【ネタバレ解説】『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が突きつけた命の倫理と人類の選択 | VG+ (バゴプラ)

【ネタバレ解説】『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が突きつけた命の倫理と人類の選択

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『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のメッセージ

2018年に公開され、同年の年間世界興収第3位の大ヒットを記録した映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』。恐竜映画としては前作『ジュラシック・ワールド』(2015)に次いで歴代2位となる13億ドル超の興行収入を記録したことで話題になった。2021年には次回作『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』の公開も予定しており、『炎の王国』で広がった壮大なストーリーがどのように回収されるかに注目が集まっている。

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で注目が集まったのは、そのテーマだ。スペインのJ・A・バヨナ監督が指揮をとり、デレク・コノリーと『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/ドミニオン』の監督を務めるコリン・トレヴォロウが共同脚本を手掛けた同作では、“命の倫理”“人類の選択”をテーマにしたストーリーが展開された。

これまでの「ジュラシック・パーク」シリーズでは、そもそも人間が自然界に手を出すこと、神のように振舞うことに警鐘を鳴らすことがシリーズを通してのテーマだった。だが、第1作目から四半世紀を経て公開された最新作では、そこからもう一歩先に進んだ倫理に次いてのテーマが扱われている。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の内容に関するネタバレを含みます。

メイジーが教えてくれたこと

物語の終盤、ロックウッド財団の創始者ベンジャミン・ロックウッドの孫娘と思われていたメイジーについて、衝撃の事実が明らかになる。メイジーは、死んだ娘を取り戻したいという気持ちからロックウッドが作り出した自分の娘のクローンだったのだ。

メイジーは恐竜と同じく、人間のエゴによって創り出された存在だ。ここで初めて人類にとっての“他者”であり“脅威”である恐竜ではなく、自分たちの身近にいる人間のクローンが登場する。それまで自分たちと同じ存在だと思ってきたメイジーがクローンだったという事実は、視聴者の“他人事感”を一気に覆してしまう。

そして、ほかでもないそのメイジーが、「私と同じ、クローンだけど皆生きてる」と、クローンである恐竜たちの命を守るために恐竜たちを捕らえている檻を開放し、世界に解き放つ。「クローンの存在を考えるべきか」という学術的な議論は既になされてきたが、目の前にその命が現れた時、選択を迫られる緊急事態に直面した時、私たちは命を取捨選択してよいのか、という真っ直ぐな問いに直面することを思い知らされる。

そして、救える命は救うという確固たるメッセージを提示したのが『ジュラシック・ワールド/炎の王国』という作品だった。それは、どのような経緯であれ、この世に生まれた命は尊いものであり、人類には、自ら生み出したものだとしても、その命を愚弄したり、その価値を決めたりする権利はないということだ。

「何をしないか」ではなく「何をするか」

物語の最後には、“ジュラシック・ワールド”とは、恐竜が解き放たれた世界のことだったというオチが明らかになる。『炎の王国』の英語の原題である「Fallen Kingdom (=墜ちた王国)」とは、火山の噴火によって壊滅した恐竜たちの王国ではなく、恐竜たちの復活によって生態系の頂点から崩れ落ちた人類の社会だったのだ。

そして、既に起きてしまった変化、避けられない運命とどう向き合うかということを問いかけ、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は幕を閉じる。「ジュラシック・パーク」シリーズはこれまで、人間は神のようになろうとしてはいけない、自然に手を出すべきではないと、「してはいけないこと」を伝え続けてきた。今回問われたのは「何をするか」だ。クローン技術の開発も環境破壊も四半世紀前よりもはるかに進み、取り返しのつかないところまで来てしまった現代において、人類に積極的にこの状況に向き合い、問題解決に取り組んでいくことを要求しているのだ。

「ジュラシック・パーク」シリーズが初めてスクリーンに登場してから25年。『炎の王国』が新たに示したテーマから、私たち人類は学び、歩む道を改めることができるだろうか。

映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は4K UHD+ブルーレイセットが発売中。

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