第1話ネタバレ解説!『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』ラストに登場したのは? あらすじ&考察 | VG+ (バゴプラ)

第1話ネタバレ解説!『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』ラストに登場したのは? あらすじ&考察

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『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』配信開始!

Disney+オリジナルのMCUドラマ最新作『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』が2021年3月19日(金)より配信を開始した。1月に配信が始まった『ワンダヴィジョン』に続くMCU正史のドラマとあって、注目度は高い。特に『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) のラストシーンから直接繋がる“キャプテン・アメリカの盾の継承”をテーマにしたストーリーは、今後のMCUにとって大きな分岐点になる。

今回は、遂に配信が始まったドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第1話のあらすじをネタバレありの徹底解説付きでご紹介する。現代アメリカを舞台にした小ネタやメッセージも是非チェックしていただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第1話の内容に関するネタバレを含みます。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第1話のあらすじ&ネタバレ解説

「新たなる世界秩序」の中で

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第1話のタイトルは「新たなる世界秩序」。キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースがアベンジャーズから去り、サノスによるデシメーション (指パッチン) とサノス軍vsアベンジャーズの全面戦争を経験した後の世界を象徴するタイトルだ。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第1話は、『ワンダヴィジョン』とは打って変わっておなじみのMCUのオープニングタイトルから幕を開ける。

冒頭、静かにアイロンをかけるのはファルコンことサム・ウィルソン。キャプテン・アメリカから引き継がれた盾をバッグに詰め、神妙な面持ちを見せている。思い返すのは『エンドゲーム』でのスティーブとの会話。盾を受け取り、「借り物みたいだ」と口にした記憶は色濃く残っている。

任務に就くサムはファルコンのコスチュームに身を纏っている。相手にするのは、ヴァッサン大尉を狙う犯罪組織LAFだ。米軍が手を出せないチュニジア領空に飛び出し、ヴァッサン大尉の乗る米軍機がハイジャックされていることを確認する。

ここで登場するのは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014) でS.H.I.E.L.D.の船を襲撃したヴィランのバトロック。前回はヒドラに雇われた傭兵として登場していた。ファルコンは愛機のレッドウィングを活用してド派手に侵入しヴァッサン大尉を見つけ出すも、狭い機内での戦闘に苦戦する。

だが、敵兵たちが空に飛び出せばこちらのもの。迫りくる戦闘ヘリもレッドウィングとの協力プレーで排除すると、リビア領空目前で追撃ミサイルを敵機に当てるトリックプレーを見せて、ヴァッサン大尉を救出する。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は第1話の冒頭からド派手なドッグファイトを見せる大作映画級のクオリティであることが保障された。

サムの決断

サムはチュニジアで撃たれた機体の修理に取り組んでいる。空軍と手を組んで半年になるという。先程のシーンで地上からサポートしていたトレス中尉は、「何十億ものIPアドレスもスタークレベルの技術も軍の技術官には荷が重い」と、国が民間のレベルを超えられないことを皮肉る。ここで声をかけてきたのは、妻が救われたと語る現地の男性だ。MCUでは海外のアンチが描かれることが多かったが、世界には当然ながら救われたというファンもいる。サムはチュニジアの公用語であるアラビア語で「いつでも力になる」と返すのだった。アメリカの代表として愛されるヒーローとなっているファルコンの現在を象徴するやり取りだ。

トレス中尉は、LAFだけでなく、ネットで声を上げる“フラッグ・スマッシャーズ”の危険性をサムに伝える。「指パッチンの世界」=全宇宙の人口の半分が失われた世界の方が良かったという主張を掲げ、境界線のない世界を望んでいるという。デシメーションで消えていた人々は差別の対象になっているのだろうか。

さらに、トレス中尉は「スティーブ絡みの陰謀論」についても話し出す。曰く「スティーブが月の秘密基地から地球を見守っている」というものらしい。「そういう人たちの言うことを真剣に取り合う必要はない」というサムの回答は、陰謀論が蠢く現実世界の視聴者へのメッセージにも聞こえる。

ワシントンに戻ったサムは、スティーブ・ロジャースの肖像画の前でスピーチを行なっていた。このスピーチで、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の時系列が『エンドゲーム』でデシメーション組が戻ってから数ヶ月後ということが分かる。5年のブランクを経て人々が戻ってきたことにより、世界には混乱が生じていた。そして、サムは「新たなヒーローが必要」と語るが、「時代に合う者たちが」と付け加え、これを聞いていたウォー・マシンことローディは首を傾げる。「時代に合う者たち」とは、どのような条件を指すのだろうか。サムは「スティーブを称えつつ未来を見据える」「これはあなたのものだ」と言うと、盾を手放すのだった。

