【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第8話 ホロコーストと士郎の秘密【あらすじ・レビュー・感想】 | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第8話 ホロコーストと士郎の秘密【あらすじ・レビュー・感想】

©️2020 TRIGGER

佳境に入る『BNA ビー・エヌ・エー』

フジテレビ「+Ultra」で放送されているアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』。Netflixでも全12話が先行配信されており、人気を集めている。『BNA』の制作を手掛けるのは『SSSS. GRIDMAN』(2019)で知られるTRIGGER。毎回設定された社会的なテーマとコミカルな獣人たちによって展開されるストーリーがその特徴だ。

第8話「The Mole Rat Speaks」では物語はいよいよ佳境に。そして、ある秘密が明らかになる。そのあらすじを見てみよう。

第8話「The Mole Rat Speaks」のあらすじ

ある獣人の暴走

第7話で銀狼教団の教祖であるなずながシルヴァスタ製薬のアラン会長を助けたことで、ロゼ市長とアランはアニマシティで教団を受け入れることを確認していた。一方、シルヴァスタ製薬の研究者はアランに「獣因子の不活性化」についての報告を行っていた。

改めてなずなと向き合おうとしたみちるだったが、すぐに口論に。互いに素直になれずにいた。士郎はそんなみちるを、テロリストであるハヤブサ獣人メテオールの取り調べに同行させる。その一歩先に警察を訪れていた銀狼教団のボリスは第3話で逮捕されたサイ獣人の矢場と面会していた。アラン会長の名前をあげるボリスに、矢場は怯え始める。

そして留置所に戻った矢場は暴走を始める。巨大な二足歩行のサイの怪物へと姿を変えた矢場を、警官隊は止めることができない。直前まで面会していたボリスは、何者かに「予定通り発症した」と報告を行う。

明らかになる秘密

みちるは矢場を止めようとする士郎を助け、チームプレーで矢場を郊外まで連れ出す。だが、どんどん力を増していく矢場に、士郎は身体に穴が開くほどの傷を負ってしまう。みちるは応戦するが矢場に捕まり、絶体絶命のピンチを迎える。

ここで士郎は遂に“銀狼”に姿を変える。本物の銀狼の正体は士郎だったのだ。圧倒的な力で暴走する矢場を倒した士郎は気を失うが、ロゼらに介抱され、傷は治癒していた。なぜ士郎は不死身なのか……。

みちるはロゼに、人間嫌いの士郎に対して壁を作っていたことを明かす。みちるは士郎が人間に偏見を持っていると思っていたが、自分もまた士郎と自分は違うと感じていたことを反省する。また、獣人になることの恐怖は、獣人のことを知らないことによって生まれたものだと話す。これは第4話でみちるが獣人たちのことをもっと知ろうと決心した時の心情と重なる。

この話を聞いたロゼは、はみちるに士郎の秘密を明かす。大神士郎は1,000年前から銀狼として生きてきたのだという。士郎は1,000年前、ヨーロッパの東に位置する二ルヴァジールという都市で普通のオオカミ獣人として暮らしていた。その時代には人間と獣人は友好な関係を築いて暮らしていたというが、ある日、人間の舞台が二ルヴァジールを襲い、虐殺が繰り広げられた。

士郎とその一族は殺され、士郎はその遺体を一族の遺体とともに放置された。その時、2,000人の獣人たちの血が士郎に力を与え、それ以来自分は不死身になったと、士郎は信じている。士郎は人間の将軍を追ったがその姿を見つけることはできず、後に残ったのは人間の死体の山だった。士郎は復讐の虚しさを知り、以来、獣人たちの守護者として生きてきたのだという。

知識を得て、行動に

ロゼが士郎に出会ったのは、第二次大戦末期のヨーロッパ。人体実験を繰り返されていた獣人たちを助けたのは銀狼こと士郎だった。人体実験の惨状を目の当たりにした士郎は再び人間たちを皆殺しにするが、それ以降、士郎は自分の力を恐れ、その力を封じるようになった。

なお、ロゼと士郎の物語は、小説『BNA ZERO ビー・エヌ・エー・ゼロ まっさらになれない獣たち』でも描かれている。

苦痛に満ちた歴史を知ったみちるだが、士郎とは今まで通り接することを宣言する。みちるにとって大神士郎は、「アニマシティを守るために必死になって戦う無愛想な人」。これまでと同じように接することを宣言する。だが、みちるはどうしてもなずなには本物の銀狼がいるということを伝えたいと申し出て、士郎はそれを許す。

ロゼはシルヴァスタ製薬の研究所で矢場の獣因子を確認していた。「何かあればすぐに対応して」と求めるロゼに、アランは「そのためにここにいる」と意味ありげに呟くのだった。

第8話「The Mole Rat Speaks」の解説

虐殺の歴史

これまでで最も過激な描写が続いた第8話「The Mole Rat Speaks」では、獣人たちの歴史、それもホロコースト (大量虐殺) に焦点が当てられた。士郎が人間嫌いになった背景には、獣人虐殺の歴史が存在していた。しかも、士郎は当事者の一人だった。

第二次世界大戦末期の獣人への人体実験は、ユダヤ人への迫害を題材にしたものだろう。アウシュヴィッツをはじめとする強制収容所では、ナチスドイツによる非人道的な人体実験が横行していた。その内容は、麻酔なしでの神経の移植や被験者をわざとマラリアに感染させる実験など、目を覆いたくなるものばかりだ。

士郎は同じように非道な光景に直面したのだろう。その時の怒りは計り知れない。残虐な人間たちを憎むようになるのも無理はない。みちるは士郎が背負った歴史に想像が及ばず、士郎が人間に対して偏見を持っていると思い込んでいた。

第4話で提示された「知ろうとすること」

第8話「The Mole Rat Speaks」は、第4話「Dolphin Daydream」で描かれた「歴史を知り、個人と向き合う」というテーマの延長線上にある。

今回明らかになった獣人たちの歴史は、ひとえにみちるが「知らない」ということを認め、「知りたい」と歩み寄った結果、同じ歴史を見てきたロゼの口から語られた言葉だった (タイトルにある「Mole Rat」とはハダカデバネズミのことで、ハダカデバネズミ獣人のロゼが語るということが第8話のポイントになっている)。

と同時に、みちるは自分が「知っている」士郎のいいところを捉え、接し方は変えないと宣言する。他者を理解したところで、生き方を問われるのは自分自身に他ならない。第4話で獣人たちのことを知ろうとすることを決意し、第8話で最も近くにいた士郎のことを知り、みちるは少しずつ変化していく。第7話で「変わってない」と言われ、以降対話が平行線を辿っていたなずなに、もう一度歩み寄っていくのだ。

ある日突然いなくなり、銀狼教団の教祖として舞い戻ったなずな。果たしてなずなの身に何があったのか。みちるは次になずなと向き合う。

アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』はフジテレビ「+Ultra」にて放送中。

Netflixでは全12話を先行配信している。

『BNA ビーエヌエー』(Netflix)

『BNA』第9話のあらすじと解説は以下の記事から

『BNA』全体のあらすじについては以下の記事に詳しい。

『BNA』で使用されている音楽については以下の記事から。

『BNA』に出演している声優陣については以下の記事から。

齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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