蜂本みさが再度BFC王者に!
2023年11月26日午前11時、第5回ブンゲイファイトクラブ (BFC5) 決勝の結果が発表され、第1回ブンゲイファイトクラブで準優勝を果たし、第2回ブンゲイファイトクラブで王者に輝き、現在Kaguya Planetにて長編小説『遊びの国のモシカたち』を連載している蜂本みさが「お会いしましょう」で優勝を果たした。
準優勝は岩城裕明名義でホラー作家として活動している鳴骸。そして決勝のジャッジを務めたのは野村金光だ。
両名の決勝作品「お会いしましょう」と「ヴィゴ」、そして野村金光による決勝ジャッジは、以下のリンク先で読むことができる。
ブンゲイファイトクラブは文芸による名誉をかけた戦いで、賞金なし、参加資格とジャンルの制限なし、ジャッジ自身もジャッジされるという前代未聞のルールを掲げた文芸イベントだ。文字数の上限は原稿用紙六枚。各試合の勝者はジャッジの判定によって決定されるが、ジャッジもまた出場ファイターからのジャッジを受け、高い評価を得たジャッジが生き残っていく。主宰は西崎憲が運営する「惑星と口笛」。
5回目となる今回は、本戦に出場できる作品が16作品とグッと数が絞られ、本戦に出場している作品たちは、それだけで一つのアンソロジーのようだという声が多数上がるなど、文芸イベントとしての円熟を見せた。これまでのBFCからは、Toshiya Kameiの翻訳によって海外の媒体に掲載される作品・作者も登場しており、広く世界に開かれた文芸イベントだ。
今年も盛況だったBFC
第5回ブンゲイファイトクラブにはファイター部門に185名、ジャッジ部門に9名の応募があった。ファイター部門の予選通過作品の発表を経たのち、2023年11月1日にファイターの中から本戦出場に選ばれた16名の筆者名と、9名のジャッジ名が公表された。そして、4日後の11月5日(日) に一回戦の16作品が発表された。
16作品は2つのグループに分けられ、9名のジャッジは全作品に得点をつけた上で、担当の5、6作品に評を書く。16作品発表の10日後、1月15日(水)にファイターの蜂本みさと鳴骸、ジャッジの野村金光の決勝進出が発表され、同時に9名のジャッジによる「1回戦ジャッジ採点および評」が公開された。その4日後の11月19日(日)には決勝の2作品と、「一回戦ジャッジをジャッジ」が公表された。そして本日11月26日(日)、蜂本みさが見事栄冠を手にした。
過酷なスケジュールを戦い抜いたファイターとジャッジに拍手を送りつつ、それぞれの今後の活躍にも注目しよう。
また、今年も「イグBFC4」「#BFC5幻の決勝戦作」など様々なスピンオフイベントが開催され、コミュニティ主導の盛り上がりを見せていた。
これまでのBFC
2019年に開催された第1回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを『構造素子』の樋口恭介が務め、『100文字SF』などで知られる北野勇作が初代王者の座に輝いた。第2回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを竹中朖が務め、蜂本みさが栄冠を手にした。第3回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを青山新が務め、左沢森が優勝した。第4回ブンゲイファイトクラブでは、決勝ジャッジを岡田麻沙が務め、冬乃くじが優勝した。
オンラインSF誌Kaguya Planetでは、これまでの王者が寄稿した書き下ろしSF短編小説を多数掲載している。初代王者北野勇作による「ひゃくじま」、第2回・第5回王者の蜂本みさによる「冬眠世代」と「せんねんまんねん」、そして連載『遊びの国のモシカたち』、BFC3で準優勝した坂崎かおるによる「パラミツ戦記」と「アネクドート」、そしてBFC4で優勝した冬乃くじによる「猫の上で暮らす一族の話」と「国破れて在りしもの」。どれも原稿用紙六枚という制約から解き放たれた過去の王者たちによる珠玉の短編小説だ。