ネタバレ解説『ホワット・イフ…?』第2話 〇〇の登場で確定したMCUの新セオリーとは | VG+ (バゴプラ)

ネタバレ解説『ホワット・イフ…?』第2話 〇〇の登場で確定したMCUの新セオリーとは

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『ホワット・イフ…?』第2話配信開始

MCU初のアニメシリーズ『ホワット・イフ…?』は、2021年8月より配信を開始。18日(水) には第2話「もしも…ティ・チャラがスター・ロードになったら?」が配信され、チャドウィック・ボーズマン最後のティ・チャラ役が公開された。

そしてもう一人、第2話にはサプライズであの大物の登場が待っていた。そして、その人物の登場により、MCUフェーズ4における一つのセオリーがほぼ確実なものとなった。今回はそのセオリーを解説していくが、以下の内容は『ホワット・イフ…?』第2話のネタバレを含むので、注意して頂きたい。

ネタバレ注意
以下の内容は、アニメ『ホワット・イフ…?』第2話の内容に関するネタバレを含みます。

サノス登場!

『ホワット・イフ…?』第2話におけるサプライズ人事といえば、サノスの登場である。しかも、誤ってラヴェジャーズに拉致され、宇宙で育ったティ・チャラとの出会いにより、指パッチンによる全宇宙の半分の人口消滅(デシメーション)を起こすという道を選ばなかった“善いサノス”だ。第2話では身を呈して娘のネビュラを助けると、正史では忠実な部下だったブラック・オーダーを食い止めてみせた。

途中、ティ・チャラはサノスがこの世界線では庭師になったことも明かしている。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) では惑星ガーデンで農夫として余生を過ごしていた通り、サノスは元々土いじりが好きだったのだろう。第2話の最後には、正史におけるデシメーションの現場であり戦場となったはずのワカンダで、オコエと楽しげに会話する姿が映し出されている。

『ホワット・イフ…?』製作総指揮のブラッド・ウィンダーバウムはが米Polygonに語ったところによると、第2話で見せたかったのは「一人のキャラクター、一人の人間がその影響力で銀河を変えられるということの可能性」だという。ティ・チャラの外交力があれば、サノスは説得で止めることができたのだ。

おそらくサノスはガモーラの故郷も滅ぼさなかったのだろう、『ホワット・イフ…?』第2話にはガモーラが登場しない。ティ・チャラがどのタイミングでサノスを説得したのかは気になるところだが、いずれにしても第2話で明らかになった一つのセオリーが存在する。

明らかになったMCUフェーズ4のセオリー

それは、MCUには「完全な善人も完全な悪人もいない」ということである。MCU史上最凶のヴィランである大悪党サノスでさえも、たった一つの良い出会いがあったことで、あそこまで人格が変わるのだ。これは私たちが生きる現実社会と同じことで、最初から悪人であったり善人であったりする人間は存在せず、周囲の環境をはじめとする様々な要因によってどのような道をも選び得るということである。

逆に、第2話ラストに登場したピーター・クイルは、ラヴェジャーズとの出会いもなければ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとの出会いもなかった世界線のクイルだ。ウォッチャーの「この(父エゴとの)再会は世界を破滅させる」というナレーション通り、自分の意思か否かにかかわらず、周囲の助けが得られなかったことによって、クイルはヴィランになってしまう可能性もある。

生まれた時からヴィランになるかヒーローになるかが決まっているわけではないという設定は、マルチバース化が進むMCUフェーズ4においては非常に大切な設定だ。サノスが何度やり直しても、どの道を進んでもヴィランになってしまうのだとすれば、それは「人がたどり着く場所は決まっている」という運命論的な物語になってしまうし、ドラマ『ロキ』はそれを否定する物語だったはずだからだ。

ネタバレ注意
以下の内容は、『ワンダヴィジョン』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ロキ』『ブラック・ウィドウ』の内容に関するネタバレを含みます。

フェーズ4で繰り返されてきた主張

そして、根っからのヴィランも根っからのヒーローも存在しないという考え方は、ここまでのMCUフェーズ4で繰り返し主張されているセオリーであるように思える。ドラマ『ワンダヴィジョン』(2021) では、確かにワンダは市民の自由を奪ったが、その裏には大切な人を失い続けてきた叙情酌量の余地があるストーリーが存在した。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021) 第4話では、ジモはヒーローとて善人とは限らないと、ヴィランのウルトロンとヒーローのアベンジャーズを同じ「至上主義者」とこき下ろしている。

そしてMCUで初めてヴィランが主役に据えられたドラマ『ロキ』では、逆にヴィランとて必ずしも完全な悪人ではないということを示す物語が描かれた。『ロキ』第2話では「本当の悪人はいない、本当の善人もいない」と、第5話ではメインキャラクターのメビウスを「善人でも悪人でもない」と表現し、単純な勧善懲悪の物語を展開することを明確に拒否しているのだ。

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』では敵と味方を行ったり来たりするジョン・ウォーカーの姿も印象的で、MCUフェーズ4の悪のエージェントになると噂されるヴァレンティーナもまた、『ブラック・ウィドウ』では定説を覆す演出が見られた。

そして、『ホワット・イフ…?』第2話では、これまで“絶対悪”と思われていたサノスでさえ、違う道があり得たということが示された。あらゆるキャラクターの持つ可能性を否定しないこと、それはとてもMCUらしい姿勢だ。誰もが善人にも悪人にもなり得るマルチバースの混沌(マッドネス)の中で、MCUはどのような展開を見せていくのだろうか。引き続き、目が離せない。

アニメ『ホワット・イフ…?』はDisney+で独占配信中。

『ホワット・イフ…?』(Disney+)

『ホワット・イフ…?』第2話のネタバレ解説はこちらから。

チャドウィック・ボーズマン最後のティ・チャラ役について『ホワット・イフ…?』監督が語った内容はこちらの記事で。

 

ドラマ『ロキ』のネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』のネタバレ解説はこちらから。

ドラマ『ワンダヴィジョン』のネタバレ解説はこちらから。

齋藤 隼飛

社会保障/労働経済学を学んだ後、アメリカはカリフォルニア州で4年間、教育業に従事。アメリカではマネジメントを学ぶ。名前の由来は仮面ライダー2号。編著書に『プラットフォーム新時代 ブロックチェーンか、協同組合か』(社会評論社)。
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