蜂本みささんの長編小説の刊行の延期と、連載開始のお知らせ | VG+ (バゴプラ)

蜂本みささんの長編小説の刊行の延期と、連載開始のお知らせ

蜂本みささんの長編小説の刊行の延期と、連載開始のお知らせ

VGプラス合同会社の運営するSFレーベルKaguya Booksから2022年12月に刊行を予定し、2023年春に刊行を延期していた蜂本みささんの長編SF小説ですが、誠に勝手ながら、再度刊行を延期いたします。

蜂本さんの執筆時間を確保するための延期となります。クラウドファンディングで支援してくださった皆様、長編を楽しみにしてくださっている皆様を再度お待たせしてしまい、本当に申し訳ございません。また、クラウドファンディングをご支援してくださった皆様におかれましては、ご支援いただいてから刊行まで大変なお時間をいただいておりますこと、心からお詫び申し上げます。引き続き頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

蜂本みささんの長編は、カモノハシのぬいぐるみモシカと、ごっこ遊びが大好きな女の子ミミの物語です。モシカとミミは大の仲良しですが、モシカはいつか大好きなミミが自分を必要としなくなってしまうのではないかという不安を抱えてもいます。

ぬいぐるみであるモシカの一人称で語られるこの物語は、語り手が世界を感じている時の手触りや質感をいきいきと描き出す蜂本さんの文章の魅力が存分に発揮された作品になると思います。また、現実と想像の世界とを自在に行き来するモシカたちの世界は蜂本さんだからこそ描くことができるものです。お待たせして大変申し訳ございませんが、素敵な作品に仕上がると思いますので、今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。

今後の展開

オンラインSF誌Kaguya Planetの会員向け限定公開と、クラウドファンディングでご予約いただいた皆様への限定記事で、蜂本みさ『遊びの国のモシカたち(仮)』を連載します。連載は当面、月に一回を予定しています。また、Kaguya BooksのInstagramでの紹介も継続して行います。そして連載終了後に、改稿作業を経て書籍として刊行します。

クラウドファンディングの支援者の方には、プロローグと一章の一部を限定公開した記事のリンクと閲覧用のパスワードをCAMPFIRE経由でお送りしておりますのでご確認ください。次回の掲載は5月27日(土)です。

当初の予定から大幅に遅れたスケジュールで作品をお届けすることとなってしまい、ご支援くださいった皆様、楽しみにしてくださっている皆様には心からお詫び申し上げます。読者の皆様に、蜂本みささんからメッセージがあります。


「新しい日本のSF書籍レーベルに応援をお願いします!」プロジェクトをご支援いただいた皆さまへ

プロジェクトをご支援いただいている皆さま、ありがとうございます。蜂本みさです。プロジェクトで掲げた3つの企画のうちの1つに参加し、長編小説の刊行を目指しています。この長編は当初2022年12月に刊行予定でしたが、昨年12月の活動報告でお知らせした通り、2023年春の予定に延期させていただきました。そしてとても心苦しく、申し訳ないことですが、刊行時期にさらなる猶予をいただくことをお知らせしなくてはなりません。

①なぜ刊行予定が延びているのか ②これからどのように制作を進めるのか を、今回の活動報告でご説明したいと思います。

刊行予定が延びる理由は、長編小説の執筆が遅れているからです。なぜ執筆が遅れるかといえば、「私の書き手としての力が足りていないから」という一点に尽きます。これは本当につらく、認めるのに勇気が要ることですが、認めなくてはなりません。
子どもの頃からこれまで短いお話や文章を書いてきました。数えたことはありませんが、200か250になるでしょうか。ただし長いものでも中編までで、長編小説を満足できる形で書ききった経験はありませんでした。それでも約一年間で長編を書くという企画をいただいた時、「長編か。いつか書きたいと思ってた!」とごく簡単に引き受けました。できたことはないけれど書けるだろうと。なぜならば小説を書き始める多くの人と同じように、頭の片隅で「自分は天才ではないか」と考えていたからです。
実際に書き始めてみると難しい仕事でした。自然に書ける人もいるのでしょうが、少なくとも私は、物語の断片をたくさん抱え、それらをつなぎ合わせようと四苦八苦し、またほどき、典型的な完璧主義者の犯す過ちに陥った挙げ句、図書館で小説の書き方を一から調べる羽目になりました。まるで電動工具の使い方をYou Tubeで見ながら家を建てていくようなものです。
加えて生業との両立や、疲れやすさと気の散りやすさ、長期プロジェクトを苦手とする生来の性質も課題となりました。学校の作文から確定申告に至るまで、提出物はすべて寝食を放り出して数時間から数日間だけ続く異常な集中力で乗り切ってきましたが、長編小説を書くのはそういう営みではなかったということです。

