CGアニメだからできた怪獣プロレス『GAMERA -Rebirth-』ネタバレ感想&考察 | VG+ (バゴプラ)

CGアニメだからできた怪獣プロレス『GAMERA -Rebirth-』ネタバレ感想&考察

©2023 KADOKAWA/ GAMERA Rebirth Production committee

2023年9月7日(木)16:00よりNetflixにて世界独占配信

原案、監督にアニメ映画『GODZILLA』(2017-2018)の瀬下寛之監督を起用し、全6話のCGアニメーションとして2023年に復活した「ガメラ」シリーズ。「ガメラ」シリーズ初のアニメ作品となった『GAMERA -Rebirth』。舞台設定は1989年となり、4人の少年の怪獣ガメラとの出会う「怪獣の夏」を中心に、俗に「怪獣プロレス」と呼ばれる怪獣同士の死闘が描かれる。

『GAMERA -Rebirth』では、これまでの「ガメラ」シリーズの怪獣がブラッシュアップされたデザインや、過去の「ガメラ」シリーズを思わせる戦闘がこれでもかと描写された。本記事ではCGアニメーションの『GAMERA -Rebirth-』の感想と共に、作中の描写の考察をしていく。なお、本記事は『GAMERA -Rebirth-』のネタバレを含むため、本編視聴後に読んでいただけると幸いである。

ネタバレ注意
以下の内容は、Netflixアニメシリーズ『GAMERA -Rebirth-』の内容に関するネタバレを含みます。

CGだからできた異形感

「平成ガメラ三部作」の影響

「怪獣プロレス」が目玉とされている以上、怪獣の描写を避けて『GAMERA -Rebirth』を語ることはできないだろう。SF的な視点でブラッシュアップされた「ガメラ」シリーズの怪獣といえば金子修介監督、樋口真嗣特撮監督作の通称「平成ガメラ三部作」と呼ばれるシリーズの一つ、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)のギャオスが代表的な怪獣として挙げられる。

ガメラ 大怪獣空中決戦

瀬下寛之監督は『ガメラ 大怪獣空中決戦』のギャオスの設定も『GAMERA -Rebirth』に取り入れていると『Making of “GAMERA -Rebirth”』の中で語っており、『GAMERA -Rebirth』のギャオスは通常のギャオスよりも金子修介監督、樋口真嗣特撮監督作『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)に登場した体が細く動物的なデザインのギャオス・ハイパーに近いデザインで、竜がデザインモチーフの一つだとも瀬下寛之監督は語っている。

ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒

『ガメラ 大怪獣空中決戦』のギャオスの設定の影響は他の怪獣からも感じ取ることができ、ジャイガーが成長する過程で餌を与えて育てる親がいないことから幼体のジャイガー同士が共食いで成長する点は『ガメラ 大怪獣空中決戦』のギャオスを想起させる。また、ガメラの鳴き声に関しても「平成ガメラ三部作」からの引用であることがエンドロールで明らかになっている。

SF的視点でブラッシュアップされた怪獣

ガメラはつかみ合いなど「怪獣プロレス」のために手が大きくデザインされたことが瀬下寛之監督や怪獣デザインの髙濵幹の口から『Making of “GAMERA -Rebirth”』で語られたが、ガメラと相対する怪獣たちのデザインや設定もSF的なブラッシュアップがなされている。ガメラと戦う怪獣全体のデザインとして、細身で動物的、どこか異形さや歪さを感じさせるデザインなのが特徴的だ。

設定面ではジグラが水中で高速移動できる理由に、液体の流れと圧力差によって気泡が発生するキャビテーションを利用し、水中での抵抗の値を下げるスーパーキャビテーションを利用していることが早見沙織演じるエミコ・メルキオリが考察している。また、頭部が巨大な刀となっているギロンは刃の部分にダマスカス鋼を思わせる模様が浮かび上がっているのが特徴的だ。

