『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』公開
2025年2月14日(金) に公開された映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は、MCU映画の第35作目。サム・ウィルソンが新たにキャプテン・アメリカに就任し、新たな物語が描かれる。
本作ではサムが大統領に就任したサディアス・ロスにアベンジャーズの再建を依頼されることになる。今回は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) 以降休眠状態となっているアベンジャーズの新メンバーについて、MCU作品を振り返った上で考察していきたい。
以下の内容は『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の内容および、本作までのMCU全作品についてのネタバレを含むので注意していただきたい。
以下の内容は、映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』および本作までのMCU作品の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』で示された“アベンジャーズ再建”
アベンジャーズ再建の理由
映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』では、新大統領に就任したサディアス・ロスがアベンジャーズの再建をサム・ウィルソンに依頼した。しかし、イザイア・ブラッドリーが大統領を襲撃したことで、このオファーは取り消されることになった。
それでも、ラストではサムがホアキンに「ロスにも一つだけ正しかったことがある」と切り出し、「世界はアベンジャーズを必要としている」と語った。サムはレッドハルクになったロスを治めることはできたが倒すことはできておらず、状況は紙一重だった。
また、サムはサミュエル・スターンズから、他の世界の者たちからこの世界を守らなければならなくなる可能性を告げられた。別のユニバースからヒーロー達がやってくることを示唆したのだ。『アベンジャーズ/エンドゲーム』から約3年アベンジャーズがいない状況が続いていたが、これから迫り来る危機を考えればアベンジャーズのようなチームが必要と考えたのだろう。
ヒーローを取り巻く現状
『ワンダヴィジョン』(2021) から始まったフェーズ4以降のMCU世界、つまり《マルチバース・サーガ》では、アベンジャーズのようなヒーローチームは存在していなかった。『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021) ではキャプテン・マーベル、ブルース・バナー、ウォンが連携していることが明かされたが、ブルースはこの集まりを「アベンジャーズ」ではなく「サーカス」と呼んでいる。
元々アベンジャーズとは別チームのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーやエターナルズは活動を続けているが、米国内のヒーローは息を潜めている。その最大の理由は、ダメージ・コントロール局が幅を利かせ始めたからだ。
ダメージ・コントロール局は、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017) ではアベンジャーズの戦いの後処理を行っていた。だが、『エンドゲーム』後はヒーローかヴィランかにかかわらず超人を取り締まる局となり、強力な武器と権限を持ってスパイダーマンやミズ・マーベル、シー・ハルクの前に立ちはだかった。
ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022) では、ヒーローを登録して国連の管理下に置くソコヴィア協定が廃止されたことも明らかになった。つまり、全ての超人の自警行為が取り締まれるようになったということである。
だからこそ、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』でロス大統領からアベンジャーズ再結成の申し出があったことは、一つの転機になる。ロスも言及していたように、世論の支持が大きければ政府としてはヒーローの存在を認めざるを得ない。
ドラマ『ミズ・マーベル』(2022) では、ダメージ・コントロール局のディーヴァー捜査官が高校への突入を強行し、その様子が世界に発信された。個々のヒーローの頑張りと、ダメージ・コントロール局の信用低下もアベンジャーズ再建の“大統領令”を後押ししたのかもしれない。
新生アベンジャーズのメンバーを考察
では、サム・ウィルソンのキャプテン・アメリカが再建する新生アベンジャーズは、どんなメンバーになるのだろうか。
今後のMCU映画は『サンダーボルツ*』と『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の公開後、2026年5月に『アベンジャーズ:ドゥームズデイ(原題)』が公開される予定だ。つまり、アベンジャーズの再結成は『ドゥームズデイ』で行われる可能性が高い。ここからは、『ドゥームズデイ』とその後に公開される『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ』に結集するヒーローについて考察していこう。
フレッシュな新メンバー
映画組は強力な面々
まずは新たなメンバーから見ていこう。『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』のラストでは、サムはホアキンとの会話の中でアベンジャーズの再建とホアキンの復帰を並べて語っている。これは事実上のアベンジャーズへのリクルートだと言える。キャプテン・アメリカとファルコンが最初のメンバーになると言って差し支えないだろう。
『ブレイブ・ニュー・ワールド』にも登場したイザイア・ブラッドリーは、政府の実験で超人血清を打たれたスパーソルジャーだ。サムはイザイアにホアキンの訓練を依頼しており、イザイアも教官の立場でアベンジャーズに加わってくれるかもしれない。
《マルチバース・サーガ》で最初にアベンジャーズ入りが示唆されていたのがシャン・チーとケイティだ。キャプテン・マーベル、ウォンと連携していたブルースが「サーカスへようこそ」とチーム入りを歓迎した。
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022) からは、ヴィランとして登場したネイモアが加わってくれると心強い。人間に絶望して海底王国タロカンを築いたネイモアだが、最後にはワカンダと同盟を結んだ。簡単に手は貸してくれなさそうだが、地球規模の危機が起きれば共闘してくれるだろう。
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) のラストでは、ストレンジの前にシャーリーズ・セロン演じるクレアが登場した。インカージョンが起きていると発言しているが、原作ではシークレット・ウォーズはインカージョンをきっかけとして勃発するため、クレアが今後の「アベンジャーズ」映画にとって重要な人物になる可能性は高い。
ドラマ組の再登場にも期待
ドラマシリーズからは、『ワンダヴィジョン』に登場したホワイトヴィジョンの合流があるかもしれない。その肉体はオリジナルのヴィジョンであり、兵器として再生されたが、ワンダが作り出したヴィジョンによって『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) までの記憶が蘇った。その後姿を消したが、『ヴィジョン・クエスト(仮)』という単独ドラマが2026年の配信を予定している。
『ワンダヴィジョン』でスーパーパワーを得たモニカ・ランボーもアベンジャーズに加わってほしいところだが、映画『マーベルズ』(2023) のラストではX-MENがいる別のユニバースへ行ってしまった。X-MENを引き連れてアベンジャーズを助けに来る展開もあり得るかも?
