新「007」は黒人女性に『MIB』『リトル・マーメイド』に続く

ライター

新007にラシャーナ・リンチ

『キャプテン・マーベル』出演女優が抜擢

スパイアクション映画の金字塔『007』シリーズの第25作目に、ジェームズ・ボンドのポジションを継ぐ役者としてラシャーナ・リンチが抜擢されることが分かった。英メディアのDailyMailOnlineなどが伝えている。ラシャーナ・リンチは『キャプテン・マーベル』(2019) でキャプテン・マーベルの盟友マリア・ランボーを演じたイギリス人女優。1962年の第一作目以降、「007」シリーズで初の黒人、そして女性の007誕生となる。

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白熱していたジェームズ・ボンドの後継論争

ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドの引退後、黒人男性俳優のイドリス・エルバがジェームズ・ボンドに抜擢されるのではとの噂も広まっていた。調査会社のユーガブによると、英国人ファンは次のジェームズ・ボンドの条件として、「英国人」「男性」であることを重視しているという調査結果が出ていた。しかし、エルバ自身は黒人のジェームズ・ボンドに対してファンから批判が起きることが予想されるとして、この新ジェームズ・ボンド就任には否定的な態度をとっていた。

引き継ぐのは“ポジション”

今回、新007に抜擢されたラシャーナ・リンチは、『007』25作目で“ジェームズ・ボンド”の名を継ぐわけではなく、ジェームズ・ボンドが去った後のMI6でそのポジションを引き継ぐことになる。「誰がジェームズ・ボンドになるべきか」という論争を一足飛びに乗り越えた格好だ。

映画界で相次ぐ黒人女性の起用

『MIB』も黒人女性を主演に

長年続いてきたシリーズで黒人女性を後継に据えた例としては、2019年6月に公開された『メン・イン・ブラック: インターナショナル』が挙げられる。クリス・ヘムズワースとのダブル主演という形ではあったが、バイセクシャルであることを公言しているテッサ・トンプソンが同シリーズ初の女性主人公として主演を果たした。トンプソンは「私たちはより多くの代表 (representation) を必要としている」とした上で、「他者への共感を育んでほしい」と、女性以外の視聴者にも同作を楽しんでもらいたいと話している。

実写版『リトル・マーメイド』も論争に

また、2019年7月上旬には、ディズニーの実写版『リトル・マーメイド』で黒人歌手のハル・ベイリーがアリエル役として主演に抜擢されたことが発表された。これに対し、一部ファンからは“伝統”を理由として、アリエル役に白人女優の起用を要求する声があがっていた。ディズニー系列のテレビ局フリーフォームは、原作のアリエルはデンマーク人であると予測され、デンマーク人には黒人もいると反論。ジャーナリストのジャスティン・キングは動画を公開し、「本来は (人魚と人類という) 人種を乗り越えていこうという話なのに、一部の人々がそれを否定することを“伝統”と呼んでいる」と“伝統=白人”とする論を喝破した。

 

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Just Announced: Halle Bailey has been cast in the upcoming live-action reimagining of The Little Mermaid.

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オルタナ右翼による攻撃

誹謗中傷のコメントも

一方で、マーベル映画史上初の女性単独主演作品となった『キャプテン・マーベル』の公開前には、女性による単独主演、フェミニズムの流れを嫌う人々がレビューサイトを荒らすなど、嫌がらせ行為は枚挙にいとまがない。“黒人女性007”の報道に対しても、既にラシャーナ・リンチのSNSには誹謗中傷のコメントが寄せられている。黒人女性をシリーズもののキャラクターの後継として起用することに反発が起こっている一方で、『キャプテン・マーベル』公開後には、オルタナ右翼が白人女性であるブリー・ラーソンを降板させ同作の主演に黒人女性を起用するよう求める署名活動を展開するなど、前述の“伝統=白人論”と同様、その主張は一貫性を欠いている。単に女性が主役に据えられることが気にくわない人々だと言っていいだろう。

SF作家も反応

今回、新007に黒人女優のラシャーナ・リンチが起用された件について、SF作家らも反応を示している。『老人と宇宙』で知られる作家のジョン・スコルジーは、「予想: メソメソした男たちが震えて取り乱す」とオルタナ右翼の動きを揶揄。『ハンターズ・ラン』のダニエル・アブラハムは、「普段リベラル派を “snowflake [=雪片、感情的になりやすい人々に対する侮蔑語]” と呼んでいる人たちは歯を食いしばって泣いているだろう。ひどく動揺して傷ついてるのでは」と皮肉った。

SF界では前人未到のヒューゴー賞三連覇を達成したN・K・ジェミシンをはじめ、ネディ・オコラフォ、レベッカ・ローンホースらがSF賞の常連となっている。今や米SFは黒人女性作家の活躍なしに語ることはできないのだ。白人男性作家である二人がこうした反応を見せるのは、当然のことだと言えるだろう。

ラシャーナ・リンチが起用される新007は一体どのような作品となるのか、そして世界はどのような反応を見せるのか、続報を待とう。

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©2019 MARVEL
– Source –
Daily Mail Online

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