このような状況を皆さまにご報告せねばならないのは忸怩たる思いです。しかし、あきらめるつもりは毛頭なく、焦りと不安の中でもがいてはいますが、どこか楽観してもいます。まだ自分を天才と思い込んでいるのでしょうか。そうかもしれませんが、私にとっての安心材料は、この物語や登場人物たちとつながっている感覚が常にあるということです。いつも小説をつくっている間にだけ開く想像の世界がすぐそばにあります。そして何よりバゴプラの皆さま、担当編集者である井上彼方さんに全力でサポートいただいるからであり、クラウドファンディングに参加した皆さまが応援してくださっているからです。これほどに恵まれた書き手はそうそういないと思います。

続いて、今後の制作の進め方についてご説明いたします。長期的なプロジェクトを計画的に進めることの苦手な、体力のない、火事場の馬鹿力タイプの書き手がどうすれば長編小説を書けるのかについて井上彼方さんと話し合いを行いました。
長編小説「遊びの国のモシカたち(仮)」は、クラウドファンディング参加者向けの限定記事と、VG+(バゴプラ)上のオンラインSF誌「Kaguya Planet」の有料会員限定のコンテンツとして連載化し、物語中盤までを公開していきます。その後改稿、書き下ろしを加えた上で出版の流れとなります。連載の間隔は走りながら調整していく必要がありますが、当面は月1回更新の予定です。
当初のプランと違った形でお届けすることには葛藤があります。しかし読み手の皆さまにとっては作品ができていく過程を体験できること、連載と加筆後の違いを比較することなど、楽しみに感じていただける部分もあるのではないかと思います。また書き手にとっては、連載がマイルストーンとなり、読者の皆さまからの反応が刺激になるメリットがあります。生業の調整や体調面の改善にも合わせて取り組んでいきます。

この物語は、いつか大切な友達と自分自身をいっぺんに失うのではないかと恐れるカモノハシのぬいぐるみモシカと、世界とつながりたいけれどつながれない、ぬいぐるみだけが友達の女の子ミミの友情のお話です。あなたの貴重な人生の時間を、たくさんお待たせして本当にごめんなさい。物語がお手元に届くまで、今しばらく見守っていただければ幸いです。

蜂本みさ


Kaguya Booksの今後の予定

Kaguya Booksは2022年に活動を開始し、皆様のご支援のおかげで、クラウドファンディングを成功させて井上彼方編『SFアンソロジー 新月/朧木果樹園の軌跡』を無事に刊行することができました。SNSでも多数話題にしていただき、発売前に重版をすることもできました。本当にありがとうございました。

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2023年8月には正井編『大阪SFアンソロジー(仮)』、井上彼方編『京都SFアンソロジー(仮)』を社会評論社から刊行する予定です。また、この地域SFアンソロジーについてはさらなる展開も予定しております。今後もKaguya Booksをどうぞよろしくお願いいたします。

そして今年は2年ぶりの開催となる第三回かぐやSFコンテストを開催します。テーマは「未来のスポーツ」で、2,000字〜4,000字の短編小説を募集します。応募期間は2023年7月27日(木)から8月14日(月)まで

そして今回から、コンテストのテーマと関連した特集記事をオンラインSF誌Kaguya Planetで限定公開します。

皆様のご支援のおかげでこうして活動を継続できておりますこと、心から御礼申し上げます。

VG+編集部

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