『機動戦士ガンダム 水星の魔女』放送中
2022年10月2日(日)より放送を開始した『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。第11話「地球の魔女」では、擦れ違っていたスレッタとミオリネの蟠りが解けて一段と関係が深まった一方、大人たちとシャディク、株式会社ガンダムを取り巻くそれぞれの思惑が具体的な行動として表れ始めた。シャディクとの決闘において中破したエアリアルも改修され、ガンダム恒例の後期主役機の登場となるようだ。果たして今後の第2期では更なる改修がなされるのだろうか?
それでは、今週もネタバレありで早速第11話を振り返っていこう。
頼りにしてるからね
改修されたエアリアルを受け取りに行く船の中で、ミオリネとの擦れ違いから株式会社ガンダムの面々に対して距離を感じてしまうスレッタ。「頼りにしてるからね」とのミオリネの言葉に振り向くと、それはニカに対して向けられたものだった。その後もヌーノの「使えねーの」というアプリに対する感想を自分に向けられた言葉と勘違いするなど、みんなの役に立ちたいという気持ちと裏腹にスレッタの行動は空回りしていく。
クワイエット・ゼロ
一方、デリングを前に「クワイエット・ゼロ、順調なようですね」と語り掛けるプロスペラ。デリングに「レディ・プロスペラ」と呼ばれたことに対し、「エルノラ・サマヤで構いませんよ」と返す。これまでの義手の描写やヴァナディース事変の伏線などからプロスペラ=エルノラで間違いないだろうと思われていたが、どうやらスレッタとエリクトが別人らしいことからプロスペラの正体についても僅かな疑義があった。それが遂に確定したということだ。
プロスペラ曰くシャディクとの決闘においてエアリアルのパーメットスコアは「6」に到達したということだ。「エアリアルのネットワーク構築パターン」を反映させたという端末を差し出し、プロスペラはデリングに「これでクワイエット・ゼロは最終段階に進めます」と告げる。
それを受けて「今は私の計画だ」と応じるデリング。この‟大人”二人のやり取りからは、やはり株式会社ガンダムは何らかの計画のカモフラージュとして利用されているに過ぎないらしい。デリングも娘を思う親心からミオリネの起業に手を貸した訳ではなく、それによってガンダムを手中に収めるなどの何らかの野心があるということだろう。
「クワイエット・ゼロ」とは果たして何なのだろうか。改めてPROLOGUEを観ると、ルブリス量産試作モデルに乗ったナディムは「パーメットスコア4」で肉体の限界を突破し顔が赤く光っていた。適性のない人間にとってはパーメットスコアは4の時点で大分危険なのだろう。
対してスレッタはパーメットスコアを6まで上げても、苦しむどころか青く光り輝くエアリアルに同調してその性能を限界まで引き出せていたようだ。これはやはり通常のGUNDフォーマットとは異なる独自のシステムがエアリアルに搭載されている、ないしスレッタに生まれつきの適性があるかそのように身体を操作されていることを示唆しているようだ。
パーメットは「人体」にも機械の「燃料」にもどちらにも混ぜることができる元素と設定されている。そしてパーメット間で情報共有ができる。つまり、パーメットを燃料に搭載したモビルスーツとパーメットを体内に注入したパイロットとは文字通り「人機一体」となって動けるということだろう。パイロットの身体がどの程度のパーメットスコアに耐えられるかということが、そのままモビルスーツの総合的な「強さ」に影響しているのだろう。
プロスペラが自らの正体を隠しもせずデリングに近付いたことからも、二人の間には信頼関係とは言わないまでも一定の共有する目的があるようだ。それはエアリアルのデータを用いてより強いモビルスーツを開発し市場に売り込むということなのだろうか?
しかしそれでは余りに単純過ぎるし、思わせ振りに暗躍する必要がない。クワイエットとは「静かな」という意味であり、それに「ゼロ」が付されているということは、とにかく静かな=平和な、雑音のない世界を目指す計画ということだろうか。そして雑音のない世界というのは、圧倒的な強者によって均された、多様性のない世界と裏表だろう。いずれにせよ、プロスペラもデリングも何らかの「力」を目指して動いていることは間違いない。デリングが「今は」と言っていたように、元はプロスペラ側の発案だったのだろうか。
あるいはヴァナディース事変における「ガンダム凍結」という武力行使の理由は建前で、その頃から本来の目的は「クワイエット・ゼロ」に絡むものであったとも考えられる。そしてプロスペラは自らの復讐心よりもクワイエット・ゼロの成就を優先してデリングと協力関係を結んでいるか、あるいはクワイエット・ゼロの成就を以てデリングに復讐しようとしているのだろうか。本編での種明かしを楽しみに待とう。
宇宙時代の便所飯
勝手な思い込みで自分は「必要とされていない」と感じたスレッタは、弁当を取りそびれたことを言い出せず一人トイレに籠ってドリンク(式の食事?)を口にする。プロスペラに電話して心細さを打ち明けるものの、外からミオリネにすべて聞かれていた。
言いたいことがあるなら言えと迫るミオリネに追い詰められて所在ない思いを口にすると、ミオリネもそれに応じて自分にとってスレッタが如何に大きな存在かを打ち明ける。見事に擦れ違いが解消され、一段と絆の深まったスレッタとミオリネ。後は改修され見た目も一新されたエアリアルを受け取るだけというところで、デリング暗殺の為にシャディクが仕向けた「フォルドの夜明け」のガンダム・ルブリス・ウル、ガンダム・ルブリス・ソーンの魔の手が迫る。
魔女、相見える
フォルドの夜明けメンバーがデスルターで散布した「コンジェム・ポッド」は通信障害と偽装を担う武装のようだ。ソフィ・プロネがルブリス・ウルに乗り、ノレア・デュノクがルブリス・ソーンに乗りそれぞれ出撃する。シャディクはミオリネもそこに居ることを知りながら「運が良ければ生き残るさ」とデリング暗殺を優先して命令を下す。
この言い振りからは、万が一ミオリネが巻き添えで命を落としても構わないという決意が感じられる。シャディクとしてもミオリネを「過去」として捉え、そこから決別することで前に進もうという非情な、かつ身勝手でやはり幼いセンチメンタルな決断を下したということだろう。そしてルブリス・ウルに乗るソフィは、閉ざされた通路にスレッタを発見する。スレッタもまた窓越しにルブリス・ウルを確認し、水星の魔女と地球の魔女が相見えた。
果たして囚われのボブことグエルは再びモビルスーツに乗ってスレッタの窮地を救うことができるのだろうか? 改修されたエアリアルをスレッタは無事に受け取ることができるのか。
まさかとは思うがどうやら「中の人」が居るらしいエアリアルが、改修後に「ガンダム・エアリアル・エリクト」と呼ばれるようなことがないとも限らない。すべてが明かされた時、グエルとシャディクの戦いの場は「決闘」かそれとも「戦場」か。2週間後に控える第1期最終話を楽しみに待とう。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、2022年10月2日(日)より、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中。
Amazonプライムビデオ他でも配信中。
最終回第12話のネタバレ感想はこちらから。
第10話のネタバレ感想はこちらから。
第2話のネタバレ感想はこちらから。
第3話のネタバレ感想はこちらから。
第4話のネタバレ感想はこちらから。
第5話のネタバレ感想はこちらから。
第6話のネタバレ感想はこちらから。
第6話までの振り返りと用語解説はこちらから。
第7話のネタバレ感想はこちらから。
第8話のネタバレ感想はこちらから。
第9話のネタバレ感想はこちらから。