小島秀夫監督の『三体』推薦が話題に、『三体』が日本上陸
中国SFの最高傑作、劉慈欣 (リュウ・ジキン) の『三体』が遂に日本に上陸した。2019年7月4日(木)に立原透耶 監修、大森望 光吉さくら ワン・チャイ 翻訳の日本語版が発売されると、瞬く間に10刷が決定。ネット上では読者から絶賛の声が相次いでいる。
おかげ様でご好評いただいている「三体」ですが、弊社の倉庫に重版分が届きました! よく見ると本を巻いている紙に「8刷」と書いてあります。
SFを普段読まない方にも、この本は読んで頂きたいです。なにせストーリーテリングがうまい! pic.twitter.com/GQ5xCjMq8L— 早川書房公式 (@Hayakawashobo) July 16, 2019
『三体』は現在10刷で、初刷りからの累計印刷発注部数は8万6千部です。
— 大森望 (@nzm) July 10, 2019
中国発の歴史的大作
『三体』は劉慈欣が2006年に著した長編SF小説。文革から宇宙までを描いた三部作の第一作目に当たる。2014年にケン・リュウによって英訳されると、SF最高賞の一つであるヒューゴー賞で、アジア作品では初となる長編小説部門を受賞した。そして今回、満を持しての日本語訳発売となったのだ。
中国でも日本語訳発売が話題に
『三体』の故郷・中国でも、同作の日本語訳発売は話題になっている。劉慈欣が原作を手がけた『流転の地球』がNetflixで日本に上陸した際にも、中国では日本での反応は好意的に受け止められていた。
その中でも、ゲーム「メタルギアソリッド」『DEATH STRANDING (デス・ストランディング)』の小島秀夫監督が『三体』を推薦していると、中国の複数のメディアが報じている。小島監督は『三体』の帯に推薦文を寄せている他、Twitterでも同作を高く評価する内容を投稿している。
明日発売の話題作「三体」が届いた。 pic.twitter.com/99RklzDvvP
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) July 3, 2019
劉慈欣著「三体」を一気読み。いやはや、久々にスケールの大きな本格SFに触れる。題材的には、僕ら世代の接触物だが、歴史的背景と科学知識、文学的センスで、唯一無二のSF文学として際立っている。「神狩り」とか、「幼年期の終わり」や「果てしなき流れの果てに」を連想する。劉慈欣氏、同い年なの。 pic.twitter.com/jZD2Wkh0EC
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) June 9, 2019
「三体」と「小島秀夫」がキーワードに
ミニブログサイト微博を運営する新浪のゲームメディア・新浪游戏は「『三体』日本語訳が発売 小島秀夫がツイッターでも推薦」、新浪のテクノロジー系メディア・新浪科技は「『三体』日本語版が発売 小島秀夫が賞賛」というタイトルで、『三体』を推薦する小島秀夫監督のツイートを報じた。
中国の大手ITメディアcnBeta.comは、「小島秀夫が『三体』日本語訳を入手 推薦文を公開」、人民日報系列の環球時報は、「『三体』日本語版が刊行 小島秀夫が賞賛」と、やはり「三体」と「小島秀夫」というキーワードをタイトルに用いた記事を公開。小島秀夫監督のツイートと共に帯に寄せられた推薦文の中国語訳を掲載している。
小島秀夫監督はSF史・ゲーム史に残る超大作「メタルギアソリッド」シリーズの生みの親とあって、同じSF大作である『三体』へのコメントに注目が集まったようだ。世界的ゲームクリエイターからの推薦を中国メディアは誇りを持って伝えているのだ。『三体』日本語訳の発売は、小説とゲームという異なる分野で、中国と日本を代表するクリエイターが交差する機会をも生み出した。この “三体熱” は一体どこまで拡大していくのだろうか。
Source
新浪游戏 / 新浪科技 / cnBeta.com / 環球時報