『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』予告解説&考察 キャプテンの盾はシャロン・カーターに? MCU過去作との繋がりは? | VG+ (バゴプラ)

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』予告解説&考察 キャプテンの盾はシャロン・カーターに? MCU過去作との繋がりは?

© 2021 Marvel

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』予告が公開

Disney+がおくるMCU (マーベル・シネマティック・ユニバース) の次なるオリジナルドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の予告映像が公開された。

全6話で構成される『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は2021年3月19日(金)より配信を開始する予定で、現在毎週金曜日に配信中の『ワンダヴィジョン』の最終話配信の二週間後には新たな物語が幕を開ける。今回は、予告編から読み取れる『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の展開を解説&考察しよう。

ネタバレ注意
以下の内容は、映画『スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム』までのMCU作品の内容に関するネタバレを含みます。

過去のMCU作品からの登場人物

まず目に留まるのは、ファルコンことサムとウィンター・ソルジャーことバッキー以外の登場人物たちだ。MCUに登場した二人の人物がカムバックを果たす。

ヘルムート・ジモ復活

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』予告編の序盤に「スーパーヒーローは存在してはならない」と語っているのはヘルムート・ジモ。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) でアベンジャーズの分裂を画策した張本人だ。本人はワンダやピエトロと同じソコヴィア人で、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015) でのアベンジャーズの戦いに父と妻、息子が巻き込まれて家族を失っている。特殊部隊の大佐だったジモは、アベンジャーズ同士を殺し合わせる計画を実行し、これがシビル・ウォー (内戦) に発展した。

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『シビル・ウォー』では、ジモはウィンター・ソルジャーになりすましてブラックパンサーことティ・チャラの父ティ・チャカを殺した上に、洗脳されたバッキーを暴走させている。バッキーにとっては相当な因縁の相手だ (ティ・チャラはその後バッキーをワカンダに匿ってくれていた)。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』予告編でのヘルムート・ジモの台詞「スーパーヒーローは存在してはならない」とは、ジモがまだアベンジャーズへの復讐を諦めていない証拠だろう。「仕事を放り出す気はないんだ」とは、やはり『シビル・ウォー』で失敗したアベンジャーズの殲滅をやり遂げるという決意の表れか。

なお、この台詞が流れている時にジモが手に持っているマスクは、原作コミックで“バロン・ジモ”というキャラクターが被るマスクだ。ヘルムート・ジモは、原作ではキャプテン・アメリカの宿敵だったスーパーヴィラン、バロン・ジモとしてMCUに舞い戻り、ファルコンとウィンター・ソルジャーの前に立ちはだかることになりそうだ。

シャロン・カーターは敵に?

そして、もう一人ファルコンとウィンター・ソルジャーの前に立ちはだかる人物が。『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014) と『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に登場したシャロン・カーターである。二人に銃を構え「また?」と話すシャロン・カーターは圧倒的な戦闘力を披露している。

シャロン・カーターは元S.H.I.E.L.D.のメンバー。極秘裏にキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースの護衛の任にあたっていたが、後にスティーブが愛していたペギー・カーターの子孫 (姪孫) であることが明らかになっている。S.H.I.E.L.D.壊滅後はCIAのエージェントに転身し、『シビル・ウォー』では地下に潜ったスティーブやサムを秘密裏に援助。洗脳状態にあるバッキーに対し、ブラックウィドウと共に戦ったこともある。

『シビル・ウォー』ではキャプテン・アメリカに盾を、ファルコンにフライトスーツの装備を提供するなど、アベンジャーズにとっては心強い協力者だった。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) では、サムやバッキーらと共に、サノスが指パッチンで招いたデシメーションの被害者になったことが明らかになっていた。

その後は行方は語られていなかったが、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の予告を見る限り、シャロン・カーターは追われる身になっていると考えられる。ファルコンとウィンター・ソルジャーとは違い、武器や服装はフォーマルなものではなく、登場する二つの場面ではいずれもフードをかぶっている。

シャロン・カーターがファルコンとウィンター・ソルジャーの敵として登場する可能性も高いが、ウルトラCの役割を担う可能性も考えられる。それは、キャプテン・アメリカの盾を引き継ぐ役割だ。予告編と共に公開された新ポスターでは、盾のマークの隣にシャロン・カーターの姿が置かれている。

© 2020 Marvel

『エンドゲーム』でキャプテン・アメリカから盾を引き継いだファルコンだが、盾を受け取った時には「借り物みたいだ」と漏らし、自分に属した感覚を持てていなかった。この為、ファルコンは2代目キャプテン・アメリカを名乗ることはなく、一時的に盾を預かり、継承する者を探す任に就いたとする説が有力視されている。

また、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは、ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』は“盾の継承”がテーマになるということを認めている。これまでのMCUでの行動を見るに、シャロン・カーターは信念を貫くためには違法行為もいとわない人物だ。キャプテン・アメリカと同じような性格を持つシャロンが、かつてのスティーブと同じように正義を貫いた結果として地下に潜っているのだとすれば、盾を継承する人物に選ばれる可能性は十分にあるだろう。

「世界がひっくり返ってる」の意味は?

内容の面で気になる台詞は、「世界がひっくり返ってる」という表現だ。MCU作品で思い出されるのは『スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム』(2019) だろう。世界を救ったはずのスパイダーマンことピーター・パーカーが“フェイクニュース”によって人殺しに仕立て上げられた今、MCUの世界では正義の所在が揺らぎ始めているのではないだろうか。

現実社会に絡めるならば、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の撮影が行われたのは2020年初頭のことで、トランプ政権下のことだった。元は大統領選前の2020年8月に配信を開始することを目指していたが、パンデミックにより撮影と配信開始が延期に。キャプテン・アメリカというアメリカを象徴するキャラクターの“盾の継承”をテーマにしたこのドラマは、トランプ政権下で蔓延したポスト・トゥルース (客観的で科学的な事実よりも感情に訴える都合の良い情報が優先される社会) を扱っている可能性がある。

ファルコンの背後にはキャプテン・アメリカの肖像画が見られるが、『ワンダヴィジョン』での“ワンダ事変”も経たアベンジャーズは、果たしてどのような状況に立たされているのだろうか。

MCUドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』はDisney+で2021年3月19日(金)より配信開始。

© 2020 Marvel

『アベンジャーズ/エンドゲーム』におけるキャプテン・アメリカが果たした役割についての考察はこちらの記事から。

ドラマ『ワンダヴィジョン』の全話解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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