郝景芳の最新作『人之彼岸』が発売
SF最高賞の一つであるヒューゴー賞の中編小説部門を受賞した「折りたたみ北京」で知られる郝景芳の最新作『人之彼岸』(立原透耶・浅田雅美 訳) が、早川書房より2021年1月21日(木)に発売された。郝景芳は1984年生まれ、世界的な知名度を獲得した優れたSF作家であり、実業家・研究者・教育者でもある。
『人之彼岸』は、エッセイが2篇、SF小説が6篇という構成になっているが、エッセイは決して“おまけ”などではない。『人之彼岸』においては、エッセイはまず冒頭の2篇として収録されており、人類とAIの共存、教育との向き合い方など、重要な提言の数々が示されている。それも調査に基づく研究とSF作家としての想像力が見事に融和した内容となっている。小説の方は、6篇中4篇が初訳。本作の最後に収録されているAI小説「乾坤と亜力」は橋本輝幸編『2010年代海外SF傑作選』にも収録された。
活躍続く郝景芳
郝景芳は、ケン・リュウが英訳した「折りたたみ北京」で、劉慈欣『三体』に続いて中国にヒューゴー賞をもたらすと、映像製作スタジオの郝景芳影视工作室を立ち上げ、SFドラマの製作にも着手している。2020年には「折りたたみ北京」の実写映画化も発表された。一方で、経済学と経営学の博士号を持ち、教育格差を是正する教育事業にも取り組んでいる。
上記の記事は、立原透耶による『人之彼岸』の訳者あとがきでも紹介されている。この訳者あとがきは、Hayakawa Books & Magazines(β) で読むことができる。
郝景芳『人之彼岸』(立原透耶・浅田雅美 訳) は早川書房より発売中。
『人之彼岸』収録作品
・エッセイ
「スーパー人工知能まであとどのくらい」
「人工知能の時代にいかに学ぶか」
・短篇小説
「あなたはどこに」
「不死医院」
「愛の問題」
「戦車の中」
「人間の島」
「乾坤と亜力」
バゴプラでは、浅田雅美と共に『人之彼岸』の翻訳を手掛けた立原透耶のインタビューを公開中。
郝景芳の自伝体小説『1984年に生まれて』(櫻庭ゆみ子 訳) は、中央公論新社より発売中。