サムに対し、盾を寄贈したことを「正しい決断だ」と言ってのけるのは白人の男性。サムと同じく黒人であるローディは、キャプテン・アメリカの博物館で「なぜ継がなかった?」とサムに率直に問いかけるが、サムは「盾はスティーブのもの」と言い張るばかり。ローディは「世界は壊れた」と、分断の時代が訪れていることを示唆する。この時、サムに「新しい時代だ、ブラザー」と呼びかけるローディの声はどこか寂しげでもある。そして、寄贈したキャプテン・アメリカの盾を見つめるサムもまた、複雑な表情を浮かべていた。

バッキーのトラウマ

ここで場面は突如としてウィンター・ソルジャーが大暴れを見せる戦闘シーンに。次々と敵を排除していくが、これはバッキーが見ている悪夢。バッキーは恩赦を受けて、政府によるカウンセリングを受けながら民間人として生活しているようだ。ここでバッキーは、三つのルールを守りながら“償い”を果たしていることを明らかにする。そのルールとは、①違法行為をしない②暴力禁止③ウィンター・ソルジャーと決別して償いを果たしていることを告げる、という内容だ。

バッキーはウィンター・ソルジャー時代にヒドラで出世させたアトウッド議員を逮捕に追い込み、リストの名前を一つ消す。このメモ帳に書かれているリストには、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のヴィランとして登場する「ジモ」の名前も確認できる。イニシャルが「H. Zemo」になっているのは、バロン・ジモの本名であるハインリヒ・ジモ (“バロン”は“男爵”という意味) を意味しているのだろう。その他にも、コミック版で登場する“Kaminski”などの名前が見られる。このバッキーの“償いリスト”は、今後のMCUの“ネタ帳”になっている可能性もあるだろう。

「悪夢は見ない」と言い張るバッキーに、カウンセラーは「いつかは心を開かないと」と言い聞かせる。製作総指揮と脚本を担当するマルコム・スペルマンが語った通り、バッキーが抱えるトラウマに向き合うことは、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のテーマの一つ。「あなたを救おうとする人を信じなさい」と告げられたバッキーは、更にサムからのメールを“既読スルー”していることも指摘される。意識的に人を遠ざけているようだ。

100歳なのに友達がいないバッキーは、それでも「ワカンダでは落ち着けた」とこぼす。90年間戦い続けてきたバッキーは安らぎを求めていたが、「孤独は簡単には逃れられない」とカウンセラーに告げられる。洗脳は解け、恩赦もされたバッキーは今や自由の身。だからこそ、何をすればいいのか分からない状態に陥っている。バッキーは、平穏なワカンダではない、現代アメリカでどのような生き方を選ぶのだろうか。

バッキーが背負った罪

バッキーはニューヨークの街で、ユニークとミスター・ナカジマことヨリの喧嘩を止める。ヨリとランチに入った寿司屋で、ヨリに無理やりデートの約束を結ばれ、寿司屋のリーとデートをする羽目に。ここで突然、ヨリが大福を見て息子のことを思い出す。その息子は海外で殺されたと聞き、バッキーは複雑な表情を浮かべる。バッキーの悪夢の中で殺した無実のアジア人男性は、このヨリの息子のことなのだろうか。

一方、サムはルイジアナ州デラクロワで車を走らせていた。サムが訪れたのは漁業を営む姉のサラのもと。親の家業を引き継いだサラの家計は苦しい状況にあるようだ。サムは融資を受けることを提案するが、サラは、サムがいなかった5年間の中で、苦渋の決断を下していた。最終的にサラは銀行に行くことを受け入れるが、ここでは、デシメーションを生き延びた人々とデシメーション組の間の歪みがはっきりと描かれている。

一方のバッキーは、寿司屋にデートに来ていた。マッチングアプリも馴染めなかったとのことで、デートはスティーブと出かけた万国博覧会以来だろうか。バッキーは年齢のことや手袋のことを聞かれるが、人とは違うことが多すぎる。招き猫の手の動きも止めてしまう。ここで寿司屋のリーが取り出したのは、MB社 (現ハズブロ) のボードゲーム『バトルシップ (海戦ゲーム)』。日本でも2012年に映画化された作品が話題になった。

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バッキーは、ヨリが息子の死に直面して弱っていたという事実を聞かされる。「子どもが死ぬのは最悪のことだから」という言葉に耐えきれなくなり、バッキーは店を飛び出してヨリの所へ向かう。入り口から見えた仏壇に置かれている写真は、やはりバッキーがウィンター・ソルジャー時代に殺したアジア人の男性だ。そして、部屋に戻ったバッキーのノートには「ナカジマ」の名前が記されていた。