また、細身の体をうねらせて飛び掛かり、ガメラの脇腹などを突き刺すなど怪獣の動きも特撮では再現が難しい動きをしている。怪獣たちは古代人たちのプログラミングによって積極的に人間を捕食するようにされており、共食いや人間を捕食するなど、どこか神秘性のあるものとして描かれることの多い「怪獣」よりも「生物」らしさが強調されている。

この点は『ガメラ 大怪獣空中決戦』のギャオスや『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』のイリス、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のジーダスの影響を感じられる。『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』(1966)以降の大映時代のガメラの怪獣や宇宙人は人間を捕食することが多いのも特徴的だ。それらの点も含めて、大映時代、徳間グループ時代、角川映画(KADOKAWA)時代の「ガメラ」シリーズの要素を取り入れていると考えられる。

また、怪獣たちが地底空洞からやってくるというのは、ハリウッド版『GODZILLA』(2014)を代表するモンスター・ヴァースの地球空洞説の設定と類似しているように思える。この点に関してはジャングルや砂漠も探索され尽くされ、深海の海溝まで明らかになっている現代では怪獣たちが潜めるのはもう地底空洞しかないのかもしれない。

ガメラの必殺技

「怪獣プロレス」の中では大映時代や平成ガメラ三部作でのガメラの必殺技が用いられているのも特徴だ。ギャオスやジグラを葬ったガメラを象徴する必殺技であるプラズマ火球(烈火球)ハイ・プラズマ(超烈火球)、イリスを倒したバニシング・フィスト(爆熱拳)を彷彿とさせる燃え盛る手でジャイガーを焼き尽くし、甲羅に手足と頭をしまって高速回転して敵を裂くシェル・カッター(旋斬甲)でギロンを真っ二つに切り裂いている。

このように平成ガメラ三部作でも登場した必殺技を駆使して「怪獣プロレス」で敵怪獣に土をつけているほか、ウルティメイト・プラズマ(究極超烈火球)に似た電波を周囲に放つ必殺技や重力操作自滅など『小さき勇者たち〜ガメラ〜』からの影響も感じ取れる戦い方をしていた。

敵怪獣たちも必殺技を駆使しており、ギャオスの超音波メス、ジグラの固形弾、体をうねらせて飛び掛かるギロンの切断技や手裏剣、バイラスがヘムデンという都市を焦土に変えたヘムデンの雷と重力操作など、多彩な必殺技を持つガメラにも負けず劣らず敵怪獣も多彩な必殺技を駆使する。そのような多彩な必殺技を持つ怪獣同士の死闘が「怪獣プロレス」を目玉にしているだけあって、『GAMERA -Rebirth』の見どころとなっている。

誰もが誰かを守りたい

少年たちの想いと古代人の歪さ

金元寿子演じるボコや松岡禎丞演じるジョー、豊崎愛生演じるジュンイチに木村昴演じるブロディら少年たちや宮野真守演じるジェームズ・タザキに米軍や自衛隊など、人間たち側は誰もが誰かを守ろうと奔走している印象が強かった。それがコードを持つボコを守ろうとするガメラと繋がり、ガメラが大映時代より持っていた子供の味方というヒロイックな怪獣像を表現しているように思えた。

それに対し、怪獣たちを生み出した古代人たち側は自分の命がかかっている状況でも顔色一つ変えず、平然と仲間を切り捨てて「浄化」を実行するという「誰もが誰かを守りたい」と考えている現代人とは対比的に描かれている。

人類の殆どを怪獣に捕食させ、選ばれた人間のみが生き残るという選民思想を持つ古代人は、「市民を守る」という言葉を度々口にする現代人と理解し合えないような存在となっている。ある意味では敵怪獣と同様、古代人も精神的な面や常に微笑みを浮かべている点で異形の存在として描写されているのかもしれない。

