ネタバレ考察『マンダロリアン』S3第2話 グローグーの帰還は誰のため? マンダロアの再興が「スター・ウォーズ」の鍵に? | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ考察『マンダロリアン』S3第2話 グローグーの帰還は誰のため? マンダロアの再興が「スター・ウォーズ」の鍵に?

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『マンダロリアン』シーズン3第2話に注目

2023年3月より配信を開始したドラマ『マンダロリアン』シーズン3。2019年のディズニープラスの立ち上げと共に配信を開始した本作は、今や押しも押されもせぬ人気コンテンツに。主演のペドロ・パスカルは主人公ディン・ジャリンを今後ずっと演じると宣言するなど、「スター・ウォーズ」フランチャイズに燦然と輝くシリーズになりつつある。

今回は、ドラマ『マンダロリアン』シーズン3第2話の展開から見える、ある可能性について考察してみたい。そこには、「スター・ウォーズ」シリーズの今後を占うヒントがあるかもしれない。

なお、以下の内容はドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』(2021-2022)を含む『マンダロリアン』シーズン3第2話までの内容に関するネタバレを含むので、注意していただきたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、ドラマ『マンダロリアン』シーズン3第2話までの内容に関するネタバレを含みます。

グーログーの帰還とボ=カターンの合流

ドラマ『マンダロリアン』シーズン2からシーズン3までの最大の事件といえば、ドラマ『ボバ・フェット』でのグローグーの帰還だった。『マンダロリアン』シーズン2のラストでジェダイ・マスターのルーク・スカイウォーカーに貰われたグローグーは、『ボバ・フェット』でディン・ジャリンの元に劇的な帰還を果たした。

グローグーはジェダイとしての訓練を積みながらも、ヨーダのライトセーバーよりディン・ジャリンが託したベスカーの鎖帷子を選び、ルークの元を離れてディン・ジャリンと旅をすることを選んだのだった。ということで、シーズン3からはマンドーはグローグーのことをマンダロリアンの子どもとして扱っており、シーズン3第2話でも、グローグーに星図の見方を教え、マンダロリアンとしてサバイブしていく方法を教えている。

そして、シーズン3第2話のハイライトは、マンドーとは宗派が異なるボ=カターン・クライズがマンドーとグローグーの旅に合流したことだ。ダークセーバーを失い、仲間を失って腐っていたボ=カターンがマンドーと合流し、その狂信的とも言える教義へのこだわりに首を傾げながらも、同じマンダロリアンであるマンドーを助けることで笑顔を取り戻していく。

シーズン2のラストで孤独になったディン・ジャリンが、シーズン3の第2話では二人のマンダロリアンと行動を共にしている。この展開が意味するものとは——。

マンダロリアンの物語

グローグーがジェダイのルーク・スカイウォーカーではなく、マンダロリアンのディン・ジャリンを選んだということは、「スター・ウォーズ」的には、マンダロリアンの物語を拡張していくという方針が取られたと捉えることもできる。もちろんルークは続三部作で明らかになるように、ジェダイの再興に失敗するという結果が待っているので、グローグーがジェダイとして大成するという方針はそもそも取れなかったはずだ。

『マンダロリアン』シーズン3第2話では、ボ=カターンがマンダロリアン同士で争い合ってきた歴史に遺憾の意を示すシーンもある。歴史上唯一マンダロリアンにしてジェダイとなったター・ヴィズラと同じくジェダイとしての属性も持つグローグーと、かつてマンダロアを治めた王族でデス・ウォッチのボ=カターンが、マンダロリアン過激派であるチルドレン・オブ・ザ・ウォッチのディン・ジャリンと組むという展開は、マンダロリアンはバラバラになって孤立している状態から脱却すると示す物語になっているように思える。

つまり、グローグーの帰還はマンダロリアンの復興のためのお膳立てだった可能性があるのだ。“マンダロリアン”という家の中に、デス・ウォッチ、チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ、そしてジェダイが入ることによって、多様性を受け入れる新たなマンダロアが誕生するのかもしれない。それがマンダロリアンの孤児であり、民族的なルーツを持たないマンドーとグローグーが起点になっていく点が見所だ。

新作映画にも影響が?

この『マンダロリアン』の方針は、映画『スター・ウォーズ エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』(2019) で幕を閉じた「スカイウォーカー・サーガ」以降の「スター・ウォーズ」映画シリーズに影響を与える可能性もある。現在、「スター・ウォーズ」の映画最新作は製作が進められており、「スカイウォーカー・サーガ」の後が舞台になると、米The Hollywood Reporterが報じている。

ドラマ『マンダロリアン』は、映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983) の5年後、映画『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』(2015) の25年前が舞台になっている。「スター・ウォーズ」の新作映画シリーズは『マンダロリアン』から25年以上後が舞台ということになる。

もしも、スカイウォーカー家の物語から解放された「スター・ウォーズ」映画が、『エピソード9』から100年〜200年ほど後を舞台にするとすれば、グローグーはその頃には150歳〜250歳。つまり、人間の年齢にして15歳〜25歳のグローグーの姿を目にすることができるかもしれない。となれば、「スター・ウォーズ」フランチャイズはジェダイだけでなく、マンダロリアンの物語としても展開していく可能性もある。

元々、このフランチャイズの名前は「ジェダイ・ストーリー」ではなく「スター・ウォーズ」だ。「スター・ウォーズ」の銀河に生きる様々な種族や宗派に焦点を当てるのは当然のこと。ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022-) でジェダイを登場させずに上質な物語を展開したように、スカイウォーカー家の物語が終わった今、銀河を生きる誰であれ主人公になってもいい。

かつてのジェダイ・オーダーの教義は執着心を放棄し、家族を持たないことだった。スカイウォーカー・サーガではその負の側面も描かれ、『ボバ・フェット』ではルークがグローグーにマンドーへの愛着の放棄を迫ったことで、グローグーはマンダロリアンの道を行くことを選んだ。一方で、マンダロリアンの教義は忠誠と結束を重んじることだ。後者に重点を置いた物語が映画でも描かれる可能性は高いのではないだろうか。

あるいは、ジェダイの競技のいいところと、マンダロリアンの競技のいいところを採用したストーリーになることも考えられる。だとすれば、その中心に立つのはやはり……?

『マンダロリアン』シーズン3の次の展開と、映画シリーズの再スタートを楽しみに待とう。

ドラマ『マンダロリアン』シーズン3は2023年3月1日(水) より、ディズニープラスで独占配信。

『マンダロリアン』(Disney+)

シーズン3第1話のネタバレ解説はこちらから。

シーズン3第2話の解説はこちらから。

同時配信されているアニメ『バッド・バッチ』シーズン2第2話のネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『ボバ・フェット/The Book of Boba Fett』最終回のネタバレ解説はこちらから。

高い評価を受けている「スター・ウォーズ」ドラマ『キャシアン・アンドー』シーズン1の解説はこちらから。

ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』の解説はこちらの記事で。

 

シーズン3配信のタイミングで、主演のペドロ・パスカルは生涯マンダロリアンを演じると宣言した。詳しくはこちらから。

ジョン・ファブローと共に『マンダロリアン』の監督・脚本・制作総指揮を手掛けるデイブ・フィローニは、グローグー=ヨーダのクローン説に言及した。詳しくはこちらの記事で。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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