『ムーンナイト』(2022) 後にしばらく音沙汰がないオスカー・アイザック演じるムーンナイトも、新アベンジャーズ合流で復活することに期待したい。イギリスを拠点にしているためキャプテン・アメリカからは離れた場所にいるが、『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』は2025年3月よりイギリスで撮影を開始するという報道もある。
音沙汰がないといえば、スペシャルドラマとして配信された『ウェアウルフ・バイ・ナイト』(2022) でガエル・ガルシア・ベルナルが演じたウェアウルフ・バイ・ナイトことジャック・ラッセルだ。同作はモンスターを中心とした世界観から映画『ブレイド(原題)』に繋がると思われていたが、『ブレイド』は2024年11月の公開予定が取り消しになってしまった。ガエル・ガルシア・ベルナルの演技が見事だっただけに、再登場に期待したいところ。
最も身近な新メンバーは、ハルクことブルース・バナーの従妹であるシー・ハルクことジェニファー・ウォルターズだ。ドラマ『シー・ハルク』ですでにブルースのトレーニングも受けており、即戦力として期待できる。超人専門の弁護士だったこともチームにとってはプラスになりそう。
未登場のキャラクターでは、2025年12月に単独ドラマが公開されるワンダーマンのアベンジャーズ合流が期待できる。原作のワンダーマンは当初アベンジャーズに送り込まれたスパイだったが、後にアベンジャーズに加わっており、古参メンバーの一人である。
別チームになりそうなメンバー
若手はチャンピオンズに?
ここまでで名前を挙げていないフェーズ4以降の新キャラは、別のチームに所属する可能性があるキャラクターたちだ。次に、別チームとして稼働するかもしれないヒーロー達を挙げていこう。
映画『マーベルズ』のラストでは、ミズ・マーベルがクリント・バートンからホークアイを継承したケイト・ビショップを新チームに誘った。「アントマンの娘」、つまりキャシー・ラングも誘うと発言しており、若手による新チームの結成が示唆されている。
2025年6月に単独ドラマが配信されるアイアンハートことリリ・ウィリアムズや、『シーハルク』に登場したハルクの息子スカー、ワンダの子どものビリーとトミー(アガサもついて来そう)、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022) で登場したアメリカ・チャベス、イザイア・ブラッドリーの孫のイーライら、原作で若手チームに加わるメンバーも、カマラの“ヤング・アベンジャーズ”に参加するかもしれない。
一方で、若手ヒーロー達は原作コミックでベテランヒーローに反発した若手がアベンジャーズを離反して結成する“チャンピオンズ”のメンバーになる可能性もある。『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』から始まるイベントで一旦はアベンジャーズに合流し、その後離反して「チャンピオンズ」作品に続くという展開もあり得るだろう。
サンダーボルツ、エターナルズ、ディフェンダーズ…
2025年5月2日(金) に公開される映画『サンダーボルツ*』では、バッキー・バーンズとエレーナ・ベロワが中心となり、“アベンジャーズなき世界”で新チームを結成する。サンダーボルツはゴースト、U.S.エージェント、レッド・ガーディアン、タスクマスターを擁しており、予告に登場しているセントリーが加わればかなり強力なチームになる。サムのアベンジャーズの危機に、バッキーのサンダーボルツが駆けつける展開になれば熱い。
超人チームでは『エターナルズ』(2022) の面々も登場するだろうか。人類に介入しない姿勢を貫いてきたが、セレスティアル島の出現で人類は軍拡に向かいつつある。セルシ、キンゴ、ファストス、スプライトはアリシェムにさらわれたがセナ、マッカリ、ドルイグ、それに最後に登場したハリー・スタイルズ演じるエロス/スターフォックスにも協力してもらいたいところだ。
既存のチームでは、『デアデビル』(2015-2018) から始まった《ディフェンダーズ・サーガ》がMCUに合流している。2025年3月配信のドラマ『デアデビル:ボーン・アゲイン』ではパニッシャーの登場も予定しているが、ニューヨークの守護は、デアデビル、ジェシカ・ジョーンズ、ルーク・ケイジ、アイアン・フィストを擁するディフェンダーズに任せてもいいかもしれない。
ムーンナイトやウェア・ウルフ・バイナイト、パニッシャー、そしてブレイドといったダークなキャラクター達は、原作コミックに倣ってミッドナイト・サンズというチームを結成するかもしれない。サンダーボルツと同じく癖の強い面々だが、『シークレット・ウォーズ』でマルチバース間の戦争が起きるとなればアベンジャーズは手を借りたいところだろう。
古参チームではガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの存在が挙げられる。ロケットが率いる新しいガーディアンズには、グルート、コスモ、クラグリン、ファイラ、ブラープ、そしてアダム・ウォーロックも加わっている。相変わらず天然なメンバーが揃うガーディアンズだが、『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』の時のようにアベンジャーズを助けてくれるならありがたい(これまでサムとの絡みがないのがちょっと心配)。
アベンジャーズ復帰組は?