勝った方が我々の敵になるだけです

ガメラによってバイラスも倒され、古代人の手駒の怪獣はすべて倒されたように思えたが、最初によみがえった怪獣であるエスギャオスの成長により死にかけているガメラとの最後の戦いが始まる。エスギャオスの身体的特徴はギャオスだけではなく、ジグラなどの要素も見られ、バイラスの死骸を捕食したことで様々な怪獣の要素が盛り込まれていると考えられる。

エネルギーを共鳴して増強させるオリリウムによってガメラが復活する点は『小さき勇者たち〜ガメラ〜』で、アヴァンガメラの自爆によって三重県志摩周辺に緋色の真珠が飛び散り、緋色の真珠を子供たちが運び、ガメラ(トト)を復活させる点に似ている。『GAMERA -Rebirth』では古代人が人類の選別を進めていた際に一人の科学者が人類の希望を託し、怪獣の一体にバイラスの餌とされたコードを持つ子供らを守るためのプログラミングしたことになっているが、それが大映時代版ガメラの子供の味方としての強いガメラを想起させる。

小さき勇者たち〜ガメラ〜

エスギャオスは死にかけのガメラにRNAウイルスを注ぎ込む。RNAウイルスは感染した細胞内でDNAへと逆転写される現象を引き起こし、それによってガメラを、コードを持つ子供の守護者存在からエスギャオスらと同じコードを持つ子供を捕食する怪獣へとDNAごとを書き換えた。しかし、ボコの祈りによって正気を取り戻したガメラは最期に月に残った古代人を基地ごと殲滅し、自ら消える道を選んだ。

その直前にジョーの犠牲によって助かったボコにとっては仲間を失い過ぎる悲しすぎる結果となったが、ガメラ側からすれば、すべての古代人の手駒の怪獣を倒したとしたら、最後の怪獣はガメラ自身のみになる。そしてRNAウイルスによってDNAを書き換えられる可能性を考えた場合、ガメラはガメラ自身が最大の敵になることを恐れての選択だったと思われる。ある意味では『シン・仮面ライダー』(2023)などに近い選択だと言える。

続編の可能性は?

月の利権で一獲千金を狙っていたジェームズ・タザキは残されたオリリウムによってスマートフォンを開発し、スティーブ・ジョブスのような立ち振る舞いをしている。それによって1989年にして、『GAMERA -Rebirth』の世界の科学技術は一気に進んでいった。一方、子供たちはガメラの忘れ形見であるガメラの幼体を見つめ、今度は自分たちがガメラを守ることを胸に誓う。

ラストシーンでは犠牲となったはずのジョーから通信が来る。果たしてジョーは生きているのだろうか。また、古代人たちの手駒の怪獣はあれだけだったのだろうか。10万年前の「浄化」は失敗に終わり、1000年近く怪獣の姿を目撃していなかった古代人。他にも失敗した手駒の怪獣や、制御に失敗した怪獣が存在しているのかもしれない。続編についても期待したい。

『GAMERA -Rebirth』は2023年9月7日(木)16:00よりNetflixにて配信開始。

『GAMERA -Reborth-』公式サイト

『GAMERA -Rebirth-』の登場怪獣と主題歌に関する記事はこちらから。

『Making of “GAMERA -Rebirth-”』第1弾の記事はこちらから。

『Making of “GAMERA -Rebirth-”』第2弾の記事はこちらから。

『Making of “GAMERA -Rebirth-”』第3弾の記事はこちらから。

『Making of “GAMERA -Rebirth-”』第4弾の記事はこちらから。

『Making of “GAMERA -Rebirth-”』第5弾の記事はこちらから。

『GAMERA -Rebirth-』の予告第1弾の記事はこちらから。

Netflix『PLUTO』のキャスト紹介記事はこちらから。

Netflixドラマ版の『ONE PIECE』も2023年配信予定。実写キャストまとめはこちらから。

鯨ヶ岬 勇士

1998生まれのZ世代。好きだった映画鑑賞やドラマ鑑賞が高じ、その国の政治問題や差別問題に興味を持つようになり、それらのニュースを追うようになる。趣味は細々と小説を書くこと。
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