ネタバレ考察『ザ・フラッシュ』は『スナイダーカット』とつながる? バットマンのセリフに注目 | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『ザ・フラッシュ』は『スナイダーカット』とつながる? バットマンのセリフに注目

©2017 WBEI TM & ©DC via Justice League

映画『ザ・フラッシュ』公開

映画『ザ・フラッシュ』が2023年6月16日(金) より劇場で公開された。主人公バリー・アレンを演じたエズラ・ミラーの度重なる不祥事もあり、何度も公開が延期された作品で、DC映画を追っているファンにとっては待望の劇場公開となった。

『ザ・フラッシュ』では本格的にマルチバース要素が取り入れられ、過去にバットマンを演じたマイケル・キートンが同役で復帰するなど、様々な過去作とのクロスオーバーも見られた。そんな中で気になるのは、『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(2021) との繋がりについてだ。

『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』は、ザック・スナイダー監督が制作途中で離脱を余儀なくされた『ジャスティス・リーグ』(2017) を、4時間超の映画として完成させた作品。『ジャスティス・リーグ』はジョス・ウェドン監督が引き継いで公開されていたが、多くの変更を加えた末に興行的には失敗し、後にウェドン監督のハラスメント、差別発言も告発されるなど散々な結果に。『スナイダーカット』では、あるべき姿の『ジャスティス・リーグ』が示されることになった。

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その後『スナイダーカット』をメインユニバースに戻す「#RestoreTheSnyderverse」のムーブメントも起きた一方で、ザック・スナイダー監督は続きを作るつもりはないと2022年のサンディエゴ・コミコンで発言しており、『スナイダーカット』が正史になることはないとも発言している。では、今回の『ザ・フラッシュ』では『スナイダーカット』は「なかったこと」とされたのだろうか。

以下の内容は映画『ザ・フラッシュ』および『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』のネタバレを含むので注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ザ・フラッシュ』および『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』の内容に関するネタバレを含みます。

『ザ・フラッシュ』にあった三つの『スナイダーカット』要素

映画『ザ・フラッシュ』には、映画『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』とつながる三つの要素が存在していた。①アイリス・ウェストとの再会、②ポザーノフへの言及、③バットマンの態度という三つの要素だ。今回はこれらの要素を一つずつ見ていこう。

アイリス・ウェストとの再会

バリーはアイリスを助けていた

映画『ザ・フラッシュ』では、バリー・アレンの学生時代の友人で、現在は記者となったアイリス・ウェストが登場する。アイリス・ウェストはバリーの母が殺された事件を追っており、記者としてバリーに声をかけるのだが、この時、アイリスはバリーに「ちょっと前に会ったよね?」と尋ねる。なんでもない質問に思えるが、バリーは「いや! 会ってないよ……大学以来」と取り繕うように回答している。

実は、バリーはアイリスと『スナイダーカット』の劇中で出会っている。『ジャスティス・リーグ』には登場しなかったカットで、バリーがペットショップのバイトの面接に行った時に二人はすれ違って見つめあっている。その後、アイリスが乗る車がトラックと衝突したところでバリーは高速移動でアイリスを助け出す。ザック・スナイダーのこだわりが詰まった美しいスローモーションのシーンだ。

この時、バリーはペットショップでの面接に戻るために、助けた直後のアイリスの目の前で高速移動の能力を使ってしまっている。アイリスが『ザ・フラッシュ』で「ちょっと前 (a few years ago) に会ったよね?」と聞いていることとバリーが慌ててそれを否定している背景には、『スナイダーカット』での出来事があったと考えられる。

ポザーノフの時のように

時間遡行に成功している

だが、上記の要素だけでは単なる小ネタのジョークと受け取ることもできる。決定的だったのは『ザ・フラッシュ』におけるバリーとベン・アフレック演じるバットマンことブルース・ウェインの会話である。バリーが過去に戻れたことをブルースに相談する場面で、ブルースは「ポザーノフの時のようにか?」と聞き、バリーは「そう、ポザーノフの時みたいに」と答える。

