『機動戦士ガンダム 水星の魔女』放送中
2022年10月2日(日)より放送を開始した『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。衝撃の展開だった第6話。果たして「4号」と呼ばれたエランは何者だったのか? ガンダム・ファラクトの再登場はあるのか? 続きが気になるところだが、閑話休題。11月13日(日)にはこれまでの振り返りとして「まだ間に合う!『機動戦士ガンダム 水星の魔女』スペシャル特番」が放送された。それに合わせて、改めて作品世界を振り返ってみたい。
用語のおさらい
さて、それではこれまでに出てきた作中の専門用語をここでおさらいしてみよう。
ガンダム
「ガンダム」の名は作品ごとにその定義が異なる。初代『機動戦士ガンダム』(1979~1980)作中の設定では装甲材質に「ガンダリウム合金」を用いたことが「ガンダム」の名の由来だった。その後の「宇宙世紀」を舞台とする作品群では初代ガンダムの活躍にあやかって半ばゲン担ぎ的にその名が引き継がれていった。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では「GUNDフォーマット」を搭載したモビルスーツのことを指す。スペルは「GUND-ARM」であり、俗称として「ガンダム」と呼ばれている。
「GUND」とは古ノルド語において魔術や精霊を表す言葉だそうだが、それに「兵器」を意味する「ARM」を付けて、まさに魔術じみた遠隔操作可能な特殊兵器である「ガンビット」を操るモビルスーツを「ガンダム」と名付けた。このネーミングセンスには脱帽だ。劇中設定として無理なく腑に落ちるもので、「ガンダム」という名前ありきの語呂合わせとしても歴代作品随一の説得力を誇る。
GUNDフォーマット
「パーメット」を利用した身体機能拡張技術のことを「GUND」と呼び、それを軍事転用したものが「GUNDフォーマット」だ。
パーメット
太陽系内に偏在する鉱物から発見された元素のこと。パーメット間で情報を共有する性質があり、これを素材や推進剤に混合することで様々な技術が開発される。これを人体に流入させる身体拡張技術が「GUND」だ。
これまでもガンダム作品には度々その世界の基盤となるような特殊技術が設定されてきた。パーメットは『機動戦士ガンダム』における「ミノフスキー粒子」に相当するだろう。
ミノフスキー粒子とは一言で言えば「レーダーを無効化させる」粒子のことだ。かつ、ガンダムの主武装であるビームライフルなどの「メガ粒子砲」にも用いられる。つまり、ミノフスキー粒子によってレーダーが使えなくなったからこそ巨大人型兵器であるモビルスーツ同士による有視界戦闘の必要が生じた。レーダーが使えるのであればそもそもモビルスーツなど必要なく、単に宇宙戦艦同士で遠くから撃ち合っていればそれでおしまいだからだ。
『機動戦士ガンダム』におけるミノフスキー粒子がこのように「モビルスーツという機械を成り立たせる為」に設定されたとすれば、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』におけるパーメットはむしろ人体に直接的に作用することで「人間を機械化」する働きがあると言えるだろう。
『機動戦士ガンダム』においては人間が主体としてモビルスーツという機械を扱っていた。主人公のアムロ・レイは度重なる戦闘を生き延びることでニュータイプとして覚醒し、遂にはガンダムの性能をも超える操縦技術を獲得する。しかし、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』では人類の宇宙進出にGUNDは欠かせない技術らしい。パーメットを過度に体内に流入させることの危険性は「PROLOGUE」の時点で描かれていた。
ここではむしろ主客が逆転しており、人間がモビルスーツという機械を動かす為のパーツであるかのようだ。この根本的な設定の違いが物語の行く末を暗示しているようにも思える。
パーメットスコア
劇中では未だ明確には明かされていないが、ガンダムに乗ったパイロットが度々口にするのが「パーメットスコア」という言葉だ。描写から推測すれば、これは「パーメットが体内に流入する量」のことを指していると考えられる。
スコアが低い程流入量は少なく、高くなるにつれ流入量も多くなるのだろう。つまり、パーメットスコアが高い程人体への負荷も大きくなる。その先にパイロットをも死に至らしめる危険性からガンダムが凍結されたのが「PROLOGUE」で描かれた事件だとすれば、そしてエランもガンダム・ファラクトに乗ってガンダム・エアリアルと決闘した際に身体の限界を感じていたことを思えば、スレッタは何故平然とエアリアルを乗りこなせるのだろうか?
ひょっとするとスレッタには何かパーメットの負荷に耐えられるような秘密があり、それこそがスレッタが「魔女」たる所以なのだろうか。ここから先は本編でのタネ明かしを待ちたい。
決闘
公式サイトの説明によれば「モビルスーツを用いて行われる、学生同士の私闘。当事者は金銭、栄誉などお互いに望むものを懸けて戦う。相手モビルスーツのブレードアンテナを折った者が勝者となる。」とのことだ。そして決闘の中でも最も優秀な者は「ホルダー」と呼ばれ、ホルダーの決闘にはベネリットグループ総裁デリングの娘であるミオリネが「花嫁」として賭けられる。
ルールだけを見れば至ってシンプルだが、改めて考えるとここにも謎がある。そもそも決闘は何故モビルスーツ同士で行われているのだろうか。仮にモビルスーツ同士で行うにせよ、勝利条件が「相手機体のアンテナを折る」だけなのであればせめて模擬弾を使うなど安全面への配慮は必須に思える。
しかし、劇中では明らかにビーム兵器の「実弾」が使われており、モビルスーツは実際に破壊される。それでは当たり所が悪ければー例えばコクピットに当たってしまえばーパイロットが死傷することも考えられる。実弾を使用して戦う以上それは戦場における戦いと変わらない。
仮にそれで相手パイロットを死に至らしめてしまった場合はどうなるのだろうか? あるいは、「決闘」とは名ばかりでやはりその目的は「戦争」に向けた「実戦訓練」ということなのだろうか。そうだとすれば劇中の「命の軽さ」も納得できる。であれば戦争は、いつ、どの陣営間に起こるのだろうか。
未だに謎の尽きない『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。悪い予感が的中しないことを祈りつつ、これから物語がどこへ向かっていくのかに注目したい。スレッタが「魔女」として目覚めた時、果たして彼女は何と戦うのだろうか。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中。
Amazonプライムビデオ他でも配信中。
第1話のネタバレ感想はこちらから。
第2話のネタバレ感想はこちらから。
第3話のネタバレ感想はこちらから。
第4話のネタバレ感想はこちらから。
第5話のネタバレ感想はこちらから。
第6話のネタバレ感想はこちらから。