クィア × SF——グレゴリー・ディロン「エイリアン・ボーイフレンド」の魅力

ライター

新世代のポップスターが歌うLGBTQの恋

ロンドンからメジャーデビュー

魅惑のロートーンボイスでミレニアル世代のクィアをレペゼンするグレゴリー・ディロン。SF作品にも多大な影響を受けて育ったという26歳のポップシンガーは、ロンドンのレーベル、アフターライフ (Afterlife) と契約し、デビューアルバム『Send Me Letters』のリリースを控える。セクシャルマイノリティの恋と自己受容を歌った3rdシングル「エイリアン・ボーイフレンド (Alien Boyfriend)」も収録される予定で、4月17日には、同曲のミュージックビデオも公開されている。

“見知らぬ誰か”を求めて

グレゴリー・ディロンが“エイリアンの彼氏”というメタファーを用いて「エイリアン・ボーイフレンド」で歌い上げているのは、セクシャルマイノリティの恋だ。同作の設定は、ロバート・ゼメキス監督の映画『コンタクト』(1997) から影響を受けたという。望遠鏡を覗き、遠い宇宙から自分にぴったりな人が現れるという願いと、インターネットで出会う見知らぬ誰かが自分を理解してくれるはずだという願いが重ね合わせられている。

広大な宇宙とインターネット

ディロン自身もまた、パートナーをインターネットで探してきたという。現在でもLGBTQの人々にとって、インターネットは出会いの場として重要な存在であり続けている。自分を理解してくれて、しかも理想的な相手が本当に見つかるのか——広大なインターネットで交信を待つ気持ちは、確かに、宇宙を探索するような気持ちに似ているのかもしれない。ディロンは、Billboardのインタビューで以下のように語っている。

SFの世界では知的生命体を探す。でも、人々は愛を求めるんです。誰か自分にぴったりな人がいるんじゃないか、自分を受け入れてくれる人がいるんじゃないかって。

 

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“リアル”な恋愛模様

グレゴリー・ディロンは、「夜のあいだ電波を飛ばしてスキャンしてる」「宇宙行きの人工衛星を探してる」「紫の光を放つあなたの瞳」など、SF的な語彙を用いながら、クィアの恋愛をアップテンポで明るく歌い上げる。決して悲観的ではなく、LGBTQの人々が共感できる“リアル”な恋愛模様が描かれているのだ。

元ネタは『2001年宇宙の旅』…?

今回の「エイリアン・ボーイフレンド」は緑を基調とした作品に仕上がっているが、これも同曲を優しいイメージの作品にしようという心遣いだ。グレゴリー・ディロン自身、キャリアを通して、作品ごとにテーマカラーを決める“カラーブロッキング”を採用してきた。実はこの手法、映画監督のスタンリー・キューブリックに影響を受けたのだという。画面を一色に統一する手法は同監督の『2001年宇宙の旅』(1968) でも見られたが、ディロンはほかでもない『2001年宇宙の旅』をイメージして、今回のミュージックビデオを制作したという。

「大のSFファン」と公言するグレゴリー・ディロンは、SF的なギミックを駆使してLGBTQのストーリーを提示している。21世紀の新たなポップスターが誕生するのだろうか。今後の動向から目が離せない。

グレゴリー・ディロン 公式サイト

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Curtis Brown

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