アメリカ黒人としてのサム

一方のサムは、「白人でも容赦なし」と姉のサラと共に融資の面談に向かう。ファルコンとしての抜群の知名度で銀行員を喜ばせるが、行員は経済状況について容赦ない質問を浴びせかける。「亡きスタークが支援を?」と“白人に支援される黒人”の構図を持ち出し、ナチュラルに偏見をぶつけて見せる。

更に、サムは現在政府と契約を結んでいるにも関わらず、デシメーションで消えていた5年間の収入がないことを指摘され、「同様の希望が殺到している」と融資を断られてしまう。サラのセリフは字幕では「黒人は生きにくわね」となっているが、英語では「Funny how things always tighten around us.」と、直接“黒人”に言及しているわけではない。アメリカ社会では、告発され得る直接的な差別よりも、指摘できない行間や態度での黒人差別が横行している。この場面も、行間でのせめぎ合いが行われているのだ。

「私は味方です」と言いながらも、実際には手を差し伸べてはくれない。相手がファルコンとして国のために命をかけて戦ってきたサムであっても。「こんな思いはもう嫌」と諦めるサラに、サムは「これが人生」と食い下がるが、サラはやはりデシメーションの5年間を苦労して生き抜いたことに、強い思いがあるようだ。

現れた「新秩序」

スイスではトレス中尉がフラッグ・スマッシャーズの計画への潜入捜査を行なっていた。集団は同じマスクをつけて混乱を起こし、金を盗み出すが、その中に驚異的なパワーの持ち主が。フラッグ・スマッシャーズは、超人血清のような人体を強化する技術を持っているのだろうか。トレス中尉はこの時の映像をサムに送り、事件の概要を説明する。サムは心当たりはないと返答するが、トレス中尉は「まさか、あいつは……」と心当たりがあるような口ぶりだ。

更にテレビでは、国防省による「アメリカの偉大なる価値を体現するヒーローが必要」というスピーチが行われていた。アメリカを「偉大」と言い張るスタンスは、トランプ時代のアメリカを想起させる (『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は本来であれば2020年の大統領選前に配信される予定だった)。

そして、「我々のシンボルとなり得る者」として紹介されたのは、新たな“キャプテン・アメリカ”だった。その腕には、サムが寄贈したキャプテンのシールドが。国を想い、盾を譲ったサムの気持ちが踏みにじられていく。良かれと思い譲ったキャプテン・アメリカの座が、スティーブの意思とは関係なく、アベンジャーズでもなんでもない国が勝手に決めた白人の“象徴”の手に渡る。衝撃の展開で『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第1話は幕を閉じる。

エンディングにも注目だ。クレジットタイトルでは、戦時中のプロパガンダ広告「I WANT YOU FOR U. S. ARMY」のイラストも見られる。キャプテン・アメリカを利用して戦意を高揚させた第二次世界大戦の時と同じ空気感は、確かに今回の“新キャプテン”の紹介でも感じられる。

また、「CAP IS BACK (キャプテンが帰ってきた)」と書かれたポスターには「ジョン・ウォーカー (John Walker)」の名前が。ジョン・ウォーカーは原作コミックでスティーブ・ロジャースに代わって政府が認めるキャプテン・アメリカとして活動していたキャラクターだ。コミック版ではスティーブと政府が不仲になった際に、その座を挿げ替えられる形で登場した。そして、ジョン・ウォーカーを演じているのはワイアット・ラッセル。公式にはワイアット・ラッセルの役名は伏せられてきたが、今回、政府公認のキャプテン・アメリカを演じることが分かった。

なお、このエンドクレジットとエンディング曲の「ルイジアナ・ヒーロー」は、マーベル公式がYouTubeで無料公開している

そして地味に驚きの展開はもう一つ。それは、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の第1話ではサムとバッキーの二人が出会うことなく終わってしまったという点だ。序盤から凸凹コンビのコミカルなやり取りが見られるのかと思いきや、シリアスな展開が続き、サムとバッキーの絡みは次回以降にお預けに。

それでも、第1話「新たなる世界秩序」は、アメリカに住む黒人としてのサムと、ウィンター・ソルジャーとしてのトラウマを抱えたバッキーの苦悩を克明に描き出した。映画級のクオリティで展開される『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は残り5話。シャロン・カーターとバロン・ジモの登場も心待ちにしながら、次回の配信を待とう。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』はDisney+で独占配信中。

Disney+

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第2話のあらすじ&ネタバレ解説はこちらの記事から。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第3話のあらすじ&ネタバレ解説はこちらの記事から。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の出演俳優および吹き替えキャストのまとめはこちらから。

『ワンダヴィジョン』のネタバレ解説・あらすじ&考察はこちらから。

サム役のアンソニー・マッキーが語ったファルコンの心情については、こちらの記事から。

シャロン・カーターとバロン・ジモに関する考察はこちらの記事から。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の音楽についてはこちらの記事で。

 

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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