サムの旧友達
忘れてはいけないのは、ファルコン時代のサム・ウィルソンと共にアベンジャーズとして戦ったメンバー達だ。ソーやドクター・ストレンジはもちろん、シュリはブラックパンサーとしてカムバックしてくれるだろう。ソーは娘のラブと共に参戦するかもしれない。
世界はピーター・パーカーの記憶を失ってしまったが、それでもスパイダーマンを必要とするはず。キャプテン・マーベルは相変わらず忙しそうだったがまた助けてくれるだろう。『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ではアントマンの名前もあがっており、ワスプと共に帰ってくる可能性は高い。
おそらく《マルチバース・サーガ》最多出演のウォンも、新アベンジャーズで中心的な役割を果たすだろう。スカーレット・ウィッチことワンダも再びアベンジャーズとしてカムバックを果たすことに期待したい。
参加しないメンバーも?
一方で、引退したクリント・バートンや歳をとったブルース・バナー、スクラル人と入れ替わっていたウォーマシンことローディ・ローズ、地球の父の家に帰ったスター・ロードことピーター・クイルらは一線を退いている可能性はある。
ドラマ『ロキ』(2021-) で一躍MCUの最重要人物となったロキは、その重要性ゆえにアベンジャーズの戦いには絡まないだろう。ゴッド・ロキとなったロキは全てのユニバースを安定させる役割を担っており、よっぽどのことがなければ干渉はしないはずだ。それでも、地球に戻ったメビウスやソーがピンチに陥ればジッとしてはいられないかもしれない。
また、別ユニバースの物語だった『デッドプール&ウルヴァリン』(2024) のデッドプールとウルヴァリンや、こちらも別ユニバースが舞台である可能性が指摘されている『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』のファンタスティック・フォーメンバーは、アース616のアベンジャーズには合流しないと考えられる。
スターンズの言葉を踏まえれば、デッドプール&ウルヴァリンとファンタスティック・フォーは自分たちのユニバースを守るためにサムのアベンジャーズと対立する可能性すらある。そこにX-MENまで敵としてやって来たら、新生アベンジャーズには相当厳しい戦いになるはずだ。
だがそこは、力での解決を求めない新たなキャプテン・アメリカの腕の見せ所だろう。サム・ウィルソンとアベンジャーズの新たな仲間達が新たな道を切り拓くことに期待しよう。
映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は2025年2月14日(金) より公開中。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』オリジナルサウンドトラックは発売中。
ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のBlu-rayは、4K UHD コレクターズ・エディション スチールブックが発売中。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ラスト&ポストクレジットの解説&考察はこちらから。
バッキーの登場シーンについての解説&考察はこちらの記事で。
バッキーの出馬について監督が語った内容はこちらから。
バッキーの「I love you」発言への海外の反応と、10年前にあった伏線の考察はこちらから。
二代目ファルコンことホアキン・トレスについての解説&考察はこちらから。
スターンズ/リーダーについての考察はこちらから。
サイドワインダーはどうなったのか? 解説&考察はこちらから。
今後のキャプテン・アメリカについてアンソニー・マッキーが語った内容はこちらの記事で。
今後の「アベンジャーズ」映画での展開についてアンソニー・マッキーが語った内容はこちらから。
ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』最終回のネタバレ解説はこちらから。
サムが登場した全作品のおさらいはこちらの記事で。
映画『デッドプール&ウルヴァリン』ラストのネタバレ解説&考察はこちらから。
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ラストのネタバレ解説はこちらから。
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映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストのネタバレ解説はこちらから。