【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第9話 「変える」こと、「変わらない」こと【あらすじ・レビュー・感想】 | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『BNA ビー・エヌ・エー』第9話 「変える」こと、「変わらない」こと【あらすじ・レビュー・感想】

©️2020 TRIGGER

人気アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』

『キルラキル』(2013)や『SSSS. GRIDMAN』(2019)で知られるTRIGGERによる最新作『BNA ビー・エヌ・エー』。2020年4月にフジテレビ「+Ultra」などで放送を開始し、Netflixでも全12話が先行配信されている。毎度貧困や性差別をテーマにしながら、獣人たちの住むアニマシティとある日突然タヌキ獣人になった主人公みちるの物語が描かれている。

そんな『BNA』も、いよいよ最終回まで残り4分の1。今回は、ついにタイトルに「人間」という言葉が入った第9話「Human Scapegoat」のあらすじとネタバレ解説をご紹介する。

第9話「Human Scapegoat」のあらすじ

銀狼が変えたもの

大神士郎が本物の銀狼だということを知ったみちるは、偽の銀狼を演じる親友なずなのもとに来ていた。銀狼を演じることをやめるよう説得するためだ。だが、なずなは自分を心の支えにしている信者 (ファン) の希望として教祖をやめる気はない、覚悟は出ているとみちるに告げる。

士郎に励まされたみちるは、第6話の最後になずなと喧嘩した時に投げ捨てた銀狼の首飾りを探して貧民街に出向く。そこに現れたのはジャッキー。ジャッキーは、川の水を浄水器にぶち込んだだけの「ミネラルウォーターふうの水」を売りさばいて大金持ちになることを企んでいた。

みちるは川のゴミの中から首飾りを見つけ出すが、ジャッキーもまた銀狼教の信者であり、銀狼に救われたことをみちるに話す。「よきケモノビトたれ」という標語の下、貧民街の人々はみな銀狼のおかげで生まれ変わったというのだ。首飾りを取り戻したみちるは、なずなへの気持ちが“変わっていない”ことを確認する。

“獣人病”の真実

そしてみちるは車に乗せられメディカルセンターに連れられていくなずなの姿を目撃する。メディセンに潜入したみちるは、何やら大仰な機械を取り付けられたなずなの姿を発見。機械を壊してなずなを助け出そうとするが、そこに現れたのはシルヴァスタ製薬の会長アランだった。

怒り狂うみちるに対し、なずなは「そうやって勝手に思い込んで突っ走る癖、ちっとも変わってないよね」と言い放つ。なずなは合意のもとでシルヴァスタ製薬の実験に協力していたのだという。そして、アランはみちるとなずなが獣人になった原因はメディカルセンターにあったと話し出す。

共に交通事故にあったみちるとなずなは、誤って矢場らが横流しした獣因子試薬を輸血されたのだという。なずなが獣人化したことに気づいたシルヴァスタはなずなを隔離したが、みちるが獣人化したことには気づくのが遅れていた。そして、第3話で描かれたメディセンの爆破事件は、獣因子試薬が流出したデータを消すために仕組まれたことだった。

なずなの役目

アランはその責任を認めながら、なずなの協力により獣人病を治す薬がもうすぐ完成することをみちるに告げる。なずなは人間に戻るまでの間、銀狼教団の教祖として獣人に希望を与える仕事を担っていた。

アランによると、獣人たちは感情に左右されやすく、心的エントロピーを抑える必要がある。獣人たちに“神”を用意し、信仰心を持たせることで心的エントロピーを抑えていたのだという。人間に弾圧されてきた獣人たちは人間の宗教を信仰しない、そこで獣人が自ら信仰を“選ぶ”ように様々な演出を行ってきたのだという。

なずながこの事実を黙っていたことについて、みちるは再び怒るが、アランからなずなに協力するよう要請され、二人は帰路につく。カーステレオから流れる「NIGHT RUNNING」を聴き、二人は高校時代を思い返していた。

変わっていないこと

人間であるアランとなずなを信じようとしていることを士郎から咎められたみちるは、いつの間にかなずなを弁護していた。なずなは虐げられ、苦しんでいる獣人たちに希望を与えたくてアイドルになろうとしている。みちるは、なずなを信じる気持ちは以前から“変わっていない”ということを士郎に告げる。

士郎はみちるに人間に戻ったらアニマシティに戻るのかどうかを聞き、みちるは「家に帰りたい」と答える。一方、なずなはボリスに「キモいから」とみちるの言葉を使って、距離を置いていた。みちるとなずなの距離は以前のものに戻りつつあった。

矢場が暴れ出した原因を調べていた士郎は、市長のロゼから情報を聞き出していた。「生まれてから一度もいい人間になんか会ったことがない」とうそぶく士郎に、ロゼは、みちるはいい人間ではないかと問いかける。

その頃、アランは日本の白水総理と密会し、あるものを貸し出そうとしていた……。

第9話「Human Scapegoat」の解説

明らかになった秘密

『BNA』の物語も佳境に入り、各話ごとにワンテーマという設定ではなくなった。第8話では士郎が銀狼であったことが明らかになり、第9話「Human Scapegoat」では、なずながアニマシティに連れてこられた理由、そしてみちるが獣人になった理由が明らかになった。各々の秘密が徐々に明らかになってきた。

同時に、みちるは突然人間に戻れるという事実を突きつけられる。みちるが獣人になった原因はシルヴァスタ製薬の医療ミスで、なずなは新薬開発に協力しながら銀狼教団の教祖として獣人の希望になろうとしていた。

「変える」ことと「変わらない」こと

ポイントは、アランが使う「心的エントロピー」という曖昧な言葉を、みちるは、アニマシティに住む獣人たちの“ストレス”だと見抜いているということだ。実際にアニマシティの人々と触れ合ってきたみちるは、それが抑圧された社会に生きる人の誰もが抱える苦痛だと気づいている。

だからこそ、みちるはなずながそうした抑圧された人々の希望となろうとしていることに感銘を受けた。第9話の前半で、貧民街に登場したジャッキーもポイントになる。ジャッキーは、自分は銀狼のおかげで生まれ変わったと話す。これもまたアニメ『BNA』のテーマである「変身」というキーワードにつながる。

なずなは今、アニマシティの人々を「変える」ための力になっている。みちるは、そんななずなを依然と「変わらず」に好きなのだ。獣人たちは銀狼ことなずなのおかげで「変われた」と言い、なずなはみちるに「変わってない」と言う。二人はキツネとタヌキという変身能力を持った獣人になったが、なずなは人を変えること、みちるは変わらないこと、それが各々の良さであり、“らしさ”になっている。

第6話で否定的な意味で投げかけられた「変わってないね」というみちるへの言葉は、ここにきてもう一度なずなとみちるの絆をつなぐ力になる。ボリスを「キモい」と遠ざけたなずなは、物語のクライマックスに向け、どのような幕引きを選ぶのだろうか。

アニメ『BNA ビー・エヌ・エー』はフジテレビ「+Ultra」にて放送中。

Netflixでは全12話を先行配信している。

『BNA ビーエヌエー』(Netflix)

『BNA』第10話のあらすじと解説は以下の記事から。

『BNA』全体のあらすじについては以下の記事に詳しい。

『BNA』で使用されている音楽については以下の記事から。

『BNA』に出演している声優陣については、以下の記事から。

齋藤 隼飛

1991年生まれ。
社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。
編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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