ポザーノフとは、『ジャスティス・リーグ』と『ザック・スナイダーカット』の双方において、ジャスティス・リーグとステッペンウルフの軍勢が最終決戦を繰り広げたロシアの架空の村の名前である。30年前に廃炉になった原発の跡地という設定だ。

『ジャスティス・リーグ』におけるポザーノフの戦いでは、スーパーマンが一同を助けに来てからことが順調に運んでジャスティス・リーグが勝利する。一方、『スナイダーカット』では、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、サイボーグ、アクアマン、フラッシュは一度は任務に失敗して大爆発を起こしてしまう。しかし、フラッシュはすんでのところで時間遡行に成功し、任務の“やり直し”に挑む。つまり、『スナイダーカット』では、フラッシュはポザーノフで時間遡行に成功しているのだ。

成功体験がアダに

あまりにスーパーマン頼りだったジョス・ウェドン版の『ジャスティス・リーグ』に対し、『スナイダーカット』でのこのフラッシュの活躍はハイライトの一つになっている。バリーとジャスティス・リーグを結成したブルースにとっては忘れ難い経験になっていたのだろう。

『ザ・フラッシュ』でブルースが「ポザーノフの時のようにか?」と聞いた背景に『スナイダーカット』での経験があったことは明らかだ。この会話は、ポザーノフで時間遡行に成功した『スナイダーカット』の経緯が存在しなければ成り立たないもので、やはり『ザ・フラッシュ』は『スナイダーカット』の内容を踏まえて制作されていると考えられる。

なお、バリーはブルースの「ポザーノフの時のようにか?」という反応に対し、「でも今度は丸一日戻ることができた」と話している。「皆助けることができる、ママも、あなたの両親も」と話すバリーに、ブルースは「だが、全てを破壊しうる」と釘を刺す。その忠告をよそに、バリーはわずかな時間の巻き戻しで結果を変えることができたポザーノフでの成功体験によって、やり直しの無限ループに陥っていくことになるのだ。

バットマンの改心

タイムラインを破壊したバットマン

最後に紹介したい『ザ・フラッシュ』の『スナイダーカット』要素は、バットマンの内面に関するものだ。『ザ・フラッシュ』においてはブルース・ウェインはバリー・アレンの良き師としてバリーに助言を与える。前述のように、ブルースの殺された両親を助けられると言われても、「その痛みが今の私を作った」「過去に生きるな」「悲劇に囚われるな」と模範的な態度を示している。

元々バリーをリクルートしたのはブルースで、幼い頃に親を殺されたという共通点があることから、ブルースは非常に親身にバリーに寄り添っているように見える。それでも、結局バリーは過去に戻って母を救おうとし、ポザーノフの時のように“やり直し”をしてゾッドを倒そうとし、トマト缶の位置を変えて父の無罪を勝ち取ろうとする。その結果、ベン・アフレックが演じるブルース・ウェインが“いなかったこと”になってしまうという皮肉なオチが『ザ・フラッシュ』のラストには待っていた。

ところが、『スナイダーカット』では逆に過去に囚われたバットマンの姿が最後に映し出される。ステッペンウルフを退けた後、ジャスティス・リーグの一同はそれぞれの道を行き、「世界は傷つき、壊れ、取り替えもできない」「だが世界は過去ではなく未来に続いている」というナレーションと共に、バリーも科学捜査官の仕事に就いて、面会した父から「前に進めバリー」と言われる。

だがその後、急に荒廃した世界が映し出され、バットマン、サイボーグ、メラ、フラッシュ、デスストローク、そしてジャレット・レトが演じるジョーカーという意外な面子が行動を共にしているシーンが挿入される。このシーンでの一同のやり取りはこちらの記事に詳しい。

