『パシフィック・リム』『ウエストワールド』テーマ曲を手がけたラミン・ジャヴァディとは誰か

ライター

SF作品を支える音楽

“裏方”にもスポットライト

SF (サイエンス・フィクション) というジャンルが映画やドラマを席巻している昨今、各作品の出演者や監督だけでなく、これまでは“裏方”とされてきた人々にもスポットライトが当たっている。とりわけSFにおいては、VFXをはじめとする映像演出の面で、小さなスタジオが脚光を浴びることも増えてきた。

SF作品に欠かせない存在

映像と共に、SF作品を彩る要素として無視できないのが、“音楽”の存在だ。スペースオペラにおける壮大なテーマソングや、ディストピアSFにおける悲壮感漂うBGMまで、音楽なしにSF映画やドラマを語ることはできない。今回は、あの大ヒット作品の音楽制作を手がけてきた有名音楽家のルーツをたどってみよう。

あの人気映画やドラマの音楽を手がけた人物

ドイツ出身の作曲家

“『パシフィック・リム』(2013)のテーマ曲”と聞いて、あのヒロイックで壮大なテーマソングがすぐに頭の中で流れる人は少なくないはずだ。この映画の音楽を担当したのは、ラミン・ジャヴァディ。ドイツ出身の作曲家/音楽プロデューサーだ。これまでに、『アイアンマン』(2008)、『ウエストワールド』(2016-) などのSF作品に加え、『プリズン・ブレイク』(2005-2009, 2017) や『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-)といった人気ドラマの音楽も手がけている。

手がけてきた幅広い音楽

ラミン・ジャヴァディは、これまでに幅広いジャンルの音楽を手がけてきた。『パシフィック・リム』の音楽を手がけた後、同作を指揮したギレルモ・デル・トロ監督のドラマ『ストレイン 沈黙のエクリプス』(2014-2017)でも音楽を担当している。“リピーター率”が高い点も、ジャヴァディの特徴だ。『パシフィック・リム』のテーマ曲は、繊細なピアノの旋律で構成される『ウエストワールド』のテーマ曲とは異なり、バイオリンとエレキギターを組み合わせたダイナミックな作品に仕上がっている。同曲がアップされたYouTubeのコメント欄には、「私の葬式でこれを流せ」と書き込むファンが現れるほどの人気ぶり。そんな作品を作り上げたラミン・ジャヴァディとは、一体どのような人物なのか、その功績とルーツを紐解いていこう。

ラミン・ジャヴァディの輝かしい功績

1974年生まれのジャヴァディだが、これまでに自身が手がけた音楽で受賞した賞は数知れず。ASCAP (米国作曲家作詞家出版社協会) が主催するASCAPアワードでは、もはや常連となっている。2018年には、エミー賞の作曲賞シリーズ部門に『ウエストワールド』と『ゲーム・オブ・スローンズ』の二作品でノミネートされ、『ゲーム・オブ・スローンズ』で同賞を受賞。2017年2月から2018年10月にかけて、『ゲーム・オブ・スローンズ』のコンサートツアーを北米とヨーロッパで開催するなど、今やラミン・ジャヴァディは、映画・ドラマの作曲界の中心に立つ人物なのだ。

 

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ラミン・ジャヴァディのルーツ

そのルーツはイランとドイツに

そんなラミン・ジャヴァディはドイツ西部のデュースブルク出身。イラン人の父とドイツ人の母の間に生まれ、幼い頃から多様な音楽を聴いて育ってきたという。両親の影響で、欧米のポップミュージックや中東の音楽、ロックにジャズなど、あらゆる音楽に触れてきた。ジャヴァディは、ドイツのDaily Herald誌に以下のように語っている。

のちに気づいたことだけど、こうした音楽の全てが、実は大切なインスピレーションになっていたんだ。映画音楽の作曲家としての僕に、とてつもない多様性をもたらしてくれたし、異なるスタイルの楽曲を作れるようになったんだ。

by ラミン・ジャヴァディ

異なるルーツを持つ両親のもとに生まれ、類まれな才能を与えられたジャヴァディ。そして、その多様性を発揮できる場所は、ハリウッドにあった。1998年にボストンの名門・バークリー音楽大学を卒業すると、映画音楽界の巨匠に、その多才さを見出されることになる。

 

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ドイツの巨匠に見出された才能

ラミン・ジャヴァディの才能は、『ブラック・レイン』(1989)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)など、数多くの名作映画で音楽を手がけた巨匠ハンス・ジマーの目に留まったのだ。ジマーはジャヴァディと同じく西ドイツの出身。彼に雇われたジャヴァディは、ジマーが音楽の共同制作を手がけた『バットマン ビギンズ』(2005) への楽曲提供に加わり、2006年のASCAPアワードにて師と共に共同で表彰を受けた。師弟関係はその後も続き、ジャヴァディが音楽を手がけた『アイアンマン』には、ジマーが音楽プロデューサーとして参加している。

あの兄弟が師弟とタッグ

その後、師のハンス・ジマーは『ダークナイト』(2008)でグラミー賞を受賞、『ダンケルク』(2017)に至るまでクリストファー・ノーラン監督の映画作品で音楽を担当し続けている。一方で、弟子のジャヴァディはクリストファー・ノーランの弟であるジョナサン・ノーランと共に、ドラマ作品で結果を残していく。ジョナサン・ノーランが手がけた『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』(2011-2016)で音楽を担当すると、2013年のASCAPで表彰を受ける。2016年に放送を開始した『ウエストワールド』もまたジョナサン・ノーラン作品だ。兄弟と師弟、不思議な縁で結ばれ、現在はそれぞれの道を歩んでいる。

イランとドイツにルーツを持つ両親の下に生まれ、同じドイツ出身の巨匠にその多才さを認められるや、映画・ドラマ音楽界の中央に立ったラミン・ジャヴァディ。様々な縁によって支えられた彼は、その多才さを存分に発揮できるハリウッドに居場所を見出した。多様性の賜物とも言える彼の音楽は、今後も新たな物語を運んでくれることだろう。

 

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#tbt to scoring @mountainbetweenus in July. Photo credit: Bret Hartman

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via: Ramin Djawadi Website, Photo Credit: Andrés Jiménez
– Source –
ASCAP / Daily Herald / LA Times

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