【考察】クリストファー・ノーランがSFに帰ってくる。『TENET テネット』5つの見どころ【解説】 | VG+ (バゴプラ)

【考察】クリストファー・ノーランがSFに帰ってくる。『TENET テネット』5つの見どころ【解説】

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3年ぶりのノーラン作品『TENET テネット』

クリストファー・ノーラン監督の映画『TENET テネット』が2020年9月18日(金)に公開される。2017年の『ダンケルク』以来3年ぶりとなるノーラン作品に期待が高まっている。

だが、この予告編の公開時点では、まだまだ『TENET テネット』の設定やあらすじは謎に包まれていた。明らかになっているのは、ジョン・デビッド・ワシントン演じる主人公が第三次世界大戦を防ぐ任務につくスパイアクション大作という設定くらいのもの。

そして、2020年5月21日に、第二弾のUS版トレーラーが公開。徐々にその設定が明らかになってきた。

今回はクリストファー・ノーラン監督を軸にして、『TENET テネット』の見どころに迫ってみたい。数多くの名作映画を生み出してきたノーラン監督による最新作の意外な注目ポイントを紹介しよう。

映画『TENET テネット』の見どころ

1.『インターステラー』以来のSF映画
2.『インセプション』以来の単独脚本SF映画
3. 時間トリック
4. 注目の俳優陣
5. 音楽に変化

1.『インターステラー』以来のSF映画

クリストファー・ノーラン監督が『TENET テネット』でSFに帰ってくる。2014年の宇宙SF大作『インターステラー』以来、ノーラン監督にとって6年ぶりのSF作品となる。『TENET テネット』も『ダークナイト』(2008)、『インセプション』(2010)といった名作SFの仲間入りを果たすのだろうか。

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2.『インセプション』以来の単独脚本SF映画

クリストファー・ノーラン監督による単独脚本も、『TENET テネット』見どころの一つだ。
意外に思われる方もいるかもしれないが、クリストファー・ノーラン監督が単独でSF映画の脚本を手がけるのは、2010年の『インセプション』以来、実に10年ぶりとなる。『インターステラー』までは弟のジョナサン・ノーランとタッグを組んできた。前作『ダンケルク』は単独脚本だが、SF映画を一人で担当するのは久しぶりのことだ。クリストファー・ノーラン監督は、『インセプション』の脚本執筆に8年間を要している。『TENET テネット』が『インセプション』以来の名作となる可能性もある。

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なお、クリストファー・ノーラン監督の弟ジョナサン・ノーランは現在、SFドラマ『ウエストワールド』(2016)の製作を手がけている。詳細は以下の記事をご覧いただきたい。

3. 時間トリック

第一弾と第二弾の予告編で把握できる『TENET テネット』の見どころは、時間が“局地的”に逆転する世界観だ。この現象は“TENET”と呼ばれ、「使い方次第で未来が変わる」と説明されている。また、ジョン・デヴィッド・ワシントン演じる主人公は「未来と交信できる」と称されている。

これまで、クリストファー・ノーラン監督の作品では、時間を利用したトリックがかず多く使用されてきた。ネタバレになるので詳細は控えるが、ハリウッドデビュー作『メメント』(2000)は時系列を遡る形で物語を見せる手法を取り入れ、『インセプション』や『インターステラー』では、階層や場所によって時間の経過するスピードが変化する仕掛けが盛り込まれた。『ダンケルク』では、陸の一週間、海の一日、空の一時間を並行して映し出しており、時間軸を多層的に描き出す手法は、ノーラン映画の定番とも言える。

だが、『TENET テネット』の見どころは、これまでとは一味違う時間の使い方だ。『TENET テネット』では、明らかに一つの空間/画面の中で時間の“逆流”が発生している。一度予告編を見ただけでは、どの物体/人物の動きが逆再生しているのかを判別するのは難しい。この“局地的”な時間トリックが『TENET テネット』の肝となりそうだ。

第二弾の予告では、「時間を逆転させると、今ここにいる我々の存在は消滅するのか?」という疑問が投げかけられている。“TENET”が現実世界に与える影響にも注目だ。

4. 注目の俳優陣

クリストファー・ノーラン監督は、一度自身の作品で起用した俳優を他の作品でも積極的に起用することで知られている。筆頭は「ダークナイト」トリロジーでバットマンことブルース・ウェインの執事アルフレッド・ペニーワース役を演じたマイケル・ケインで、『バットマン ビギンズ』(2005) から8作品連続での出演となる。もはやクリストファー・ノーラン監督とは盟友関係にあるマイケル・ケインが同監督を“慕う理由”については、以下の記事に詳しい。

『ダンケルク』でボルトン海軍中佐役を演じたケネス・ブラナーも二作連続での起用。『インソムニア』(2002) でハップ・エクハート役を演じたマーティン・ドノヴァンは実に18年ぶりの再起用となった。

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ノーラン作品初参加の面々の演技も見どころの一つ。主演のジョン・デヴィッド・ワシントンは『ブラック・クラングスマン』(2018)で主演を務めた注目の俳優。名優デンゼル・ワシントンの息子としても知られる。彼の経歴については以下の記事を参照してほしい。

『ザ・バットマン (邦題未定, 原題: The Batman)』でバットマンを演じるロバート・パティンソンも『TENET テネット』に出演。「ダークナイト」トリロジーを生み出したクリストファー・ノーラン監督の作品に登場するのは単なる偶然だろうか。ノーラン監督はコンテクスト (文脈) を大事にする監督として知られている。

ロバート・パティンソンが『TENET テネット』のオファーを受けた時の状況と心境は、以下の記事に詳しい。

5. 音楽に変化

最後に、『TENET テネット』の“見どころ”というより“聴きどころ”となるのは、その音楽だ。『バットマン ビギンズ』以降、『プレステージ』(2006) を除く全ての作品で巨匠ハンス・ジマーに音楽を委ねてきたクリストファー・ノーラン監督だが、『TENET テネット』ではスウェーデン出身の新進気鋭の若手作曲家ルドウィグ・ゴランソンを起用した。

ゴランソンは『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)『ブラックパンサー』(2018)や、「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフドラマ『マンダロリアン』(2019) の音楽を担当してきた。ラッパーのチャンス・ザ・ラッパーのプロデュースも手掛けるなど、幅広いジャンルで活躍する音楽家だ。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどを手がけてきたハリウッド音楽界の巨匠ハンス・ジマーに代わり、1984年生まれのゴランソンがノーラン作品を新たな次元へ導くのだろうか。

以上が、クリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』の見どころだ。映画の詳細な内容は明らかでなくても、様々な注目ポイントについて考察できる点がノーラン作品の魅力でもある。ノーラン監督は『TENET テネット』にどのようなコンテクスト (文脈) を埋め込んで来るのだろうか。公開までに過去の作品を見返して予習しておこう。

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映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)日本公開。

『TENET テネット』公式サイト

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