原題)』で行われることになるだろう。
征服者カーンを巡って
最後に、ドラマ『ロキ』シーズン2が実写作品の最新タイムラインに据えられたことで、MCUのマルチバース・サーガにおける大ヴィランをめぐる考察にも影響が出てくる。2023年12月には、征服者カーンを演じるジョナサン・メジャースが女性への暴力行為に対して有罪判決を受けたことで同役を降板。配役の変更と共に大ヴィランの変更も検討されていると噂が流れていた。
映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』のラストでは、カーン評議会が登場し、様々なカーンの変異体の姿が映し出された。収拾がつかないレベルの増長を見せるカーンたちだったが、『ロキ』シーズン2ではロキ自身が全てのタイムライン/マルチバースを司るようになり、TVA(時間変異取締局)はカーンたちを取り締まる組織に変革された。
公開されているタイムラインを見ると、『ロキ』シーズン2が『アントマン&ワスプ:クアントマニア』よりもかなり後の出来事であることが分かる。『ロキ』シーズン2は『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の出来事を収束させるための物語と捉えることもでき、2024年から仕切り直しでMCUには新たな展開が待っている可能性もある。
ドラマ『エコー』の成功を受け、マーベル・スタジオはデアデビルをはじめとしたストリートレベルのヒーローたちに焦点を当てるとされている。また、2026年公開予定の『アベンジャーズ5(仮)』の脚本は『ロキ』シーズン2の脚本家が担当する。『マーベルズ』ではヤング・アベンジャーズの結成が示唆されたことから、今後のMCU世界は、
① ロキを頂点に置き、
② デアデビルらストリートレベルのヒーローの活躍と、
③ ヤング・アベンジャーズの結成を描いていく、
④ それに対し、アメリカ政府という現実的なヴィランが立ちはだかる、
という線が考えられる。もちろん、宇宙規模の脅威だったサノスや時空を超えていく征服者カーンのような大物ヴィランもいずれは登場するだろう。それまでの間、立て直しを図るMCUの次の展開に注目したい。
MCU作品はディズニープラスで配信中。
Source
Marvel.com
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