『キャプテン・アメリカ:BNW』大ヒット公開中
映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』が2025年2月14日(金) より公開され、日本でも洋画No.1となるヒットを記録している。ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) の2年後を舞台にした本作では、キャプテン・アメリカとなったサム・ウィルソンの物語が描かれる。
2025年最初のMCU映画ということもあり、大きな注目を集めていた『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』だが、劇中のあるシーンが特に話題になっている。今回は、そのシーンのセリフについて、ネタバレありで考察していこう。以下の内容は重大なネタバレを含むので、必ず劇場で本編を鑑賞してから読んでいただきたい。
以下の内容は、映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の内容に関するネタバレを含みます。
Contents
『キャプテン・アメリカ:BNW』「愛してる」って言った?
バッキーの「I love you」
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』で注目を集めているシーンとは、もちろんサム・ウィルソンの前にバッキー・バーンズが現れるシーンだ。サムのオフィスでもかつての相棒・ライリーらの写真と共にツーショット写真が飾られていたが、まさかの本人登場には驚かされた。
サムはインド洋上の作戦で相棒のホアキン・トレスが危篤状態に陥り、病院でホアキンのことを見守っていた。かつてライリーを作戦で失ったことを思い出していたのだろう。神妙な面持ちのサムは、誰かが入ってくるとそちらを見ずに「プライベートルームだ」と突っぱねる。ちなみにこの後ルース・バット=セラフが入って来る時には、サムはもう「プライベートルームだ」とは言わない。
そこに現れたのはバッキー・バーンズで、サムは「認めたくないが、来てくれて嬉しい」と正直な気持ちを明かしている。一通りのやり取り(詳しくはこちらの記事で)の後、政治資金パーティに向かうバッキーは、サムに「I love you, buddy.」と言い残して部屋を去る。
字幕が「愛してる」にはなっていなかったため、字幕で見ていた人の中には、「今、”I love you”って言った?」と思った方も多かったのではないだろうか。バッキーは本当に「愛してる」と言ったのだろうか。
海外の反応は?
米メディアのNerdistはこのシーンについて、「サムに“I love you, buddy”と伝えたことは、MCUにおけるバッキー・バーンズの成長を示す優れた方法だった」と評価。やはりあのシーンではバッキーはサムに「I love you, buddy」と言っていたのである。
このシーンは瞬く間に海外のファンの間でも話題となった。海外のSNSでは、「“愛してるよ、相棒”だなんて、泣いちゃうよ」「I love you, buddyにはやられた。だってバッキーから誰かを愛してるって言葉を聞くなんて」「見てて叫んだ」「泣いた」といったコメントが並んでいる。
ハグを交わし、サムが弱い部分を見せ、バッキーが助言を与えて愛を伝えるというこのシーンは、二人の関係の現在地を表す場面だ。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の途中までは犬猿の仲だったサムとバッキーだが、あれから2年が経過し良好な関係を築けているようだ。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の終盤では、サムが黒人としてキャップの盾を背負うことの苦悩をバッキーが理解して謝罪、バッキーはサムの地元で実家の船の修理を手伝いウィルソン家に一泊するなど交友を深めた。バッキーはサムのためにヴィブラニウム製のスーツをワカンダに依頼してもいる。
サムがキャプテン・アメリカになり、最後のスピーチを終えた後には、バッキーは「Nice job, Cap.」と言い、初めてサムのことを「キャップ」と呼んだ。これも「I love you, buddy.」に通じる言い回しで、バッキーにはここぞというところでハートに刺さる言葉を選ぶセンスがあるように思える。さすがは110歳だ。
バッキーの「I love you」発言を考察
10年前のサムの言葉
実はバッキーの「I love you」発言には伏線と思われるセリフが存在する。それは映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016) でのこと。ファルコン時代のサムとバッキーがスパイダーマンと対決するシーンで、二人はスパイダーマンにしてやられ、ウェブで動けない状態にされてしまう。
サムは拘束されながらもドローンのレッドウィングを操作し、油断していたスパイダーマンを吊り上げて屋外に放り出すことに成功している。それでも二人は拘束されたままで、バッキーが「もっと早くやれよ」とクレームを入れると、サムは「I hate you.(お前嫌い)」と返すのだ。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の舞台は2016年で、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の舞台は2026年だ。つまり、10年前にはサムがバッキーに「I hate you」と言い、10年後にはバッキーがサムに「I love you」と言ったことになる。
バッキーからサムへの10年越しのアンサー、などと言うとこじつけが過ぎるだろうか。だけど、口数は少ないが言葉選びで突き刺してくるバッキーなら、10年前の「I hate you」を意識して「I love you」と言っていたとしても不思議ではない。
バッキーの困難な道のり
先の海外コメントで秀逸だったのは、「バッキーから誰かを愛してるって言葉を聞くなんて」というものだ。昔のバッキーは1942年には女性二人とスティーブを誘ってスターク・エキスポに行くようなチャラ男だった。だが、ウィンター・ソルジャーとしての洗脳を経て、現代に甦ってからはスティーブと一緒にいることが多くなった。
バッキーはワカンダでの洗脳解除の期間も経て、デシメーションからの復活後にはセラピーを受けつつ、ウィンター・ソルジャー時代に自分が息子を殺してしまったヨリ老人に寄り添っていた。寿司屋のリーと閉店後に会話やゲームを楽しむ場面もあったが、ヨリの息子に話題が及ぶとバッキーは店を飛び出してしまった。
結局、最後にバッキーは自分の居心地の良さよりも、相手のことを優先する贖罪の道を選ぶことになる。ヨリに自分が息子を殺したことを伝えると、後日、店の中のヨリとリーの元気な姿を見届けて立ち去るのである。
洗脳を受けて他者の人生を奪ってしまったバッキーは、一旦は自分の人生を手放すことで贖罪を果たした。それはつまり孤独を受け入れるということであり、バッキーがまた独りになるということだった。
「I love you」と言えるようになったバッキー
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のラストから『キャプテン・アメリカ:BNW』までの2年、おそらくサムはホアキンと共にキャプテン・アメリカとしての活動に明け暮れたのだろう。バッキーはどういう経緯があったのかは不明だが、下院議員を目指しているようだ。紆余曲折を経て、バッキーはついに人に「愛してる」とまで言えるようになっていた。それもサム相手に。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の物語も含むバッキー復活のプロセスにおいて、サムは間違いなく重要な役割を果たしている。バッキーは「スティーブがサムを選んだのは、サムがサムだから」と言って励ましたが、サムはほかでもない現在のバッキーの様子を見て、自分が来た道は間違っていなかったと思えたのかもしれない。
MCUファンを騒がせたバッキーの「I love you, buddy.」。今度はバッキーが『サンダーボルツ*』で新しい仲間達とどんな物語を物語を紡ぐのか。公開を楽しみに待とう。
映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は2025年2月14日(金) より公開中。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』オリジナルサウンドトラックは発売中。
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