日本の “三体ロス” 中国で話題に

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“三体ロス” 中国でも注目

劉慈欣 (リュウ・ジキン/リウ・ツーシン) による中国SFの最高傑作『三体』の日本語版が発売されてから2ヶ月が経過。『三体』の日本語版は発売から約1ヶ月で販売部数10万部を突破し、海外翻訳SFとしては異例のヒットを記録した。発売から2ヶ月が経過した今、『三体』を読み終え、SNS上では “三体ロス” の症状を訴える読者も見られる。

ゲンロンSF講座がきっかけに

この “三体ロス” という言葉が、意外な形で『三体』の故郷・中国にも届いている。VG+では、2019年8月22日(木) に開催された「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の第4期第3回の講座の模様をお伝えした。

この中で、SF作家の藤井太洋と、『三体』の日本語版翻訳を手がけた大森望、早川書房の編集者である溝口力丸が日本での『三体』の売れ方に言及。これが中国版Twitterとして知られる微博 (Weibo) で話題になっているのだ。

二巻を待つ“三体ロス”の人々

6日、日本のSF情報を配信する“科幻姬”のアカウントは上記の記事に触れ、早川編集者の溝口力丸の以下の言葉を引用しつつ、日本の“三体ロス”現象を伝えた。

“三体ロス”みたいな人はいるみたいですよ。二巻を読みたいけどしばらくは出ないので、何か (SFを) 読みたいという。

また、講座中の『三体』と『なめらかな世界と、その敵』は、既存のSFファン以外からも読まれているという会話や、溝口力丸の「今は“SF”というだけで皆が注目するようになっているのかもしれない」という見解も紹介されている。

中国の大手SFエージェントも反応

9日には、科幻姬のこの投稿を引用する形で、中国の大手SFエージェント未来事务管理局が「新しい日本語」として「三体ロス (loss)」を紹介した。日本語で『三体』第一部を読みおわり、第二部を読みたいが、まだ出版されていないためロスに陥っている人々の状態を指すと紹介している。
未来事务管理局は、中国でSF小説の出版や映画・ドラマのコンサルタント、イベント開催などを手掛けるエージェントで、Weibo公式アカウントのフォロワー数は230万人を超えている。

小島秀夫監督による推薦もニュースに

なお、ゲームクリエイターの小島秀夫監督が『三体』の帯に推薦文を寄せた際にも、中国では複数のメディアがニュースとして報じていた。小島監督は、ゲーム「メタルギア ソリッド」シリーズ、『DEATH STRANDING』などの監督として、世界的に知られている。

『三体』は三部作の第一部

劉慈欣の「三体」シリーズは、中国で2008年1月に第一部の『三体』が発売された。この第一部は2014年にケン・リュウによる英翻訳版が発売され、2015年にSF最高賞の一つであるヒューゴー賞でアジア初の長編部門賞を受賞した。中国では2008年5月に第二部『三体II:黑暗森林』が、2010年11月に第三部『三体III:死神永生』が発売されている。

日本では2019年7月4日に第一部の『三体』が発売。異例のヒットを記録した。その後、SNSなどで “三体ロス”を訴える読者が続出しており、劉慈欣の他の作品を英語で読みはじめる人も現れるほど。「三体」シリーズ第二部の日本語版『暗黒森林』の発売が待たれている。

日本語版『三体』(立原透耶 監修、大森望 光吉さくら ワン チャイ 翻訳) は、早川書房より発売中。

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未来事务管理局 微博/科幻姬 微博

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