今回注目したいのは、このシーンでジョーカーがブルース・ウェインに「いくつタイムラインを破壊すれば気が済む?」と尋ねていることだ。この世界ではバットマンらはフラッシュと共に行動していることから、フラッシュの時間遡行能力を使って何度も“やり直し”を試みたものと考えられる。『スナイダーカット』では、バリーだけでなくリーダーであるバットマンまでもが“やり直し”の魔力に取り憑かれた末に荒廃した世界が広がる結末を描いているのだ。

バリーからの警告と、バリーへの警告

結局このシーンは闇堕ちスーパーマンと対峙したところでブルースが目を覚ますという“夢オチ”だったのだが、起きうる未来の予知夢だったか、ブルースは別の世界のヴィジョンを見たものと考えられる。

このシーンに登場するフラッシュはアイアンマンのようなメカスーツを着ているのだが、DCEU正史である『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016) にもフラッシュはこの姿で登場している。『ザ・フラッシュ』で描かれたようにクロノボウルから顔を出して過去のブルースにロイスとスーパーマンに関する警告を与えるが、この時ブルースはこの人物のことをバリーだとは認識していない。『スナイダーカット』を経ていないブルースはヴィジョンを見ていないため、今でもこの忠告を与えた人物が誰なのか分かっていないはずだ。

しかし、『スナイダーカット』ではヴィジョンの中でメカスーツを着ているフラッシュがおり、ブルースがロイスを死なせてスーパーマンが闇堕ちしたことに言及されているため、ブルースは『バットマン vs スーパーマン』におけるフラッシュの忠告を理解したはずだ。未来のブルースたちはフラッシュの力を使ってロイスが死ぬ展開を阻止しようとしていたのだろう。

かなり遠回りな解説になってしまったが、まとめると『スナイダーカット』を経たバットマン/ブルース・ウェインというのは、“いくつものタイムラインを破壊した世界線の自分”というヴィジョンを見ているため、時間移動をしたり過去を変えたりすることに消極的になっているはずなのだ。『ザ・フラッシュ』でのバリーへの「全てを破壊しうる」という警告は、未来の自分の姿を念頭においた言葉だったのではないだろうか。過去を変えようとブルースに警告したバリーに対し、ブルースは過去を変えないようバリーに警告したのだ。

ポザーノフで初めて時間遡行に成功したバリー、メカスーツを着て過去を変えようとするバリー、いくつものタイムラインを破壊した自分……。これらの『スナイダーカット』で描かれた要素を踏まえて、ブルースは『ザ・フラッシュ』で過去は変えない方がよいという立場を取ったものと考えられる。よって、バットマン/ブルース・ウェインの立場を通しても『ザ・フラッシュ』では『スナイダーカット』の内容が踏まえられていると考察することができるのだ。

以上が、『ザ・フラッシュ』における『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』とのつながりである。『ザ・フラッシュ』によって一旦DCEUの世界はリセットされることになったが、最後の最後に『スナイダーカット』を“正史”に組み込んだのだ。リニューアルされるDCUでは今後どんな展開が待っているのか、引き続き注視していこう。

『ザ・フラッシュ』は2023年6月16日より全国公開。

『ザ・フラッシュ』公式サイト

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『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』ラストの解説はこちらから。

『ザ・フラッシュ』ポストクレジットの解説はこちらから。

『ザ・フラッシュ』続編をめぐる現在の状況についての解説はこちらの記事で。

『ザ・フラッシュ』におけるマルチバースの解説&考察記事はこちらから。

『ザ・フラッシュ』に登場するバットマンについての解説はこちらから。

フラッシュの能力とキーワードになる「スピードスター」に関する解説はこちらから。

 

DCU最初の映画となる『ブルービートル』予告の解説&考察はこちらから。

『ザ・フラッシュ』公開までの経緯のまとめはこちらから。

DCU10年計画『神々と怪物』の全作品の紹介はこちらから。

ヘンリー・カヴィルのスーパーマン降板に関する経緯はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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